【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況
世界経済の状況 -先行きの不透明感が広がる-
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)の世界経済は、コロナ感染による社会影響が緩和に向かう一方、ウクライナ情勢の混迷、エネルギー・原材料価格の高騰と下落、世界的なインフレの加速と金利上昇による景気減速、大幅な円安進行など不安定な情勢で推移しました。
当社グループの業績 -先端事業群が伸長し、経常利益・四半期純利益増-
このような状況のなか、当社グループの当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は380,602百万円(前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)比15.2%増)、営業利益は20,813百万円(前年同期比9.6%減)、経常利益は22,518百万円(前年同期比7.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は16,568百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
2023年3月期 第2四半期
連結業績 (単位:百万円)
2022年3月期第2四半期
2023年3月期第2四半期
前年同期比(同増減率)
売上高
330,267
380,602
50,335(15.2%)
営業利益
23,015
20,813
△2,202(△9.6%)
経常利益
20,891
22,518
1,627
(7.8%)
親会社株主に帰属する四半期純利益
14,766
16,568
1,801
(12.2%)
セグメント別売上高・営業利益
(単位:百万円)
売上高
営業利益
2023年3月期
前年同期比(同増減率)
2023年3月期
前年同期比(同増減率)
第1四半期
第2四半期
第2四半期累計
第1四半期
第2四半期
第2四半期累計
Material SU
88,919
83,975
172,895
32,005(22.7%)
10,756
7,947
18,703
739(4.1%)
Quality of Life SU
45,000
42,194
87,195
4,460(5.4%)
4,600
4,069
8,669
△654(△7.0%)
Health Care SU
16,623
17,369
33,993
7,375(27.7%)
3,856
3,653
7,510
2,257(43.0%)
Nutrition SU
41,879
44,091
85,970
6,490(8.2%)
806
1,296
2,103
17(0.8%)
その他
316
231
547
2(0.5%)
186
95
282
31(12.5%)
調整額
–
–
-
-
△7,994
△8,460
△16,455
△4,593(-)
計
192,739
187,863
380,602
50,335(15.2%)
12,212
8,601
20,813
△2,202(△9.6%)
第2四半期連結会計期間に入って世界経済の減速感が強まるなか、当社はVinyls and Chlor-Alkali、Performance Polymers(MOD)やE & I Technologyが市場の需給調整や市況下落の影響を受けました。そのなかでも先端事業群(Health Careなど)は、独自の差別化技術による市場拡大が進み、順調に業績を伸ばしました。事業ポートフォリオ変革は着実に進んでいます。
各セグメントの状況は、次のとおりであります。
① Material Solutions Unit当セグメントの売上高は172,895百万円と前年同期と比べ32,005百万円(22.7%増)の増収となり、営業利益は18,703百万円と前年同期と比べ739百万円(4.1%増)の増益となりました。Vinyls and Chlor-Alkaliは、塩ビのアジアスポット市況が第2四半期連結会計期間より軟化したものの、か性ソーダが業績を牽引し前年を上回る実績となりました。今後はアジア市場の需給調整がカギです。Performance Polymersのモディファイヤーは、第2四半期連結会計期間に欧米の住宅向け硬質塩ビ用途にブレーキがかかり第2四半期連結累計期間としては前年を下回りました。非塩ビ用途の開発、R&B活動を強化しています。変成シリコーンポリマーは、引き続きシーリング材・接着剤用途向けの販売が堅調に推移し、前年並みの実績となりました。着実に成長が期待されるSVであることからベルギーでの能力増強を8月に決定し、本年度末に次の能力増強を検討しています。 生分解性バイオポリマー「Green Planet®」は、日欧米の大手ブランドホルダーとの共同開発が順調に進んでいます。国の重点政策「バイオものづくり」の社会実装に向け、水素酸化細菌によりCO2と水素からGreen Planetを生産する革新技術の研究開発に鋭意取り組んでまいります。
② Quality of Life Solutions Unit当セグメントの売上高は87,195百万円と前年同期と比べ4,460百万円(5.4%増)の増収となり、営業利益は8,669百万円と前年同期と比べ654百万円(7.0%減)の減益となりました。Foam & Residential Techsは価格改定に注力しました。国内需要は第1四半期会計期間を底に着実に回復しています。海外については自動車分野が半導体等のサプライチェーンの混乱が続いており、回復が遅れています。原油・石炭の高騰に始まり、エネルギー危機(電力不足)が世界的に表面化しています。そのことを背景に当社のPV & Energy managementへの引き合いが高まっています。東京都の「2030年カーボンハーフ」に向けたPV設置義務化等の政策的な動きが全国的に広がり、住宅向け高効率太陽電池の販売が拡大しています。ヘテロジャンクションPVの増産の決定をしました。PV設置による自己託送などCO2削減に寄与する取り組みも積極的に進めています。E & I Technologyは、スマートフォン市場、大型テレビ市場のサプライチェーン全体の需給調整の影響を大きく受け、業績は前年を下回りましたが、今後の市場拡大に向けてアクリルフィルム用樹脂の生産能力40%増強を決定しました。5G、フレキシブルディスプレイ、画像センサー部品などの市場を先回りしたカネカならではの新しい製品開発に注力しています。Performance Fibersは、前年並みの業績となりました。頭髪製品は今後のインフレによる需要減が考えられますが、差別化新製品の投入により需要拡大を図ります。難燃資材向けはアジアでの販売が拡大しました。
③ Health Care Solutions Unit当セグメントの売上高は33,993百万円と前年同期と比べ7,375百万円(27.7%増)の増収となり、営業利益は7,510百万円と前年同期と比べ2,257百万円(43.0%増)の増益となりました。Medicalは主要業種である血液浄化器およびカテーテルの販売が国内外で順調に拡大し続けています。ベトナム工場の生産能力を3倍に増強しました。大市場である米国の販売体制の強化を着実に進め、Medical事業のグロ-バル展開を加速します。新型コロナPCR検査薬の生産を倍増しました。抗原検査キットも生産体制を拡大します。Pharmaは、カネカユーロジェンテックでのコロナワクチンなどバイオ医薬品CDMO事業が順調に拡大しています。事業基盤の拡大に向けてmRNA用生産設備の能力増強を準備中です。抗ウィルス薬新規大型案件や抗体医薬品精製用プロテインA担体の販売も業績に大きく寄与しています。
④ Nutrition Solutions Unit当セグメントの売上高は85,970百万円と前年同期と比べ6,490百万円(8.2%増)の増収となり、営業利益は2,103百万円と前年同期と比べ17百万円(0.8%増)の増益となりました。Supplemental Nutritionでは、AB-Bioticsの乳酸菌事業の業績は大きく拡大しました。グローバル生産販売体制の強化を進めています。還元型Q10の生産がフルに近づいており、増産の検討を進めています。機能性表示食品の品揃えを強化しています。Foods & Agrisは、食品値上げ報道等による買い控えが広がっています。大型台風などの天候不良もありましたが、価格改定や高付加価値品の販売拡大により業績は回復しています。8月に新発売した機能性表示食品「わたしのチカラQ10ヨーグルト」「わたしのチカラQ10ヨーグルトドリンクタイプ」は、市場・マスコミの評価が高く、販売が拡大しています。おいしさと健康をテーマとした商品を充実させてまいります。
⑤ その他当セグメントの売上高は547百万円と前年同期と比べ2百万円(0.5%増)の増収となり、営業利益は282百万円と前年同期と比べ31百万円(12.5%増)の増益となりました。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ48,569百万円増の775,529百万円となりました。負債は、借入金の増加等により26,742百万円増の341,498百万円となりました。また、純資産は、利益剰余金や為替換算調整勘定の増加等により21,827百万円増の434,031百万円となりました。この結果、自己資本比率は53.6%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ5,561百万円減少し、35,151百万円となりました。
区分毎の概況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、10,412百万円の収入(前年同期比9,689百万円減)となりました。税金等調整前四半期純利益22,518百万円、減価償却費19,563百万円等による資金の増加と、棚卸資産の増加額21,725百万円等による資金の減少がその主な内容であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、20,975百万円の支出(前年同期比4,067百万円増)となりました。有形固定資産の取得による支出19,979百万円等がその主な内容であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、3,684百万円の収入(前年同期比7,288百万円増)となりました。借入金の増加9,039百万円による資金の増加と、配当金の支払3,914百万円等による資金の減少がその主な内容であります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの「経営方針、経営環境及び対処すべき課題」については、重要な変更又は新たな発生はありません。
(4) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は16,287百万円であります。