【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1)業績の状況
(単位:百万円)
第3四半期連結累計期間
売上収益
事業利益(※)
営業利益
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
2022年
345,812
5,750
7,533
5,299
2021年
309,061
1,544
23,948
15,731
増減率(%)
11.9
272.4
△68.5
△66.3
※事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。
<売上収益>
売上収益は、主に酒類事業の増収により、前年同期比11.9%増、368億円増収の3,458億円となりました。食品飲料事業及び不動産事業が減収となったものの、業務用市場の回復、アメリカの家庭用市場における好調な販売等により酒類事業が増収となり、全体では前年同期から増収となりました。
<事業利益>
事業利益は、不動産事業が減益となった一方で、前年同期比272.4%増、外食需要の回復等が貢献した酒類事業、昨年実施した構造改革効果が寄与した食品飲料事業が増益となり、前年同期比42億円の増益となり、57億円となりました。
<営業利益>
営業利益は、事業利益が改善した一方で、前年の投資不動産の売却益の反動等により、前年同期比68.5%減、前年同期比164億円の減益となり、75億円となりました。
<親会社の所有者に帰属する四半期利益>
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益が減少し、前年同期比66.3%減、前年同期比104億円の減益となり、53億円となりました。また、基本的1株当たり利益は68.02円(前年同期は201.95円)となり、親会社所有者帰属持分比率は27.1%(前年同期29.0%)となりました。
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。
〔酒類事業〕
・売上収益は、業務用市場の回復、アメリカの家庭用市場における好調な販売等により、前年同期から増収となりまし
た。
・事業利益及び営業利益は、原材料高騰等により変動費が増加したものの、増収効果と外食事業の構造改革効果により、前年同期から増益となりました。
■売上収益 2,410億円(前年同期比389億円、19.3%増)
■事業利益
49億円(前年同期は0億円の利益)
■営業利益
68億円(前年同期は2億円の損失)
酒類事業に属する国内酒類、海外酒類、外食の詳細は次のとおりです。
(国内酒類)
・新型コロナウイルスの第7波による感染者の急拡大に伴い、業務用市場の需要は一時的に落ち込みましたが、昨年の
緊急事態宣言発出などによる飲食店での酒類提供制限時より影響は穏やかでした。また、価格改定前の需要増加もあ
り、日本国内のビール類総需要は、前年同期比109%程度になったと推定されます。
・そのような中、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、業務用商品の売上数量の増加と、価格改定
前の駆け込み需要で家庭用商品が増加したことにより、前年同期比111%となりました。
(海外酒類)
・新型コロナウイルス感染症対策により経済再開が進み、業務用市場の需要は前年より回復傾向にあるものの、北米に
おけるビール類総需要は、アメリカ、カナダともに前年同期を下回ったと推定されます。
・そのような中、海外ブランドのビールの売上数量は、カナダでは業務用市場の回復により前年同期を上回りました。
注力しているRTD(※)の売上数量は、前年同期を上回り推移しております。さらに、サッポロブランドビールの売
上数量は、アメリカでの業務用市場が回復したことや、家庭用への取組の強化が奏功したことにより好調に推移しま
した。
・また、特に米国におけるサッポロブランドビールのさらなる伸長に向けた製造拠点の獲得と、新たなブランド獲得に
よるビール事業の拡大等を目的に、Stone Brewing Co.,LLC(以下、Stone社)を取得し、8月末より連結子会社化し
ました。
(外食)
・新型コロナウイルスの影響を受け、パブレストラン・居酒屋業界の需要は不安定な状況が続いていますが、営業上の
規制が解除された4月以降、新型コロナウイルス感染症の再拡大等により上下動はありながらも、緩やかな回復基調
に転じております。
※ RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料
〔食品飲料事業〕
・売上収益は、不採算自動販売機の削減による売上数量の減少や4月にカフェ事業を売却した影響もあり、前年同期か
ら減収となりました。
・事業利益及び営業利益は、原材料高騰の影響を受けたものの、不採算自動販売機の削減やカフェ事業の売却等の構造
改革による利益改善の効果が寄与し、前年同期から増益となりました。
■売上収益 895億円(前年同期比9億円、1.0%減)
■事業利益 8億円(前年同期は3億円の損失)
■営業利益 13億円(前年同期は0億円の損失)
・業務用市場や自動販売機における需要は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けてはいるものの、各種制
限緩和により回復し、国内における飲料総需要は、前年同期比109%と推定されます。
・そのような中、国内では、飲料の売上数量が、健康意識の高まりを背景にレモン飲料が好調に推移したものの、不採
算自動販売機の削減による売上数量の減少により、前年同期比99%となりました。
・海外では、シンガポールにおいて、新型コロナウイルス感染症の拡大による各種制限が緩和されたことで、シンガポ
ール国内の売上収益は前年同期比104%となりました。シンガポール国外への輸出も好調に推移し前年同期比128%と
なりました。
・なお、伸長するレモン事業を中心とした成長分野へ経営資源を集中させるため、4月にカフェチェーン「カフェ・
ド・クリエ」を展開するポッカクリエイト社の全株式を譲渡しました。
〔不動産事業〕
・売上収益は、昨年6月の「恵比寿ファーストスクエア」の売却や、「恵比寿ガーデンプレイス」におけるセンタープ
ラザの本年11月のリニューアル開業に向けた改装工事の影響等により、前年同期から減収となりました。
・事業利益は、売上収益の減収の影響により、前年同期から減益となりました。
・営業利益は、前年の投資不動産の売却益の反動等により、前年同期から減益となりました。
■売上収益 152億円(前年同期比13億円、7.8%減)
■事業利益 48億円(前年同期比16億円、24.6%減)
■営業利益 41億円(前年同期比244億円、85.5%減)
・首都圏のオフィス賃貸市場では、稼働率及び平均賃料水準は年初より回復には至っておりません。
・そのような中、当社グループの不動産事業では、大型複合施設の「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス稼働率が、
市況悪化の影響や空調の機能更新工事の影響もあり低下しました。
(2)財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末における資産、負債、資本の状況とそれらの増減の要因は次のとおりです。
(単位:百万円)
区分
2021年12月期
2022年9月期
増減額
流動資産
167,806
166,247
△1,559
非流動資産
426,745
473,758
47,013
資産合計
594,551
640,004
45,453
流動負債
210,535
218,453
7,918
非流動負債
220,688
247,419
26,731
負債合計
431,224
465,872
34,649
資本合計
163,327
174,132
10,805
負債及び資本合計
594,551
640,004
45,453
当第3四半期連結会計期間末における資産は、連結子会社の売却による売却目的で保有する資産、前年度末が休日であったこと等による影響で営業債権及びその他の債権等が減少した一方、Stone社の買収によるのれん、有形固定資産の増加等によって、前連結会計年度末と比較して455億円増加し、6,400億円となりました。
負債は、前年度末が休日であったこと等による影響でその他の流動負債の減少等があった一方、社債及び借入金(流動)、その他の金融負債(非流動)の増加等によって、前連結会計年度末と比較して346億円増加し、4,659億円となりました。
資本は、期末配当の実施があった一方で、為替相場の変動によるその他の資本の構成要素の増加、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末と比較して108億円増加し、1,741億円となりました。
(3)キャッシュ・フローに関する説明
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ21億円(12%)増加し、195億円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(単位:百万円)
区分
2021年9月期
2022年9月期
増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー
26,931
13,457
△13,474
投資活動によるキャッシュ・フロー
17,652
△41,942
△59,594
フリー・キャッシュ・フロー
44,583
△28,485
△73,068
財務活動によるキャッシュ・フロー
△51,525
30,752
82,277
現金及び現金同等物に係る換算差額
498
△168
△667
現金及び現金同等物の増減額(△減少)
△6,444
2,099
8,542
現金及び現金同等物の期首残高
19,734
17,368
△2,366
現金及び現金同等物の期末残高
13,290
19,467
6,177
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、135億円(前年同期比135億円、50%減)となりました。これは主に、法人所得税等の支払額102億円、未払酒税の減少額98億円、退職給付に係る資産及び負債の増減額55億円の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費156億円、営業債権及びその他の債権の減少額129億円、税引前四半期利益90億円の増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、419億円(前年同期は177億円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入28億円があった一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の取得による支出226億円、投資不動産の取得による支出116億円、有形固定資産の取得による支出63億円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、308億円(前年同期は515億円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出140億円があった一方、長期借入による収入400億円があったことによるものです。
(4)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2022年11月9日に開催された取締役会において、2023年を期初とする4か年の「中期経営計画(2023~26)」を決議しました。中期経営計画では「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」を基本方針として掲げ、事業ポートフォリオ整理に基づく構造改革を断行し、海外事業・コア事業における成長実現を目指します。
財務目標・指標としては、成長を伴ったキャッシュ創出力の向上と資本コストを上回るリターンを目指し、自己資本利益率(ROE)8%、EBITDA年平均成長率10%程度、海外売上高年平均成長率10%程度を定めております。
また、中期経営計画の策定にあたり、グループを取り巻く社会情勢や事業環境の変化に対応して、サステナビリティ重点課題を全面的に見直しました。それぞれ新たな目標を設定し、その達成に向けて、進捗をモニタリングしながら取り組みを推進していきます。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は、19億円です。当社グループの研究開発活動状況に重要な変更はありません。
(7)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設のうち、当第3四半期連結累計期間に完了したものは、次のとおりであります。
会社名
事業所名
セグメントの名称
設備の内容
完了年月
サッポロ不動産開発㈱
投資不動産(東京都渋谷区)
不動産
投資不動産
2022年8月
当第3四半期連結会計期間末において、継続中の重要な設備の新設の計画は、次のとおりであります。
会社名
事業所名
セグメントの名称
設備の
内容
投資予定額
資金調達
方法
着手年月
完成予定年月
完成後の
増加能力
総額
既支払額
サッポロビール㈱
仙台工場(宮城県
名取市)
酒類
RTD生産設備
3,488
(百万円)
–
自己資金
及び借入金
2022年
8月
2023年
10月
年間
約1,100万函
(注1)
サッポロ不動産開発㈱
投資不動産(北海道
札幌市)
不動産
投資不動産
5,625
(百万円)
152
(百万円)
自己資金
及び借入金
2022年
11月
2024年
5月
–
Stone Brewing Co.,LLC
リッチモンド工場
(アメリカバージニア州)
酒類
ビール生産設備
25
(百万米ドル)
–
自己資金
及び借入金
2022年
10月
2024年
4月
年間
約150
万函
(注2)
POKKA PTE.LTD.
事務所兼
倉庫
(シンガポール)
食品飲料
研究開発・営業兼
物流拠点
100
(百万シンガポールドル)
–
リース
2022年
3月
2024年
3月
–
(注)1 RTDは250ml×24本換算。完成後の増加能力については商品構成により変動することがあります。
2 ビールは633ml×20本換算。完成後の増加能力については商品構成により変動することがあります。