【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の我が国経済は、ウィズコロナの下、社会経済活動が回復に向かう中、企業収益にも緩やかな改善の動きがみられたが、不安定な国際情勢による物価高騰や急激な為替変動等の影響を受け、先行きが不透明な状況が続いた。建設業界においても、企業の設備投資に持ち直しの動きがみられる中、堅調な需要を追い風に、受注は好調を維持しているものの、競争の激化や資材価格の高騰等、未だ厳しさも残る状況となっている。
ア)経営成績
当社グループの完成工事高は、前連結会計年度に比べ423億3千7百万円増加し、6,091億3千2百万円(前期比7.5%増)となった。豊富な期首手持工事高と堅調な受注により、当社の完成工事高が増加し、国内子会社、海外子会社についても増加した。
完成工事総利益は、前連結会計年度に比べ18億7千7百万円増加し、990億2千5百万円(前期比1.9%増)となった。完成工事総利益率は低下したが、完成工事高が増加したことによる。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ15億3千5百万円増加し、615億9千5百万円(前期比2.6%増)となった。
営業利益は、前連結会計年度に比べ3億4千2百万円増加し、374億3千万円(前期比0.9%増)となった。
経常利益は、前連結会計年度に比べ2億6千6百万円増加し、402億4千3百万円(前期比0.7%増)となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ23億5千6百万円増加し、287億2千2百万円(前期比8.9%増)となった。
完成工事高及び各利益は、前連結会計年度を上回った。
イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末と比べ347億2千7百万円増加し、4,775億5千7百万円(前年度末比7.8%増)となった。受取手形・完成工事未収入金等が増加したことが主な要因である。
固定資産は、前連結会計年度末と比べ78億5千4百万円増加し、2,652億8千4百万円(前年度末比3.1%増)となった。有形固定資産は、242億7千9百万円増加し、1,238億4千3百万円となった。建設仮勘定の増加が主な要因である。無形固定資産は、3億3千1百万円減少し、78億1千4百万円となった。投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ160億9千3百万円減少し、1,336億2千7百万円となった。投資有価証券や長期預け金の減少が主な要因である。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ425億8千2百万円増加し、7,428億4千1百万円(前年度末比6.1%増)となった。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末と比べ221億4千5百万円増加し、1,818億6百万円(前年度末比13.9%増)となった。支払手形・工事未払金等や未成工事受入金の増加が主な要因である。
固定負債は、前連結会計年度末と比べ4億3千4百万円減少し、283億2千1百万円(前年度末比1.5%減)となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ217億1千1百万円増加し、2,101億2千7百万円(前年度末比11.5%増)となった。
(純資産)
株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加、株主配当による減少等の結果、前連結会計年度末と比べ205億1千1百万円増加し、4,884億3千1百万円となった。その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金の減少、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末と比べ4億7百万円増加し、434億6千5百万円となった。
また、非支配株主持分は8億1千6百万円となった。
これらの結果、純資産は、前連結会計年度末に比べ208億7千万円増加し、5,327億1千3百万円(前年度末比4.1%増)となった。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末より1.4ポイント下落し、71.6%となった。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上等により、301億5千3百万円のプラス(前期は329億5千2百万円のプラス)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得等により、273億9千3百万円のマイナス(前期は99億7千7百万円のマイナス)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、93億4千万円のマイナス(前期は82億5千4百万円のマイナス)となった。
以上の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より50億2千4百万円減少(前期は153億5千5百万円増加)し、1,794億7千7百万円となった。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業(建設事業)では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業(建設事業)においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐわない。
なお、当社グループにおける受注及び販売の実績の大部分を提出会社が占めているため、提出会社個別の状況を参考のため記載すると、次のとおりである。
設備工事業(建設事業)における受注工事高及び完成工事高の状況
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
期別
工事種別
前期繰越
工事高
(百万円)
当期受注
工事高
(百万円)
計
(百万円)
当期完成
工事高
(百万円)
次期繰越
工事高
(百万円)
第108期
(自
2021年4月1日
至
2022年3月31日)
配電工事
9,651
68,019
77,671
66,480
11,191
一般電気工事
286,401
326,958
613,360
309,292
304,067
情報通信工事
16,613
60,710
77,324
56,143
21,180
環境関連工事
29,184
43,965
73,150
36,136
37,013
電力その他工事
40,186
26,344
66,530
25,671
40,858
計
382,038
525,998
908,036
493,724
414,312
第109期
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
配電工事
11,191
73,485
84,676
70,375
14,301
一般電気工事
304,067
364,940
669,007
329,873
339,134
情報通信工事
21,180
55,747
76,928
53,003
23,924
環境関連工事
37,013
47,843
84,857
45,344
39,513
電力その他工事
40,858
16,304
57,163
25,636
31,526
計
414,312
558,320
972,633
524,233
448,400
(注)1
前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2
次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争並びに関西電力株式会社または関西電力送配電株式会社との配電関係工事請負契約によるものに大別される。
期別
特命
競争
請負契約
計
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
第108期
(自
2021年4月1日
至
2022年3月31日)
200,901
38.2
259,643
49.4
65,453
12.4
525,998
100.0
第109期
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
214,486
38.4
274,123
49.1
69,711
12.5
558,320
100.0
c.完成工事高
期別
得意先
完成工事高
(百万円)
(%)
第108期
(自
2021年4月1日
至
2022年3月31日)
関西電力株式会社(注)
74,825
15.1
官公庁
14,133
2.9
一般民間会社
404,764
82.0
計
493,724
100.0
第109期
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
関西電力株式会社(注)
78,492
15.0
官公庁
10,266
1.9
一般民間会社
435,473
83.1
計
524,233
100.0
(注)関西電力株式会社には関西電力送配電株式会社を含む。
また、第108期及び第109期の完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先は、関西電力株式会社である。
〇第108期完成工事のうち5億円以上の主なもの
注文者
工事名
工事場所
清水建設㈱
(仮称)北品川5丁目計画 新築電気設備工事
東京都
㈱大林組
箕面船場駅前地区まちづくり拠点施設整備運営事業に伴う電気設備工事
大阪府
鹿島建設㈱
京阪神OBPビル(DC8)新築に伴う電気設備工事
大阪府
前田建設工業㈱
天神ビジネスセンター新築電気設備工事
福岡県
関西電力送配電㈱
南尼崎線ケーブル取替に伴う西向島町地区管路新設工事
兵庫県
〇第109期完成工事のうち5億円以上の主なもの
注文者
工事名
工事場所
清水建設・東急建設共同企業体
(仮称)歌舞伎町一丁目地区開発計画新築電気設備工事
東京都
中部国際空港㈱
旅客ターミナルビル地区・貨物地区等防災設備更新工事
愛知県
㈱竹中工務店
梅田一丁目一番地計画に伴う電気設備工事
大阪府
㈱大林組
(仮称)梅田曽根崎計画新築電気設備工事
大阪府
東芝エネルギーシステムズ㈱
関谷4案件太陽光 自営線工事
栃木県
d.手持工事高(2023年3月31日現在)
得意先
手持工事高
(百万円)
(%)
関西電力株式会社
25,597
5.7
官公庁
23,953
5.3
一般民間会社
398,848
89.0
計
448,400
100.0
(注)関西電力株式会社には関西電力送配電株式会社を含む。
〇手持工事のうち5億円以上の主なもの
注文者
工事名
工事場所
完成予定年月
大成建設㈱
虎ノ門2丁目地区(再)特定業務代行施設建築物建設工事(電気設備工事)
東京都
2025年2月
鹿島建設㈱
渋谷駅桜丘口地区再開発(A街区)新築電気設備工事
東京都
2023年11月
法務省
大阪医療刑務所新営(電気設備)工事
大阪府
2024年3月
㈱大林組
うめきた2期区域開発事業のうち南街区賃貸棟建設に伴う建築工事
大阪府
2024年11月
関西電力送配電㈱
若狭幹線改良工事(第一期)2工区ならびに除却工事
滋賀県
2027年1月
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりである。競争環境の激化や資材価格の高騰・納期長期化など、さまざまな厳しい要素の中、しっかりとした業績を残すことができたと認識している。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2
事業の状況
1
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、「第2
事業の状況
2
事業等のリスク」に記載している各要因が、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があると認識している。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本政策の基本方針は、安定した財務基盤を堅持しつつ、資本の有効利用を踏まえ、事業基盤の整備・拡充等の持続的成長・発展に向けた投資を実施するとともに、積極的な事業展開を図り、更なる株主価値の維持・向上を目指すことである。また、株主還元については、「第4
提出会社の状況
3
配当政策」に記載のとおりである。
当社グループの資金需要のうち主なものは材料費、外注費等の施工に係る工事原価、販売費及び一般管理費等の営業経費である。また、投資を目的とした資金需要のうち主なものは設備投資等である。当連結会計年度の固定資産の取得による支出額は287億1千万円であり、その主なものは、新事業所に関する支出や、建物、工事用車両及び機械・工具の購入等であった。
今後の投資については、一定の財務基盤を堅持した上で、事業基盤の整備・拡充や、施設・設備・システム整備など教育インフラの拡充、業務効率化・生産性向上・労働環境改善などDXも見据えたデジタル化推進など、人財を軸とした成長投資を進める方針である。設備投資の計画は、「第3
設備の状況
3
設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、それ以外にも将来の持続的成長のための投資機会に対し機動的に対応していく。
株主還元については、当連結会計年度の年間配当金を1株当たり40円とし、連結配当性向は28.5%、配当金総額は81億9千2百万円となった。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを基本としている。当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは301億5千3百万円の資金増加となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は1,794億7千7百万円となった。この現金及び現金同等物は、主に普通預金、定期預金及び有価証券(譲渡性預金)であり、流動性及び安全性を確保している。
また、当連結会計年度末の株主資本は、4,884億3千1百万円となり、前連結会計年度末と比較し、205億1千1百万円増加した。自己資本比率については、前連結会計年度末より1.4ポイント下落し71.6%となった。
以上のような資金及び資本の状況から、現時点において当社グループは、円滑に事業活動する上で必要な資金の流動性及び財務の健全性を確保していると認識している。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、中期経営計画の2026年度成長visionである「連結7,000億円規模の経営」を目指し、事業活動を展開している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、当社の報告セグメントは設備工事業(建設事業)のみであり、当社グループにおける受注及び販売の実績の大部分を提出会社が占めているため、参考として、提出会社個別の事業の状況について記載する。
(個別の完成工事高)
完成工事高は、前期より305億8百万円増加し、5,242億3千3百万円(前期比6.2%増)となった。
得意先別は、関西電力㈱(関西電力送配電㈱を含む)が前期より36億6千7百万円増加し784億9千2百万円(前期比4.9%増)、関西電力グループが前期より36億8千9百万円減少し184億2千万円(前期比16.7%減)となり、一般得意先は前期より305億3千1百万円増加し4,273億1千9百万円(前期比7.7%増)となった。
工事種別は、配電工事が前期より38億9千5百万円増加し703億7千5百万円(前期比5.9%増)、一般電気工事が前期より205億8千1百万円増加し3,298億7千3百万円(前期比6.7%増)、情報通信工事が前期より31億3千9百万円減少し530億3百万円(前期比5.6%減)、環境関連工事が前期より92億7百万円増加し453億4千4百万円(前期比25.5%増)、電力その他工事が前期より微減の256億3千6百万円(前期比0.1%減)となった。配電工事の増加の主な要因は、関西電力送配電㈱の工事量が増加したこと、一般電気工事が増加した主な要因は、商業・娯楽施設や工場等が増加したこと、情報通信工事の減少の主な要因は、計装工事やFTTH関連工事等が減少したこと、環境関連工事の増加の主な要因は、商業・娯楽施設等が増加したことによる。電力その他工事は、地中送電線、発・変電所工事は増加したものの架空送電工事が減少し、微減となった。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
