【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間の我が国の経済は、不安定な国際情勢や円安等に起因した物価上昇が継続したものの、新型コロナウイルスの5類感染症への移行に伴い消費活動やインバウンド需要が持ち直したことなどから、経済活動や社会生活が正常化しつつあります。一方、国内物価の上昇が消費者心理に与える影響、不安定な国際情勢の長期化や円安の進行による原材料やエネルギー価格高騰の継続、米国の金融引締め継続による景気下振れリスクなどが懸念され、事業を取り巻く環境は依然として不確実な状況が続いております。このような中、当社グループは2030経営計画の達成に向け、2021中期経営計画の最終年度として「飛躍に向けた新たな経営基盤づくり」に取り組むとともに、様々な外部環境の変化に対応すべく事業強化を図ってまいりました。 その結果、国内では主に菓子食品事業、冷菓事業及び国内事業子会社が好調であったことに加え、米国事業が高成長を持続したことから、売上高は1,096億8百万円と前年同期実績に比べ111億7千4百万円(11.4%)の増収で、上期としては過去最高となりました。損益については、原材料及びエネルギー価格の高騰がありましたが、増収及び価格改定効果により、営業利益は前年同期実績に比べ39億3千6百万円(38.5%)増益の141億6千7百万円と順調に回復しております。経常利益も前年同期実績に比べ38億9千9百万円(37.1%)増益の143億9千7百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期実績に比べ36億7千6百万円(55.8%)増益の102億6千万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造>菓子食品事業ビスケットカテゴリーでは、「森永ビスケット」は、昨年実施した製造ラインの増強により積極的な商品展開が可能となり、「ムーンライト」をはじめとした既存品が引き続き好調に推移したほか、9月に発売した贅沢シリーズ2品も寄与し、ブランド全体で過去最高の売上高を記録しました。キャンディカテゴリーでは、「ハイチュウ」は、引き続き食感を訴求する商品・プロモーション展開により既存品が好調に推移したほか、8月の“ハイチュウの日”に向けて発売した新商品も寄与しました。「森永ラムネ」は、新商品の発売をフックにプロモーションを強化した結果、新商品・既存品ともに好調に推移しました。両ブランドともに過去最高の売上高を記録しております。チョコレートカテゴリーでは、「カレ・ド・ショコラ」は、秋の新商品の発売時期を第3四半期へ変更したことが影響し、前年同期実績を下回りました。「ダース」は、既存の箱形態で発売した新たなコンセプトの新商品が大きく寄与し、前年同期実績を上回りました。「チョコボール」は、既存品は好調に推移しましたが、一部商品の終売によるアイテム数の絞り込みが影響し、前年同期実績を下回りました。食品カテゴリーでは、「森永甘酒」「森永ココア」ともに健康ブランドとして強化するべく、価値訴求や飲用機会の提案など引き続き需要獲得に取り組みました。「森永甘酒」は期間限定品の販売好調も寄与し前年同期実績を上回りましたが、「森永ココア」は前年同期実績を下回りました。なお、原材料及びエネルギー価格高騰に対する収益改善策として、甘酒やケーキミックス等の一部商品において、9月に価格改定を実施しております。これらの結果、菓子食品事業全体の売上高は359億1千9百万円と前年同期実績に比べ27億5百万円(8.1%)増となりました。損益については、原材料及びエネルギー価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ15億4千8百万円増益の16億6百万円となりました。
冷菓事業「ジャンボ」グループは、「チョコモナカジャンボ」は、今春に実施した品質リニューアルの好評と、SNSを活用した情報発信並びにPR活動の強化によるメディア露出の拡大により話題喚起に成功したことも寄与し、好調に推移しました。「バニラモナカジャンボ」は、引き続き単独TVCMを投入し品質の独自性を訴求した結果、店頭回転が好調に推移し前年同期実績を上回りました。「板チョコアイス」は、6月に発売した夏季限定品質の好評により盛夏期も好調に推移したほか、9月に発売した「白い板チョコアイス」の想定を上回る販売好調(一時休売)も寄与し、前年同期実績を大きく上回りました。通年発売2年目となる「ザ・クレープ」は、盛夏期の新商品発売によりブランド接点の拡大に取り組み、前年同期実績を上回りました。「アイスボックス」は、喫食シーン拡大に向けたプロモーション展開により引き続き購入率が拡大したほか、猛暑による需要拡大もあり、前年同期実績を大きく上回りました。これらの結果、冷菓事業全体の売上高は279億9千8百万円と前年同期実績に比べ30億5千6百万円(12.3%)増となりました。損益については、原材料及びエネルギー価格の高騰を、増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ10億4千7百万円(30.0%)増益の45億3千3百万円となりました。
in事業「inゼリー」は、引き続きターゲット毎に飲用シーンの訴求に取り組み、「エネルギーブドウ糖」や「フルーツ食感」が好調に推移した一方、前年に新型コロナウイルス感染者向けとして自治体へ商品を供給した売上実績等の反動があり、前年同期実績をわずかに下回りました。「inバー」は、プロテイン摂取手段の多様化による競争環境の激化が続く中、商品内容をより分かりやすく伝えるデザインへ全品リニューアルを行い、前年同期実績を上回りました。これらの結果、in事業全体の売上高は178億6千3百万円と前年同期実績に比べ7千3百万円(0.4%)増となりました。損益については、価格改定による収益性改善に対し、原材料及びエネルギー価格の高騰の影響が大きく、営業利益は前年同期実績に比べ3億9千万円(7.7%)減益の46億5千3百万円となりました。
通販事業「おいしいコラーゲンドリンク」は、新規顧客数が解約数を上回りましたが、定期顧客数は想定をやや下回り、売上高は前年同期実績並みとなりました。通販事業の第2の柱候補の商品である「おいしい青汁」は、着実に定期顧客数を増やし、売上高を拡大しております。これらの結果、通販事業全体の売上高は53億1千4百万円と前年同期実績に比べ2億1千2百万円(4.2%)増となりました。損益については、原材料価格の高騰を、増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ9千5百万円(29.2%)増益の4億2千1百万円となりました。
事業子会社㈱アントステラは、全国の直営店において量り売りや3ヶ月ぶりに復活した詰め放題の販売が好調に推移したほか、大手量販店の銘店コーナーへの出店の増加も寄与し、前年同期実績を上回りました。森永市場開発㈱は、テーマパークにおける販売が訪日外国人の増加や夏期休暇による来場者増加により好調に推移したほか、アンテナショップにおける販売も好調が続き、前年同期実績を大きく上回りました。これらの結果、事業子会社全体の売上高は46億5百万円と前年同期実績に比べ10億6千7百万円(30.2%)増となりました。営業利益は前年同期実績に比べ2億5千2百万円(134.7%)増益の4億3千8百万円となりました。
[国内における主な商品の前年同期比 (単位:%)]
菓子食品事業
冷菓事業
森永ビスケット
121
ジャンボグループ
113
ハイチュウ
115
板チョコアイス
141
森永ラムネ
124
ザ・クレープ
102
カレ・ド・ショコラ
94
アイスボックス
123
ダース
123
in事業
チョコボール
88
inゼリー
99
森永甘酒
101
inバー
107
森永ココア
96
通販事業
おいしいコラーゲンドリンク
100
※表中の数値は国内販売実績にて算出
米国事業「HI-CHEW」は、ブランド認知及びロイヤリティ向上に向けて、メジャーリーグのパートナーシップの取組みのほか、ブランド体験を創出するプロモーションを引き続き積極的に展開しております。販売店率は順調に拡大し、売上高は前年同期実績を大きく上回り、高い事業成長を続けております。ゼリー飲料「Chargel」は、日系スーパーへの導入が進み、引き続き米系スーパー及びスポーツ系チャネルへの導入促進に取り組んでおります。また、スポーツイベントでのサンプリング活動をはじめ、広告やPR活動を強化し、ブランド認知及び商品理解の促進を積極的に進めております。これらの結果、米国事業全体の売上高は94億4千2百万円と前年同期実績に比べ28億1千1百万円(42.4%)増となりました。損益については、原材料価格の高騰や人件費増加の影響がありましたが、増収及び価格改定効果により収益性が向上し、営業利益は前年同期実績に比べ12億4千万円(156.3%)増益の20億3千3百万円となりました。
中国・台湾・輸出等中国では、「HI-CHEW」の販売が引き続き好調に推移しましたが、日本製品の輸入販売は苦戦しました。台湾では、「HI-CHEW」及び「inゼリー」が好調に推移しました。探索・研究領域である東アジア・オセアニア地区でも、「HI-CHEW」の売上高を着実に拡大しております。これらの結果、中国・台湾・輸出等全体の売上高は40億8千1百万円と前年同期実績に比べ8億4百万円(24.5%)増となりました。営業利益は前年同期実績に比べ1億2千3百万円(36.8%)増益の4億5千9百万円となりました。
以上の結果、<食料品製造>の売上高は1,052億7千9百万円と前年同期実績に比べ11.4%増となりました。セグメント利益は140億2千6百万円と前年同期実績に比べ39億6千8百万円の増益となりました。
<食料卸売>売上高は、30億2千3百万円と前年同期実績に比べ13.8%増となりました。セグメント利益は1億3百万円と前年同期実績に比べ4千7百万円の増益となりました。
<不動産及びサービス>
売上高は、9億4千7百万円と前年同期実績に比べ1.0%減となりました。セグメント利益は4億9百万円と前年同期実績に比べ9百万円の減益となりました。
<その他>売上高3億5千8百万円、セグメント利益8千万円であります。
当第2四半期連結会計期間末における総資産の残高は2,195億2千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ143億1百万円増加しております。主な要因は、未収還付法人税等が減少した一方で、受取手形及び売掛金や現金及び預金を合同運用指定金銭信託とした有価証券、及び有形固定資産のその他に含まれる建設仮勘定が増加したことなどによるものであります。 負債の残高は905億1千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ111億4千9百万円増加しております。主な要因は、支払手形及び買掛金や未払法人税等が増加したことなどによるものであります。 純資産の残高は1,290億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億5千1百万円増加しております。主な要因は、配当金の支払や自己株式の取得により減少した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上やその他有価証券評価差額金、及び為替換算調整勘定が増加したことなどによるものであります。 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.6ポイント減少し、58.1%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億7千4百万円減少し、355億3百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は178億6千8百万円となりました。主な内容は、税金等調整前四半期純利益144億5千7百万円、減価償却費46億5千2百万円、仕入債務の増加額46億2千7百万円、法人税等の支払額又は還付額27億8百万円、及び売上債権の増加額114億4百万円によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は84億2千7百万円となりました。主な内容は、有価証券の取得による支出25億円、及び有形固定資産の取得による支出43億5千6百万円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は103億8千8百万円となりました。主な内容は、自己株式の取得による支出52億6千4百万円、及び配当金の支払額47億1千2百万円によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当第2四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費は14億6千6百万円であります。セグメントごとの研究開発費は「食料品製造」が14億1千5百万円、報告セグメントに含まれない「その他」が5千1百万円であります。 当第2四半期連結累計期間は、「2021中期経営計画」に掲げる、2030年の目指す姿「中長期的な企業価値向上を果たす事業戦略を支える強固な経営基盤の構築」に向けての1stステージとして、「技術を基軸に、未来に向けて新たな顧客価値を創造する」という基本方針のもと、中長期視点での研究開発力の強化と共創により「既存技術の深化」を進めながら、「新規技術の探索」のチャレンジを継続いたしました。