【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況
世界経済の状況 -停滞感が継続、回復の足取り弱く-
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)は、欧米でのインフレと高金利政策の継続や中国経済の回復の遅れから景気減速の流れは変わらず、グローバル経済の停滞が続きました。サービス業などで一部回復がみられるものの、製造業は軟調で今後の回復の足取りは不透明な状況です。
当社グループの業績 -減収減益、Health Care、Nutrition領域は安定-
このような状況下、当社グループの当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高182,740百万円(前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)比5.2%減)、営業利益5,603百万円(前年同期比54.1%減)、経常利益6,674百万円(前年同期比54.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益4,241百万円(前年同期比59.7%減)となりました。厳しい需要環境が続くなか、Health Care、Nutrition領域は安定して収益に貢献したものの、Material、E & I Technology、Performance Fibersで海外需要の低迷が続き、当第1四半期連結累計期間は前年同期に比べ減収減益となりました。経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は前第3四半期連結会計期間(2022年10月1日~2022年12月31日)以降着実に改善基調となっています。
2024年3月期 第1四半期
連結業績
(単位:百万円)
2023年3月期第1四半期
2024年3月期第1四半期
前年同期比(同増減率)
売上高
192,739
182,740
△9,998(△5.2%)
営業利益
12,212
5,603
△6,608(△54.1%)
経常利益
14,756
6,674
△8,082(△54.8%)
親会社株主に帰属する四半期純利益
10,518
4,241
△6,277(△59.7%)
セグメント別売上高・営業利益
(単位:百万円)
売上高
営業利益
2023年3月期第1四半期
2024年3月期第1四半期
前年同期比(同増減率)
2023年3月期第1四半期
2024年3月期第1四半期
前年同期比(同増減率)
Material SU
88,919
77,659
△11,259(△12.7%)
10,756
5,513
△5,242(△48.7%)
Quality of Life SU
45,000
40,878
△4,122(△9.2%)
4,600
2,939
△1,660(△36.1%)
Health Care SU
16,623
17,745
1,121(6.7%)
3,856
2,967
△889(△23.1%)
Nutrition SU
41,879
46,037
4,158(9.9%)
806
2,277
1,470(182.3%)
その他
316
419
103(32.6%)
186
288
101(54.1%)
調整額
-
-
-
△7,994
△8,381
△386(-)
計
192,739
182,740
△9,998(△5.2%)
12,212
5,603
△6,608(△54.1%)
各セグメントの状況は、次のとおりであります。① Material Solutions Unit当セグメントは、欧米・アジアの景気減速の長期化の影響を受け、売上高は77,659百万円と前年同期と比べ11,259百万円(12.7%減)の減収となり、営業利益は5,513百万円と前年同期と比べ5,242百万円(48.7%減)の減益となりました。Vinyls and Chlor-Alkaliは、塩ビ、か性ソーダともに中国経済の低迷やアジア市況の大幅下落の影響を受けました。Performance Polymersのモディファイヤーは、欧米においてインフレ・高金利が継続するなか、建築用途における需給調整が長引き、低調な出荷になりました。非塩ビ向けも低調に推移しました。変成シリコーンポリマーは、欧米の建築需要の低迷の影響を受けながらも、第1四半期連結累計期間後半から回復の兆しがみえてきています。今後のグローバルな需要増大に対応するため、現在工事中のベルギーでの能力増強に加え、米州での次期能力増強の検討を急いでいます。生分解性バイオポリマー「Green Planet®」は、日米欧の大手ブランドホルダーとの共同開発・市場投入が順調に進んでいます。様々な加工方法の技術確立も進み、更なる用途拡大を急いでいます。廃食用油を用いた資源循環への取り組みも加速しています。NEDOの「グリーンイノベーション基金事業」に採択されたGreen PlanetをCO2と水素から生産する革新的プロジェクトが本格始動しました。
② Quality of Life Solutions Unit当セグメントは、スマートフォン市場の需給調整やアフリカの高インフレと消費低迷が継続し、売上高は40,878百万円と前年同期と比べ4,122百万円(9.2%減)の減収となり、営業利益は2,939百万円と前年同期と比べ1,660百万円(36.1%減)の減益となりました。Foam & Residential Techsのスチレン系発泡樹脂は価格改定によりスプレッドが大幅改善しました。発泡ポリオレフィンは、欧州はじめ海外自動車向け需要が回復しています。SV全体としては大幅な増収増益となりました。PV & Energy managementは、住宅向け高効率太陽電池の販売が伸びています。新築住宅などへの太陽電池設置義務化の動きが東京都をはじめ全国に広がっており、一層の需要伸長が見込まれます。また、豊岡市において地域マイクログリッド事業として太陽光発電事業、蓄電所事業を組み合わせた複合電力サービス事業を開始します。E & I Technologyは、大型TV向け液晶パネル用素材の需要は回復してきました。スマートフォン市場の回復が想定以上に遅れており、ポリイミド製品の販売が低調となり、収益の回復が遅れています。Performance Fibersは、アフリカ諸国の高インフレに伴う消費の低迷から頭髪製品の需要が低調に推移しました。軽量、撥水、抗菌など高機能新製品の投入により需要の早期回復に努めています。また、難燃資材向けは、中国、インドの新難燃規制の施行を睨んで販売拡大を進めます。
③ Health Care Solutions Unit当セグメントは、一部顧客の需要波動の影響がありましたが、販売は総じて堅調な拡大が続いており、売上高は17,745百万円と前年同期と比べ1,121百万円(6.7%増)の増収となり、営業利益は2,967百万円と前年同期と比べ889百万円(23.1%減)の減益となりました。当第2四半期連結会計期間(2023年7月1日~2023年9月30日)以降も引き続き順調な成長が見込まれます。Medicalは、血液浄化器、カテーテルともに国内外で販売が拡大し、業績は堅調に推移しています。好調な販売を踏まえ、北海道で建設中の血液浄化器工場に続いてカテーテル生産拠点の新設の検討を急いでいます。また、消化器領域や不整脈領域での新製品の投入を予定しています。Pharmaは、カネカユーロジェンテックのバイオCDMO事業が順調に拡大しています。顧客ニーズの増大に応えるmRNAの能力増強工事は年末に完工予定で、遺伝子疾患やがん治療薬用での高成長が期待されます。低分子医薬品では新型コロナ治療薬や抗体医薬向けのPA担体の需要が堅調に推移しました。
④ Nutrition Solutions Unit当セグメントは、Supplemental Nutritionの市場拡大とFoods & Agrisの収益改善が寄与し、売上高は46,037百万円と前年同期と比べ4,158百万円(9.9%増)の大幅な増収となり、営業利益は2,277百万円と前年同期と比べ1,470百万円(182.3%増)の大幅な増益となりました。第2四半期連結会計期間以降も堅調な業績が見込まれます。Supplemental Nutritionは、還元型Q10の販売が世界中で拡大しています。中国EC市場向けの販売も本格化しました。乳酸菌事業も欧米・アジアで販売が増加しており、グローバルな生産販売体制の強化により更なる拡大を目指します。Foods & Agrisは、高付加価値品の販売シフトとスプレッドの改善が業績に大きく寄与しました。乳製品をはじめ新規事業の拡大、既存製品の海外展開、ECサイトを活用したBtoCビジネスへの進出など、消費者視点に立った新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいます。また、カネカ食品ではカスタマーセンター等DXを活用した業務革新に注力しています。
⑤ その他当セグメントの売上高は419百万円と前年同期比103百万円(32.6%増)の増収となり、営業利益は288百万円と前年同期比101百万円(54.1%増)の増益となりました。
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産の増加に加え、設備投資の拡大による固定資産増加、円安による海外グループ会社の資産額増加等により、前連結会計年度末に対して33,201百万円増加の815,841百万円となりました。負債については、借入金の増加等により20,083百万円増加の366,300百万円となりました。純資産については、円安による為替換算調整勘定の増加や保有株式の時価上昇によるその他有価証券評価差額金の増加等により13,118百万円増加の449,541百万円となりました。この結果、自己資本比率は52.7%となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの「経営方針、経営環境及び対処すべき課題」については、重要な変更又は新たな発生はありません。
(3) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は8,462百万円であります。