【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況
世界経済の状況 -景気が減速し不安定化-
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)の世界経済は、ウクライナ問題を契機としたエネルギー・資源高騰、各経済圏でのインフレの拡大と金融引き締めを背景に、第3四半期会計期間は景気に急ブレーキがかかり、為替の変動もあって不安定な情勢となっています。
当社グループの業績 -基盤事業が影響受けるも、先端事業群は伸長-
このような状況のなか、当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は567,143百万円(前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)比11.5%増)、営業利益は27,621百万円(前年同期比17.1%減)、経常利益は26,601百万円(前年同期比15.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は18,890百万円(前年同期比14.2%減)となりました。
2023年3月期 第3四半期 連結業績 (単位:百万円)
2022年3月期第3四半期連結累計期間
2023年3月期第3四半期連結累計期間
前年同期比(同増減率)
売上高
508,716
567,143
58,426(11.5%)
営業利益
33,317
27,621
△5,695(△17.1%)
経常利益
31,288
26,601
△4,687(△15.0%)
親会社株主に帰属する四半期純利益
22,021
18,890
△3,131(△14.2%)
セグメント別売上高
(単位:百万円)
売上高
2023年3月期
前年同期比(同増減率)
第1四半期連結会計期間
第2四半期連結会計期間
第3四半期連結会計期間
第3四半期連結累計期間
Material SU
88,919
83,975
77,812
250,707
33,469(15.4%)
Quality of Life SU
45,000
42,194
43,812
131,008
4,869(3.9%)
Health Care SU
16,623
17,369
18,658
52,651
10,630(25.3%)
Nutrition SU
41,879
44,091
46,018
131,988
9,454(7.7%)
その他
316
231
240
787
2(0.3%)
計
192,739
187,863
186,541
567,143
58,426(11.5%)
セグメント別営業利益
(単位:百万円)
営業利益
2023年3月期
前年同期比(同増減率)
第1四半期連結会計期間
第2四半期連結会計期間
第3四半期連結会計期間
第3四半期連結累計期間
Material SU
10,756
7,947
3,767
22,470
△3,796(△14.5%)
Quality of Life SU
4,600
4,069
4,386
13,056
△727(△5.3%)
Health Care SU
3,856
3,653
4,471
11,981
3,561(42.3%)
Nutrition SU
806
1,296
2,290
4,393
745(20.4%)
その他
186
95
112
395
45(13.1%)
調整額
△7,994
△8,460
△8,221
△24,676
△5,523(-)
計
12,212
8,601
6,808
27,621
△5,695(△17.1%)
第3四半期連結会計期間は、欧米の建材・建築市場の低迷やアジアの塩ビ市況の下落、エレクトロニクス市場の需給調整など当社の一部のセグメントでは需要の減退や市況下落が続き、業績に大きく影響を与えることになりました。一方、先端事業群(Health Care SUなど)では、当社らしい差別化技術を使った新製品の販売が順調に拡大し、成長が加速しています。基盤事業群においては、Foam、Foodsは原料価格上昇に対する価格改定などでスプレッドの改善が進み、収益基盤を強化しました。事業ポートフォリオ変革が着実に進んでいます。
各セグメントの状況は次のとおりであります。
① Material Solutions Unit当セグメントの売上高は250,707百万円と前年同期と比べ33,469百万円(15.4%増)の増収となり、営業利益は22,470百万円と前年同期と比べ3,796百万円(14.5%減)の減益となりました。Vinyls and Chlor-Alkaliは、第3四半期連結会計期間に入りか性ソーダは堅調に推移したものの、塩ビのアジア向け需要が低迷し、市況も低調に推移しました。Performance Polymersのモディファイヤーは、第2四半期連結会計期間から欧米の住宅向け硬質塩ビ用途の需要が減速しはじめ、第3四半期連結会計期間においては顧客の大幅な在庫調整が続き、低調に推移しました。R&B活動を非塩ビ用途の市場拡大にシフトし収益力を強化しています。業績は第3四半期連結会計期間を底に回復基調に転じています。変成シリコーンポリマーは、欧米の建築市場の低迷を受け、需要が一時的に減速しましたが、需要の基調は強く、昨年決定したベルギーでの能力増強に続き、米州の次期能力増強の検討を急いでいます。生分解性バイオポリマー「Green Planet®」は、日欧米の大手ブランドホルダーからたくさんの引き合いが広がっており、共同開発が拡大しています。また、国の重点政策である「バイオものづくり」の社会実装に向け、CO2と水素からGreen Planetを生産する革新技術の研究開発に鋭意取り組んでいます。
② Quality of Life Solutions Unit当セグメントの売上高は131,008百万円と前年同期と比べ4,869百万円(3.9%増)の増収となり、営業利益は13,056百万円と前年同期と比べ727百万円(5.3%減)の減益となりました。Foam & Residential Techsは、価格改定が進むとともに国内向けの販売が堅調となり業績が回復しました。海外の自動車分野の需要は徐々に回復しつつあります。世界的にエネルギー危機(電力不足)が問題となるなか、高効率PVへの期待が高まっています。東京都はじめ新築住宅へのPV設置義務化等の政策的な動きが全国的に広がるなど、当社PVへの引き合いは益々活発化しています。今年度中にヘテロジャンクションPVの増産ラインを稼働させ、住宅向け高効率太陽電池PVの旺盛な需要に応えてまいります。車載用PVについても今春には本格出荷を開始する予定です。また、自己託送や自治体と連携したマイクログリッドなどCO2削減に寄与する取り組みを積極的に進めています。
E & I Technologyは、第3四半期連結会計期間もスマートフォン市場・大型TV市場における大幅な需給調整が続き、ポリイミド製品や液晶パネル用樹脂の販売が前年を下回りました。第4四半期連結会計期間の後半からはこれら需要の回復を見込んでいます。5Gやフレキシブルディスプレイ、画像センサー用途など当社ならではの新しい差別化製品のラインナップに注力しています。Performance Fibersは、アフリカや米国のインフレ高進に伴い頭髪製品の需要は一時的に減速していますが、差別化新製品の投入により販売の拡大を図っています。
③ Health Care Solutions Unit当セグメントの売上高は52,651百万円と前年同期と比べ10,630百万円(25.3%増)の増収となり、営業利益は11,981百万円と前年同期と比べ3,561百万円(42.3%増)の増益となりました。Medicalは、新製品が好調で、血液浄化器およびカテーテルの販売が国内外で拡大しています。全社業績を牽引しています。最大市場の米国の販売体制の強化を急ぎ、Medical事業のグロ-バル拡大を一層加速します。新型コロナPCR検査キットに続き、新型コロナ・インフルエンザ同時検査キットも近日中に発売する予定です。Pharmaは、バイオ医薬品事業が順調に拡大しています。全社業績を牽引しているSVの1つです。カネカユーロジェンテックは感染症ワクチンに加え遺伝子疾患やがん治療薬用で高成長が期待されるmRNA用生産設備の能力増強を決定しました。飛躍的な成長に向けて事業基盤を拡充しています。低分子医薬品では、新型コロナ治療薬「ゾコーバ®*1錠」向け中間体の販売が軌道に乗り、増販を計画しています。*1「ゾコーバ」は塩野義製薬株式会社の登録商標です。
④ Nutrition Solutions Unit当セグメントの売上高は131,988百万円と前年同期と比べ9,454百万円(7.7%増)の増収となり、営業利益は4,393百万円と前年同期と比べ745百万円(20.4%増)の増益となりました。Supplemental Nutritionは、還元型Q10の販売がアメリカ、日本に加えて欧州、オセアニア、アジア(中国)でも拡大しており、増産の検討を急ぎます。また、乳酸菌事業の拡大を受け、グローバルな生産販売体制の強化を進めています。機能性表示食品の品揃えを一層強化してまいります。Foods & Agrisは、食品全般の値上げが広がり、需要が低迷するなかで、高付加価値品の販売拡大と価格改定に注力しました。業績が拡大しました。8月発売の『わたしのチカラQ10ヨーグルト』はドリンクタイプの販売が特に好調となっています。生産能力律速となっており、増産体制の1stステップが完工しました。カネカ食品の新しいECサイトを立ち上げました。乳製品・パン・チョコレートなどBtoCの販売を強化しています。おいしさと健康をテーマに新たな価値を提供できる取り組みの大きな仕掛けになっています。
⑤ その他当セグメントの売上高は787百万円と前年同期と比べ2百万円(0.3%増)の増収となり、営業利益は395百万円と前年同期と比べ45百万円(13.1%増)の増益となりました。
資産、負債および純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に対して61,726百万円増加の788,686百万円となりました。売上高増加に伴う売掛金および棚卸資産の増加に加え、設備投資の拡大による有形固定資産の増加等によるものです。負債については借入金の増加等により46,670百万円増加の361,426百万円となりました。純資産については利益剰余金の増加および為替換算調整勘定の増加等により15,055百万円増加の427,259百万円となりました。この結果、自己資本比率は51.8%となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの「経営方針、経営環境及び対処すべき課題」については、重要な変更又は新たな発生はありません。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は24,437百万円であります。