【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況上期における国内の清涼飲料市場は、人出回復や経済活動活性化を背景に需要の増加傾向が継続したものの、清涼飲料各社の価格改定実施による需要へのマイナス影響や前年同期の猛暑の反動等により、前年同期比1%程度の減少となったものとみられます。また、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などが消費行動やビジネスに影響を及ぼすなど、事業環境は引き続き不透明かつ厳しい状況で推移いたしました。このようななか、当社は、2023年を「利益にこだわる年」と位置づけ、収益性改善に最優先に取り組んでまいりました。営業分野では、収益性改善に向けた最重要施策として、2023年5月に缶製品および大型PETボトル製品等の価格改定を実施するとともに、前年より実施してきた一連の価格改定後の製品価格の浸透・維持に注力してまいりました。また、人出回復により増加する需要を取り込むべく、新製品の展開や効率的かつ効果的なマーケティング活動の実施などに取り組み、ケース当たり納価の改善および売上収益の成長を図ってまいりました。加えて、さらなる収益性改善に向け、2023年10月1日出荷分より大型PETボトル製品等の製品価格を再度改定する旨を発表いたしました。製造・物流分野では、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などの影響を受けるなか、2023年4月に海老名工場の新ラインを稼働開始するとともに、国内最大級の保管・出荷能力を備える自動物流センター「埼玉メガDC(Distribution Center)」および「明石メガDC」の活用を含めた供給ネットワーク全体での改善等に取り組み、製造・物流コストの低減を図りながら、最需要期である夏場の安定的なオペレーションに向けた準備を進めてまいりました。社会との共創価値に基づくESG目標の実現に向けた活動にも注力してまいりました。SDGsの推進やPETボトルのリサイクル強化に関し、カスタマーや行政との協業の取り組みを複数開始し、循環型社会形成による環境負荷低減と協業を通じたビジネス機会の拡大を図ってまいりました。また、2023年4月には、カーボンニュートラル社会の実現に向けた「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」の助成事業に参画するなど、温室効果ガス削減につながる新たな取り組みを開始いたしました。加えて、サスティナビリティー戦略のさらなる推進に向け、当社の重要課題(マテリアリティ)や価値創造プロセス、持続的な成長に向けた戦略などを掲載した「統合報告書2022」を2023年6月に発行いたしました。さらに、このたび、2028年までの中期経営計画を発表いたしました。中期経営計画では、年率2%から3%の売上収益成長ならびに2028年の事業利益率5%以上およびROIC(投下資本利益率)5%以上を目指してまいります。営業面では、利益をともなう成長を実現すべく、高付加価値製品への投資や販売チャネルごとの適切な成長戦略の実行、利益率向上に資する柔軟な価格戦略の実行、ベンディングチャネルにおける変革などに取り組んでまいります。また、サプライチェーンのさらなる効率化や、DX推進等によるオペレーションプロセスの改善などに取り組んでまいります。加えて、事業活動を通じた中長期的な企業価値向上を実現すべく、ESG経営や人的資本経営の推進にも取り組んでまいります。中期経営計画の達成に向けては、ザ コカ・コーラ カンパニーおよび日本コカ・コーラ㈱との強力な連携体制のもと、コカ・コーラシステム一体となって戦略を実行してまいります。
上期の業績の詳細は次のとおりです。
業績の概要上期(1月1日~6月30日)(単位:百万円、販売数量を除く)
2022年
2023年
増減率(%)
売上収益
375,948
404,109
7.5
販売数量(百万ケース)
224
230
3
売上総利益
163,138
176,797
8.4
販売費及び一般管理費
181,275
183,212
1.1
その他の収益(経常的に発生した収益)
521
364
△30.1
その他の費用(経常的に発生した費用)
666
711
6.7
持分法による投資利益(△は損失)
61
△0
-
事業損失(△)
△18,221
△6,763
-
その他の収益(非経常的に発生した収益)
6,658
1,658
△75.1
その他の費用(非経常的に発生した費用)
2,868
1,424
△50.3
営業損失(△)
△14,431
△6,529
-
親会社の所有者に帰属する四半期損失(△)
△9,899
△3,947
-
(参考)第2四半期(4月1日~6月30日)(単位:百万円、販売数量を除く)
2022年
2023年
増減率(%)
売上収益
207,095
222,046
7.2
販売数量(百万ケース)
123
126
2
売上総利益
91,127
98,056
7.6
販売費及び一般管理費
96,383
95,211
△1.2
その他の収益(経常的に発生した収益)
223
178
△20.0
その他の費用(経常的に発生した費用)
478
342
△28.3
持分法による投資利益(△は損失)
39
△8
-
事業利益(△は損失)
△5,472
2,674
-
その他の収益(非経常的に発生した収益)
968
535
△44.7
その他の費用(非経常的に発生した費用)
257
579
124.8
営業利益(△は損失)
△4,761
2,631
-
親会社の所有者に帰属する四半期利益(△は損失)
△3,331
2,513
-
*事業損失(△)および事業利益(△は損失)は、事業の経常的な業績をはかるための指標であり、売上収益から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除するとともに、その他の収益およびその他の費用のうち経常的に発生する損益を加減算したものです。*販売数量について、一部製品の集計範囲および区分等の変更にともない、2022年の実績値を遡って修正しております。
連結売上収益は、404,109百万円(前年同期比7.5%増、28,161百万円の増加)となりました。価格改定による需要へのマイナス影響や前年同期の猛暑の反動があったものの、人出回復により増加する需要を取り込むべく、新製品の展開や効率的かつ効果的なマーケティング活動の実施などに取り組んだことにより、販売数量は前年同期比3%の増加となりました。また、前年および当年5月に実施した価格改定の効果は順調に発現しており、ケース当たり納価が改善し、売上収益の増加に貢献いたしました。連結事業利益は、前年同期と比べ11,458百万円増加(損失が減少)し、6,763百万円の損失(前年同期は18,221百万円の損失)となりました。販売数量成長やケース当たり納価改善等のトップライン成長による利益貢献に加え、費用対効果を重視したマーケティング活動による販促費の減少や、供給ネットワーク改善による物流コストの低減などにより、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などの外部要因によるコスト増加等の影響を受けたものの、収益性改善を実現いたしました。連結営業利益は、前年同期と比べ7,902百万円増加(損失が減少)し、6,529百万円の損失(前年同期は14,431百万円の損失)となりました。これは、主に、事業利益が前年同期と比べ増加(損失が減少)した一方で、前年同期に計上した有形固定資産売却益の反動によりその他の収益(非経常)が減少したことによるものです。なお、上期のその他の収益(非経常)には、バランスシートの改善を進める過程で計上した有形固定資産売却益1,631百万円などが含まれております。また、その他の費用(非経常)には、抜本的な変革の実行に係る事業構造改善費用1,287百万円などが含まれております。親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益が前年同期と比べ増加(損失が減少)したことなどから、前年同期と比べ5,953百万円増加(損失が減少)し、3,947百万円の損失(前年同期は9,899百万円の損失)となりました。
<販売数量動向(増減率は前年同期比)>上期の販売数量は、価格改定による需要へのマイナス影響や前年同期の猛暑の反動があったものの、人出回復等による需要増加が貢献し、3%増となりました。また、価格改定の効果として、ケース当たり納価は全チャネルで前年同期を2桁円以上上回る改善となりました。チャネル別では、スーパーマーケットは、人出回復の機会を捉えたキャンペーンの実施や売場の拡大に努めたものの、小型PETボトル製品の価格改定による数量減少影響が継続し、3%減となりました。ドラッグストア・量販店では、価格改定の影響を受けたものの、新製品の貢献や、大型PETボトル製品の数量が前年同期比プラスに転じたこともあり、4%増となりました。ベンディングでは、これまで構築してきたシェア基盤やスマホアプリ「Coke ON」を通じた季節に応じたキャンペーン等が人出回復により増加する需要の取り込みに貢献し、数量は1%増となりました。また、ベンディングのケース当たり納価は、前年実施の価格改定の効果に加え、2023年5月に実施した缶製品の価格改定の反映が順調に進捗していることなどから、大きく改善いたしました。コンビニエンスストアでは、価格改定を背景に低価格帯の製品が台頭するなど厳しい競争環境が継続したものの、新製品等の展開やカスタマーとの連携強化など、売場獲得に向けた活動を強化したことにより、前年同期並みとなりました。リテール・フードでは、飲食店や娯楽施設等における人出の回復等により上期は14%増となり、当第2四半期は、数量が2桁成長した前年同期からさらに7%増加しました。オンラインでは、競争環境の厳しさがみられるなか、品揃えの強化やオンラインカスタマーと連携した効果的なプロモーションの実施などが奏功し数量は10%増となりました。清涼飲料の製品カテゴリー別では、炭酸は、人出回復によりベンディングや飲食店等で「コカ・コーラ」を中心に数量が増加したことや、リニューアルした「スプライト」等の貢献により、3%増となりました。茶系は、発売以降順調に売上を伸ばし続けている「やかんの麦茶 from 爽健美茶」や、リニューアルした「爽健美茶」の貢献があったものの、価格改定による小型PETボトル製品の数量減少が響き、3%減となりました。コーヒーは、「ジョージア」のブランド刷新にともない発売した「ジョージア THE ブラック」等の新製品や、家庭内需要の獲得に向け展開している中型PETボトル製品、「コスタコーヒー」のラインナップの拡充等が貢献し、価格改定による数量減少影響を受けるなかでも、2%増となりました。スポーツは、新製品「アクエリアス NEWATER(ニューウォーター)」の貢献があったものの、価格改定による数量減少が響き、6%減となりました。水は、13年ぶりにボトルリニューアルを実施した「い・ろ・は・す 天然水」や季節限定フレーバー「い・ろ・は・す 塩とれもん」等の貢献により、17%増となりました。アルコールカテゴリーは、コロナ禍で増加した家飲み需要の一巡もあるなか上期は14%減となったものの、当第2四半期は、新製品「ジャックダニエル&コカ・コーラ」や「檸檬堂 すっきりレモン」等が貢献し、6%増となりました。
(2) 財政状態の状況総資産は、829,829百万円となり、前連結会計年度末(以下「前期末」)と比べ3,093百万円増加しました。これは主に、最盛期に向けて「棚卸資産」や「営業債権及びその他の債権」が増加した一方、「現金及び現金同等物」が減少したことによるものです。負債合計は、360,753百万円となり、前期末と比べ10,375百万円増加しました。これは主に、「営業債務及びその他の債務」が増加したことによるものです。資本合計は、469,076百万円となり、前期末と比べ7,282百万円減少しました。これは主に、配当金支払い等により「利益剰余金」が減少したことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況上期におけるキャッシュ・フローの状況等につきましては、次のとおりであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、2,185百万円の支出(前年同期は1,686百万円の収入)となりました。これは主に、「減価償却費及び償却費」等があった一方で、税引前四半期損失6,580百万円を計上したことや「棚卸資産の増加」等があったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、15,038百万円の支出(前年同期は11,250百万円の支出)となりました。これは主に、4月に海老名工場の新ラインを稼働開始したことに伴う「有形固定資産、無形資産の取得による支出」等によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、7,576百万円の支出(前年同期は38,222百万円の支出)となりました。これは主に、「配当金の支払額」や「リース負債の返済による支出」によるものです。以上の結果、当第2四半期末における現金及び現金同等物の残高は59,276百万円(前期末と比べ24,799百万円減少)となりました。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
① 当社グループの対処すべき課題当社は2028年までの中期経営計画を発表いたしました。今後、中期経営計画に基づき、利益を伴う成長の実現やサプライチェーンのさらなる効率化や、DX推進等によるオペレーションプロセスの改善、事業活動を通じた中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。中期経営計画については、「(1) 業績の状況」をご参照ください。
② 株式会社の支配に関する基本方針についてa.基本方針の内容当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式の大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が事業計画や代替案等を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉等を必要とするものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、①世界中の国や地域で人々に爽やかさとうるおいを届け、人々の生活スタイルの一部となっている「コカ・コーラ」ブランドを、地域社会に根付かせていくこと、②当社の掲げる企業理念を理解し、お客さまから選ばれ市場で私たちが勝利するために積極的に取り組んでいくこと、③お客さまの満足を徹底して追求していこうとする強い使命感を持った社員の存在を理解し、社員一人ひとりに報いるべく彼らが「コカ・コーラ」に誇りを持ち、誰もが働きたいと思う職場環境づくりに積極的に取り組んでいくこと、④豊かな社会の実現の一助となるよう努力を続ける企業市民としての責任感をもって地域社会への貢献ならびに環境問題への積極的な取り組みを行うこと、これらを十分に理解し、ステークホルダーであるお客さま、お得意さま、株主のみなさま、社員との信頼関係を維持し、ステークホルダーのみなさまの期待に応えていきながら、中長期的な視点に立って当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる者でなければならないと考えております。したがって、当社としてはこのような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による当社株式の大量買付に対しては必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上する必要があると考えております。
b.基本方針実現のための取り組み(a)基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要当社グループは、ザ コカ・コーラ カンパニーおよび日本コカ・コーラ株式会社(ザ コカ・コーラ カンパニー100%出資)の戦略的パートナーとして、製品開発やテストマーケティングなどさまざまな取り組みを協働で展開し、日本のコカ・コーラビジネスの変革をリードする役割を担うとともに、ステークホルダーであるお客さま・お得意さま、株主のみなさま、社員から信頼される企業づくりに努めております。清涼飲料業界においては、市場が成熟化し、大きな成長が期待できない中、清涼飲料各社間の業務提携が拡大するなど生き残りをかけた業界再編が一段と加速しており、当社を取り巻く経営環境はさらに厳しくなることが見込まれます。このような状況の中、当社グループは、強固かつ継続的なオペレーティングモデルを確立し、重点エリアでの成功を目指すとともに、成長実現に向けビジネスを抜本的に変革し、すべてのお客さま(消費者)、お得意さまから、あらゆる飲用機会で必ず選ばれる飲料会社を目指してまいります。 また、当社は、ガバナンス体制の一層の強化を目指し、監査等委員会設置会社を採用しております。当社の監査を担う監査等委員会は、複数の独立社外取締役を含む社外取締役(監査等委員)のみで構成されており、この社外取締役である監査等委員が、取締役会における議決権を有していること、ならびに株主総会において取締役の指名・報酬等についての意見を陳述する権利を有していることなどにより、経営監督機能がより強化されております。また、当社は、意思決定および経営管理機能と業務執行機能を分離すべく、執行役員制度を採用しているほか、重要な業務執行の決定の一部を取締役に委任することにより、取締役会において特に重要度の高い事項についての審議をより充実させるとともに、それ以外の事項について、経営陣による経営判断の迅速化も図っております。
(b)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要当社は、当社株式の大量買付けが行われた際には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。また、今後の社会的な動向も考慮しつつ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、当社取締役会が買収防衛策を再導入する必要があると判断した場合には、定款の定めに従い、株主総会において株主のみなさまにその導入の是非をお諮りいたします。
c.具体的取り組みに対する当社取締役会の判断およびその理由前記b.(a)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものであります。また、前記b.(b)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内で、かつ株主意思を重視した具体的方策として策定されたものであるため、当社の株主共同の利益を損なうものおよび当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。
(6) 主要な設備上期において、前連結会計年度末に計画していた重要な設備の新設について完了したものは次のとおりであります。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
金額(百万円)
完了年月
コカ・コーラボトラーズジャパン(株)
各支店
(-)
飲料事業
自動販売機、クーラー等
8,709
2023年6月
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
#C2579JP #コカコーラボトラーズジャパンHD #食料品セクター