【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日から2022年9月30日まで、以下「第3四半期累計期間」)における国内の清涼飲料市場は、COVID-19による行動制限が解除されて以降、人出の回復傾向が継続していることや、猛暑の影響により、数量ベースで前年同期比5%程度増加したとみられます。一方、厳しい競争環境が継続していることに加え、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安の急加速などが消費行動やビジネスに影響を及ぼすなど、不透明かつ厳しい事業環境が継続しております。このような中、当社は2022年を「持続可能な成長のための基盤づくりの年」と位置づけ、着実かつ持続的な成長に向けた基盤の構築とさらなる変革の推進に取り組んでまいりました。営業分野では、新製品の展開や多様化する消費者ニーズへの対応、人出回復の機会を捉えた効果的なキャンペーンの実施などにより、販売数量および売上収益の成長を図ってまいりました。また、収益性重視の価格戦略の一環として、5月に大型PETの価格改定を実施するとともに、10月1日の小型パッケージの価格改定に向けカスタマーとの交渉にも取り組んでまいりました。製造・物流分野では、原材料・資材・エネルギー価格の高騰の影響を受ける中、S&OP(Sales and Operations Planning)プロセスの刷新や、国内最大級の保管・出荷能力を備える自動物流センター「埼玉メガDC(Distribution Center)」「明石メガDC」の活用など、急激な需要の増減に柔軟に対応できる供給体制の構築を進めてまいりました。人出回復や猛暑により需要が急増する局面ではあったものの、これらの取り組みにより、安定的に製品供給を行ってまいりました。社会との共創価値に基づくESG目標の実現に向けた活動にも注力してまいりました。当第3四半期は、グローバル認知度の高いEcoVadis社のサステナビリティ調査にて「シルバー」評価を2年連続で獲得いたしました。また、廃棄物ゼロ社会の実現に向け、PETボトルにおけるサスティナブル素材の使用率向上に取り組んでおり、製品パッケージの設計面での取り組みや、自治体やパートナー企業との協働による着実な容器回収・リサイクルスキームの構築などを進めてまいりました。そのほか、ビジネスを通じた地域社会貢献として、水源保全活動の実施やフードバンクへの製品寄贈、地域の活動を支援する自動販売機の展開などにも力を入れております。第3四半期累計期間の業績の詳細は以下のとおりです。
業績の概要第3四半期累計期間(1月1日~9月30日)(単位:百万円、販売数量を除く)
2021年
2022年
増減率
売上収益
589,531
612,321
3.9
%
販売数量(百万ケース)
351
367
5
%
売上総利益
260,823
267,317
2.5
%
販売費及び一般管理費
273,868
278,322
1.6
%
その他の収益(経常的に発生した収益)
650
694
6.7
%
その他の費用(経常的に発生した費用)
1,507
942
△37.5
%
持分法による投資利益(△は損失)
△121
57
-
事業損失(△)
△14,023
△11,196
-
その他の収益(非経常的に発生した収益)
5,584
7,438
33.2
%
その他の費用(非経常的に発生した費用)
11,539
3,295
△71.4
%
営業損失(△)
△19,978
△7,053
-
親会社の所有者に帰属する四半期損失(△)
△1,535
△5,194
-
(参考)第3四半期(7月1日~9月30日)(単位:百万円、販売数量を除く)
2021年
2022年
増減率
売上収益
220,222
236,373
7.3
%
販売数量(百万ケース)
134
143
7
%
売上総利益
97,554
104,179
6.8
%
販売費及び一般管理費
96,574
97,047
0.5
%
その他の収益(経常的に発生した収益)
235
173
△26.4
%
その他の費用(経常的に発生した費用)
452
276
△38.9
%
持分法による投資利益(△は損失)
12
△4
-
事業利益
776
7,025
805.6
%
その他の収益(非経常的に発生した収益)
982
780
△20.6
%
その他の費用(非経常的に発生した費用)
3,486
426
△87.8
%
営業利益(△は損失)
△1,728
7,379
-
親会社の所有者に帰属する四半期利益(△は損失)
△1,181
4,705
-
*事業利益(△は損失)は、事業の経常的な業績をはかるための指標であり、売上収益から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除するとともに、その他の収益およびその他の費用のうち経常的に発生する損益を加減算したものです。*2021年の親会社の所有者に帰属する四半期損失(△)には非継続事業が含まれております。
連結売上収益は612,321百万円(前年同期比22,790百万円、3.9%増)となりました。5月の大型PETの価格改定直後の販売数量へのマイナス影響は大きかったものの、人出回復や猛暑による需要増加を背景に、新製品の展開や多様化する消費者ニーズを捉えたチャネルごとの取り組みが奏功し、販売数量は前年同期比5%の増加となりました。また、収益性の高い即時消費チャネルの数量成長や、価格改定を含めたチャネルごとの収益改善の取り組みによりケース当たり納価が改善傾向にあることなどが、売上収益の増加に貢献いたしました。なお、当第3四半期(2022年7月1日から2022年9月30日まで)には、売上収益は数量成長を上回って成長いたしました。連結事業利益は、11,196百万円の損失(前年同期は14,023百万円の損失)となりました。原材料・資材・エネルギー価格高騰や円安の影響、前年同期に実施した一時的なコスト削減の反動等によるコストの増加があったものの、数量成長やパッケージミックス改善、第2四半期以降のケース当たり納価改善による利益貢献に加え、製造・物流効率の向上や変革の推進などによるコスト削減の効果により、事業利益は前年同期比増加(損失が減少)いたしました。連結営業利益は、7,053百万円の損失(前年同期は19,978百万円の損失)となりました。事業利益が前年同期比増加したことに加え、有形固定資産売却益の増加や一時帰休に伴う休業手当費用(以下、一時帰休費用)の減少が貢献したことにより、営業利益は前年同期比増加(損失が減少)いたしました。なお、第3四半期累計期間のその他の収益(非経常的に発生した収益)には、有形固定資産売却益4,060百万円、雇用調整助成金3,329百万円等が含まれております。また、その他の費用(非経常的に発生した費用)には、一時帰休費用2,168百万円、希望退職プログラム実施に伴う特別退職加算金等517百万円等が含まれております。親会社の所有者に帰属する四半期利益は、5,194百万円の損失(前年同期は1,535百万円の損失)となりました。これは、前年同期に子会社であったキューサイ株式会社の株式譲渡による売却益を非継続事業において計上したことによるものです。
<販売数量動向(増減率は前年同期比)>第3四半期累計期間の販売数量は、5%増となりました。当第3四半期は、大型PETの価格改定後の数量へのマイナス影響が継続していたものの、人出回復の傾向継続や猛暑による需要増が貢献し、7%増となりました。チャネル別では、スーパーマーケット、ドラッグストア・量販店は、人出回復の機会を捉えたキャンペーンの実施や新製品の積極的な展開等により小型PETは成長傾向であったものの、価格改定による大型PETの数量減少や厳しい競争環境の影響を受けました。その結果、第3四半期累計期間のスーパーマーケットの販売数量は4%減となりましたが、ドラッグストア・量販店では大型PETの数量減少影響が緩和傾向にあったこともあり2%増となりました。ベンディングは、これまで構築してきたシェア基盤により人出回復や好天の機会を捉えた着実な成長を継続しております。品揃えの強化や自動販売機の設置活動強化、4,000万ダウンロードを達成したスマホアプリ「Coke ON」を通じたキャンペーンの実施等が貢献し、当第3四半期の数量は8%増となり、累計でも5%増となりました。特に、オフィスや学校、レジャー施設など屋内設置の自動販売機を中心に数量が回復しております。また、適正な価格戦略の実施により、ケース当たり納価は前年同期比で改善いたしました。CVSは、厳しい競争環境による影響を受けたものの、カスタマーと連携したキャンペーン等の実施などにより、数量は2%増となりました。リテール・フードでは、飲食店等において人出が回復したことにより、数量は25%増となりました。オンラインは、高い利便性を活かした家庭内消費需要の獲得により人出回復の局面においても全カテゴリーで成長しており、ラベルレス製品の展開や大手オンラインカスタマーとのタイアッププロモーションの実施、定期便ユーザーの獲得等が貢献し、33%増となりました。清涼飲料の製品カテゴリー別では、炭酸は、大型PETの価格改定による数量減少があったものの、人出回復によりベンディングや飲食店等で数量が増加したことや、新製品「ファンタ プレミアレモン」等の貢献により、2%増となりました。茶系は、前年の発売以降順調に売上を伸ばしている「やかんの麦茶 from 一(はじめ)」、新製品「綾鷹カフェ ほうじ茶ラテ」等の貢献があった一方、価格改定による大型PETの数量減少が影響し、1%増となりました。コーヒーは、新製品「ジョージア ブラック」の発売に加え、「コスタコーヒー」のラインナップ拡充や活動強化等により、4%増となりました。スポーツは、猛暑影響や各種イベントの再開等により、小型PET、大型PETとも成長し、10%増となりました。水は、人出回復や猛暑影響により即時消費チャネルを中心に小型PETの数量が成長したことに加え、家庭内消費需要の取り込みによる大型PETの増加により、10%増となりました。アルコールカテゴリーでは、割って飲むレモンサワーの素「檸檬堂 うちわりレモン」の発売や「檸檬堂」350ml缶のマルチパック展開、新製品およびリニューアル製品の貢献があったものの、前年同期の新製品の反動や、コロナ禍で増加した家飲み需要の一巡もあり、17%減となりました。また、今年発売したノンアルコール飲料の「よわない檸檬堂」の販売は順調に進捗しています。
(2) 財政状態の状況総資産は、831,736百万円となり、前連結会計年度末(以下「前期末」)比35,375百万円減少しました。これは主に、「棚卸資産」が増加した一方、社債の償還等により「現金及び現金同等物」が減少したことによるものです。負債合計は、353,042百万円となり、前期末比21,618百万円減少しました。これは主に、「営業債務及びその他の債務」が増加した一方、社債の償還により流動負債の「社債及び借入金」が減少したことによるものです。資本合計は、478,694百万円となり、前期末比13,758百万円減少しました。これは主に、配当金の支払いによる「利益剰余金」の減少によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況等につきましては、次のとおりであります。<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期損失が7,947百万円となり、主に「棚卸資産の増加」があった一方で、「減価償却費及び償却費」、「営業債務及びその他の債務の増加」等により、32,651百万円の収入(前年同期は23,199百万円の収入)となりました。<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、バランスシート健全化に向けた取り組みのなかで、「有形固定資産、無形資産の売却による収入」があった一方で、成長基盤となる戦略投資を行った結果「有形固定資産、無形資産の取得による支出」があったことにより、18,514百万円の支出(前年同期は11,346百万円の収入)となりました。<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、主に「社債の償還による支出」や「配当金の支払額」があったことにより、44,642百万円の支出(前年同期は65,386百万円の支出)となりました。以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、79,991百万円(前期末比30,506百万円減少)となりました。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
① 当社グループの対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。
② 株式会社の支配に関する基本方針についてa.基本方針の内容当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式の大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が事業計画や代替案等を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉等を必要とするものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、①世界中の国や地域で人々に爽やかさとうるおいを届け、人々の生活スタイルの一部となっている「コカ・コーラ」ブランドを、地域社会に根付かせていくこと、②当社の掲げる企業理念を理解し、お客さまから選ばれ市場で私たちが勝利するために積極的に取り組んでいくこと、③お客さまの満足を徹底して追求していこうとする強い使命感を持った社員の存在を理解し、社員一人ひとりに報いるべく彼らが「コカ・コーラ」に誇りを持ち、誰もが働きたいと思う職場環境づくりに積極的に取り組んでいくこと、④豊かな社会の実現の一助となるよう努力を続ける企業市民としての責任感をもって地域社会への貢献ならびに環境問題への積極的な取り組みを行うこと、これらを十分に理解し、ステークホルダーであるお客さま、お得意さま、株主のみなさま、社員との信頼関係を維持し、ステークホルダーのみなさまの期待に応えていきながら、中長期的な視点に立って当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる者でなければならないと考えております。したがって、当社としてはこのような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による当社株式の大量買付に対しては必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上する必要があると考えております。
b.基本方針実現のための取組み(a)基本方針の実現に資する特別な取組みの概要当社グループは、ザ コカ・コーラ カンパニーおよび日本コカ・コーラ株式会社(ザ コカ・コーラ カンパニー100%出資)の戦略的パートナーとして、製品開発やテストマーケティングなどさまざまな取り組みを協働で展開し、日本のコカ・コーラビジネスの変革をリードする役割を担うとともに、ステークホルダーであるお客さま・お得意さま、株主のみなさま、社員から信頼される企業づくりに努めております。清涼飲料業界においては、市場が成熟化し、大きな成長が期待できない中、清涼飲料各社間の業務提携が拡大するなど生き残りをかけた業界再編が一段と加速しており、当社を取り巻く経営環境はさらに厳しくなることが見込まれます。このような状況の中、当社グループは、強固かつ継続的なオペレーティングモデルを確立し、重点エリアでの成功を目指すとともに、成長実現に向けビジネスを抜本的に変革し、すべてのお客さま(消費者)、お得意さまから、あらゆる飲用機会で必ず選ばれる飲料会社を目指してまいります。 また、当社は、ガバナンス体制の一層の強化を目指し、監査等委員会設置会社を採用しております。当社の監査を担う監査等委員会は、複数の独立社外取締役を含む社外取締役(監査等委員)のみで構成されており、この社外取締役である監査等委員が、取締役会における議決権を有していること、ならびに株主総会において取締役の指名・報酬等についての意見を陳述する権利を有していることなどにより、経営監督機能がより強化されております。また、当社は、意思決定および経営管理機能と業務執行機能を分離すべく、執行役員制度を採用しているほか、重要な業務執行の決定の一部を取締役に委任することにより、取締役会において特に重要度の高い事項についての審議をより充実させるとともに、それ以外の事項について、経営陣による経営判断の迅速化も図っております。
(b)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要当社は、当社株式の大量買付けが行われた際には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。また、今後の社会的な動向も考慮しつつ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、当社取締役会が買収防衛策を再導入する必要があると判断した場合には、定款の定めに従い、株主総会において株主のみなさまにその導入の是非をお諮りいたします。c.具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由前記b.(a)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものであります。また、前記b.(b)の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、必要に応じて、法令および当社定款の許容する範囲内で、かつ株主意思を重視した具体的方策として策定されたものであるため、当社の株主共同の利益を損なうものおよび当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。
(6) 主要な設備当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度末に計画していた重要な設備の新設について完了したものは次のとおりであります。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
金額(百万円)
完了年月
コカ・コーラボトラーズジャパン㈱
各支店(-)
飲料事業
自動販売機、クーラー等
9,352
2022年9月
〃
明石メガDC(兵庫県明石市)
〃
物流設備
13,703
2022年6月
#C2579JP #コカコーラボトラーズジャパンHD #食料品セクター