【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、従来の方法に比べて、当連結会計年度の売上高は1億96百万円減少しております。なお、売上総利益、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。なお、文中の前年比較につきましては、収益認識会計基準等の適用前の前期実績を用いております。
① 財政状態及び経営成績の状況(経営成績) 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス禍からの経済活動再開に各国が動く一方、ロシアのウクライナ侵攻や米国と中国の覇権争いから国際社会の分断が深刻さを増し、供給網の確保やエネルギー安全保障の重要性が高まりました。また、急激なインフレに直面し、食品をはじめ生活用品の値上げが続く中、世界景気の減速懸念も強まっています。このような状況の下、当社グループは食を扱う企業としての使命を再認識し、従業員の安全を確保しながら、安定的な商品の供給に努めてまいりました。当社グループの主たる事業は、日本食をはじめとするアジア食品・食材を、北米中心に欧州、中国、東南アジア、豪州等で販売する「アジア食グローバル事業」、並びに青果物・水産物等の輸入・国内販売及び輸出・三国間貿易を行う「農水産商社事業」であります。また、海外のブランド食品や自社で企画・開発したシーズン商品・キャラクター商品を日本の輸入食品店、生活雑貨店等に販売する事業、さらに、ナチュラルサプリメントの製造・販売事業も行っております。加えて、食品業界が抱える様々な課題に対するソリューションを開発・提供する企業への進化を目指し、「食」と「ヘルスケア」等が融合する新たな領域での事業展開を進めております。アジア食グローバル事業は、北米地域の持続的かつ安定的な収益実現に向けた取組みと、成長戦略の一つである北米以外の地域における営業基盤の拡充を積極的に推進してまいりました。農水産商社事業では、主力の国内市場(卸売市場、量販店、中・外食産業等)への販売拡大を進める一方、国産青果物の輸出、三国間貿易、中国国内卸売事業等、海外販路の開拓に取り組んでまいりました。これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高2,752億9百万円(前期比29.1%増)、営業利益104億98百万円(前期比43.8%増)、経常利益107億87百万円(前期比49.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益68億15百万円(前期比35.5%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。また、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
a.アジア食グローバル事業アジア食グローバル事業の当連結会計年度における業績は、売上高2,161億43百万円(前期比33.0%増)、営業利益123億55百万円(前期比49.6%増)となりました。主力の北米地域においては、新型コロナウイルス感染症関連規制が撤廃され、パンデミック前の日常を回復したことから、レストラン向け、グローサリー向けともに売上高は順調に推移いたしました。需要の回復に加え、インフレ等による全般的なコスト上昇(メーカーの販売価格及び海上運賃その他の物流経費)に対して適切な価格転嫁に努めたことも、前期比増収の要因となっております。また、円安の進行が円換算ベースの売上高を押し上げる結果となりました(米ドル円換算レートは、前期が109.80円であったのに対し、当期は131.43円)。
利益面では、商品原価及び諸経費は上昇の一途を辿っているものの、主に上半期において国際的な物流混乱等により需給バランスがタイトであったことや、前述のとおり適切な価格転嫁に努めたこと等により、高い利益率を維持いたしました。足元では景気減速懸念の高まりやサプライチェーンが正常化に向かう中で、在庫や価格の調整局面における利益率の低下傾向はみられるものの、当連結会計年度においてはその影響は想定していた範囲にとどまりました。その結果、当連結会計年度は、未だ新型コロナウイルス感染症関連規制の影響が残る前期と比べて、大幅な増収増益となりました。北米以外の地域においては、欧州地域では、新型コロナウイルス感染症関連規制の緩和が進み経済活動が促進された結果、売上高は順調に推移いたしましたが、第2四半期後半以降は物価高や金利上昇、エネルギー費用増等に見舞われたことで、業績回復の勢いがやや鈍化いたしました。アジア・オセアニア地域では、第1四半期は新型コロナウイルス変異株のまん延による規制強化やサプライチェーン悪化による欠品等により売上高が減少いたしましたが、第2四半期以降は、規制緩和と供給不足が解消の方向に向かったことで、順調に売上高が回復いたしました。一方で、原材料の高騰による原価上昇、燃料費・人件費を中心とした諸経費は引き続き増加傾向にあります。
b.農水産商社事業農水産商社事業の当連結会計年度における業績は、売上高551億99百万円(前期比16.6%増)、営業損失8億77百万円(前期は1億14百万円の営業損失)となりました。主力商品である輸入果実においては、原産国におけるインフレ、海上運賃の高騰、物流関連費用の増加に加え、急激な円安進行が国産品に対する価格競争力の低下をもたらしました。また、生活必需品全般の値上げが続く中、消費者が果実類の購入を減らす傾向がみられることや、原価高騰を反映した販売価格の上昇を受け、量販店における商品の取扱いが一部縮小される等、国内市場では売上高の確保に苦戦いたしました。一方で、2022年1月にシンガポール大手青果卸売業者であるBan Choon Marketing Pte. Ltd.を連結子会社化したことが寄与し、セグメント全体では前期比で増収となりました。利益面については、主力商品である輸入果実において、前述の原価高騰に加え、コンテナ船延着に起因する品質劣化の発生、在庫回転を優先した販売施策の実施等が、利益を減少させる要因となりました。入荷が少ない時期には、相場を維持し一定の利益を確保する局面もありましたが、前期比で減益となりました。
c.その他事業その他事業の当連結会計年度における業績は、売上高38億66百万円(前期比12.3%増)、営業損失2億44百万円(前期は44百万円の営業利益)となりました。主力の輸入食品事業では、第1四半期は最大商戦であるバレンタイン・イベントの成功により、売上高・利益ともに順調な滑り出しでした。第2・第3四半期は、原材料の値上げに急激な円安が重なり利益が減少いたしましたが、第4四半期は、ハロウィン、クリスマス商品の好調等により、売上高・利益とも回復いたしました。サプリメント事業では、新商品の投入やEC事業の拡大により、売上高・利益とも順調に推移いたしました。他方、著名飲食店と協働した中食支援事業の展開や、手術後・病後者向けの食品提供事業等、国内における新規事業の展開を開始したことで、当該新規事業に係る販売費及び一般管理費等が先行して発生し、その他事業合計では前期比で増収減益となりました。
(財政状態)
(資産)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ374億46百万円増加し、1,792億15百万円となりました。主な要因は次のとおりであります。当連結会計年度末における流動資産合計は、1,510億30百万円(前連結会計年度末比262億93百万円増加)となりました。流動資産の増加は、現金及び預金の増加101億39百万円、棚卸資産の増加80億86百万円、受取手形及び売掛金の増加68億63百万円があったことによるものであります。当連結会計年度末における固定資産合計は、281億84百万円(前連結会計年度末比111億52百万円増加)となりました。固定資産の増加は、リース資産(純額)の増加97億45百万円があったことによるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ252億59百万円増加し、1,071億66百万円となりました。主な要因は次のとおりであります。当連結会計年度末における流動負債合計は、336億13百万円(前連結会計年度末比30億79百万円減少)となりました。流動負債の減少は、短期借入金の増加31億33百万円、リース債務の増加20億92百万円があったものの、1年内返済予定の長期借入金の減少87億72百万円があったことによるものであります。当連結会計年度末における固定負債合計は、735億53百万円(前連結会計年度末比283億39百万円増加)となりました。固定負債の増加は、長期借入金の増加205億58百万円、リース債務の増加81億34百万円があったことによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ121億86百万円増加し、720億48百万円となりました。純資産の増加は、主に為替換算調整勘定の増加73億7百万円、利益剰余金の増加48億43百万円があったことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、757億87百万円となり、前連結会計年度末から101億39百万円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、11億55百万円の資金の支出となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益99億26百万円、非資金性費用である減価償却費及びその他の償却費27億35百万円があったものの、法人税等の支払額40億50百万円、棚卸資産の増加38億1百万円、売上債権の増加31億54百万円、仕入債務の減少25億3百万円によるものです。また、前連結会計年度と比較して資金の支出が33億28百万円増加(前期は21億72百万円の資金の獲得)しておりますが、主に、棚卸資産の増減額が28億97百万円の支出減、税金等調整前当期純利益の増加25億83百万円があったものの、仕入債務の増減額が58億54百万円の支出増、法人税等の支払額が15億93百万円の支出増となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、30億84百万円の資金の支出となりました。主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出20億38百万円、無形固定資産の取得による支出6億85百万円があったことによるものです。また、前連結会計年度と比較して資金の支出が27億79百万円増加(前期比912.6%支出増)しておりますが、主に、前期に発生した定期預金の純増減額の収入17億93百万円が当期はないこと、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が8億68百万円の支出増となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、98億69百万円の資金の獲得となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出95億82百万円、配当金の支払額20億9百万円があったものの、長期借入れによる収入193億81百万円、短期借入金の純増減額の収入27億10百万円があったことによるものです。また、前連結会計年度と比較して資金の獲得が1億21百万円増加(前期比1.3%収入増)しておりますが、主に、長期借入金の返済による支出の増加89億54百万円、配当金の支払額の増加による支出増12億19百万円があったものの、長期借入れによる収入の増加81億19百万円、短期借入金の純増減額が24億39百万円の収入増となったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(百万円)
前期比(%)
アジア食グローバル事業
178,728
127.6
農水産商社事業
46,217
119.8
その他事業
3,036
106.9
合計
227,982
125.6
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績当社グループは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前期比(%)
アジア食グローバル事業
216,143
133.0
農水産商社事業
55,199
116.6
その他事業
3,866
112.3
合計
275,209
129.1
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討
a.経営成績
(売上高)当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ619億61百万円増加し、2,752億9百万円(前期比29.1%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業において、世界各国での新型コロナウイルス感染症関連規制の撤廃とともに需要が回復し、売上高が順調に推移したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ476億84百万円増加し、2,198億95百万円(前期比27.7%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業における増収によるものです。以上の結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ142億76百万円増加し、553億14百万円(前期比34.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ110億79百万円増加し、448億15百万円(前期比32.8%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業における売上高増加に伴う費用及びインフレ進行等による物流関連経費等の増加、また、既存事業の基盤強化や当社グループが今後目指す新しいビジネスモデルへの進化に係る人材投資等によるものです。以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ31億97百万円増加し、104億98百万円(前期比43.8%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ6億35百万円増加し、9億50百万円(前期比202.2%増)となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度に比べ2億49百万円増加し、6億61百万円(前期比60.8%増)となりました。以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ35億82百万円増加し、107億87百万円(前期比49.7%増)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ1億71百万円減少し、7百万円(前期比95.6%減)となりました。この減少の主な要因は、前連結会計年度においては、退職給付制度の改定による特別利益が発生したことによるものです。また、特別損失は、前連結会計年度に比べ8億27百万円増加し、8億68百万円となりました。この増加の主な要因は、当連結会計年度における海外子会社の減損損失の発生によるものです。以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ25億83百万円増加し、99億26百万円(前期比35.2%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ17億87百万円増加し、68億15百万円(前期比35.5%増)となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載したとおりであります。当社グループは成長するマーケットの拡大に先んじて、事業基盤の拡充に取り組んでいく計画です。また、食文化の多様化、食の安心安全意識の向上、法的規制強化等の環境変化に対応するため、「食」のサプライチェーンの各階層においてこれまで以上に提供する機能を強化していく必要があります。このような環境下において当社グループが業容を拡大しつつ、より良い商品及びサービスを継続的に提供していくためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載いたしました様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。そのために、経営者として常に外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を把握し、それに対する課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
b.財政状態当社グループの当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
c.経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (8)目標とすべき経営指標」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。当社グループにおける資金需要の主なものは、商材等の仕入・調達費用、販売費及び一般管理費等の運転資金及び物流・システム等を整備・強化するための人材や設備への投資資金であります。当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金について、「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉とした自己資金調達を中心に、多額の設備投資資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針であります。
③
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
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