【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、経済活動の正常化が進み、景気の持ち直しの動きがみられた一方で、半導体などの世界的な部材不足、原油・エネルギー価格の高騰、急激な為替変動、さらにウクライナ情勢の悪化をはじめとする地政学的リスクなどによる景気減速に対する警戒感が強まっています。
このような事業環境の中、当社グループは、長期経営計画「Next Stage 2026 ~Toward Further Growth~」を掲げ、「創造」「実行」「苦労・克服」という創業精神を基盤に豊かな未来につながる技術を磨き、ものづくりを通して持続可能な社会の実現にチャレンジしています。
製品開発におきましては、工作機械事業において金属3Dプリンタ用に、粉末材料交換作業の負荷を軽減し、簡便かつ低コストで様々な金属粉末の試験造形を可能とする試験造形対応ユニット「Material Trial Unit A/B」並びに造形中の変形や割れの不具合を防止する当社独自技術SRT(Stress Relief Technology)法に対応した、大型ダイカスト金型等の造形を安価で実現する粉末材料「SVM(Sodick Versatile steel for Mold)」を開発し、販売を開始しました。引き続き性能面は元より利便性やサステナビリティを意識した新製品の開発を進めてまいります。
営業・サービス活動におきましては、新型コロナウイルス感染防止策を十分に施した上で「INTERMOLD2022大阪」、「MEX 金沢2022」及び「FOOMA JAPAN2022」に出展し、ソディックブランドの浸透と拡販に努めました。今後もコロナ禍の状況を考慮しつつ、リアルでの展示会にも出展を増やすほか、Web展示会の更なるコンテンツの追加等のITを活用した活動の強化に努めてまいります。
このような状況のもと、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高393億17百万円(前年同四半期比13.9%増)、営業利益34億79百万円(前年同四半期比28.2%増)、経常利益59億58百万円(前年同四半期比57.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益41億21百万円(前年同四半期比55.6%増)となりました。
セグメントの経営成績は以下のとおりであります。
工作機械事業
売上高
28,245百万円
(前年同期比
17.0%増
)
営業利益
3,938百万円
(前年同期比
782百万円増
)
半導体不足等の影響により自動車関連は低調な一方で、電子部品、半導体関連、次世代自動車向けの需要の拡大が継続した結果、売上高は前年同期比で増加しました。足元での受注は堅調に推移しているものの、中国でのロックダウンの影響により一部で出荷に遅れが生じました。
セグメント利益においては販売台数の増加に伴う工場稼働率の向上等により前年同期比で増加しました。
産業機械事業
売上高
5,244百万円
(前年同期比
13.3%増
)
営業利益
544百万円
(前年同期比
366百万円増
)
国内ではCASE関連の車載部品を始めとした自動車関連・電子部品・医療関係向けを中心とした底堅い需要に加え、海外ではアジアにおけるコネクタ向けの大口案件や米国での医療関係が堅調に推移した結果、売上高は前年同期比で増加しました。
食品機械事業
売上高
2,344百万円
(前年同期比
7.0%減
)
営業利益
3百万円
(前年同期比
202百万円減
)
各種製麺機、麺製造プラント、無菌包装米飯製造装置などの開発・製造・販売、その保守サービスを行っています。国内向けの製麺機関連設備や海外向けの無菌包装米飯製造装置等の需要は堅調であるものの、中国でのロックダウンの影響で複数の案件において受注時期が下期以降へずれたことにより、売上高は前年同期比で減少しました。
その他
売上高
3,482百万円
(前年同期比
8.5%増
)
営業利益
277百万円
(前年同期比
149百万円減
)
精密コネクタなどの受託生産を行う金型成形事業、リニアモータやセラミックス部材の販売等を行う要素技術事業から構成されています。金型成形事業、要素技術ともに売上高は前年同期比で増加したものの、足元では部材不足に起因する自動車の減産等の影響継続も想定されます。
(2)財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末と比較して、102億15百万円増加し、1,450億82百万円となりました。主な増加要因としては、原材料及び貯蔵品の増加27億42百万円、商品及び製品の増加26億58百万円、長期預金の増加46億87百万円などがあげられます。
また、負債は前連結会計年度末と比較して、16億52百万円増加し、620億80百万円となりました。主な増加要因としては、契約負債の増加61億81百万円などがあげられますが、前受金を含むその他の流動負債の減少48億60百万円などにより一部相殺されております。
純資産は前連結会計年度末と比較して、85億63百万円増加し、830億1百万円となりました。主な増加要因としては、為替換算調整勘定の増加60億18百万円、利益剰余金の増加22億69百万円などがあげられます。
以上の結果、自己資本比率は、57.2%(前連結会計年度末比2.0%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、以下のキャッシュ・フローの増減により、前連結会計年度末に比べ45億73百万円減少し、当連結会計年度末の残高は396億55百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、15億23百万円(前年同四半期は64億3百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益57億90百万円、契約負債の増加79億5百万円等の要因によるもので、前受金の減少48億19百万円、棚卸資産の増加34億27百万円等で一部相殺されております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、77億5百万円(前年同四半期は7億28百万円の使用)となりました。これは主に定期預金の預入による支出56億4百万円、有形固定資産の取得による支出16億26百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、17億95百万円(前年同四半期は16億79百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出33億51百万円、配当金の支払額7億2百万円等によるものですが、長期借入れによる収入34億円等で一部相殺されております。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、14億59百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては内外の市場動向が挙げられます。ウクライナ情勢や各国の対ロシア経済制裁、東アジアでの地政学リスク、急激な円安の進行による為替変動リスクのほか、新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの混乱が懸念されるものの、グローバルにものづくりが発展していく中で、設備投資需要は継続的に拡大していくものと見ています。その中でも、当社の主要な仕向け先である自動車産業における軽量化への対応、電装化、次世代自動車へのシフトに加え、スマートフォンの高機能化の動きもあり、高精度機のニーズはさらに高まっていくことが予想されます。
足元では新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の制限や景気の減速による先行きの不透明感が極めて強い状況であることに加え、収束後には世界的なサプライチェーンの見直し、IoT・5G等のITを駆使したリモート環境活用の加速、保護主義的な自国への生産回帰等の構造的な変化が進むことも考えられ、当社グループとしては状況の変化に臨機応変に対応しつつ、収束後を見据えた取り組みを着実に行ってまいります。
こうした中、工作機械事業及び産業機械事業におきましては、日本・欧米などの成熟市場と中国市場、東南アジアをはじめとする新興国市場それぞれに応じた事業展開を推進しております。成熟市場においては、競争力のある製品を投入しシェアアップを図るとともに、既存の納入機のユーザーへの継続的な技術指導や保守メンテナンスを通じて、更新需要の取り込みや周辺機器及び消耗品の販売強化を図ってまいります。中国市場及び新興国市場においては、市場のニーズを反映した低価格機種の開発、販売を強化するとともに、拠点整備などを推進し、収益力の確保を図っております。当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、特定の業種や地域の需要環境に依存しない、安定した収益構造を目指してまいります。
また、次世代のものづくりを担う金属3Dプリンタを新たな成長ドライバーに事業の拡大を図っております。金属3Dプリンタにおいて、加工速度・加工精度の向上、製品ラインナップの拡充、対応する金属粉の種類の充実、残留応力の抑制により大型金型部品の安定造形を可能とする「SRT工法」の開発など、研究開発に力を入れ販売を強化しています。さらに、新たに開発した金属3Dプリンタ「LPM325S」は、従来の鉄系・ステンレス系の粉末に加え、アルミニウムやチタン粉末による造形も可能となったほか、独自開発の粉末自動供給、自動回収、自動ふるい用のユニットを標準装備したことにより、粉末交換作業の簡易化を実現し、生産性の向上に貢献するなど、従来のOPMシリーズに加え、金型だけでなく部品加工の分野まで裾野を広げることでさらなる需要の拡大を目指してまいります。さらに、ものづくりのすべての工程が当社グループの技術のみで完結できるワンストップソリューションの強みを活かし、「プラスチック成形革命」をキーワードに、金型製造リードタイムの短縮や生産コストの削減に加えて、金属3Dプリンタで製造した金型専用の射出成形機「MR30」を活用して成形サイクルの短縮を実現してまいります。
産業機械事業においては、海外売上高比率の向上を図るため、マーケットニーズの高い全電動射出成形機「MSシリーズ」のラインナップを拡充し、新興国などのボリュームゾーンでの販売拡大を図ってまいります。
さらに、景気動向に左右されにくい事業ポートフォリオ構築を目指し食品機械事業にも注力してまいります。国内市場では、調理麺の品質向上を目的とした設備の導入、海外市場においては膨大な人口と豊かな食文化をもつ中国の存在、日本食ブームの高まりなど、食品機械事業の成長性は非常に高いと言えます。加えて製麺機の技術を応用して、製菓業界や惣菜業界など製麺業界以外への展開や包装米飯製造装置の国内外での販売先の拡大を進めております。今後は放電加工機と同様、食品機械業界のリーディングカンパニーとなることを目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。
当社グループは従来から放電加工機等をネットワークに接続し活用するアプリケーションソフトウエアを提供してまいりましたが、近年のDXなどの動きを踏まえ様々な取り組みを推進しています。当社では、金属3Dプリンタで造形した金型専用の射出成形機「MR30」を用いた金型の自動交換システム「ICF-V」を開発し、射出成形のIoTを具現化したスマートファクトリーを提案しています。成形機への金型の装着から材料乾燥・供給、成形品の製造、金型交換までを完全無人化・自動化できるシステムであり、ネットワークに接続された機械の各情報を活用し、監視、保守、制御、分析することで、工程の見える化を実現できます。今後もさらなる生産性向上、生産自動化など、様々な取り組みを強化してまいります。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループのメイン事業である工作機械及び産業機械事業の業績は、製造業の設備投資動向に依るところが大きく、景気変動の影響を強く受けます。これに対し、当社グループでは、景気による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術事業で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図ってまいります。さらに、研究開発の成果等によって新しい事業を興し、リスク分散を図り、安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。
近年、地震のような自然災害、火災、大規模なシステム障害などにより事業継続が困難になる事象も発生しております。当社グループでは、そのような危機に直面した場合でも、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画を策定し運用しています。生産能力の分散化を図るなど災害に強い生産体制の再検討・再構築を図ってまいります。また、地球温暖化など急激な環境変化を背景に、持続可能な社会に貢献する事業活動の重要性が高まっております。当社グループは、気候変動や脱炭素への対応は重要な経営課題であると認識しており、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減の取組みにも積極的に関与し、地球環境に配慮したものづくりを通してサステナブルな社会に寄与する事業展開を強化するため、2022年1月に専任部門であるEFM室を発足し、TCFD提言への対応、カーボンニュートラルへの取組、GHG排出量の新たな目標設定等を推進するとともに、その取組状況について社内外への情報発信に努めてまいります。
(9) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。