【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。 なお、第1四半期連結会計期間より、食料品製造セグメントに関する顧客との契約から生じる収益を分解した情報の区分を変更したことに伴い、以下の比較分析における食料品製造セグメントの区分を変更し、区分変更後の数値で前年同四半期連結累計期間との比較・分析を行っております。
(1)財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進む一方、ロシア・ウクライナ情勢や急激な為替の変動に起因する原材料及びエネルギー価格の高騰により、依然として先行き不透明な状況が続き、事業を取り巻く環境は大きく変化しております。このような中、売上高は、1,478億6千9百万円と前年同期実績に比べ92億6百万円(6.6%)の増収となりました。 損益は、増収効果及び価格改定効果がありましたが、原材料及びエネルギー価格の高騰や中長期の成長に向けた戦略的な広告投資などにより、営業利益は前年同期実績に比べ35億3千3百万円(20.4%)減益の137億5千万円、経常利益も前年同期実績に比べ38億6千5百万円(21.6%)減益の139億9千5百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期実績に比べ36億5千8百万円(29.2%)減益の88億5千7百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造>菓子食品事業ビスケットカテゴリーでは、「森永ビスケット」は第1四半期に実施した生産ライン増設工事による一時的な商品供給制約の影響がありましたが、「ムーンライト」の積極的なプロモーションと新商品の発売による売上拡大も寄与し、前年同期実績を上回りました。キャンディカテゴリーでは、多様な食感ラインナップを擁する「ハイチュウ」が、新商品及び基幹品の冬期限定品を含め、スティック・パウチ・袋の全ての商品形態で引き続き好調を継続しております。また、「森永ラムネ」は「大粒ラムネ」が好調に推移し、前年同期実績を上回りました。チョコレートカテゴリーでは、「カレ・ド・ショコラ」は上質チョコレートブランドとしてWeb媒体や店頭での価値訴求に取り組みましたが、前年同期実績を下回りました。「ダース」は、12月12日「ダースの日」に合わせたプロモーションを展開しましたが、高価格帯商品の苦戦もあり前年同期実績を下回りました。「チョコボール」は発売55周年を記念したキャンペーンを実施し、前年同期実績を上回りました。食品カテゴリーでは、「森永甘酒」「森永ココア」ともに健康ブランドとして強化するべく、価値訴求や飲用機会の提案など引き続き需要獲得に取り組みましたが、前年同期実績を下回りました。なお、各カテゴリーにおいて上期に価格改定を実施しております。価格改定による販売数量への影響及びその後の回復状況は市場トレンド及び市場内でのポジションにより異なり、相対的にビスケット及びキャンディは順調な推移である一方、チョコレートは影響が残る状況にあります。これらの結果、菓子食品事業全体の売上高は541億円と前年同期実績に比べ6億7千5百万円(1.3%)増となりました。
損益は、増収効果及び価格改定による収益性改善に対し、原材料及びエネルギー価格の高騰の影響が大きく、営業利益は前年同期実績に比べ21億9千6百万円(69.3%)減益の9億7千2百万円となりました。
冷菓事業「ジャンボ」グループは、「チョコモナカジャンボ」の発売50周年限定商品と「バニラモナカジャンボ」の冬期限定商品の発売に合わせたプロモーションを展開しましたが、秋口における天候要因もあり、前年同期実績並みとなりました。通年発売3年目となる「板チョコアイス」は、Web動画やキャンペーンによる認知拡大に取り組んでおりますが、前年に売上高を大きく伸ばした反動もあり、前年同期実績を下回りました。「アイスボックス」は、喫食シーン訴求などのターゲット別のプロモーション展開により、最需要期の購入率拡大に加えて秋冬期の需要創出にも取り組むなど、好調に推移しました。なお、主力品について上期に価格改定を実施しております。これらの結果、冷菓事業全体の売上高は328億2千9百万円と前年同期実績に比べ6億5千5百万円(2.0%)減となりました。損益は、価格改定により収益性の改善に取り組みましたが、原材料及びエネルギー価格の高騰、減価償却費の増加により、営業利益は前年同期実績に比べ18億9千万円(35.4%)減益の34億4千9百万円となりました。
in事業「inゼリー」は、コロナ禍における生活スタイルの変化に対応し、間食や仕事・勉強中等の飲用シーンの他、体調不良時の栄養補給や健康維持ニーズなど、12月の価格改定後も引き続き幅広い需要を獲得し、好調に推移しました。「inバー」は、プロテイン摂取手段の多様化による競争環境の激化が続く中、商品ラインアップを見直し巻き返しを図っておりますが、前年同期実績を下回りました。これらの結果、in事業全体の売上高は251億5百万円と前年同期実績に比べ26億8千5百万円(12.0%)増となりました。損益は、原材料及びエネルギー価格の高騰や、戦略的な広告投資の影響もありましたが、売上高が好調に推移したことにより、営業利益は前年同期実績に比べ2億7千3百万円(4.4%)増益の64億1千3百万円となりました。
通販事業「おいしいコラーゲンドリンク」は、定期顧客数が堅調に推移し、売上高は前年同期実績を上回りました。通販事業の第2の柱候補の商品である「おいしい青汁」も、着実に定期顧客数を増やし、売上高を拡大しております。これらの結果、通販事業全体の売上高は77億2千7百万円と前年同期実績に比べ10億2千7百万円(15.3%)増となりました。損益は、定期顧客獲得に向けた積極的な広告投資や、原材料価格の高騰の影響もありましたが、売上高が好調に推移したことにより、営業利益は前年同期実績に比べ8千1百万円(19.9%)増益の4億9千万円となりました。
事業子会社㈱アントステラは、大手量販店の銘店コーナーの好調に加え、全国の直営店では量り売りフェアや詰め放題企画による話題喚起により販売が好調に推移し、売上高は前年同期実績を上回りました。森永市場開発㈱は、行動制限の緩和に伴いテーマパークにおける販売が好調に推移し、売上高は前年同期実績を大きく上回りました。これらの結果、事業子会社全体の売上高は55億5千4百万円と前年同期実績に比べ10億5千3百万円(23.4%)増となりました。営業利益は前年同期実績に比べ2億2千2百万円(178.1%)増益の3億4千6百万円となりました。
米国事業「HI-CHEW」は、全米各地における継続的な販売店率の拡大に加え、認知率及びブランドロイヤリティ向上を図るマーケティング活動も寄与して店頭回転の好調が続き、前年同期実績を上回りました。また、米国事業の第2の柱として本格的な取組みをスタートしたゼリー飲料「Chargel」は、ブランド認知向上に向け、スポーツイベントでのサンプリング活動、著名アスリートによるSNS発信などのPR活動を通じたターゲットとの接点拡大を積極的に進めております。これらの結果、米国事業全体の売上高は108億7千8百万円と前年同期実績に比べ33億2千5百万円(44.0%)増となりました。損益は、増収及び価格改定効果がありましたが、原材料価格や海上運賃の高騰、人件費の増加や「Chargel」への先行的な広告投資により、営業利益は前年同期実績に比べ4千5百万円(3.5%)減益の12億6千4百万円となりました。
中国・台湾・輸出等中国はロックダウンや猛暑の影響を受けましたが、9月以降は復調し「HI-CHEW」は前年同期実績を上回りました。台湾は「inゼリー」が好調に推移し、「HI-CHEW」も新商品発売や昨年の新型コロナウイルス感染症拡大による売上苦戦の反動により前年同期実績を上回りました。これらの結果、中国・台湾・輸出等全体の売上高は50億6千7百万円と前年同期実績に比べ7億7千3百万円(18.0%)増となりました。営業利益は前年同期実績に比べ1億4千8百万円(41.7%)増益の5億2百万円となりました。
これらの結果、<食料品製造>の売上高は1,412億7千6百万円と前年同期実績に比べ6.7%増となりました。セグメント利益は133億5千7百万円と前年同期実績に比べ35億1百万円の減益となりました。 <食料卸売>売上高は、46億1千4百万円と前年同期実績に比べ6.6%増となりました。セグメント利益は2億2百万円と前年同期実績に比べ4千9百万円の減益となりました。 <不動産及びサービス>売上高は、14億7千2百万円と前年同期実績に比べ0.5%増となりました。セグメント利益は6億6千6百万円と前年同期実績に比べ1千8百万円の減益となりました。 <その他>売上高5億6百万円、セグメント利益1億1千6百万円であります。
当第3四半期連結会計期間末における総資産の残高は2,206億7千万円となり、前連結会計年度末に比べ63億7千万円増加しております。主な要因は、現金及び預金が減少した一方で、受取手形及び売掛金や原材料及び貯蔵品、未収還付法人税等が増加したことなどによるものであります。 負債の残高は919億3千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ88億7百万円増加しております。主な要因は、未払法人税等が減少した一方で、支払手形及び買掛金や社債が増加したことなどによるものであります。 純資産の残高は1,287億3千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億3千7百万円減少しております。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上及び円安により為替換算調整勘定が増加した一方で、配当金の支払や自己株式の取得などにより減少したことによるものであります。 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.9ポイント減少し、57.8%となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期等を含む仮定に関する情報については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費は2,097百万円であります。セグメントごとの研究開発費は「食料品製造」が2,019百万円、報告セグメントに含まれない「その他」が77百万円であります。 当第3四半期連結累計期間は、「2021中期経営計画」に掲げる、2030年の目指す姿「中長期的な企業価値向上を果たす事業戦略を支える強固な経営基盤の構築」に向けての1stステージとして、「技術を基軸に、未来に向けて新たな顧客価値を創造する」という基本方針のもと、全社戦略・事業戦略と連動しながら、中長期視点での研究開発力の強化・共創による価値創出の加速に向けた取組みを継続しており、重要な変更はありません。