【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当年度末現在において当社が判断したものです。
(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当年度における、経営者の視点による当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
① 経営成績
当年度の売上高は前年度比4,820億円(21.9%)増加して2兆6,788億円となりました。
国内売上高は水・環境は増収となりましたが、機械が農業機械等を中心に減収となったほか、その他も減収となったため、前年度比4億円(0.1%)減の6,024億円となりました。
海外売上高は機械、水・環境ともに増収となり、前年度比4,824億円(30.3%)増の2兆764億円となりました。当年度の海外売上高比率は前年度比4.9ポイント上昇して77.5%となりました。
営業利益は値上げ効果や為替の改善等の増益要因がありましたが、原材料価格の上昇や物流費の増加等の減益要因により、前年度比256億円(10.5%)減の2,189億円となりました。税引前利益は営業利益の減少により前年度比170億円(6.8%)減少して2,339億円となりました。法人所得税は591億円の負担、持分法による投資損益は16億円の利益となり、当期利益は前年度比128億円(6.8%)減の1,764億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度を186億円(10.6%)下回る1,562億円となりました。
事業別セグメントの外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況は次のとおりです。
(機械)
当事業セグメントでは主として農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械の製造・販売等を行っております。
当事業セグメントの売上高は前年度比24.8%増加して2兆3,280億円となり、売上高全体の86.9%を占めました。
国内売上高は前年度比2.5%減の3,026億円となりました。農業機械及び農業関連商品が米価低迷や経営継続補助金の終了により減収となりました。
海外売上高は前年度比30.3%増の2兆254億円となりました。北米では、トラクタは市場縮小傾向にあるもののディーラー在庫充足のための出荷が進んだことにより、建設機械はインフラ工事需要により増収となりました。欧州では、建設機械、エンジンを中心に堅調に推移しました。アジアでは、タイは前年度の政府事業の反動により稲作向け機械は減少となりましたが、畑作市場の開拓が堅調に進みました。中国では、排ガス規制前の駆込みもありトラクタは増加しましたが、上半期のロックダウンによる田植機等の減販をカバーするには至りませんでした。インドでは、第2四半期連結会計期間からエスコーツ Ltd.(現 エスコーツクボタ Ltd.、以下「EKL社」)を連結子会社化したことにより増収となりました。
当事業セグメントのセグメント利益は値上げ効果や為替の改善等の増益要因がありましたが、原材料価格の上昇や物流費の増加等の減益要因により前年度比4.7%減少して2,371億円となりました。
(水・環境)
当事業セグメントでは主としてパイプシステム関連製品(ダクタイル鉄管、合成管等)、素形材・都市インフラ関連製品(反応管、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境関連製品(各種環境プラント、ポンプ等)の製造・販売等を行っております。
当事業セグメントの売上高は前年度比7.3%増加して3,276億円となり、売上高全体の12.2%を占めました。
国内売上高は前年度比4.1%増の2,766億円となりました。環境関連製品は前年度の排水ポンプ車特需の反動により減収となりましたが、パイプシステム関連製品は値上げ効果や合成管の増加により、都市インフラ関連製品は国内工場向けが順調で増収となりました。
海外売上高は反応管等の素形材が堅調で前年度比28.6%増の510億円となりました。
当事業セグメントのセグメント利益は原材料価格の上昇を値上げでカバーするも、インフレ等による経費の増加により前年度比22.5%減少して173億円となりました。
(その他)
当事業セグメントでは主として各種サービスの提供等を行っております。
当事業セグメントの売上高は前年度比12.8%減の232億円となり、売上高全体の0.9%を占めました。
当事業セグメントのセグメント利益は前年度比16.5%減少して31億円となりました。
上記のとおり、当年度は、前年度から続くサプライチェーンの逼迫と混乱に加え、地政学リスク、エネルギー価格の高騰をはじめとしたインフレの加速等により、市場環境が激変した1年でした。
当社は中期経営計画2025を推進しており、当年度における進捗状況については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中期経営計画2025の推進」に記載のとおりです。また、こうした厳しい環境下において、市場開拓の加速を目的としたインドのEKL社の連結子会社化や、グローバルな研究開発体制の構築を目的とした日本や北米における大型研究開発拠点の開設等、将来の成長につながる布石を打ちました。
一方で、市場環境が激変する中、中期経営計画2025を達成し長期ビジョン「GMB2030」を実現させるために、グローバル化の新たな局面への対応及び事業運営のスピード向上が必要な状況となっております。当社が置かれている状況及び対処すべき課題については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) GMB2030実現の土台づくり」に記載のとおりです。
② 財政状態
当年度末の資産合計は前年度末比9,576億円増加して4兆7,313億円となりました。
資産の部では、北米での増収により営業債権が増加したほか、輸送中在庫の増加等により棚卸資産が増加しました。また、EKL社の連結子会社化に伴ってのれんが増加したほか、グローバル技術研究所の設立等により有形固定資産も増加しました。
負債の部では、金融債権の増加やEKL社株式の取得に伴い、社債及び借入金が増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分は、利益の積み上がりや為替の変動等に伴うその他の資本の構成要素の改善により増加したものの、親会社所有者帰属持分比率は前年度末比4.7ポイント減少して39.8%となりました。
③ キャッシュ・フロー
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは77億円の支出となりました。主に営業債権が増加したことから前年度比1,002億円の収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは3,185億円の支出となりました。子会社の取得及び有形固定資産の取得による支出の増加により、前年度比1,911億円の支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは2,826億円の収入となりました。資金調達の増加等により前年度比2,220億円の収入増となりました。
これらのキャッシュ・フローに為替レート変動の影響を加えた結果、当年度末の現金及び現金同等物残高は期首残高から328億円減少して2,258億円となりました。
なお、当社は中期経営計画2025において、営業活動によるキャッシュ・フロー及びフリー・キャッシュ・フローを重要指標としており、これらの拡大に取組んでいきます。
(2) 資金の源泉及び流動性
当社の財務の基本方針は、操業に必要となる資金源を十分に確保すること、及びバランスシートの健全性を強化することです。
当社は運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、グループ内の資金を親会社や海外の金融子会社に集中させることにより、グループ内の資金管理の効率改善に努めております。
当社は営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の源泉と考えており、資金需要に応じて金融機関からの借入、社債の発行、債権の証券化による資金調達、コマーシャル・ペーパーの発行等を行っております。運転資金及び設備投資のための資金については、主として内部資金により充当することとしており、必要に応じて金融機関からの借入金等を充当しております。当年度の社債及び借入金の使途は主として販売金融、EKL社の連結子会社化及び設備投資にかかわるものです。なお、資金調達に係る債務の残高については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※15 社債及び借入金」をご参照ください。
現在のところ、当社は健全な財務基盤及び安定したキャッシュ・フロー創出力により、事業運営や投資活動のための資金調達に困難が生じることはないと考えております。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当年度における事業別セグメントの生産実績は次のとおりです。
事業別セグメントの名称
金額(百万円)
前年度比(%)
機械
2,352,009
20.8
水・環境
340,104
8.8
その他
22,698
△14.9
合計
2,714,811
18.8
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は販売額をもって計上しております。
② 受注実績
当年度における事業別セグメントの受注実績は次のとおりです。
なお、機械部門は一部を除き受注生産を行っておらず、水・環境、その他の各事業部門についても一部受注生産を行っていない事業があります。
事業別セグメントの名称
受注高(百万円)
前年度比(%)
受注残高(百万円)
前年度末比(%)
機械
3,204
264.5
5,352
1,546.8
水・環境
294,286
2.4
301,006
13.9
その他
4,903
△19.7
3,017
△10.7
合計
302,393
2.7
309,375
15.5
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
③ 販売実績
当年度における事業別セグメントの販売実績は次のとおりです。
事業別セグメントの名称
金額(百万円)
前年度比(%)
機械
2,327,990
24.8
水・環境
327,602
7.3
その他
23,180
△12.8
合計
2,678,772
21.9
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 販売額が総販売額の10%以上に及ぶ販売先は前年度、当年度ともにありません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社はIFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を使用しております。実際の業績はこれらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。見積り及び仮定は継続して見直され、当該見直しによる影響は会計上の見積りの変更として、見積りを変更した報告期間及び将来の報告期間において認識されます。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※2 作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 ※3 重要な会計方針」に記載しております。