【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況当第1四半期における国内の清涼飲料市場は、前期の清涼飲料各社の価格改定による需要へのマイナス影響がみられたものの、人出回復や経済活動活性化を背景とした需要の増加や、前年同期に新型コロナウイルス感染症による行動制限の影響を受けていたことの反動などから、前年同期比では、数量ベースで微増となったものとみられます。一方、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などが消費行動やビジネスに影響を及ぼすなど、事業環境は引き続き不透明かつ厳しい状況で推移いたしました。このようななか、当社は2023年を「利益にこだわる年」と位置づけ、収益性改善を最優先に取り組んでまいりました。営業分野では、前期に実施した価格改定後の製品価格の浸透・維持に注力するとともに、人出回復により増加する需要を取り込むべく、新製品の展開や重点カスタマーを中心とした売場の拡大、効果的なマーケティング活動の実施などに取り組み、ケース当たり納価の改善および売上収益の成長を図ってまいりました。また、さらなる収益性改善に向けた重要施策としての、2023年5月1日出荷分からの缶製品および大型PETボトル製品等の価格改定に向け、カスタマーとの交渉を進めてまいりました。製造・物流分野では、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などの影響を受けるなか、S&OP(Sales and Operations Planning)プロセスのさらなる深化や、国内最大級の保管・出荷能力を備える自動物流センター「埼玉メガDC(Distribution Center)」「明石メガDC」の活用を含めた供給ネットワークの改善等に取り組み、製造・物流コストの低減を図るとともに、最需要期である夏場の安定的なオペレーションに向けた準備を進めてまいりました。加えて、社会との共創価値に基づくESG目標の実現に向けた活動にも注力してまいりました。具体的には、SDGsの推進やPETボトルのリサイクル強化に関し、カスタマーや行政との協業の取り組みを複数開始し、循環型社会形成による環境負荷低減と協業を通じたビジネス機会の拡大を図ってまいりました。また、ビジネスを通じた地域社会への貢献として、水源保全活動やフードバンクへの製品寄贈なども実施してまいりました。社外からの評価としては、環境省から「エコ・ファースト企業」の認定を受けるとともに、国際的な非営利団体であるCDPの「2022年度サプライヤー・エンゲージメント評価」において最高評価の「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されるなど、当社のESGの取り組みに対する高い評価をいただきました。当第1四半期の業績の詳細は以下のとおりです。
業績の概要(単位:百万円、販売数量を除く)
2022年第1四半期(1-3月)
2023年第1四半期(1-3月)
増減率(%)
売上収益
168,853
182,063
7.8
販売数量(百万ケース)
100
104
4
売上総利益
72,011
78,741
9.3
販売費及び一般管理費
84,892
88,002
3.7
その他の収益(経常的に発生した収益)
298
186
△37.6
その他の費用(経常的に発生した費用)
189
369
95.5
持分法による投資利益
22
8
△66.3
事業損失(△)
△12,749
△9,437
-
その他の収益(非経常的に発生した収益)
5,690
1,123
△80.3
その他の費用(非経常的に発生した費用)
2,611
846
△67.6
営業損失(△)
△9,670
△9,160
-
親会社の所有者に帰属する四半期損失(△)
△6,568
△6,459
-
*事業損失(△)は、事業の経常的な業績をはかるための指標であり、売上収益から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除するとともに、その他の収益およびその他の費用のうち経常的に発生する損益を加減算したものです。*販売数量について、一部製品の集計範囲および区分等の変更にともない、2022年の実績値を遡って修正しております。
連結売上収益は182,063百万円(前年同期比13,210百万円、7.8%増)となりました。価格改定による需要へのマイナス影響があったものの、人出回復などによる需要増加の機会を捉えるべく、新製品の導入や重点カスタマーを中心とした売場の拡大、効果的なマーケティング活動の実施などに取り組んだことにより、販売数量は前年同期比4%の増加となりました。また、前期に実施した価格改定の効果は順調にでており、ケース当たり納価が改善し、売上収益の増加に貢献いたしました。連結事業利益は、前年同期比3,312百万円増加(損失が減少)し、9,437百万円の損失(前年同期は12,749百万円の損失)となりました。販売数量成長やケース当たり納価改善などのトップライン成長による利益貢献や、供給ネットワーク改善による物流コストの低減など、コントロール可能な分野において約50億円の利益改善を達成したことにより、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などの外部要因によるコスト増加や、前年同期に実施した一時的なコスト削減の反動の影響を受けたものの、収益性改善を実現いたしました。連結営業利益は、前年同期比510百万円増加(損失が減少)し、9,160百万円の損失(前年同期は9,670百万円の損失)となりました。これは、主に、事業利益が前年同期比増加(損失が減少)した一方で、前年同期に計上した有形固定資産売却益の反動によりその他の収益(非経常)が減少したことによるものです。なお、当第1四半期のその他の収益(非経常)には、バランスシートの改善を進める過程で計上した有形固定資産売却益1,116百万円などが含まれております。また、その他の費用(非経常)には、抜本的な変革の実行に係る事業構造改善費用787百万円などが含まれております。親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益が前年同期比増加(損失が減少)したことなどから、前年同期比109百万円増加(損失が減少)し、6,459百万円の損失(前年同期は6,568百万円の損失)となりました。
<販売数量動向(増減率は前年同期比)>当第1四半期の販売数量は、4%増となりました。これは、人出回復などによる需要増加の機会を捉えた営業活動を徹底し、前期に実施した価格改定による数量減少影響の抑制に努めたことによるものです。また、価格改定の効果としては、ケース当たり納価がすべてのチャネルで前年同期を2桁円以上上回る改善となりました。チャネル別では、スーパーマーケット、ドラッグストア・量販店では、新製品の展開や売場の拡大など販売強化を図ったものの、価格改定による数量減少影響を受け、販売は厳しい状況で推移いたしました。そのようななか、スーパーマーケットの数量は3%減となりましたが、ドラッグストア・量販店では、価格改定後に低迷していた大型PETボトル製品の数量が前年同期比プラスに転じたこともあり、数量は3%増となりました。ベンディングでは、価格改定による数量減少影響を受けたものの、これまで構築してきたシェア基盤やスマホアプリ「Coke ON」を通じたキャンペーン等が、人出回復により増加する需要の取り込みに貢献し、数量は1%増となりました。自動販売機の価格改定については、市場実行部門の機動的かつ迅速な対応により価格反映が早期に完了し、ケース当たり納価は大幅に改善いたしました。CVSでは、新製品等の展開やカスタマーとの連携強化など、売場獲得に向けた活動に注力したものの、継続する厳しい競争環境や価格改定による数量減少影響により、数量は1%減となりました。リテール・フードでは、飲食店等において、人出の回復が継続していることなどにより、数量は23%増となりました。オンラインでは、競争環境の厳しさが増すなか、ラベルレス製品の展開を含む品揃えの強化や大手オンラインカスタマーとのタイアッププロモーションの実施などが奏功し、人出回復の局面においても、数量は3%増となりました。清涼飲料の製品カテゴリー別では、炭酸は、人出回復によりベンディングや飲食店等で「コカ・コーラ」を中心に数量が増加したことや、「ファンタ プレミアとろけるもも」等の新製品の貢献により、数量は6%増となりました。茶系は、発売以降順調に売上を伸ばし続けている「やかんの麦茶 from 一(はじめ)」や、機能性表示食品としてリニューアルした「綾鷹 濃い緑茶」の貢献があったものの、価格改定による数量減少が響き、数量は5%減となりました。コーヒーは、「ジョージア」のブランド刷新にともない発売した「ジョージア THE ブラック」「ジョージア THE ラテ」や、「コスタコーヒー」のラインナップ拡充が貢献し、数量は2%増となりました。スポーツは、価格改定による数量減少影響やカテゴリーにおける競争激化により、数量は8%減となりました。水は、昨年13年ぶりにボトルリニューアルを実施した「い・ろ・は・す 天然水」の貢献や、家庭内消費需要の取り込みにより、小型および大型PETボトル製品ともに成長し、数量は20%増となりました。アルコールカテゴリーは、「檸檬堂」において、野球日本代表の侍ジャパン応援キャンペーン等を実施したものの、前年同期の新製品の反動やコロナ禍で増加した家飲み需要の一巡もあり、数量は33%減となりました。4月10日に「コカ・コーラ」とテネシーウイスキーブランド「ジャックダニエル」をミックスした容器入りアルコール飲料「ジャックダニエル&コカ・コーラ」を発売しており、アルコールカテゴリーの活性化に向け、販売を強化してまいります。
(2) 財政状態の状況総資産は819,494百万円となり、前連結会計年度末(以下「前期末」)比7,243百万円減少しました。これは主に「棚卸資産」が増加した一方で、「現金及び現金同等物」や「営業債権及びその他の債権」が減少したことによるものです。負債合計は354,108百万円となり、前期末比3,730百万円増加しました。これは主に「リース負債」が減少した一方で、「営業債務及びその他の債務」が増加したことによるものです。資本合計は465,385百万円となり、前期末比10,973百万円減少しました。これは主に配当金支払い等により「利益剰余金」が減少したことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況等につきましては、次のとおりであります。<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期損失を計上したものの、「減価償却費及び償却費」、「営業債務及びその他の債務の増加」等により、8,062百万円の収入(前年同期は12,964百万円の収入)となりました。<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、「有形固定資産、無形資産の取得による支出」等により、8,062百万円の支出(前年同期は5,619百万円の支出)となりました。<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、期末配当金の支払い等により6,295百万円の支出(前年同期は6,632百万円の支出)となりました。以上の結果、当第1四半期末における現金及び現金同等物の残高は77,779百万円(前期末比6,295百万円減少)となりました。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
① 当社グループの対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。
② 株式会社の支配に関する基本方針についてa.基本方針の内容当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式の大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が事業計画や代替案等を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉等を必要とするものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、①世界中の国や地域で人々に爽やかさとうるおいを届け、人々の生活スタイルの一部となっている「コカ・コーラ」ブランドを、地域社会に根付かせていくこと、②当社の掲げる企業理念を理解し、お客さまから選ばれ市場で私たちが勝利するために積極的に取り組んでいくこと、③お客さまの満足を徹底して追求していこうとする強い使命感を持った社員の存在を理解し、社員一人ひとりに報いるべく彼らが「コカ・コーラ」に誇りを持ち、誰もが働きたいと思う職場環境づくりに積極的に取り組んでいくこと、④豊かな社会の実現の一助となるよう努力を続ける企業市民としての責任感をもって地域社会への貢献ならびに環境問題への積極的な取り組みを行うこと、これらを十分に理解し、ステークホルダーであるお客さま、お得意さま、株主のみなさま、社員との信頼関係を維持し、ステークホルダーのみなさまの期待に応えていきながら、中長期的な視点に立って当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる者でなければならないと考えております。したがって、当社としてはこのような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による当社株式の大量買付に対しては必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上する必要があると考えております。
b.基本方針実現のための取組み(a)基本方針の実現に資する特別な取組みの概要当社グループは、ザ コカ・コーラ カンパニーおよび日本コカ・コーラ株式会社(ザ コカ・コーラ カンパニー100%出資)の戦略的パートナーとして、商品開発やテストマーケティングなどさまざまな取り組みを協働で展開し、日本のコカ・コーラビジネスの変革をリードする役割を担うとともに、ステークホルダーであるお客さま・お得意さま、株主のみなさま、社員から信頼される企業づくりに努めております。清涼飲料業界においては、市場が成熟化し、大きな成長が期待できない中、清涼飲料各社間の業務提携が拡大するなど生き残りをかけた業界再編が一段と加速しており、当社を取り巻く経営環境はさらに厳しくなることが見込まれます。このような状況の中、当社グループは、強固かつ継続的なオペレーティングモデルを確立し、重点エリアでの成功を目指すとともに、成長実現に向けビジネスを抜本的に変革し、すべてのお客さま(消費者)、お得意さまから、あらゆる飲用機会で必ず選ばれる飲料会社を目指してまいります。 また、当社は、ガバナンス体制の一層の強化を目指し、監査等委員会設置会社を採用しております。当社の監査を担う監査等委員会は、複数の独立社外取締役を含む社外取締役(監査等委員)のみで構成されており、この社外取締役である監査等委員が、取締役会における議決権を有していること、ならびに株主総会において取締役の指名・報酬等についての意見を陳述する権利を有していることなどにより、経営監督機能がより強化されております。また、当社は、意思決定および経営管理機能と業務執行機能を分離すべく、執行役員制度を採用しているほか、重要な業務執行の決定の一部を取締役に委任することにより、取締役会において特に重要度の高い事項についての審議をより充実させるとともに、それ以外の事項について、経営陣による経営判断の迅速化も図っております。
(b)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要当社は、当社株式の大量買付けが行われた際には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。また、今後の社会的な動向も考慮しつつ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、当社取締役会が買収防衛策を再導入する必要があると判断した場合には、定款の定めに従い、株主総会において株主のみなさまにその導入の是非をお諮りいたします。c.具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由前記b.(a)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものであります。また、前記b.(b)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内で、かつ株主意思を重視した具体的方策として策定されたものであるため、当社の株主共同の利益を損なうものおよび当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。
(6) 主要な設備当第1四半期連結累計期間において、前連結会計年度末に計画していた重要な設備の新設について完了したものは次のとおりであります。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
金額(百万円)
完了年月
コカ・コーラボトラーズジャパン㈱
各支店(-)
飲料事業
自動販売機、クーラー等
4,184
2023年3月
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
#C2579JP #コカコーラボトラーズジャパンHD #食料品セクター