【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況 当第1四半期累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症流行後の巣ごもり需要が終息したことから、米国、アジア諸国ではサービス分野のリバウンド需要に支えられ景気が回復しました。ユーロ圏では、インフレによる消費低迷を背景に景気は後退、中国でもゼロコロナ政策の解除による経済への好影響は低下しており、消費や投資は再び減速しつつあります。また、米欧ではインフレ圧力がなお強く、米国では6月の利上げが見送られたものの、ユーロ圏では利上げを決定するなど金融政策を巡る不確実性がなお残存しております。一方我が国経済においては、新型コロナの水際対策を4月に終了し、行動制限の撤廃により外食、旅行などのサービスを中心に個人消費が回復、また円安も背景にインバウンド需要が急回復しました。4月には日本銀行の新総裁体制のもと、これまでの金融緩和政策が継続され、円安進行と株高を促すこととなりましたが、物価上昇が依然として続く中、各企業はコスト上昇分を価格に転嫁し、賃上げの流れに乗ることができるか求められる状況です。当社が属するヘルスケア分野は、高齢化や健康・医療ニーズの多様化を背景に需要期待が高まっております。政府も成長戦略の一つと位置付けており、ヘルスケア産業の活性化は今後も引き続き見込まれております。バイオ業界では、がんゲノム医療時代の幕開けと言える話題として、2019年6月に患者のがん細胞の遺伝子変異を調べて、最適な薬を選ぶ「がんゲノム医療」の遺伝子検査システムに公的医療保険が適用になりました。対象になるのは、原発不明がん、標準治療を終えたがんや希少がんの患者で、これまでは限られた医療機関において、自費で高額の費用をかけ、わずかな可能性にかけて検査を受け、使える薬を探っていたものが、公的医療保険を利用して全国の医療機関で広く検査を受けられるようになりました。このような環境下において、当社は、経営方針を「開発力強化と事業化加速」と定め、既存の受託・研究事業の成長と、新しい診断事業におけるEGFRリキッド及び肺がん コンパクトパネルⓇといった製品を中心に、オンコロジー分野でのコンパニオン診断の事業化に取り組んでおります。現在、血液を用いて肺がんの遺伝子変異検査を行う、EGFRリキッドをコンパニオン診断として、2019年7月10日に厚生労働省へ承認申請を行い、2020年7月31日に薬事承認を取得し、2021年5月21日に未固定組織を対象とした検査を、同年8月1日には血漿を対象とした検査の保険算定が開始となりました。薬事試験・申請・承認プロセスにおける経験・ノウハウを活かし、オンコロジーを中心とした診断分野での検査開発をさらに加速してまいります。また、次の主力検査として、複数の肺がんドライバー遺伝子変異を、高感度かつ一括で検査可能な肺がん コンパクトパネルⓇを開発し、薬事試験を進めてきておりました。本製品は、2021年10月28日に薬事申請を行い、2022年11月16日に薬事承認を取得、2023年1月16日に保険適用の申請を行い、2023年2月13日より保険検査サービスを提供しています。当社は、肺がん コンパクトパネルⓇを肺癌治療薬の開発状況に合わせ継続的に製品改良を重ね、製薬企業・検査センターと連携による販売促進活動を通して、本検査を市場へ普及させることを最優先事項として取り組んでおります。また、2023年1月24日に三井化学株式会社と資本業務提携契約を締結したことにより、当社が有するDNA、RNAを中心とする遺伝子解析技術と三井化学株式会社が有するライフサイエンス関連技術とのシナジー効果で、より高精度・高品質な診断ツールの開発が可能になり今後の診断事業の加速化に繋がることが期待できます。これらの結果、当第1四半期の売上高は67百万円(前年同四半期比227.5%)となりました。利益面では、営業損失95百万円(前年同四半期営業損失107百万円)、経常損失95百万円(前年同四半期経常損失107百万円)、第1四半期純損失96百万円(前年同四半期四半期純損失108百万円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。2023年4月1日付で組織変更を実施し経営管理区分を変更したことに伴い、当第1四半期会計期間から、従来の「研究事業」セグメントを受託解析を事業とする「受託事業」と研究開発を事業とする「研究事業」に分割しております。また、報告セグメントごとの業績をより適正に反映させるため、一部の費用の配賦方法を見直し、報告セグメントの利益又は損失の算定方法の変更を行っております。なお、前第1四半期累計期間のセグメント情報については、変更後の名称及び算定方法により作成したものを記載しております。
①受託事業受託事業におきましては、主な事業として受託解析サービスを行っております。大学や公的研究機関、製薬会社等の企業を主要な顧客として、遺伝子関連解析の各種サービスを提供しております。主なサービスは、次世代シークエンス受託解析サービスとマイクロアレイ受託解析サービスがあります。両サービスのどちらも大学や公的研究機関、製薬会社等の企業に対し積極的な提案型営業を行い、きめ細やかなフォローを推進しております。また、各種受託解析の実績から顧客の目的に合わせた実験デザインの提案、データ解析及びサポートに力を入れるとともに、顧客ニーズに合わせた新規サービスメニューの拡充を図っております。また、核酸の抽出は遺伝子検査の非常に重要な最初のステップであり、当社の長年の研究開発の経験を元に、非常にクオリティの良い核酸抽出サービスを展開しています。
特に国の施策としても注目されている次世代シークエンスを活用した、「がんゲノム解析」や「遺伝子パネル解析」「網羅的な遺伝子解析」「マイクロRNA解析」を行う受託サービスにも注力しております。さらに「デジタルPCR受託サービス」等、多様化する研究ニーズに合わせた遺伝子解析メニューを展開しております。いずれのサービスにつきましても、他社との差別化を意識し、多様化するユーザーの各種ニーズに応えることができる体制の構築と、クオリティの高いサービス内容をお客様に提供すべく取り組んでおります。 当第1四半期累計期間の受託事業は、次世代シークエンス及びマイクロアレイ受託解析サービスの民間企業を中心とした大型案件の受注を獲得することができ、売上高は42百万円(前年同期比154.5%)、セグメント利益は508千円(前年同四半期セグメント損失は8百万円)となりました。
②研究事業研究事業におきましては、EGFRリキッドの技術をさらに改良した、NOIR-SS技術(分子バーコード技術を用いて高感度かつ正確な分子数測定が可能となる超低頻度変異DNAの検出技術)の研究開発に取り組んでおります。これは、複数の遺伝子を、高い精度で変異検査ができる技術です。この技術の活用範囲として、リキッドバイオプシー(内視鏡や針を使って腫瘍組織を採取する方法に代えて、血液などの体液サンプルを使用する方法)による低侵襲的遺伝子検査、クリニカルシークエンスによる個別化医療、血液からのがん再発の早期発見、免疫チェックポイント阻害剤の効果判定などが期待されております。 肺がん コンパクトパネルⓇで培ったパネル開発・薬事戦略・プログラム医療機器システム構築のノウハウを他癌種のコンパニオンパネル検査へ応用する開発も進めております。肺癌以外でも、複数の薬剤が上市されることで一括パネル検査の需要が高まっている癌種も増えてきており、国内の診療ニーズにマッチしたパネル製品の開発を目指しております。これらの研究は、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学及び地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター及び学校法人聖マリアンナ医科大学など、国内のがん関連の研究機関・病院と共同で開発を進めております。 また、大学・研究機関との共同研究等により、将来の診断・創薬に役立つ遺伝子の働きを検査する新しい方法を開発しております。その方法は、“RNAチェック”(遺伝子発現検査)と呼び、遺伝子の「変異」を調べるDNA検査(遺伝子検査)とは別の検査方法で、遺伝子の種類と量を調べる検査です。その検査対象は、人、動物、植物、微生物、細菌(ウィルス)など生物の血液・組織等の検体であり、現在、このRNAチェックに基づいた次の研究開発を進めております。主なものとしましては、学校法人慶應義塾大学、学校法人埼玉医科大学及び学校法人北里大学との共同による抗リウマチ薬の効果予測についての研究や、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターとの共同によるうつ病の早期発見を目的としたバイオマーカー研究などを進めております。これらの共同研究を通して、将来の診断・創薬に役立つRNAチェック技術の実用化に向けた研究を進めております。 他企業との研究開発にも力を入れており、2023年1月24日に三井化学株式会社と資本業務提携契約を締結したことにより、当社が有するDNA、RNAを中心とする遺伝子解析技術と、三井化学株式会社が有するライフサイエンス関連技術を融合することにより高精度、高品質な診断ツールの開発を行うことが可能となり、今後の診断事業を加速化するうえで、より低コストで高性能なサービスを提供することが可能になると考えられます。 さらに、当社は、三井化学株式会社が有する海外ネットワークを活用することが可能となると考えており、新たな市場へ進出できるなどのメリットが生じ、日本発の遺伝子解析サービスを市場規模の大きい米国、欧州、アジア圏へ展開することが可能になると考えております。当社の遺伝子解析技術と三井化学株式会社のライフサイエンス関連技術を有効に活用することによって、ライフサイエンス・ヘルスケア分野において、新しい検査・診断領域での事業創出を目指します。研究事業では長年培ってきた研究でのノウハウを活かし、現在上記の研究開発活動を行うとともに顧客のニーズに応じたバイオ分野での研究受託を受託事業として提案し、売り上げへの貢献も果たしております。当第1四半期累計期間の研究事業は、売上高は980千円(前年同期比-%)、セグメント損失は12百万円(前年同四半期セグメント損失は12百万円)となりました。
③診断事業診断事業におきましては、血液を用いて肺がんの遺伝子変異を検査する、EGFRリキッド及び肺がんの分子標的薬の適用となる遺伝子異常を一括検査可能な肺がん コンパクトパネルⓇの市場への普及を当社の最優先事項として取り組んでおります。EGFRリキッドは、2020年7月31日に薬事承認を取得し、2021年5月21日に未固定組織を対象とした検査を、同年8月1日には血漿を対象とした検査の保険算定が開始となりました。この検査は、低侵襲的な血液遺伝子検査により、血中に微量に存在する血中腫瘍DNA上のEGFR変異を次世代シークエンス法により高感度に検出するリキッドバイオプシー検査です。肺がん組織の生検(気管支鏡検査、CTガイド下生検)は、侵襲性が高く患者さんへの負担も大きいことから、リキッドバイオプシー検査への期待が高まっています。また、EGFRリキッドに続いて、肺がん組織検査に特化した高感度な一括遺伝子検査パネル(肺がん コンパクトパネルⓇ)を開発し、2021年10月28日に薬事申請を行い、2022年11月16日に薬事承認を取得しました。肺がん コンパクトパネルⓇは、EGFR・ALK・ROS1・BRAF・MET・KRASの薬剤適用の対象となっている遺伝子変異に加え、近い将来分子標的治療薬の上市が見込まれているHER2などのターゲット遺伝子の変異を検出します。初回の申請ではまず、EGFR・ALK・ROS1・METの4つの遺伝子変異に対応する分子標的治療薬のコンパニオン診断システムとして薬事申請を行い、薬事承認を得ました。また、2022年12月16日にBRAF(V600E)、RET融合遺伝子及びKRAS遺伝子(G12C)への適用を追加申請したことで、今後のコンパニオン診断対象を拡大していく予定です。本製品は、2023年2月13日より4遺伝子CDxバージョンとして検査サービスを提供しております。生検組織で十分な腫瘍細胞が採取できず、細胞診しか得られなかったケースや、腫瘍割合が低かった場合などの症例で、他のパネル検査では適用が難しい症例などを中心に、順調に全国医療機関からの検査の出検が増えてきている状況です。追加3遺伝子CDxが承認されれば、直ちに保険適用申請を実施し、7遺伝子CDxの検査をスタートする予定です。現在、多くの導入医療施設が、7遺伝子CDx検査スタート時点で本格導入を検討している状況であることから、追加申請分の薬事承認後には、大幅な出検数の増加を見込めると想定しております。本手法は、高感度であることから細胞診(液性)を対象とした解析も可能であり、学校法人聖マリアンナ医科大学との共同研究でその有用性を示してきました。現在、多施設での評価を目的としたcPANEL多機関共同研究(学校法人聖マリアンナ医科大学及び地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンターを主幹施設とした全国から7施設)を実施しており、細胞診を対象とした肺がん コンパクトパネルⓇの有用性評価と検体採取の標準化を進めています。2022年9月30日までに集積した検体を対象に中間解析評価を実施しており、2022年12月の肺癌学会学術集会および2023年6月29日の呼吸器内視鏡学会にて成果を発表し、多機関の検証においても高い成功率が示されました。本多機関共同試験の症例エントリー及び検体集積は順調に進行し、2023年3月に最終目標症例数に到達し、現在学校法人聖マリアンナ医科大学でデータ解析が実施されております。本成果は2023年度の学術集会にて成果が公表される予定です。 2022年10月3日より臨床検査サービスの強化の一環として神奈川県川崎市に新ラボラトリーを開設し、肺がんコンパクトパネルを中心とした臨床検査を全国から検体を収集し、一括集約型Laboratory Developed Test(LDT)ラボとして検査サービスを提供しております。各種自動化及びシステム化による検体・情報管理システムLaboratory Information Management System(LIMS)を導入し、効率的でトレース可能かつ頑健な臨床検査システムを構築し、日々改良を続けております。全国から集積された臨床検体を対象とした、高精度変異検出結果から、多くの貴重な情報が得られるため、将来的な検査精度の向上のため、活用し易くかつトレーサブルなデータ蓄積のためのデータベースプラットフォームを構築しております。今後、学会のデータベース構築プロジェクトへの働きかけを並行して行い、公共の健康増進につながる効率的なパネルデータ利活用、将来的な治療開発に資するプロジェクトへの参画をも視野に入れ、検討と開発を重ねております。また、希少変異検出の技術を発展させたNOIR-SS技術(分子バーコード技術を用いて高感度かつ正確な分子数測定が可能となる超低頻度変異DNAの検出技術)により、高感度に複数遺伝子を一括解析可能なリキッドバイオプシー検査サービスを研究用検査として提供しております。希少変異検出の独自特許技術及び薬事試験を通して培ったノウハウ、プログラム医療機器検査システムの構築ノウハウ、クリニカルシークエンスグレードでの精度管理・レポートシステムを活用し、リキッドバイオプシー分野・免疫プロファイル/バイオマーカー開発・抗体医薬開発分野での研究推進・医療現場での遺伝子解析の普及促進に貢献してまいります。また、大規模な解析結果から有益な情報を効率的に導き出すビッグデータ解析、AI技術開発も進めており、次世代型診断技術開発への応用やシーズ探索の効率化、検査系システムの頑健化・効率化に繋げていきます。 当第1四半期累計期間の診断事業は、想定の2倍程度のコンパクトパネル検査受託があり、売上高は23百万円(前年同期比1,118.9%)、セグメント損失は35百万円(前年同四半期セグメント損失は43百万円)となりました。
当第1四半期会計期間末における財政状態につきましては、総資産が761百万円となり、前事業年度末に比べ109百万円減少しております。主な要因は次のとおりです。
(流動資産)当第1四半期会計期間末における流動資産の残高は425百万円で、前事業年度末に比べ99百万円減少しております。主な要因は現金及び預金が8百万円増加、受取手形及び売掛金が100百万円減少したことなどによります。
(固定資産)当第1四半期会計期間末における固定資産の残高は335百万円で、前事業年度末に比べ10百万円減少しました。主な要因は、有形固定資産のうち減価償却による減少2百万円、無形固定資産のうち薬事申請によるソフトウエア仮勘定の増加2百万円、ソフトウエアの減価償却による減少7百万円、投資その他の資産のうち長期前払費用の減少2百万円などによるものです。
(流動負債)当第1四半期会計期間末における流動負債の残高は107百万円で、前事業年度末に比べ13百万円減少しております。主な要因は買掛金の減少10百万円、賞与引当金の減少8百万円、未払金の増加2百万円などによるものです。
(固定負債)当第1四半期会計期間末における固定負債の残高は39百万円で、前事業年度末に比べ微増であります。
(純資産)当第1四半期会計期間末における純資産の残高は614百万円で、前事業年度末に比べ96百万円減少しております。 これは、四半期純損失による利益剰余金96百万円の減少によるものです。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動
当第1四半期累計期間の研究開発費の総額は、15百万円であります。
なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 従業員数
当第1四半期累計期間において、従業員数の重要な変動はありません。
(5) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期累計期間における生産、受注及び販売の実績は、ほぼ予定通りとなっており、著しい変動はありません。
(6) 主要な設備
当第1四半期累計期間において、主要な設備に重要な変動はありません。
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