【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体などの世界的な部材不足、原油・エネルギー価格の高騰、急激な為替変動、さらにウクライナ情勢の悪化をはじめとする地政学的リスクなどによる景気減速に対する警戒感が強まっています。
このような事業環境の中、当社グループは、長期経営計画「Next Stage 2026 ~Toward Further Growth~」を掲げ、「創造」「実行」「苦労・克服」という創業精神を基盤に豊かな未来につながる技術を磨き、ものづくりを通して持続可能な社会の実現にチャレンジしています。
製品開発におきましては、食品機械事業において調理麺製造ライン用自動麺ほぐし・調味機「ネオマザール」を開発し、販売を開始しました。本製品は手作業に頼ってきた調理麺製造におけるソースなどの調味液等添加・撹拌工程の無人化を実現、手作業工程の削減により雑菌及び異物混入のリスクを低減することで、調理麺商品の鮮度延長が可能となり、フードロス削減に貢献、お客様のSDGsに対する取り組みにも貢献いたします。
営業・サービス活動におきましては、リモート、対面を問わずお客様と当社の接点を拡充し、新たなニーズの開拓や素早いレスポンスをすることで、お客様のものづくりに貢献することを目的として、機械の操作・機能説明、各種カタログやイベント情報など様々な情報を配信するお客様向けWebチャネル「Sodick Connect」を開設しました。今後もコロナ禍の状況を考慮しつつ、リアルでの展示会にも出展を増やすほか、Web展示会の更なるコンテンツの追加等のITを活用した活動の強化に努めてまいります。
また、生産面におきましては、将来的な需要増加に対応するため、タイ第2工場を拡張しました。5G・EV等をはじめとするものづくりの高度化・高精密化の影響を受け、高精密な放電加工機や射出成形機の旺盛な需要に対応した供給体制の整備のほか、生産台数の平準化を目指しております。
このような状況のもと、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高196億4百万円(前年同四半期比36.9%増)、営業利益19億7百万円(前年同四半期比349.0%増)、経常利益29億75百万円(前年同四半期比152.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益21億13百万円(前年同四半期比142.6%増)となりました。
セグメントの経営成績は以下のとおりであります。
工作機械事業
売上高
14,096百万円
(前年同期比
35.8%増
)
営業利益
2,143百万円
(前年同期比
1,245百万円増
)
半導体不足等の影響により自動車関連は低調な一方で、電子部品、5G、半導体関連分野での需要の拡大が継続した結果、売上高は前年同期比で増加しました。足元での受注は堅調に推移しているものの、ウクライナ情勢の悪化や中国でのロックダウンの影響等先行きの不透明感が強まっています。
セグメント利益においては販売台数の増加に伴う工場稼働率の向上等により前年同期比で大幅に増加しました。
産業機械事業
売上高
2,625百万円
(前年同期比
38.7%増
)
営業利益
152百万円
(前年同期比
142百万円増
)
国内ではCASE関連の車載部品を始めとした自動車関連・電子部品・医療関係向けを中心とした底堅い需要に加え、海外ではアジアにおけるコネクタ向けの大口案件や米国での医療関係が堅調に推移した結果、売上高は前年同期比で増加しました。
食品機械事業
売上高
1,021百万円
(前年同期比
75.9%増
)
営業利益
△29百万円
(前年同期比
10百万円増
)
各種製麺機、麺製造プラント、無菌包装米飯製造装置などの開発・製造・販売、その保守サービスを行っております。製麺機関連設備や無菌包装米飯製造装置等が順調に推移した結果、売上高は前年同期比で大幅に増加しました。
その他
売上高
1,861百万円
(前年同期比
27.4%増
)
営業利益
188百万円
(前年同期比
44百万円増
)
精密コネクタなどの受託生産を行う精密金型・精密成形事業、リニアモータやセラミックス部材の販売等を行う要素技術事業から構成されています。半導体製造装置メーカー向けのセラミックス需要増のほか、金型成形事業においては、半導体不足やサプライチェーンの混乱等により自動車産業の需要は減速しているものの、生産品目の拡大等もあり、売上高は前年同期比で増加しました。
(2) 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末と比較して、39億62百万円増加し、1,388億28百万円となりました。主な増加要因としては、長期預金の増加44億29百万円、商品及び製品の増加9億79百万円、仕掛品の増加8億42百万円などがあげられますが、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度においては受取手形及び売掛金)の減少14億20百万円などにより一部相殺されております。
また、負債は前連結会計年度末と比較して、7億92百万円増加し、612億21百万円となりました。主な増加要因としては、契約負債の増加51億32百万円などがあげられますが、その他の流動負債の減少42億42百万円などにより一部相殺されております。
純資産は前連結会計年度末と比較して、31億69百万円増加し、776億7百万円となりました。主な増加要因としては、為替換算調整勘定の増加28億76百万円などがあげられます。以上の結果、自己資本比率は、55.9%(前連結会計年度末比0.7%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計
方針の変更)」をご参照ください。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、6億85百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては内外の市場動向が挙げられます。ウクライナ情勢や各国の対ロシア経済制裁、東アジアでの地政学リスク、急激な円安の進行による為替変動リスクのほか、足元では新型コロナウイルスの影響やサプライチェーンの混乱が懸念されるものの、グローバルにものづくりが発展していく中で、設備投資需要は継続的に拡大していくものと見ています。その中でも、当社の主要な仕向け先である自動車産業における軽量化への対応、電装化、次世代自動車へのシフトに加え、スマートフォンの高機能化の動きもあり、高精度機のニーズはさらに高まっていくことが予想されます。
足元では新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の制限や景気の減速による先行きの不透明感が極めて強い状況であることに加え、収束後には世界的なサプライチェーンの見直し、IoT・5G等のITを駆使したリモート環境活用の加速、保護主義的な自国への生産回帰等の構造的な変化が進むことも考えられ、当社グループとしては状況の変化に臨機応変に対応しつつ、収束後を見据えた取り組みを着実に行ってまいります。
こうした中、工作機械事業及び産業機械事業におきましては、日本・欧米などの成熟市場と中国市場、東南アジアをはじめとする新興国市場それぞれに応じた事業展開を推進しております。成熟市場においては、競争力のある製品を投入しシェアアップを図るとともに、既存の納入機のユーザーへの継続的な技術指導や保守メンテナンスを通じて、更新需要の取り込みや周辺機器及び消耗品の販売強化を図ってまいります。中国市場及び新興国市場においては、市場のニーズを反映した低価格機種の開発、販売を強化するとともに、拠点整備などを推進し、収益力の確保を図っております。当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、特定の業種や地域の需要環境に依存しない、安定した収益構造を目指してまいります。
また、次世代のものづくりを担う金属3Dプリンタを新たな成長ドライバーに事業の拡大を図っております。金属3Dプリンタにおいて、加工速度・加工精度の向上、製品ラインナップの拡充、対応する金属粉の種類の充実、残留応力の抑制により大型金型部品の安定造形を可能とする「SRT工法」の開発など、研究開発に力を入れ販売を強化しています。さらに、新たに開発した金属3Dプリンタ「LPM325S」は、従来の鉄系・ステンレス系の粉末に加え、アルミニウムやチタン粉末による造形も可能となったほか、独自開発の粉末自動供給、自動回収、自動ふるい用のユニットを標準装備したことにより、粉末交換作業の簡易化を実現し、生産性の向上に貢献するなど、従来のOPMシリーズに加え、金型だけでなく部品加工の分野まで裾野を広げることでさらなる需要の創造、拡大を目指してまいります。さらに、ものづくりのすべての工程が当社グループの技術のみで完結できるワンストップソリューションの強みを活かし、「プラスチック成形革命」をキーワードに、金型製造リードタイムの短縮や生産コストの削減に加えて、金属3Dプリンタで製造した金型専用の射出成形機「MR30」を活用して成形サイクルの短縮を実現してまいります。
産業機械事業においては、海外売上高比率の向上を図るため、マーケットニーズの高い全電動射出成形機「MSシリーズ」のラインナップを拡充し、新興国などのボリュームゾーンでの販売拡大を図ってまいります。
さらに、景気動向に左右されにくい事業ポートフォリオ構築を目指し食品機械事業にも注力してまいります。国内市場では、調理麺の品質向上を目的とした設備の導入、海外市場においては膨大な人口と豊かな食文化をもつ中国の存在、日本食ブームの高まりなど、食品機械事業の成長性は非常に高いと言えます。加えて製麺機の技術を応用して、製菓業界や包装惣菜業界など製麺業界以外への展開や包装米飯製造装置の国内外での販売先の拡大を進めております。今後は放電加工機と同様、食品機械業界のリーディングカンパニーとなることを目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。
当社グループは従来から放電加工機等をネットワークに接続し活用するアプリケーションソフトウエアを提供してまいりましたが、近年のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)やインダストリー4.0(ドイツ政府が推進する製造業の高度化・デジタル化)などの動きを踏まえ様々な取り組みを推進しています。当社では、金属3Dプリンタで造形した金型専用の射出成形機「MR30」を用いた金型の自動交換システム「ICF-V」を開発し、射出成形のIoTを具現化したスマートファクトリーを提案しています。成形機への金型の装着から材料乾燥・供給、成形品の製造、金型交換までを完全無人化・自動化できるシステムであり、ネットワークに接続された機械の各情報を活用し、監視、保守、制御、分析することで、工程の見える化を実現できます。今後もさらなる生産性向上、生産自動化など、様々な取り組みを強化してまいります。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループのメイン事業である工作機械及び産業機械事業の業績は、製造業の設備投資動向に依るところが大きく、景気変動の影響を強く受けます。これに対し、当社グループでは、景気による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術事業で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図ってまいります。さらに、研究開発の成果等によって新しい事業を興し、リスク分散を図り、安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。
近年、地震のような自然災害、火災、大規模なシステム障害などにより事業継続が困難になる事象も発生しております。当社グループでは、そのような危機に直面した場合でも、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画を策定し運用しています。生産能力の分散化を図るなど災害に強い生産体制の再検討・再構築を図ってまいります。また、地球温暖化など急激な環境変化を背景に、持続可能な社会に貢献する事業活動の重要性が高まっております。当社グループは、気候変動や脱炭素への対応は重要な経営課題であると認識しており、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減の取組みにも積極的に関与し、地球環境に配慮したものづくりを通し、サスティナブルな社会に寄与する事業展開を推進してまいります。
また、足元では新型コロナウイルス感染拡大により世界的に事業活動が停滞する中、当社グループでは、早期に対策本部を立ち上げ、時差出勤やテレワーク等の必要な対応を実施しています。引き続き、国内外の動向を見ながら感染防止と社員の健康管理に努めてまいります。
(8) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。