【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】
当社グループは当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っています。当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績
売上高
(百万円)
コア営業利益
(百万円)
営業利益
(百万円)
税引前利益
(百万円)
親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円)
EBITDA
(百万円)
当連結会計年度
1,067,355
51,340
46,572
50,428
34,202
102,371
前連結会計年度
1,009,966
42,553
100,571
99,111
46,909
94,516
増減率
5.7
%
20.6
%
△53.7
%
△49.1
%
△27.1
%
8.3
%
外貨増減率
△3.9
%
実質増減率
0.9
%
(注) 1 コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。2 EBITDA は、コア営業利益に、減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)を加算しています。3 売上高における実質増減率は、為替影響、当連結会計年度・前連結会計年度におけるすべての事業譲渡影響および譲渡に係る移行期間中のサービス提供に関わる影響(以下「事業譲渡影響」という。)を除いて計算しています。
当連結会計年度における世界経済は、全体として新型コロナウイルス感染症による影響の緩和と経済活動の正常化が進む一方で、中国における断続的なロックダウンや、ウクライナ紛争の長期化、資源・エネルギー価格の高騰、ドル高の進行等、引き続き不透明な状況が継続しました。国内化粧品市場は、幅広い分野での値上げが化粧品購買への重石となる一方で、行動制限の緩和や外出機会の増加により緩やかに回復しました。海外化粧品市場は、中国では、上海や海南島を中心としたロックダウンによる店舗営業活動の制限・サプライチェーンの混乱等の影響を受け、厳しい市場環境が継続しました。一方、欧米では、経済活動の再開が本格化するとともに消費の回復が継続し、化粧品市場も全カテゴリーで力強く成長しました。当社グループは、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、環境問題やダイバーシティ&インクルージョンの実現といった社会課題解決に向けたイノベーションに積極的に取り組み、2030年のビジョン「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」を目指しています。2021年にコロナ禍の難局に対応する中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を策定し、当社の強みを活かしたスキンビューティー領域への注力、事業ポートフォリオの再構築や、欧米事業を中心とした収益性改善などを通じて、より収益性とキャッシュ・フローを重視した経営へと抜本的な改革を進め、2年目となる当連結会計年度は、「再び成長軌道へ」の年と位置づけ、グローバルブランドの成長促進やDXの加速・進展等に取り組んできました。
①
売上高売上高は、中国においてコロナ禍の影響により不透明な環境が続いた一方、欧米事業、トラベルリテール事業の回復により、前年比5.7%増の1兆674億円、現地通貨ベースでは前年比3.9%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは0.9%増となりました。
ブランド別には、事業譲渡の影響を除いた「実質外貨前年比」の比較において、日本市場の上期の回復遅れや、中国における断続的なロックダウンによる店舗営業活動の制限・サプライチェーンの混乱等の影響により、多くのスキンケアブランが苦戦する中、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」およびフレグランスは、欧米での経済活動の再開や、中国事業でのプレステージブランドへの戦略的投資の継続、Eコマース売上の伸長などにより、それぞれ前年比6%増、22%増、12%増となりました。
②
売上原価売上原価は、前年比18.9%増の3,232億円となりました。売上高に対する比率は、事業譲渡に係る移行期間中の製品供給による原価率上昇やパーソナルケア生産事業譲渡に伴う工場減損などにより前年比3.4ポイント増の30.3%となりました。なお、事業譲渡に伴う製品供給および減損による原価率上昇を除いた実質の原価率は、事業譲渡に伴うプロダクトミックスの好転や国内工場の生産性向上、在庫償却関連費用の減少などにより前年比1.5ポイント減の23.6%となりました。
③
販売費及び一般管理費販売費及び一般管理費は、前年比5.9%減の7,217億円となりました。コア営業利益ベースの内訳は次のとおりです。
(イ) マーケティングコスト※マーケティングコストの売上高に対する比率は、ブランドエクイティ向上のための投資費用が増加したものの、事業譲渡に伴う費用減や機動的なコストマネジメントにより、前年比2.4ポイント減の24.9%となりました。(ロ) ブランド開発費・研究開発費ブランド開発費・研究開発費の売上高に対する比率は、前年比1.3ポイント増の5.0%となりました。(ハ) 人件費※人件費の売上高に対する比率は、人的投資強化に伴う費用が増加したものの、構造改革等による人件費の適正化を進めた結果、前年比0.7ポイント減の21.5%となりました。(ニ) 経費経費(その他費用)の売上高に対する比率は、DX関連の投資費用が増加したものの、それ以上に売上高が増加したことに伴い前年比0.8ポイント減の15.8%となりました。販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は267億円となり、売上高に対する比率は2.5%となりました。なお、研究開発活動についての詳細は、「5
研究開発活動」に記載しています。※マーケティングコストは、PBP(パーソナルビューティーパートナー)関連諸費用を含めた場合は、売上高に対する比率は34.5%となりました。人件費は、当該費用を除いた場合は、売上高に対する比率は12.0%となりました。
④ コア営業利益コア営業利益は、中国での売上減に伴う差益減やパーソナルケア事業譲渡の影響はあったものの、機動的なコストマネジメントの推進や構造改革を通じた固定費の低減、為替影響等により、前年に対し88億円増益の513億円となりました。
⑤ 営業利益営業利益は、前年にパーソナルケア事業譲渡に伴う譲渡益を計上していた一方、当連結会計年度においてはパーソナルケア製品の生産事業譲渡に伴う減損損失を計上したことなどから、前年に対し540億円減益の466億円となりました。
⑥
税引前利益税引前利益は、金融収益が前年に対し18億円増益となったことや、持分法投資損益が前年に対し33億円の増益となった一方、営業利益が前年に対し540億円減益の466億円となったことにより、前年に対し487億円減益の504億円となりました。
⑦
親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益が前年に対し487億円減益の504億円となったことに加えて、法人所得税費用の前年からの減少と非支配持分が増加したことにより、前年に対し127億円減益の342億円となりました。
⑧
EBITDA
EBITDAは、前年に対し79億円増益の1,024億円となり、マージンは9.6%となりました。
当連結会計年度における連結財務諸表項目(収益および費用)の主な為替換算レートは、1ドル=131.4円、1ユーロ=138.0円、1中国元=19.5円です。
(報告セグメントの業績)各報告セグメントの業績は次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分方法に基づいています。
売上高(外部顧客への売上高)
当連結会計年度(百万円)
構成比
(参考)前連結会計年度(百万円)
構成比
増減(百万円)
増減率
外貨増減率
実質増減率
日本事業
237,565
22.3%
258,837
25.6%
△21,271
△8.2%
△8.2%
0.3%
中国事業
258,226
24.2%
274,721
27.2%
△16,495
△6.0%
△18.3%
△9.8%
アジアパシフィック事業
68,017
6.4%
63,597
6.3%
4,420
7.0%
△3.7%
13.0%
米州事業
137,916
12.9%
121,369
12.0%
16,547
13.6%
△4.7%
8.8%
欧州事業
128,440
12.0%
117,016
11.6%
11,423
9.8%
3.3%
4.0%
トラベルリテール事業
163,650
15.3%
120,562
12.0%
43,087
35.7%
15.3%
14.2%
プロフェッショナル事業
9,337
0.9%
15,282
1.5%
△5,945
△38.9%
△43.1%
-
その他
64,200
6.0%
38,579
3.8%
25,621
66.4%
64.5%
△3.4%
合計
1,067,355
100.0%
1,009,966
100.0%
57,388
5.7%
△3.9%
0.9%
コア営業利益または損失
(参考)
当連結会計年度(百万円)
売上比
(参考)前連結会計年度(百万円)
売上比
増減(百万円)
増減率
セグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高
当連結会計年度(百万円)
前連結会計年度(百万円)
日本事業
△13,089
△5.4%
6,481
2.3%
△19,570
-
244,271
283,596
中国事業
△3,941
△1.5%
4,095
1.5%
△8,036
-
259,870
275,830
アジアパシフィック事業
4,716
6.6%
5,048
7.7%
△332
△6.6%
71,136
65,705
米州事業
7,660
5.4%
1,624
1.3%
6,036
371.6%
141,434
129,146
欧州事業
6,926
5.0%
2,706
2.1%
4,220
155.9%
137,901
127,455
トラベルリテール事業
37,678
23.0%
22,737
18.8%
14,941
65.7%
163,789
120,717
プロフェッショナル事業
750
7.7%
714
4.5%
35
5.0%
9,688
15,890
その他
6,078
2.0%
14,122
5.2%
△8,044
△57.0%
301,554
269,103
計
46,780
3.5%
57,531
4.5%
△10,750
△18.7%
1,329,646
1,287,445
調整額
4,559
-
△14,977
-
19,537
-
△262,291
△277,478
合計
51,340
4.8%
42,553
4.2%
8,786
20.6%
1,067,355
1,009,966
(注) 1 当連結会計年度より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「その他」に計上していた資生堂美容室 ㈱の業績は「日本事業」へ計上しています。また、従来「米州事業」に計上していた「NARS」および「Drunk Elephant」ブランドのブランドホルダー機能に係る業績は「その他」へ計上しています。なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。2 従来「日本事業」、「中国事業」および「アジアパシフィック事業」に計上していた各地域販売子会社のパーソナルケア事業に係る売上高は、パーソナルケア事業の譲渡および商流変更に伴い、2021年7月1日以降、一部を除き発生していません。一方で、当社および当社製造子会社による㈱ファイントゥデイ(2023年1月1日付で㈱ファイントゥデイ資生堂より社名変更)およびその関係会社への売上は同日以降「その他」に計上しています。3 従来「プロフェッショナル事業」に計上していた各地域販売子会社に係る売上高は、プロフェッショナル事業の譲渡に伴い、2022年7月1日以降、一部を除き発生していません。4 売上高における実質増減率は、為替影響およびパーソナルケア事業、プレステージメイクアップ3ブランド(「bareMinerals」、「BUXOM」、「Laura Mercier」)およびプロフェッショナル事業の譲渡影響を除いて計算しています。5 「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業および飲食業などを含んでいます。6 コア営業利益または損失における売上比は、セグメント間の内部売上高または振替高を含めた売上高に対する比率です。7 コア営業利益または損失の調整額は、主にセグメント間の取引消去の金額です。
①
日本事業日本事業では、回復が遅れていた中価格帯市場が下期に回復基調に転じました。当社は年間を通じて、創業150周年を記念したプロモーションのほか、スキンビューティーブランドへの戦略的投資を継続的に強化しました。9月には「エリクシール」から最新のコラーゲン技術を搭載した化粧水・乳液をリニューアル発売したほか、第4四半期には「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」から新製品・限定品を展開するなど、ブランド・商品の価値伝達強化に取り組みました。また、店舗やEコマースなどの販売チャネルやブランドごとに提供していた会員サービスを一つに集約した新会員サービス「Beauty Key」を導入し、よりお客さまのニーズに対応したカウンセリングサービスを可能にしたほか、デジタルコミュニケーションの強化にも努めました。以上のことから、売上高は2,376億円となりました。前年比は8.2%減、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年並みとなりました。コア営業損失は、費用効率化を進めたものの、パーソナルケア事業譲渡に伴う差益減等により、前年に対し196億円悪化の131億円となりました。
②
中国事業中国事業では、大型プロモーションを中心とした成長から、より消費者のニーズを踏まえたブランド・商品の価値伝達による持続的成長への転換を進めています。中国最大のEコマースイベントである“ダブルイレブン”において市場が大きく前年割れとなる中、当社の年間Eコマース売上は成長を実現しました。主要プラットフォームへの展開拡大、効果・効能にフォーカスしたコミュニケーションを強化したことが奏功しました。一方、オフラインでは、実店舗ならではのユニークな体験価値の提供、愛用者基盤の拡大の継続的な取り組みを強化したものの、ロックダウン等の影響を受け、前年を下回りました。以上のことから、売上高は2,582億円となりました。前年比は6.0%減、現地通貨ベースでは前年比18.3%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比9.8%減となりました。コア営業損失は、売上減による差益減等により、前年に対し80億円悪化の39億円となりました。
③
アジアパシフィック事業アジアパシフィック事業の国・地域では、台湾が第4四半期から回復に転じたほか、韓国や東南アジアなどは力強い成長を継続しました。また、主要Eコマースプラットフォームへの展開強化、デジタル活用によるお客さま接点の拡大等により、アジア全体のEコマース売上も成長を継続しました。以上のことから、売上高は680億円となりました。前年比は7.0%増、現地通貨ベースでは前年比3.7%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比13.0%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増の一方、人件費、経費等の増加により、前年に対し3億円減益の47億円となりました。
④
米州事業米州事業では、新型コロナウイルス感染症による影響の緩和と経済活動の正常化に伴い、化粧品市場は全カテゴリーで成長を継続しました。その中でも、特に「NARS」は、新商品の好調さやデジタルマーケティング強化を通じたEコマースの力強い成長により、シェアを拡大しました。また、プロモーションを強化した「SHISEIDO」も堅調に推移しました。以上のことから、売上高は1,379億円となりました。前年比は13.6%増、現地通貨ベースでは前年比4.7%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比8.8%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、構造改革を通じた固定費削減などにより、前年に対し60億円増益の77億円となりました。
⑤
欧州事業欧州事業では、新型コロナウイルス感染症による影響の緩和と経済活動の正常化に伴い、化粧品市場は全カテゴリーで成長を継続しました。その中で当社は、需要の回復を捉えたプロモーションにより、「NARS」や「narciso rodriguez」等が力強い成長を実現し、シェアを拡大しました。加えて、「Drunk Elephant」の店舗数拡大も着実に進め、売上を拡大しました。以上のことから、売上高は1,284億円となりました。前年比は9.8%増、現地通貨ベースでは前年比3.3%増、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比4.0%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、構造改革を通じた固定費削減等により、前年に対し42億円増益の69億円となりました。
⑥
トラベルリテール事業トラベルリテール事業(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)では、新型コロナウイルス感染症による影響の緩和に伴い旅行客の往来が再開し、欧米を中心に急速に回復が進みました。中国海南島においては、ロックダウンの影響を受けたものの、海口市にある世界最大の免税ショッピングモールへの新規出店やEコマースの伸長により、力強く成長しました。以上のことから、売上高は1,637億円となりました。前年比は35.7%増、現地通貨ベースでは前年比15.3%増、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比14.2%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し149億円増益の377億円となりました。
⑦
プロフェッショナル事業プロフェッショナル事業は、ヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を日本、中国、アジアパシフィックで展開していましたが、2022年7月に一部を除き同事業を譲渡しました。以上のことから、売上高は93億円となりました。前年比は38.9%減、現地通貨ベースでは前年比43.1%減となりました。コア営業利益は、前年並みの8億円となりました。
(生産、受注および販売の実績)生産、受注および販売の実績は次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、増減率は変更後の区分方法に基づいています。
① 生産実績当連結会計年度における生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
金額(百万円)
増減率(%)
日本事業
-
-
中国事業
4,910
△0.1
アジアパシフィック事業
2,311
△49.8
米州事業
57,326
77.7
欧州事業
34,252
10.5
トラベルリテール事業
-
-
プロフェッショナル事業
-
-
その他
168,873
6.8
合計
267,673
15.9
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 金額は製造原価によっています。
② 受注状況当社グループ製品については受注生産を行っていません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少です。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
金額(百万円)
増減率(%)
日本事業
237,565
△8.2
中国事業
258,226
△6.0
アジアパシフィック事業
68,017
7.0
米州事業
137,916
13.6
欧州事業
128,440
9.8
トラベルリテール事業
163,650
35.7
プロフェッショナル事業 (注)2
9,337
△38.9
その他
64,200
66.4
合計
1,067,355
5.7
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 2022年7月1日にプロフェッショナル事業を一部を除き譲渡したため、販売実績が減少しています。
(2) 財政状態
①
資金調達と流動性マネジメント
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入や社債発行により調達しています。資金調達に関しては、有利な条件で調達が可能となる格付シングルAレベルを維持すべく、ネットデット・エクイティ・レシオ0.2倍、ネットEBITDA有利子負債倍率0.5倍を目安としながら、市場環境などを勘案して最適な方法でタイムリーに実施します。ただし、今後の収益力およびキャッシュ・フロー創出力を考慮したうえで、上記指標は株主還元方針と併せて、さらなる資本効率の向上に資する最適資本構成になるよう、適宜見直します。手元流動性については、連結売上高の1.5ヶ月程度を一つの目安としています。当連結会計年度末の現金及び預金の総額は1,345億円となり、手元流動性は連結売上高(2022年1月1日から2022年12月31日までの期間)の1.5ヶ月分となりました。一方、当連結会計年度末現在の有利子負債残高は2,998億円となっています。金融機関と締結しているコミットメントライン契約の未使用額1,000億円、国内普通社債の発行登録枠の未使用枠2,800億円、当社および欧米子会社2社を発行体とするプログラム型シンジケート・ローンの未使用枠300百万米ドルを有し、資金調達手段は分散化されています。当連結会計年度末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。
②
格付け
当社グループは、流動性および資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持が必要であると考えています。当社グループは、社債による資金調達を行うため、ムーディーズ・ジャパン株式会社より格付けを取得しています。2023年2月28日現在の発行体格付けはA3(見通し:安定的)となっています。
③
資産および負債・資本
(資産)総資産は、前年の事業譲渡に伴う法人税や配当金の支払いなどによる現金及び現金同等物の減少、パーソナルケア製品の生産事業譲渡に伴う減損損失の計上による有形固定資産の減少、また事業譲渡および在庫管理の強化に伴う棚卸資産の減少などがあった一方で、円安による在外営業活動体の換算差額が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ67億円増の1兆3,077億円となりました。(負債)負債は、未払法人所得税の減少に伴う流動負債の減少や、退職給付に係る負債の減少に伴う非流動負債の減少などにより569億円減の6,819億円となりました。
(資本)資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上や在外営業活動体に関連した為替換算影響などにより636億円増の6,258億円となりました。1株当たり親会社所有者帰属持分は、前連結会計年度末に対し158.91円増の1,512.36円となり、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末比4.6ポイント増の46.2%となりました。また、親会社の所有者に帰属する持分に対する現金及び預金の総額を除いた有利子負債(リース負債除く)の割合を示すネットデット・エクイティ・レシオは0.05倍となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
営業活動によるキャッシュ・フロー
134,249
46,735
投資活動によるキャッシュ・フロー
66,733
△41,308
財務活動によるキャッシュ・フロー
△190,575
△52,418
現金及び現金同等物の期末残高
156,503
119,036
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ375億円減少し、1,190億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払額(675億円)、事業譲渡益(153億円)、営業債務の減少(125億円)、営業債権の増加(63億円)、棚卸資産の増加(33億円)などがあった一方、税引前利益(504億円)、減価償却費及び償却費(757億円)などの非資金費用などにより、前連結会計年度末に比べ875億円減少の467億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による収入(138億円)、有形固定資産及び無形資産の売却による収入(53億円)などがあった一方で、有形固定資産の取得による支出(363億円)、無形資産の取得による支出(299億円)などにより、前連結会計年度末に比べ1,080億円減少の413億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、社債発行による収入(200億円)などがあった一方で、リース負債の返済による支出(297億)、配当金の支払額(220億円)、社債の償還による支出(150億円)などにより、前連結会計年度末に比べ1,382億円支出は減少し524億円の支出となりました。
(4) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」および「4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しています。
(5) 並行開示情報
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。第7章および第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更およびIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。 また、日本基準により作成した要約連結財務諸表について、百万円未満を切り捨てて記載しています。
① 要約連結貸借対照表
前連結会計年度(2021年12月31日)
当連結会計年度(2022年12月31日)
百万円
百万円
資産の部
流動資産
520,518
514,407
固定資産
有形固定資産
387,272
354,277
無形固定資産
150,949
171,406
投資その他の資産
156,304
170,928
固定資産合計
694,525
696,613
資産合計
1,215,044
1,211,020
負債の部
流動負債
387,077
365,845
固定負債
260,468
253,388
負債合計
647,546
619,233
純資産の部
株主資本
501,622
497,968
その他の包括利益累計額
43,463
71,542
新株予約権
1,067
958
非支配株主持分
21,343
21,318
純資産合計
567,497
591,787
負債純資産合計
1,215,044
1,211,020
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書要約連結損益計算書
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
百万円
百万円
売上高
1,035,165
1,067,355
売上原価
262,959
304,828
売上総利益
772,206
762,526
販売費及び一般管理費
731,479
723,774
営業利益
40,726
38,752
営業外収益
9,911
17,941
営業外費用
6,762
3,803
経常利益
43,875
52,889
特別利益
93,318
19,285
特別損失
76,034
27,459
税金等調整前当期純利益
61,160
44,716
法人税等
27,532
20,375
当期純利益
33,627
24,340
非支配株主に帰属する当期純利益
2,472
3,332
親会社株主に帰属する当期純利益
31,154
21,007
要約連結包括利益計算書
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
百万円
百万円
当期純利益
33,627
24,340
その他の包括利益
38,506
28,793
包括利益
72,134
53,133
(内訳)
親会社株主に係る包括利益
67,478
49,085
非支配株主に係る包括利益
4,656
4,047
③ 要約連結株主資本等変動計算書前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
(単位:百万円)
株主資本
その他の包括利益累計額
新株予約権
非支配株主持分
純資産合計
当期首残高
472,610
11,678
1,399
20,905
506,593
会計方針の変更による累積的影響額
13,689
△4,538
-
-
9,151
会計方針の変更を反映した当期首残高
486,300
7,140
1,399
20,905
515,745
当期変動額
15,322
36,323
△332
438
51,752
当期末残高
501,622
43,463
1,067
21,343
567,497
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
株主資本
その他の包括利益累計額
新株予約権
非支配株主持分
純資産合計
当期首残高
501,622
43,463
1,067
21,343
567,497
会計方針の変更による累積的影響額
△2,629
-
-
-
△2,629
会計方針の変更を反映した当期首残高
498,992
43,463
1,067
21,343
564,867
当期変動額
△1,024
28,078
△108
△25
26,919
当期末残高
497,968
71,542
958
21,318
591,787
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
百万円
百万円
営業活動によるキャッシュ・フロー
127,125
33,720
投資活動によるキャッシュ・フロー
63,739
△41,983
財務活動によるキャッシュ・フロー
△180,460
△38,728
現金及び現金同等物に係る換算差額
9,751
10,024
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
20,155
△36,966
現金及び現金同等物の期首残高
136,347
156,503
現金及び現金同等物の期末残高
156,503
119,536
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)(連結の範囲に関する事項)[新規]2社 資生堂インタラクティブビューティー㈱、資生堂クリエイティブ㈱を新たに設立し、連結の範囲に含めています。[除外]5社 ドランクエレファントホールディングスLLC、ドランクエレファントLLC、ドランクエレファント ブロッカー,Inc. は、資生堂アメリカズCorp. に吸収合併したことにより、連結の範囲から除外しています。 上海ホネケーキCo.,Ltd. は、清算結了したことにより、連結の範囲から除外しています。 ベアエッセンシャル㈱は、保有株式を譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。
(持分法適用範囲の変更)[新規]12社 ㈱ファイントゥデイホールディングス(旧社名:㈱Asian Personal Care Holding)の株式を取得したことに伴い、同社および同社子会社の12社を持分法適用の範囲に含めています。
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)(連結の範囲に関する事項)[新規]5社 資生堂資悦(上海)管理咨询有限公司 、厦门资悦股权投资合伙企业、㈱ファイントゥデイインダストリーズを新たに設立し、連結の範囲に含めています。 ガリネーLtd.の株式を新たに取得したため、そのグループ会社1社と併せて、当期より連結の範囲に含めています。[除外]3社 資生堂プロフェッショナル㈱、資生堂プロフェッショナル(タイランド) Co., Ltd.は、保有株式を譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。 ダブリンインダストリーズInc.は、清算結了したことにより、当期より連結の範囲から除外しています。
(会計方針の変更)1 収益認識に関する会計基準等の適用 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、約束した財またはサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財またはサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識しています。 当該基準の適用に伴い、当社グループが商品の販売に応じて顧客に提供したポイントについて、従来は、販売時に収益を全額計上し、将来顧客が行使することが見込まれる額を引当金として計上していましたが、販売時に将来顧客が行使することが見込まれるポイントに配分された取引価格を流動負債として計上し、ポイントの使用に応じて収益を認識する方法に変更しています。また、従来は顧客に支払われる一部のリベート等を販売費及び一般管理費に計上していましたが、売上高から控除して表示する方法へ変更しています。 収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しています。 この結果、当連結会計年度の売上高が25,198百万円、売上原価が1,258百万円、販売費及び一般管理費が23,996百万円それぞれ減少し、営業利益が55百万円、経常利益および税金等調整前当期純利益が113百万円増加しています。また、利益剰余金の当連結会計年度の期首残高は2,629百万円減少しています。
2 時価の算定に関する会計基準等の適用 「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項および「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取り扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用しています。 なお、当該基準の適用による、連結財務諸表への重要な影響はありません。
3 在外子会社におけるIFRSに基づく会計処理の適用 当社グループの米国子会社である資生堂アメリカズCorp.(以下「資生堂アメリカ」という。)およびその子会社(以下「資生堂アメリカグループ」という。)は、従来米国で一般に公正妥当と認められた会計処理基準を適用していましたが、当連結会計年度より、IFRSを適用することとしました。 これは、グループ内の会計基準統一によるグローバル経営のさらなる推進、ならびに資本市場における国際的な財務情報の比較可能性の向上等を目的とし、資生堂アメリカグループにおいて当連結会計年度期首時点でIFRSに対応できる体制が整備されたため、当連結会計年度よりIFRSを適用するものです。 なお、この変更に伴い、資生堂アメリカグループにおける財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの数値ならびに「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第18号 2006年5月17日、2019年6月28日改正)等について遡及適用等を行い、前連結会計年度については遡及適用後の連結財務諸表となっています。 この結果、遡及適用を行う前と比べて、前連結会計年度の要約連結貸借対照表は、総資産が35,683百万円増加、総負債は35,619百万円増加し、純資産は63百万円増加しています。 前連結会計年度の要約連結損益計算書においては、営業利益は859百万円減少、経常利益は959百万円減少、税金等調整前当期純利益は12,096百万円減少し、当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益は11,284百万円減少しています。 前連結会計年度の期首の純資産に累積的影響額が反映されたことにより、要約連結株主資本等変動計算書の前連結会計年度の期首において、利益剰余金は13,689百万円増加し、その他包括利益累計額は4,538百万円減少しています。 なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「41.初度適用」における前連結会計年度に係る日本基準の連結財務諸表数値については、上記遡及適用は行っていません。
⑥ 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)(表示科目の組替)
1 売上高の振替 日本基準では一部のリベート等を「販売費及び一般管理費」等として表示していましたが、IFRSでは「売上高」から控除して表示しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「売上高」が25,036百万円減少しています。
2 その他の振替 日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは金融関連項目を「金融収益」、「金融費用」として、それ以外の項目は、各項目の性質に応じて「販売費及び一般管理費」、「その他の営業収益」、「その他の営業費用」等に表示しています。
(認識及び測定の差異) 3 未払有給休暇の調整 日本基準において認識していない有給休暇に係る債務について、IFRSでは未消化の有給休暇を負債として認識しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「その他の流動負債」が12,021百万円増加しています。
4 リース取引の調整 日本基準におけるオペレーティング・リースおよび賃貸借取引に準じて処理されていたファイナンス・リース取引を、IFRSでは売買取引に準じて使用権資産を計上し、対応する債務をリース負債(流動)およびリース負債(非流動)に計上しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「使用権資産」が69,181百万円、「リース負債(流動)」が10,386百万円、「リース負債(非流動)」が60,504百万円増加しています。
5 支配の喪失を伴う子会社の一部売却後の残余投資評価 子会社株式の一部売却により支配を喪失して関連会社となった場合に、日本基準では残余投資を持分法による投資評価額に修正していましたが、IFRSでは残余投資を公正価値で測定し、帳簿価額との差額を「その他の営業収益」として認識しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「持分法で会計処理されている投資」が20,800百万円増加、「その他の非流動負債」が24,478百万円減少、「その他の営業収益」が45,440百万円増加しています。
6 退職後給付の調整 日本基準では、退職給付における数理計算上の差異および過去勤務費用について、発生時にその他の包括利益として認識し、発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数で純損益を通じて償却していましたが、IFRSでは確定給付制度の再測定は発生時にその他の包括利益として認識し、過去勤務費用は発生時に純損益として認識しています。なお、その他の包括利益として認識した確定給付制度の再測定は、その他の資本の構成要素に認識後、直ちに「利益剰余金」に振り替えています。 また、確定給付制度債務を算定するための仮定の1つである死亡率について、IFRSでは将来変動を見込んだ数値を使用して計算を行っています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「退職給付に係る負債」が23,046百万円増加しています。
7 繰延税金資産および繰延税金負債の調整 日本基準からIFRSへの調整に伴い一時差異が発生したことおよび繰延税金資産の回収可能性を再検討したこと等により、「繰延税金資産」および「繰延税金負債」の金額を調整しています。 また、日本基準では、連結グループ内の内部取引における未実現利益に対する繰延税金資産の計上について、売却会社で発生した課税所得に基づき回収可能性を判定し、売却会社の実効税率を用いて計算していますが、IFRSでは取得会社における将来課税所得により回収可能性を判定し、取得会社の実効税率を用いて計算しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「繰延税金資産」が5,617百万円減少し、「法人所得税費用」が22,840百万円増加しています。
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)(表示科目の組替)1 売却目的で保有する資産の振替 売却目的で保有する非流動資産または処分グループは、IFRSでは「売却目的で保有する資産」として流動資産に表示しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「売却目的で保有する資産」が18,929百万円増加し、「棚卸資産」が5,953百万円、「持分法で会計処理されている投資」が8,498百万円、「有形固定資産」が3,433百万円減少しています。
2 その他の振替 日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは金融関連項目を「金融収益」、「金融費用」として、それ以外の項目は、各項目の性質に応じて「販売費及び一般管理費」、「その他の営業収益」、「その他の営業費用」等に表示しています。
(認識及び測定の差異)
3 のれんの計上額の調整 日本基準では、のれんの償却について償却年数を見積り、その年数で償却することとしていましたが、IFRSでは、移行日以降は非償却としています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「のれん」が10,175百万円増加し、「販売費及び一般管理費」が7,814百万円減少しています。
4 未払有給休暇の調整 日本基準において認識していない有給休暇に係る債務について、IFRSでは未消化の有給休暇を負債として認識しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「その他の流動負債」が12,346百万円増加しています。
5 リース取引の調整 日本基準におけるオペレーティング・リースおよび賃貸借取引に準じて処理されていたファイナンス・リース取引を、IFRSでは売買取引に準じて使用権資産を計上し、対応する債務をリース負債(流動)およびリース負債(非流動)に計上しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「使用権資産」が62,811百万円、「リース負債(流動)」が10,061百万円、「リース負債(非流動)」が54,238百万円増加しています。
6 支配の喪失を伴う子会社の一部売却後の残余投資評価 子会社株式の一部売却により支配を喪失して関連会社となった場合に、日本基準では残余投資を持分法による投資評価額に修正していましたが、IFRSでは残余投資を公正価値で測定しています。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「持分法で会計処理されている投資」が20,800百万円増加、「その他の非流動負債」が24,478百万円減少しています。