【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2030年に向けた中長期ビジョン「持続可能な社会をスペシャリティな製品とサービスで支え、成長する会社になる」を掲げています。2022年4月より2025年3月までの3年間を対象とする中期経営計画においては、①経営基盤(ガバナンス)の強化、②アジア・北米での展開を加速、③国内の深掘りと新領域への挑戦、④サステナブル経営の推進を基本方針として、持続的な企業価値の向上に取り組んでいます。
当第1四半期連結累計期間における当社グループの事業環境は、日本国内において新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行などにより経済活動が回復に向かう一方で、物価上昇による消費者の節約志向の高まりが見られました。海外でも世界的な金融引き締めによる景気減速が見られるなど、国内外とも予断を許さない状況が続いています。
このような状況の中、当第1四半期連結累計期間の売上高は、『国内食品事業』、『国内化成品その他事業』が前年同期を上回る実績を確保し、221億89百万円(前年同期比6億19百万円、2.9%増)となりました。
利益面では、海外事業が販売数量の減少などにより減益となりましたが、国内食品事業および国内化成品その他事業において原材料等の高騰に対する価格改定の効果が出たことなどにより、営業利益は24億76百万円(前年同期比4億53百万円、22.4%増)、経常利益は29億98百万円(前年同期比5億62百万円、23.1%増)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は20億68百万円(前年同期比2億35百万円、12.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
〔国内食品事業〕
『家庭用食品』の売上高は、前年同期を上回りました。海藻商品では昨秋発売の新商品「ふりかけるザクザクわかめ」シリーズが、乾燥わかめ「ふえるわかめちゃん®」の減少分をカバーし、売上高は前年同期を上回りました。ドレッシングは、野菜を切ってリケンのノンオイルで漬けるだけで即席メニューや常備菜が完成する「#漬けてもいいんだ リケンのノンオイル」キャンペーンなどのプロモーション活動を展開しましたが、TVCM放映時期の見直しや消費者の節約志向の高まりを受け、売上高は前年同期を下回りました。化学調味料・食塩無添加のだしの素「素材力だし®」は大容量品の拡大により、売上高は前年同期を上回りました。
『業務用食品』の売上高は、前年同期を上回りました。原材料価格などの高騰を受けた価格改定や商品の見直しに加え、中食市場および老健市場への提案を強化しました。行動制限の解除による外食産業向けの需要回復も寄与し、調味料類を中心に販売が伸長しました。
『加工食品用原料等』の売上高は、前年同期を上回りました。価格改定を進める一方で、原料の供給不安や食品ロス問題への対応など多様化する顧客ニーズに対応し、食品用改良剤の提案を進めました。また、ビタミンや医薬品向けのマイクロカプセルの販売が好調に推移しました。
利益面では、原材料価格やエネルギー価格の高騰の影響を受けたものの、価格改定効果や広告宣伝費の減少により、営業利益は前年同期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から13億22百万円(9.2%)増加した156億26百万円となり、営業利益は19億68百万円(前年同期比6億55百万円増)となりました。
〔国内化成品その他事業〕
『化成品(改良剤)』では、化学工業用分野(プラスチック・食品用包材・農業用フィルム・ゴム製品・化粧品など)において、顧客ニーズをとらえたソリューションビジネスを展開しています。化成品業界における需要減少の影響により販売数量が減少した一方で、前期中に推進した価格改定の効果により、売上高および営業利益ともに前年同期を上回りました。
『その他』の事業では、飼料用油脂の売上が前年同期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から1億89百万円(11.2%)増加した18億79百万円となり、営業利益は1億88百万円(前年同期比91百万円増)となりました。
〔海外事業〕
海外事業では、主に食品用改良剤、化成品用改良剤を世界各地に販売しています。サプライチェーンの安定化に伴う顧客の在庫調整や世界的な景気減速の影響を受けて販売数量が減少したことに加え、油脂相場および海上運賃の下落に伴い価格改定を行ったことにより、売上高は全ての地域で前年同期を下回りました。利益面では、物流コストの減少が増益要因となったほか、日本の「アプリケーション&イノベーションセンター」と海外の「アプリケーションセンター」の連携によりスペシャリティ品の提案を進めましたが、販売数量減少の影響をカバーするには至りませんでした。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から9億35百万円(15.6%)減少した50億52百万円となり、営業利益は4億79百万円(前年同期比2億31百万円減)となりました。
財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は1,100億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ48億49百万円増加しました。主な増加は、投資有価証券27億40百万円、棚卸資産10億56百万円、受取手形及び売掛金7億38百万円であります。
負債は353億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億51百万円増加しました。主な増加は、その他固定負債13億8百万円、支払手形及び買掛金10億72百万円、主な減少は、流動負債における引当金8億4百万円であります。
純資産は747億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ33億98百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益の計上で20億68百万円増加し、剰余金の配当で11億87百万円減少したこと、その他有価証券評価差額金が18億99百万円増加したこと、為替換算調整勘定が6億2百万円増加したことによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、7億90百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。