【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2030年に向けた中長期ビジョン「持続可能な社会をスペシャリティな製品とサービスで支え成長する会社になる」を掲げています。2022年4月より2025年3月までの3年間を対象とする中期経営計画においては、①経営基盤(ガバナンス)の強化、②アジア・北米への展開を加速、③国内の深掘りと新領域への挑戦、④サステナブル経営の推進を基本方針として、持続的な企業価値の向上に取り組んでいます。
当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症による社会影響が緩和されたものの、原材料価格およびエネルギー価格の高騰や急激な為替変動などにより、先行き不透明な事業環境が続きました。
このような状況の中、当第3四半期連結累計期間の売上高は、『国内食品事業』、『国内化成品その他事業』、『海外事業』のいずれの事業も前年同期を上回る実績を確保し、673億3百万円(前年同期比77億16百万円、13.0%増)となりました。
利益面では、油脂関係や輸入原料などの原材料価格およびエネルギー価格高騰の影響を受けましたが、海外事業において価格改定が進んだことや、国内食品事業において広告宣伝費を効率的に使用した結果、営業利益は59億66百万円(前年同期比14億16百万円、31.1%増)、経常利益は65億7百万円(前年同期比16億81百万円、34.8%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前第1四半期連結会計期間に当社の連結子会社であった青島福生食品有限公司の全持分の譲渡による関係会社出資金売却益の計上および繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額の計上があったことなどにより前年同期から減少し、48億91百万円(前年同期比148億20百万円、75.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
〔国内食品事業〕
『家庭用食品』の売上高は、前年同期を上回りました。ドレッシングは春夏にTVCMや「リケンのノンオイル セレクティ®」リニューアルキャンペーンなどのプロモーション活動を展開し、売上高は堅調に推移しました。化学調味料・食塩無添加のだしの素「素材力だし®」は価格改定後の需要喚起と顧客層の拡大を図るためTVCMを放映した結果、売上高は前年同期を上回りました。一方、乾燥わかめ「ふえるわかめちゃん®」、わかめスープは内食需要が続いていた前年同期からの反動や価格改定の影響などにより、売上高は前年同期を下回りました。
『業務用食品』の売上高は、前年同期を上回りました。原材料価格などの高騰を受けた価格改定を進めたほか、行動制限の緩和による外食産業向けの需要回復に伴い、調味料類の販売が伸長しました。
『加工食品用原料等』の売上高は、前年同期を上回りました。価格改定の推進に加え、食品ロス問題への対応など多様化する顧客ニーズに対応し、食品用改良剤の提案を進めました。また、クロセチンやビタミンなど機能性食品用原料の販売が好調に推移しました。
利益面では、原材料価格やエネルギー価格の高騰の影響を価格改定でカバーするには至らず、営業利益は前年同期を下回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から27億47百万円(6.7%)増加した439億72百万円となり、営業利益は37億88百万円(前年同期比3億38百万円減)となりました。
〔国内化成品その他事業〕
『化成品(改良剤)』では、化学工業用分野(プラスチック・食品用包材・農業用フィルム・ゴム製品・化粧品など)において、顧客ニーズをとらえたソリューションビジネスを展開しています。原材料価格の高騰に伴う価格改定を推進したことから、売上高は前年同期を上回りました。利益面は、原材料価格の高騰に加え、一部分野における需要減少の影響による販売数量の減少により、営業利益は前年同期を大幅に下回りました。
『その他』の事業では、飼料用油脂の売上が前年同期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から2億86百万円(5.7%)増加した53億14百万円となり、営業利益は1億44百万円(前年同期比3億67百万円減)となりました。
〔海外事業〕
海外事業では、主に食品用改良剤、化成品用改良剤を世界各地に販売しています。原材料価格や物流コストが高水準で推移しましたが、価格改定や為替影響による増収効果により、売上高および営業利益ともに前年同期を大幅に上回りました。第3四半期には改良剤の原料となる油脂の相場下落や各地域の景況感に合わせた対応が必要になるなど事業環境は変化しましたが、日本の「アプリケーション&イノベーションセンター」の技術スタッフによる海外顧客への直接提案の再開など、変化に対応した活動を行いました。地域別には東南アジア、北米、ヨーロッパが好調に推移しましたが、中国では都市封鎖の影響で生産および出荷が減少しました。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から49億31百万円(34.1%)増加した193億79百万円となり、営業利益は23億11百万円(前年同期比21億5百万円増)となりました。
なお、前年同期実績には当社の連結子会社であった青島福生食品有限公司の実績(売上高3億99百万円、営業損失6億54百万円)が含まれています。
財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は1,080億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ53億82百万円増加しました。主な増加は、受取手形及び売掛金40億52百万円、棚卸資産25億51百万円、主な減少は、投資有価証券10億15百万円であります。
負債は376億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億96百万円増加しました。主な増加は、支払手形及び買掛金26億46百万円、未払法人税等7億30百万円、主な減少は、長期借入金14億6百万円、流動負債における引当金7億90百万円であります。
純資産は704億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億85百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益の計上で48億91百万円増加し、剰余金の配当で15億83百万円減少したこと、為替換算調整勘定が13億74百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が6億78百万円減少したことによるものであります。なお、自己株式の消却により、資本剰余金が6億5百万円、利益剰余金が115億27百万円、自己株式が121億33百万円それぞれ減少しております。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、23億52百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。