【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響を受けてきましたが、同感染症の分類が「5類感染症」に移行され行動制限の緩和やインバウンド需要回復により、ようやく景気の回復や経済活動の正常化が期待される環境となりました。しかし一方では、ウクライナ情勢に起因する原油価格や原材料価格の高騰、急速な円安の進行などにより、依然として先行きは不透明な状況が続いております。当社が属します食品製造業におきましては、原材料価格の高騰や原油高による包装資材や物流費など各種コストの大幅な上昇に加え、円安の影響も重なって経営環境は一段と厳しい状況となり、各企業は価格改定を行い、消費者の節約意識は高まっております。このような状況のもと、当社は合理化、省エネルギー、品質向上のため継続的かつ積極的な設備投資を行うとともに、全従業員を対象に「改善提案活動」を実施し、全工場でコスト削減に取組んでおります。また、各販売先様には、納入価格の改定をお願いし実施させて頂いておりますが、製品製造における急激な仕入れ単価上昇分をすべて転嫁するまでには至っておりません。引き続き省エネルギー・ローコスト運営の推進を図り、経営効率の向上と利益目標の達成に取組んでまいります。
以上の結果、当事業年度の業績は、国内産大豆を使用した製品の販売が好調で、売上高は16,178百万円と前年同期と比べ2,366百万円(17.1%)の増収となりました。利益につきましては、営業利益は1,039百万円と前年同期と比べ136百万円(15.2%)の増益、経常利益は1,061百万円と前年同期と比べ158百万円(17.5%)の増益、当期純利益は農林水産省補助事業である「輸入小麦等食品原材料価格高騰緊急対策事業」の補助金収入もあり、802百万円と前年同期と比べ195百万円(32.3%)の増益となりました。
なお、当社は単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
(2) 財政状態の分析
① 資産の部当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比較して399百万円増加し、13,814百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末と比較して659百万円増加し、2,807百万円となりました。これは主に現金及び預金が243百万円、売掛金が349百万円増加したこと等によるものです。
固定資産は、前事業年度末と比較して259百万円減少し、11,006百万円となりました。これは主に減価償却により建物が170百万円減少したこと等によるものです。
② 負債の部 当事業年度末における総負債は、前事業年度末と比較して204百万円減少し、5,524百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末と比較して333百万円増加し、3,151百万円となりました。これは主に買掛金が351百万円増加したこと等によるものです。
固定負債は、前事業年度末と比較して538百万円減少し、2,373百万円となりました。これは主に長期借入金が502百万円減少したこと等によるものです。
③ 純資産の部当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比較して604百万円増加し、8,289百万円となりました。これは主に当期純利益802百万円の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末と比較して243百万円増加し、404百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は、2,155百万円(前事業年度は2,184百万円の収入)となりました。これは、収入要因として税引前当期純利益1,216百万円、減価償却費1,484百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により支出した資金は、946百万円(前事業年度は846百万円の支出)となりました。これは主に、設備更新に伴う、有形固定資産の取得による支出1,090百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により支出した資金は、966百万円(前事業年度は1,426百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額200百万円、長期借入金の返済による支出550百万円等があったことによるものです。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績当社は、豆腐等製造販売事業の単一セグメントであり、当事業年度の生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
豆腐等製造販売事業
12,961,257
118.2
合計
12,961,257
118.2
(注) 1.金額は、製造原価によっております。
② 受注実績当社は、受注予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績当社は、豆腐等製造販売事業の単一セグメントであり、当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
豆腐等製造販売事業
16,178,595
117.1
合計
16,178,595
117.1
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前事業年度(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当事業年度(自 2022年7月1日至 2023年6月30日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
㈱日本アクセス
2,702,511
19.6
2,696,473
16.7
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項」に記載しております。この財務諸表の作成にあたっては、損益または資産・負債の状況に影響を与える見積り、判断を必要としております。過去の実績やその時点で入手可能な情報を基に、合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した上で、継続的に見積り、判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容① 売上高当事業年度における売上高は16,178百万円となり、前事業年度と比較して2,366百万円の増加となりました。これは当社主力商圏(中四国・関西地方等)での販売が堅調であったことに加え、関東地方での積極的な営業が成果を上げ富士山麓工場の稼動が好調に推移したことと、国内産大豆を使用した製品の販売が伸びたことによるものです。
② 売上原価、売上総利益当事業年度における売上原価は、12,942百万円となり、前事業年度と比較して1,983百万円の増加となりました。これは主に、売上高増加による材料費の増加や人件費の増加もありましたが、エネルギー価格等の高騰もあったためであります。以上の結果、売上総利益は3,236百万円となりました。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益当事業年度における販売費及び一般管理費は、2,196百万円となりました。これは主に、荷造運賃等の増加によるものであります。以上の結果、営業利益は前事業年度と比較して136百万円増加し、1,039百万円となりました。
④ 営業外収益、営業外費用、経常利益当事業年度における営業外収益は43百万円となり、前事業年度と比較して18百万円の増加となりました。これは主に、保険金収入が20百万円生じたこと等によるものであります。当事業年度における営業外費用は、22百万円となり、前事業年度と比較して3百万円の減少となりました。以上の結果、経常利益は前事業年度と比較して158百万円増加し、1,061百万円となりました。
⑤ 特別利益、特別損失、当期純利益当事業年度における特別利益は農林水産省補助事業である「輸入小麦等食品原材料価格高騰緊急対策事業」の補助金収入があり154百万円となりました。当事業年度における特別損失はありませんでした。以上の結果、当期純利益は、前事業年度と比較して195百万円増加し802百万円となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社の主な資金需要は、豆腐製品等を製造するための原材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用に加え、工場や生産設備の更新、改修等に関する投資によるものとなっております。これらの資金需要につきましては、営業費用等短期的に必要な資金は営業キャッシュフロー、自己資金及び短期借入金等で調達していく、一方、設備投資に必要な資金は、自己資金、長期借入金及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化、事業リスク、業績の変動要因、法的規制、許認可、人材の確保・育成、自然災害等のリスク、情報システムリスク、訴訟に係るリスク等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は、外部環境の変化に留意しつつ、人材の確保・教育、リスク分散、社内の統制を維持・向上させること等により経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスクを分散、回避し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
(5) 経営戦略の現状と見通し今期までの当社の経営戦略につきましては、他社に先駆けて製造工程の機械化等の設備投資を実施し、大量かつ安価な製品を提供することで成長を続けることでありました。この戦略のもと、地盤の中四国地方を始めとし、近畿地方においてもシェアを獲得してまいりました。 今後につきましても、引き続き積極的に設備投資を行い、生産能力及び生産効率の向上に努め、中四国地方および近畿地方でのシェア維持・拡大を図るとともに、重点戦略として、新たに建設した富士山麓工場を活用し、関東地域へ、積極的な営業活動を開始し、本格的に参入することで、更なるシェア拡大を図ることとしております。 今後の見通しにつきましては、これらの戦略をベースに概ね利益計画どおり実績を積み上げることで、事業拡大に努める所存であります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について当社は、積極的に設備投資を行い、生産能力及び生産効率の向上を図るとともに、事業拡大を図っていく方針ですが、その前提として、引き続き食品安全衛生に取り組む必要があると考えております。また、業容拡大に合わせて人材を確保し、育成していくことが重要であると認識しております。具体的には、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。