【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の当社グループを取り巻く環境は、原材料・エネルギー価格の高止まりなど世界的なインフレ、サプライチェーンの混乱、金融政策の引き締めによる景気後退の懸念、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする地政学的リスク等、先行き不透明な状況が継続しております。
このような外部環境のもと、自動化や電動化が進む自動車市場ではCASE関連向けに継続的な需要があるものの、半導体・電子部品向けの需要は在庫調整や設備投資を抑制する動きも見られ、国内・海外市場ともに調整局面が継続し、低調に推移しています。
当社グループは、「創造」「実行」「苦労・克服」の精神のもと、お客様へ最高の価値を提供し、「未来を創る」企業としてものづくりを通して社会の持続的な発展に貢献すべく取り組んでいます。自動車や通信分野をはじめとした技術革新、省人化ニーズの高まり、カーボンニュートラル・持続可能な開発目標(SDGs)の促進を背景に、ものづくりの現場においても、更なる高精度化、高速化、自動化はもとより、操作性の向上、電力使用量や廃棄物の削減、工程集約、DX化の推進等が求められています。これらの「進化するものづくりへの貢献」を重要な経営課題と捉え、新製品開発の促進、トータルソリューションの展開、アフターサービスの充実、DXを活用した付加価値の提供等、事業の拡大とサステナビリティの取り組みを一体で推進しています。
営業・サービス活動におきましては、世界四大工作機械見本市の一つである中国国際工作機械展覧会「CIMT 2023」やアジア最大規模のプラスチックやゴムに関する展示会「Chinaplas 2023」、食品等の製造加工・包装に関するアジア最大級の国際展示会「ProPak Asia 2023」等の多数の展示会に積極的に出展し、ソディックブランドの浸透と拡販に努めました。
また、今後さらなる成長が見込める中南米での積極的な事業展開、拡販を目的に、メキシコに販売会社を設立し、7月より本格的に事業展開を開始しました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高334億79百万円(前年同四半期比14.8%減)、営業損失3億90百万円(前年同四半期は営業利益34億79百万円)、経常利益8億41百万円(前年同四半期比85.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失1億3百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益41億21百万円)となりました。
セグメントの経営成績は以下のとおりであります。
工作機械事業
売上高
24,201百万円
(前年同期比
14.3%減
)
営業利益
1,457百万円
(前年同期比
2,481百万円減
)
CASE関連向けの需要が引き続き堅調であるほか、欧米において航空宇宙関連向けの需要が回復基調であるものの、依然として日本、中華圏、アジアにおいて半導体・電子部品向けの需要は低調であり、売上高は前年同期比で減少となりました。
セグメント利益においては生産調整に伴う工場の収益性低下や人件費の増加等により前年同期比で大幅に減少しました。
一方でものづくりの高度化は今後も継続するとみられ、高速・高精度加工のニーズが高まるほか、操作性向上、省エネ対応、長時間の安定加工や加工物の大型化・複雑化等も重要な機会と認識しています。高精度な加工が求められる地域と顧客を視野に、強みのある放電加工機の一層の拡販と同時に、中長期的に大きな成長が期待できる金属3Dプリンタ、精密マシニングセンタについても、技術開発の推進や販売体制の強化により、高付加価値加工ニーズを取り込んでいきます。また、自動車業界、半導体業界、ディスプレイ業界、建材業界などを大きく変革する技術として有望視されているレーザー加工機について8月に準備室を立上げ、開発等を進めてまいります。
産業機械事業
売上高
4,418百万円
(前年同期比
15.8%減
)
営業利益
5百万円
(前年同期比
538百万円減
)
日本においてCASE関連向けの需要が堅調に推移した一方で、スマートフォン及び電子部品の需要減少により、売上高は前年同期比で減少となりました。半導体・電子部品向けの市況軟化に伴う顧客の在庫調整や投資先送りの影響等を受け、産業機械業界の調整局面は継続するものと想定され、厳しい事業環境が見込まれます。
一方で長期的には、中華圏、アジア地域において、ものづくりの高精度化が進展し、当社が得意とする超高精度の射出成形機の需要が高まることが予測されます。また、電力使用量や成形に伴う廃棄物の削減ニーズについても重要な機会と認識し、同事業を展開しています。
食品機械事業
売上高
2,448百万円
(前年同期比
4.4%増
)
営業利益
97百万円
(前年同期比
94百万円増
)
国内外における製麺機関連設備や海外向けの無菌包装米飯製造装置等の需要が堅調に推移しており、売上高は前年同期比で増加しました。
中華圏、アジアを中心とした海外市場にて食の高品質化やインフラの整備等で生麺や米飯の需要が高まることが期待されます。当社は海外営業部門を新設し、東アジア・東南アジア・アメリカを中心に事業展開をしていきます。
また、製麺機と米飯製造システムの生産体制強化に向け、2023年1月より中国厦門工場内に食品機械新工場が稼働開始。同年11月には加賀事業所内に食品機械新工場が完成予定で、新技術の開発やコストダウン等を図るなど競争力をさらに強化してまいります。
今後も、これまで実績のある米飯・製麺設備はもとより、別分野の市場への進出も視野に入れて営業活動を展開するほか、強みであるメンテナンスサービスをより一層強化することで事業拡大を図ってまいります。
その他
売上高
2,411百万円
(前年同期比
30.8%減
)
営業利益
△291百万円
(前年同期比
568百万円減
)
精密コネクタなどの受託生産を行う金型成形事業、リニアモータやセラミックス部材の販売等を行う要素技術事業 から構成されています。金型成形事業においては自動車関連向けの需要が低調であることに加えて、セラミックスの外販についても、半導体市場において在庫調整が継続するなど需要が弱含んでおり、売上高は前年同期比で減少しました。
(2)財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末と比較して、7億11百万円増加し、1,391億44百万円となりました。主な増加要因としては、建物及び構築物の増加23億98百万円、機械装置及び運搬具の増加15億31百万円、商品及び製品の増加11億9百万円などがあげられますが、減価償却累計額の増加25億81百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少22億60百万円などにより一部相殺されております。
また、負債は前連結会計年度末と比較して、5億53百万円減少し、568億85百万円となりました。主な減少要因としては、電子記録債務の減少12億35百万円、支払手形及び買掛金の減少9億77百万円などがあげられますが、長期借入金の増加16億99百万円などにより一部相殺されております。
純資産は前連結会計年度末と比較して、12億65百万円増加し、822億59百万円となりました。主な増加要因としては、為替換算調整勘定の増加30億74百万円、自己株式の減少7億30百万円などがあげられますが、利益剰余金の減少28億9百万円などにより一部相殺されております。
以上の結果、自己資本比率は、59.1%(前連結会計年度末比0.6ポイント増)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、以下のキャッシュ・フローの増減により、前連結会計年度末に比べ1億43百万円増加し、当連結会計年度末の残高は333億2百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、5億39百万円(前年同四半期は15億23百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の減少24億2百万円、減価償却費18億15百万円等の要因によるもので、仕入債務の減少23億27百万円等で一部相殺されております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、15億21百万円(前年同四半期は77億5百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出14億6百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2億17百万円(前年同四半期は17億95百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出49億32百万円、自己株式の取得による支出12億1百万円、配当金の支払額7億31百万円等によるものですが、長期借入れによる収入65億1百万円等で一部相殺されております。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、17億6百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては内外の市場動向が挙げられます。欧州や東アジアでの地政学リスク、欧米の一部金融機関の破綻をきっかけとした金融不安が懸念されるものの、グローバルにものづくりが発展していく中で、設備投資需要は継続的に拡大していくものと見ています。その中でも、当社の主要な仕向け先である自動車産業における軽量化への対応、電装化、次世代自動車へのシフトに加え、スマートフォンの高機能化の動きもあり、高精度機のニーズはさらに高まっていくことが予想されます。
こうした中、工作機械事業及び産業機械事業におきましては、日本・欧米などの成熟市場と中国市場、東南アジアをはじめとする新興国市場それぞれに応じた事業展開を推進しております。成熟市場においては、競争力のある製品を投入しシェアアップを図るとともに、既存の納入機のユーザーへの継続的な技術指導や保守メンテナンスを通じて、更新需要の取り込みや周辺機器及び消耗品の販売強化を図ってまいります。中国市場及び新興国市場においては、市場のニーズを反映した低価格機種の開発、販売を強化するとともに、拠点整備などを推進し、収益力の確保を図っております。当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、特定の業種や地域の需要環境に依存しない、安定した収益構造を目指してまいります。
また、次世代のものづくりを担う金属3Dプリンタを新たな成長ドライバーに事業の拡大を図っております。金属3Dプリンタにおいて、加工速度・加工精度の向上、製品ラインナップの拡充、対応する金属粉の種類の充実、残留応力の抑制により大型金型部品の安定造形を可能とする「SRT工法」の開発など、研究開発に力を入れ販売を強化しています。さらに、新たに開発した金属3Dプリンタ「LPM325S」は、従来の鉄系・ステンレス系の粉末に加え、アルミニウムやチタン粉末による造形も可能となったほか、独自開発の粉末自動供給、自動回収、自動ふるい用のユニットを標準装備したことにより、粉末交換作業の簡易化を実現し、生産性の向上に貢献するなど、従来のOPMシリーズに加え、金型だけでなく部品加工の分野まで裾野を広げることでさらなる需要の創造、拡大を目指してまいります。さらに、ものづくりのすべての工程が当社グループの技術のみで完結できるワンストップソリューションの強みを活かし、「プラスチック成形革命」をキーワードに、金型製造リードタイムの短縮や生産コストの削減に加えて、金属3Dプリンタで製造した金型専用の射出成形機「MR30」を活用して成形サイクルの短縮を実現してまいります。
産業機械事業においては、海外売上高比率の向上を図るため、マーケットニーズの高い全電動射出成形機「MSシリーズ」のラインナップを拡充し、新興国などのボリュームゾーンでの販売拡大を図ってまいります。
さらに、景気動向に左右されにくい事業ポートフォリオ構築を目指し食品機械事業にも注力してまいります。国内市場では、調理麺の品質向上を目的とした設備の導入、海外市場においては膨大な人口と豊かな食文化をもつ中国の存在、日本食ブームの高まりなど、食品機械事業の成長性は非常に高いと言えます。加えて製麺機の技術を応用して、製菓業界や包装惣菜業界など製麺業界以外への展開や包装米飯製造装置の国内外での販売先の拡大を進めております。今後は放電加工機と同様、食品機械業界のリーディングカンパニーとなることを目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。
当社グループは従来から放電加工機等をネットワークに接続し活用するアプリケーションソフトウエアを提供してまいりましたが、近年のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)やインダストリー4.0(ドイツ政府が推進する製造業の高度化・デジタル化)などの動きを踏まえ様々な取り組みを推進しています。当社では、金属3Dプリンタで造形した金型専用の射出成形機「MR30」を用いた金型の自動交換システム「ICF-V」を開発し、射出成形のIoTを具現化したスマートファクトリーを提案しています。成形機への金型の装着から材料乾燥・供給、成形品の製造、金型交換までを完全無人化・自動化できるシステムであり、ネットワークに接続された機械の各情報を活用し、監視、保守、制御、分析することで、工程の見える化を実現できます。今後もさらなる生産性向上、生産自動化など、様々な取り組みを強化してまいります。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループのメイン事業である工作機械及び産業機械事業の業績は、製造業の設備投資動向に依るところが大きく、景気変動の影響を強く受けます。これに対し、当社グループでは、景気による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術事業で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図ってまいります。さらに、研究開発の成果等によって新しい事業を興し、リスク分散を図り、安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。また、足元では地政学リスクを契機としたサプライチェーンの再編や一部製品等の自国への生産回帰等の構造的な変化が進んでいるため、当社グループとしては状況の変化に臨機応変に対応しつつ、グローバルな生産地移管のニーズを的確に捉えた取り組みを着実に行ってまいります。
近年、地震のような自然災害、火災、大規模なシステム障害などにより事業継続が困難になる事象も発生しております。当社グループでは、そのような危機に直面した場合でも、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画を策定し運用しています。生産能力の分散化を図るなど災害に強い生産体制の再検討・再構築を図ってまいります。また、地球温暖化など急激な環境変化を背景に、持続可能な社会に貢献する事業活動の重要性が高まっております。当社グループは、気候変動や脱炭素への対応は重要な経営課題であると認識しており、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減の取組みにも積極的に関与し、地球環境に配慮したものづくりを通してサステナブルな社会に寄与する事業展開を強化するため、専任部門であるEFM室を発足し、TCFD提言への対応、カーボンニュートラルへの取組、GHG排出量の新たな目標設定と具体的計画を策定し、その取組状況について社内外への情報発信に努めてまいります。
(9) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。