【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績の状況
①業績 (単位:百万円)
第2四半期
連結累計期間
売上収益
事業利益(※)
営業利益
親会社の所有者に帰属する四半期利益
2023年
238,527
3,505
△2,810
△5,104
2022年
213,788
△2,155
△241
△386
増減率(%)
11.6
-
-
-
※事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。
<売上収益>
売上収益は、主に酒類事業の増収により、前年同期比11.6%増、247億円増収の2,385億円となりました。新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、業務用市場は回復基調が続いたことにより、主に業務用ビール売上、ビヤホールなどの外食店舗売上が、前年同期から増加しました。また、海外酒類では北米での好調な販売、2022年8月末にSTONE BREWING CO.,LLC(以下、Stone社)が当社グループに加わったこと等が寄与し、増収となりました。
<事業利益>
事業利益は、国内酒類や外食における業務用ビールの売上の回復や、コスト構造改革による費用の減少等により、前年同期比57億円改善し、35億円の利益となりました。
<営業利益>
営業利益は、事業利益が改善した一方で、事業ポートフォリオの見直しの一環で検討を進めておりました海外子会社の解散を決議したことに伴う減損損失の計上等により、前年同期比26億円の減益となり、28億円の損失となりました。
<親会社の所有者に帰属する四半期利益>
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益が減少し、前年同期比47億円の減益となり、51億円の損失となりました。また、基本的1株当たり利益は△65.52円(前年同期△4.96円)となり、親会社所有者帰属持分比率は26.5%(前年同期28.0%)となりました。
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。
〔酒類事業〕
売上収益は、業務用市場の順調な回復、価格改定、北米での好調な販売、2022年8月末にStone社が当社グループに加わったこと等により、前年同期から増収となりました。
事業利益は、原材料高騰等により変動費が増加したものの、業務用市場の回復等の増収効果及び外食事業の構造改革効果により、前年同期から増益となりました。
営業利益は、事業利益が前年同期から増益になったものの、事業ポートフォリオの見直しの一環で検討を進めておりました海外子会社の解散を決議したこと等により、その他の営業費用が増加し、前年同期から減益となりました。
■売上収益 1,725億円(前年同期比263億円、18.0%増)
■事業利益
50億円(前年同期は5億円の損失)
■営業利益
△12億円(前年同期は12億円の利益)
酒類事業に属する国内酒類、海外酒類、外食の詳細は次のとおりです。
(国内酒類)
新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、業務用市場は回復基調にあった一方で、家庭用市場は軟調に推移しました。その結果、日本国内のビール類総需要は、前年同期比99%程度になったと推定されます。
当期は、2023年10月の酒税改定を見据えたビール強化とRTD強化(※)により一層注力しています。
そのような中、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、業務用商品の増加により、前年同期比101%となりました。一方、家庭用商品では、業務用市場の回復影響を受けながらも、黒ラベル缶の売上数量が前年同期比100%、RTD缶の売上数量が前年同期比104%となり、引き続き好調に推移しました。
(海外酒類)
カナダでは、新型コロナウイルス感染症対策により経済再開が進み、業務用市場は前年同期より回復傾向にあり、ビール類総需要は前年同期を上回りました。一方、アメリカではインフレ進行の影響などにより、前年同期を下回ったと推定されます。
そのような中、海外ブランドのビールの売上数量は、カナダでの業務用市場の回復に加えて、アメリカにおいてStone社の売上が加わったこともあり、前年同期を上回りました。また、注力している北米でのサッポロブランドビールの売上数量は、前年同期比104%と好調に推移しました。
なお、2023年7月にANCHOR BREWING COMPANY, LLC(以下、Anchor社)の解散を決議しました。Anchor社は、事業不振が継続していたことから、中期経営計画において事業整理の対象として位置付けておりました。成長ドライバーとなるアメリカにおいては、構造改革を断行することでリソースをシフトし、Stone社とのシナジー創出により、サッポロブランドビールを中心としたさらなる成長を目指します。
(外食)
新型コロナウイルスの影響も一服したことで、経済活動の正常化が進み、外食市場は回復基調が続いております。
そのような中、当社グループの外食事業は2019年比の既存店売上が価格改定や来客数の回復により103%となり、新型コロナウイルス拡大前の水準まで回復してきております。
※ RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料
〔食品飲料事業〕
売上収益は、価格改定があったものの、自動販売機オペレーター子会社の清算に伴う稼働台数の減少や2022年4月にカフェ事業を売却した影響もあり、前年同期から減収となりました。
事業利益及び営業利益は、原材料高騰の影響を受けたものの、価格改定や構造改革による効果が寄与し、前年同期から改善しました。
■売上収益 554億円(前年同期比21億円、3.6%減)
■事業利益
5億円(前年同期は8億円の損失)
■営業利益
4億円(前年同期は3億円の損失)
(国内食品飲料)
業務用市場や自動販売機における需要は、「ウィズコロナ」の生活様式が浸透した影響を受けてはいるものの、各種規制緩和により回復し、国内における飲料総需要は、前年同期比98%と推定されます。
そのような中、売上金額は、価格改定の影響もあり、注力しているレモン事業の主力ブランドであるキレートレモンが前年同期比108%、国産素材にこだわった無糖茶が前年同期比102%となったものの、飲料全体では、自動販売機オペレーター子会社の清算に伴う稼働台数減少等により、前年同期比93%となりました。
(海外飲料)
シンガポールにおいて、家庭用チャネルを中心に堅調に売上推移したことで、シンガポール国内の売上金額は前年同期比104%となりました。
また、注力エリアであるマレーシアの売上金額は、販売体制の強化を進めたことで前年同期比110%となりました。中東を中心とした輸出の売上金額も好調に推移し、前年同期比113%となりました。
〔不動産事業〕
売上収益は、大型複合施設の「恵比寿ガーデンプレイス」におけるセンタープラザの2022年11月のリニューアル開業の効果等により、前年同期から増収となりました。
事業利益及び営業利益は、売上収益の増収効果があった一方で、市況悪化の影響や2022年より開始した「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス棟の空調機能更新工事に伴う稼働率の低下により、前年同期から減益となりました。
■売上収益 106億円(前年同期比5億円、4.9%増)
■事業利益 19億円(前年同期比6億円、25.2%減)
■営業利益 18億円(前年同期比5億円、21.3%減)
首都圏のオフィス賃貸市場では、稼働率及び平均賃料水準は年初より回復には至っておりません。
そのような中、当社グループの不動産事業では、「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス稼働率が低下しました。その一方で、アウトドアブランド集積効果による売上伸長と催事イベントやシネマが好調だったことにより、「サッポロファクトリー」の全館売上が順調に推移しました。
(2)財政状態に関する説明
当第2四半期連結会計期間末における資産、負債、資本の状況とそれらの増減の要因は次のとおりです。
(単位:百万円)
区分
2022年12月期
2023年6月期
増減額
流動資産
179,431
162,401
△17,031
非流動資産
459,687
482,139
22,452
資産合計
639,118
644,540
5,421
流動負債
219,515
183,206
△36,309
非流動負債
252,402
289,761
37,359
負債合計
471,917
472,967
1,050
資本合計
167,201
171,572
4,371
負債及び資本合計
639,118
644,540
5,421
当第2四半期連結会計期間末における資産は、季節性要因の影響による営業債権及びその他の債権の減少等があった一方、公正価値の変動によるその他の金融資産(非流動)、有形固定資産の増加等によって、前連結会計年度末と比較して54億円増加し、6,445億円となりました。
負債は、社債及び借入金(流動)の減少等があった一方、社債の発行による社債及び借入金(非流動)の増加等によって、前連結会計年度末と比較して11億円増加し、4,730億円となりました。
資本は、親会社の所有者に帰属する四半期損失の計上、期末配当の実施による利益剰余金の減少等があった一方、在外営業活動体の換算差額、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の変動によるその他の資本の構成要素の増加等により、前連結会計年度末と比較して44億円増加し、1,716億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ20億円(13%)増加し、174億円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減の要因は次のとおりであります。
(単位:百万円)
区分
2022年6月期
2023年6月期
増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー
5,499
24,568
19,068
投資活動によるキャッシュ・フロー
△10,501
△8,946
1,555
フリー・キャッシュ・フロー
△5,001
15,622
20,623
財務活動によるキャッシュ・フロー
3,462
△15,663
△19,125
現金及び現金同等物に係る換算差額
2,393
2,047
△345
現金及び現金同等物の増減額(△減少)
854
2,006
1,153
現金及び現金同等物の期首残高
17,368
15,380
△1,988
現金及び現金同等物の期末残高
18,222
17,386
△835
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、246億円(前年同期比191億円、347%増)となりました。これは主に、未払酒税の減少額79億円、税引前四半期損失33億円の減少要因があった一方、営業債権及びその他の債権の減少額154億円、減価償却費及び償却費102億円、減損損失56億円の増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、89億円(前年同期比16億円減)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入が57億円あった一方で、有形固定資産の取得による支出60億円、投資有価証券の取得による支出54億円、投資不動産の取得による支出35億円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、157億円(前年同期は35億円の収入)となりました。これは主に、社債の発行による収入が200億円、長期借入による収入が130億円あった一方、コマーシャル・ペーパーの減少が320億円、短期借入金の減少が60億円、長期借入金の返済による支出が50億円あったことによるものです。
(4)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は、12億円です。当社グループの研究開発活動状況に重要な変更はありません。
(7)主要な設備
当第2四半期連結会計期間末において、継続中の重要な設備の新設の計画は、次のとおりであります。
会社名
事業所名
セグメント
の名称
設備の
内容
投資予定額
資金調達
方法
着手年月
完成予定
年月
完成後の
増加能力
総額
既支払額
サッポロビール㈱
仙台工場
(宮城県名取市)
酒類
RTD生産
設備
3,894
(百万円)
107
(百万円)
自己資金
及び借入金
2022年
8月
2023年
10月
年間約1,100万函(注1)
サッポログループ物流㈱
倉庫
(千葉県船橋市)
酒類
物流拠点
8,493
(百万円)
-
リース
2023年
2月
2024年
8月
約2,300パレット
サッポロ不動産開発㈱
投資不動産
(北海道札幌市)
不動産
投資不動産
5,625
(百万円)
417
(百万円)
自己資金
及び借入金
2022年
11月
2024年
5月
-
STONE BREWING CO.,LLC
リッチモンド工場
(アメリカ
バージニア州)
酒類
ビール生産
設備
38
(百万米
ドル)
6
(百万米
ドル)
自己資金
及び借入金
2022年
10月
2024年
6月
年間約150万函(注2)
STONE BREWING CO.,LLC
エスコンディード工場
(アメリカ
カリフォルニア州)
酒類
ビール生産
設備
18
(百万米
ドル)
3
(百万米
ドル)
自己資金
及び借入金
2022年
10月
2024年
6月
-
POKKA PTE.LTD.
事務所兼倉庫
(シンガポール)
食品飲料
研究開発・
営業兼
物流拠点
100
(百万シンガポールドル)
-
リース
2022年
3月
2024年
3月
-
(注)1 RTDは250ml×24本換算。完成後の増加能力については商品構成により変動することがあります。
2 ビールは633ml×20本換算。完成後の増加能力については商品構成により変動することがあります。