【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間の我が国の経済は、新型コロナウイルスの5類感染症への移行に伴い経済活動や社会生活の正常化が加速する中、個人消費は持ち直し、景気は緩やかに回復しております。一方で、不安定な国際情勢や円安等に起因して原材料及びエネルギー価格は引き続き高い水準で推移し、また、それに伴う物価高の進行が消費者心理に影響を与えるなど、事業を取り巻く環境は不確実な状況が続いております。このような中、売上高は、510億9千2百万円と前年同期実績に比べ42億8千9百万円(9.2%)の増収となりました。損益については、原材料及びエネルギー価格の高騰がありましたが、増収及び価格改定効果により、営業利益は前年同期実績に比べ11億6千3百万円(25.1%)増益の58億3百万円、経常利益も前年同期実績に比べ11億6千1百万円(24.1%)増益の59億8千5百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期実績に比べ9億1千4百万円(26.8%)増益の43億2千2百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。 <食料品製造> 菓子食品事業ビスケットカテゴリーでは、「森永ビスケット」は、昨年実施した製造ラインの増強により積極的な商品展開が可能となり、既存品の期間限定デザインや、新商品の発売、「マリー」100周年の取組み等により、ブランド全体で過去最高の売上高を記録しました。キャンディカテゴリーでは、「ハイチュウ」は、行楽需要獲得に向けた商品展開や、新たな食感を訴求する新商品の発売により、引き続き好調に推移しました。「森永ラムネ」は、ターゲット毎の商品及びプロモーション展開により、ボトル形態、パウチ形態の「大粒ラムネ」いずれも販売好調が続き、前年同期実績を大きく上回りました。チョコレートカテゴリーでは、「カレ・ド・ショコラ」は、プレミアムラインの新商品発売が寄与し、「ダース」については、新たな喫食シーンを獲得する新商品の発売により、それぞれ前年同期実績を上回りました。「チョコボール」は、既存品の販売は好調に推移しましたが、一部商品の終売によるアイテム数の絞り込みが影響し、前年同期実績を下回りました。食品カテゴリーでは、「森永甘酒」「森永ココア」ともに健康ブランドとして強化するべく、価値訴求や飲用機会の提案など引き続き需要獲得に取り組みましたが、「森永甘酒」は前年同期実績並み、「森永ココア」は前年同期実績を下回りました。なお、原材料及びエネルギー価格高騰に対する収益改善策として、各カテゴリーにおいて、3月に価格改定を実施しております。これらの結果、菓子食品事業全体の売上高は174億6千5百万円と前年同期実績に比べ13億2千7百万円(8.2%)増となりました。損益については、原材料及びエネルギー価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ5億2百万円(143.6%)増益の8億5千2百万円となりました。
冷菓事業「ジャンボ」グループは、「チョコモナカジャンボ」は、ブランドの価値である“パリパリ”を強化すべく、今春に品質リニューアルを行いました。また、パリパリ品質を実現する鮮度マーケティングの取組みを幅広く訴求するプロモーション展開も奏功し、好調に推移しました。「バニラモナカジャンボ」は、2年ぶりに単独のTVCMを投入し品質の独自性を訴求した結果、店頭回転が好調に推移し前年同期実績を上回りました。「板チョコアイス」は、“夏季限定”品質への切り替えにより新たなお客様獲得とリピート購入を促進し、前年同期実績を上回りました。通年発売2年目となる「ザ・クレープ」は、前年に売上高を伸ばしたことも影響し、苦戦しました。「アイスボックス」は、引き続き喫食シーン拡大に向けたプロモーション展開に取り組み、好調に推移しました。なお、原材料及びエネルギー価格高騰に対する収益改善策として、主力品について、3月に価格改定を実施しております。これらの結果、冷菓事業全体の売上高は116億9千9百万円と前年同期実績に比べ1億4千6百万円(1.3%)増となりました。損益については、原材料及びエネルギー価格の高騰を、増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ1億5千9百万円(11.7%)増益の15億1千6百万円となりました。
in事業「inゼリー」は、経済活動や社会生活の正常化により多様化する消費者ニーズに対して、ターゲット毎に飲用シーンの訴求に取り組み、購入率が拡大しました。一方で、前年に新型コロナウイルス感染者向けとして自治体へ商品を供給した売上実績の反動があり、売上高は前年同期実績並みとなりました。「inバー」は、プロテイン摂取手段の多様化による競争環境の激化が続く中、メジャーリーガーを起用したTVCM投入によりブランド認知拡大を図り、前年同期実績を上回りました。これらの結果、in事業全体の売上高は82億5千9百万円と前年同期実績に比べ9千3百万円(1.1%)増となりました。損益については、価格改定による収益性改善に対し、原材料及びエネルギー価格の高騰の影響が大きく、営業利益は前年同期実績に比べ2億6千4百万円(14.3%)減益の15億7千5百万円となりました。
通販事業「おいしいコラーゲンドリンク」は、2月に実施した価格改定により一時的に解約が発生しましたが、当第1四半期は定期顧客数を堅調に伸ばし、売上高は前年同期実績を上回りました。通販事業の第2の柱候補の商品である「おいしい青汁」も、着実に定期顧客数を増やし、売上高を拡大しております。これらの結果、通販事業全体の売上高は26億3千4百万円と前年同期実績に比べ1億2千8百万円(5.1%)増となりました。損益については、原材料価格の高騰を、増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ7千1百万円(48.3%)増益の2億1千6百万円となりました。
事業子会社㈱アントステラは、全国の直営店において量り売りや催事向けのギフト商品の販売が好調に推移しました。また、大手量販店の銘店コーナーへの出店の増加も寄与し、売上高は前年同期実績を上回りました。森永市場開発㈱は、人流の回復や訪日外国人の増加により、テーマパーク及びアンテナショップにおける販売が好調に推移し、売上高は前年同期実績を大きく上回りました。これらの結果、事業子会社全体の売上高は25億1千7百万円と前年同期実績に比べ6億2千7百万円(33.2%)増となりました。営業利益は前年同期実績に比べ1億5千7百万円(85.6%)増益の3億4千万円となりました。
米国事業「HI-CHEW」は、ブランド認知及びロイヤリティ向上に向けて、引き続き積極的なプロモーションを展開しております。販売店率は順調に拡大し店頭回転も堅調に推移した結果、売上高は前年同期実績を大きく上回り、高い事業成長を続けております。また、新たな商品形態となる「HI-CHEW Bites」を発売し、顧客接点の拡大にも取り組んでおります。米国事業の第2の柱として昨年本格的な取組みをスタートしたゼリー飲料「Chargel」は、日系スーパーへの導入を徐々に進める中、米系スーパー及びスポーツ系チャネルへの導入促進に向けて、引き続きスポーツイベントでのサンプリング活動をはじめ、広告やPR活動を強化し、ブランド認知及び商品理解の促進を積極的に進めております。これらの結果、米国事業全体の売上高は41億9千4百万円と前年同期実績に比べ13億3千7百万円(46.8%)増となりました。損益については、原材料価格の高騰や人件費増加の影響がありましたが、増収及び価格改定効果により収益性が向上し、営業利益は前年同期実績に比べ6億9百万円(163.5%)増益の9億8千1百万円となりました。
中国・台湾・輸出等中国では、「HI-CHEW」の販売が引き続き好調に推移しましたが、日本製品の輸入販売は苦戦しました。台湾では、「HI-CHEW」と「inゼリー」が好調に推移しました。探索・研究領域である東アジア・オセアニア地区でも、「HI-CHEW」の売上高を着実に拡大しております。これらの結果、中国・台湾・輸出等全体の売上高は21億1千8百万円と前年同期実績に比べ4億7百万円(23.8%)増となりました。営業利益は前年同期実績に比べ5千7百万円(22.2%)増益の3億1千3百万円となりました。
以上の結果、<食料品製造>の売上高は489億2千2百万円と前年同期実績に比べ9.1%増となりました。セグメント利益は57億3百万円と前年同期実績に比べ11億8千8百万円の増益となりました。
<食料卸売> 売上高は、15億8百万円と前年同期実績に比べ16.7%増となりました。セグメント利益は4千万円と前年同期実績に比べ4百万円の増益となりました。 <不動産及びサービス>売上高は、4億8千1百万円と前年同期実績に比べ3.0%減となりました。セグメント利益は2億1千4百万円と前年同期実績に比べ3百万円の減益となりました。 <その他> 売上高1億7千9百万円、セグメント利益4千1百万円であります。
当第1四半期連結会計期間末における総資産の残高は2,053億7千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億4千8百万円増加しております。主な要因は、現金及び預金が減少した一方で、受取手形及び売掛金や商品及び製品、有形固定資産のその他(純額)に含まれる建設仮勘定が増加したことなどによるものであります。負債の残高は843億3千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ49億6千4百万円増加しております。主な要因は、賞与引当金が減少した一方で、支払手形及び買掛金や未払法人税等、流動負債のその他に含まれる設備関係未払金が増加したことなどによるものであります。純資産の残高は1,210億3千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ48億1千7百万円減少しております。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により増加した一方で、配当金の支払や自己株式の取得により減少したことなどによるものであります。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.4ポイント減少し、58.3%となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当第1四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費は739百万円であります。セグメントごとの研究開発費は「食料品製造」が714百万円、報告セグメントに含まれない「その他」が24百万円であります。「2021中期経営計画」に掲げる、2030年の目指す姿「中長期的な企業価値向上を果たす事業戦略を支える強固な経営基盤の構築」に向けての1stステージとして、「技術を基軸に、未来に向けて新たな顧客価値を創造する」という基本方針のもと、中長期視点での研究開発力の強化と共創により「既存技術の深化」を進めながら、「新規技術の探索」のチャレンジを継続いたしました。