【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和等により、景気は徐々に回復の動きを見せました。しかしながら、ウクライナ情勢の影響による資源価格の高騰や供給面の制約に加え、物価上昇や金融資本市場の変動等による個人消費の低迷が懸念される等、依然として先行きは不透明な状況にあります。このような経済情勢のもと、当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、大井競馬場や伊勢崎オートレース場、東京サマーランドにて入場者数に上限を設ける等の運営に係る影響がありましたが、SPAT4(南関東4競馬場在宅投票システム)を中心とした公営競技事業の売上が引き続き順調に推移したことにより、前年度を上回る売上を確保いたしました。また、2021年2月に策定・公表しております「第3次中期経営計画~Galloping into the future~」に掲げる各事業セグメント別の課題への取り組みといたしましては、各種機能の強化を施したSPAT4第5次システムの稼働や、大井競馬場第3駐車場の開発に着手する等、諸施策を推進しております。さらに、重要な社会課題に対処するべく、サステナビリティ経営方針を構築し、当社グループの取り組みについて、2022年4月にサステナビリティサイトとして開設・公表いたしました。その結果、第99期連結会計年度の業績につきましては、売上高は35,450百万円(前期比11.5%増)、営業利益は14,163百万円(同10.6%増)、経常利益は14,171百万円(同10.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は9,386百万円(同3.3%増)となりました。なお、財政状態につきましては、資産合計は124,647百万円(同13.2%増)、負債合計は44,359百万円(同19.0%増)、純資産合計は80,288百万円(同10.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
[公営競技事業]大井競馬におきましては96日開催され、この間、大井競馬場内における新型コロナウイルス感染症対策として、5月までは入場者数の上限を5,000名に、6月以降は上限15,000名とし開催されました。SPAT4におきましては、全国の地方競馬を15,120レース発売し、SPAT4のポイントサービスである「SPAT4プレミアムポイント」で約2年ぶりとなる競馬場バックヤードツアーを実施した他、競馬予想配信番組のリニューアルや各種キャンペーンを継続的に展開する等、会員数及び勝馬投票券の売上増加、ファンサービスの更なる向上に努めました。これらSPAT4をはじめとする2022年の地方競馬の勝馬投票券売上は1兆円を突破(1兆651億円)し、暦年での売上レコードを更新いたしました。また、当社グループでは、2022年4月1日にSPAT4システムに係る運営事業を行う子会社「株式会社eパドック」を設立いたしました。同社を通じて、システムの安定稼働はもとより、DXへの対応等、より良いサービスの提供と地方競馬の魅力発信に今後も全力を注いでまいります。この他、第5季目となる大井競馬場でのイルミネーションイベント「東京メガイルミ2022-2023」は、一部演出のリニューアルや馬イベントの拡充等を行い営業いたしました。人気コンテンツとのコラボレーション企画が人気を博し、各種メディアに取り上げられる等、大井競馬場の更なる認知度向上とイメージアップに繋がりました。伊勢崎オートレースにおきましては、オートレースの本場開催が144日、他場の場外発売は延べ260日実施され、新型コロナウイルス感染症対策を講じながらの開催となりましたが、勝車投票券売上は引き続き好調に推移いたしました。この間、選手への安全強化策として競走路内に新たな緩衝材を設置しました。以上の結果、公営競技事業の売上高は26,102百万円(前期比11.3%増)、セグメント利益は11,998百万円(同8.6%増)となりました。
[遊園地事業]東京サマーランドにおきましては、冬季休園期間を経て2022年3月25日より今季の営業を開始いたしました。夏季期間においては、「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に則り滞留人数を上限10,000名としたうえで、各種コラボレーション企画やステージイベントの実施を通じてお客様満足度の向上に努めました。また、夏季期間以外においては、駐車場を活用したフリーマーケットを継続的に実施する等、集客強化及び施設の有効活用に努めた他、2022年11月には、音楽を通じて秋川流域の観光PRに繋げる、第4回「秋川“四季の奏で”音楽会」チャリティーコンサートを実施する等、文化・社会貢献活動にも積極的に取り組みました。なお、東京サマーランドでは2024年夏オープンに向け、新たなプールの建設と周辺環境整備に2022年の秋より着手しております。以上の結果、東京サマーランド及び各施設の入場者数は、各種施策の効果もあり前期比41.7%増となる74万人となり、遊園地事業の売上高は2,670百万円(前期比52.4%増)、セグメント利益は118百万円(前期はセグメント損失427百万円)となりました。
[倉庫賃貸事業]倉庫賃貸事業におきましては、千葉県習志野市茜浜地区において2024年の稼働に向けて2棟目となる新倉庫の建設工事を進めるとともに、施設の有効活用と様々な顧客ニーズに対応するため、勝島第2地区ABC棟倉庫の一部を利用した小規模賃貸倉庫「KuraFit(クラフィット)」の営業を9月より開始いたしました。また、12月より勝島第1地区において実質的にCO2排出量がゼロとなる再生可能エネルギー由来の電力を導入し、環境負荷軽減に向けた取り組みを推進いたしました。なお、勝島周辺地域の活性化を目的として実施しております、京浜運河沿いに位置する当社倉庫へのライトアップにつきましては、節電要請に伴い点灯を休止した時期もありましたが、12月9日より点灯時間を短縮して再開いたしました。以上の結果、2021年8月に竣工した勝島第1地区5号倉庫が通期稼働したことから、倉庫賃貸事業の売上高は5,097百万円(前期比4.4%増)、セグメント利益は2,936百万円(同0.0%減)となりました。
[サービス事業]オフィスビル「ウィラ大森ビル」において安定的な収益確保に努めた他、大井競馬場前ショッピングモール「ウィラ大井」では、夏季及び冬季にお子様向けのワークショップや音楽イベント、品川名産品物産展を展開する等、お客様の満足度向上や、周辺地域との連携強化に努めました。さらに、大井競馬場第3駐車場を活用した開発計画を10月に公表し、「ミュージカル劇場」並びに「商業・オフィスビル」の建設に着手いたしました。空調設備事業においては、工事に携わるスタッフへの新型コロナウイルス感染症対策を講じる等の安全管理対策を強化したうえで、引き続き安定的な工事の受注及び施工に努めました。以上の結果、サービス事業の売上高は2,283百万円(前期比12.0%増)、セグメント利益は397百万円(同8.4%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、17,971百万円と前連結会計年度末に比べ2,933百万円(14.0%)の減少となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益13,353百万円、減価償却費4,896百万円などの増加要因に対し、法人税等の支払額4,160百万円などの減少要因により、14,675百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ308百万円(2.1%)の収入増加となりました。この主な要因は、公営競技事業における在宅投票システム(SPAT4等)賃貸料収入が伸長したことによります。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出5,368百万円、無形固定資産の取得による支出1,485百万円などにより、14,844百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ4,021百万円(37.2%)の支出増加となりました。この主な要因は、当期においてSPAT4第5次システムの稼働に伴い設備投資が増加したためであります。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1,774百万円、長期借入金の返済による支出1,000百万円などにより、2,764百万円の支出(前連結会計年度は2,199百万円の収入)となりました。この主な要因は、配当金支払額の増加によるものであります。
③ 営業収益の状況
当連結会計年度の売上高等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
区分
売上高
セグメント利益
金額(千円)
前期比
金額(千円)
前期比
公営競技事業
26,102,896
11.3
%
11,998,355
8.6
%
遊園地事業
2,670,873
52.4
%
118,958
-
倉庫賃貸事業
5,097,761
4.4
%
2,936,254
△0.0
%
サービス事業
2,283,023
12.0
%
397,418
△8.4
%
セグメント間取引の消去等
△704,147
-
△1,287,191
-
合計
35,450,407
11.5
%
14,163,796
10.6
%
(注) 主な相手先別の売上高に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
特別区競馬組合
8,626,584
27.1
9,400,980
26.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①
財政状態の分析当連結会計年度末における資産合計額は、124,647百万円と前連結会計年度末に比べ14,533百万円(13.2%)増加いたしました。流動資産は37,458百万円と前連結会計年度末に比べ6,911百万円(22.6%)増加いたしました。これは、有価証券が320百万円減少したものの、現金及び預金が6,031百万円、受取手形、営業未収入金及び契約資産が880百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。固定資産は87,189百万円と前連結会計年度末に比べ7,622百万円(9.6%)増加いたしました。有形固定資産については、SPAT4第5次システムリプレースなどにより、前連結会計年度末に比べ3,832百万円(5.3%)増加いたしました。無形固定資産については、SPAT4第5次システムリプレースなどにより、前連結会計年度に比べ3,535百万円(126.4%)増加いたしました。投資その他の資産については、投資有価証券、長期立替金が減少したものの、繰延税金資産の増加により前連結会計年度末に比べ255百万円(5.9%)増加いたしました。当連結会計年度末における負債合計額は、44,359百万円と前連結会計年度末に比べ7,091百万円(19.0%)増加いたしました。流動負債は26,538百万円と前連結会計年度末に比べ18,119百万円(215.2%)増加いたしました。これは、1年内償還予定の社債が10,000百万円、未払金が7,250百万円増加したことが主な要因であります。固定負債は17,821百万円と前連結会計年度末に比べ11,028百万円(38.2%)減少いたしました。これは、社債について固定負債から流動負債に振り替えたことにより10,000百万円減少したことが主な要因であります。当連結会計年度末における純資産合計額は、80,288百万円と前連結会計年度末に比べ7,442百万円(10.2%)増加いたしました。これは、期末配当金及び中間配当金の支払により1,781百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益9,386百万円の計上により、利益剰余金が7,604百万円増加したことが主な要因であります。以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末の66.2%から64.4%に下がり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,657.32円から2,929.06円に増加いたしました。
②
経営成績の分析当連結会計年度の連結業績における売上高については、公営競技事業において、在宅投票システム(SPAT4)の売上が順調に推移していることなどにより増収となりました。この結果、売上高は35,450百万円と前連結会計年度に比べ3,649百万円(11.5%)増収となりました。売上原価は、増収となった公営競技事業において、「SPAT4プレミアムポイント」のキャッシュバック費用や広告宣伝費に加え、SPAT4第5次システムのリプレースにより減価償却費や保守費が増加したことにより、19,493百万円と前連結会計年度に比べ2,197百万円(12.7%)増加となりました。また、販売費及び一般管理費は1,793百万円で前連結会計年度に比べ91百万円(5.4%)増加となりました。この結果、営業利益は14,163百万円と前連結会計年度に比べ1,360百万円(10.6%)の増益となりました。営業外収益については、受取配当金25百万円、受取保険金10百万円等を計上いたしました。また、営業外費用については、支払利息47百万円等を計上いたしました。この結果、経常利益は14,171百万円と前連結会計年度に比べ1,328百万円(10.3%)の増益となりました。特別利益については、投資有価証券売却益536百万円、補助金収入404百万円を計上いたしました。特別損失については、SPAT4第4次システム除却に伴う固定資産除却損1,758百万円を計上いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は13,353百万円と前連結会計年度に比べ242百万円(1.8%)の増益となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は3,967百万円と前連結会計年度に比べ59百万円(1.5%)減少いたしました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は9,386百万円と前連結会計年度に比べ301百万円(3.3%)の増益となりました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の320.43円から342.41円に増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資金需要のうち主なものは運転資金及び設備投資資金であります。当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入れ及び社債の発行により資金調達を行っております。なお、設備投資の概要及び重要な設備の新設に関する計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2018年12月期
2019年12月期
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
自己資本比率(%)
68.3
71.3
71.7
66.2
64.4
時価ベースの自己資本比率(%)
84.6
104.6
135.9
106.2
83.2
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
2.0
1.9
1.3
1.8
1.7
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
106.5
290.7
422.1
488.0
307.9
自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利息を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2021年2月に策定・公表しております2021年12月期から2025年12月期までの5年間を計画期間とする「第3次中期経営計画~Galloping into the future~」において、売上高400億円、営業利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円を最終年度の目標に掲げております。同計画の2年度目である当連結会計年度の売上高は35,450百万円(前期比11.5%増)、営業利益14,163百万円(同10.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,386百万円(同3.3%増)となり、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益において、第3次中期経営計画で定めている当連結会計年度の業績目標を上回る結果となりました。なお、株主還元の方針につきましては、当社は安定性・継続性を踏まえ、安定配当を基本としており、原則的には金銭での配当による還元を行っております。第3次中期経営計画の期間中は、年間配当金50円/株をベースラインとし、事業環境等を勘案のうえ、業績に応じて配当性向20%~30%を指針として利益還元を行ってまいります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(新型コロナウイルス感染症)重要な会計方針及び新型コロナウイルスの影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
(繰延税金資産)当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。なお、繰延税金資産につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」に記載しております。
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