【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況①
事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況a.事業全体の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)による行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動が正常化に向かう一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料・エネルギー価格の高止まりや急激な為替変動による物価上昇に加え、世界的な金融引き締めなどにより、先行きは不透明な状況が続いております。このような状況下、当社グループでは、外食産業向けは感染症が収束に向かうなかで消費需要が回復し、ウクライナ情勢の長期化の影響を受け電気料金は期初から上昇し製造コストは増加しましたが、グループ全体で販売価格の改定に積極的に取り組み、収益確保に努めました。その結果、当社グループの連結業績の売上高は340億87百万円と前連結会計年度に比べ28億1百万円(9.0%)の増加となり、営業利益は15億22百万円と前連結会計年度に比べ2億93百万円(23.9%)の増加、経常利益は16億84百万円と前連結会計年度に比べ3億29百万円(24.3%)の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は9億88百万円と前連結会計年度に比べ1億65百万円(20.0%)の増加となりました。
売上高当連結会計年度の売上高は、340億87百万円と前連結会計年度に比べ28億1百万円の増加となりました。ガス関連事業は原材料費の高騰に伴う販売価格の改定により増加、液化石油ガスの輸入価格の上昇により増加しました。器具器材関連事業及び自動車機器関連事業は全般的に需要が増加したことにより売上高は増加しました。
売上総利益当連結会計年度の売上総利益は、101億21百万円と前連結会計年度に比べ5億21百万円の増加となりました。ガス関連事業は、前年に実施した多賀城工場の大規模定期修理はなかったものの、電気料金の大幅な上昇に伴う製造コストの増加により収益を圧迫、一方で各種高圧ガスの価格改定を行ったこと及び食品用ガスの出荷量が外食産業向けに大幅に増加したことに加え、器具器材関連事業及び自動車機器関連事業は売上高が増加したこと等により売上総利益は増加となりました。
販売費及び一般管理費、営業利益当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、85億99百万円と前連結会計年度に比べ2億27百万円の増加となりました。ガス関連事業における市場の需要回復に伴う運搬費の増加に加え、東京支社新設に伴う諸経費の増加により販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上総利益の増加を受け営業利益は15億22百万円と前連結会計年度に比べ2億93百万円の増加となりました。
営業外損益、経常利益当連結会計年度の営業外収益は、受取賃貸料が増加したこと等により2億62百万円と前連結会計年度に比べ70百万円増加となりました。また、営業外費用は、賃貸費用が増加したこと等により1億円と前連結会計年度に比べ35百万円の増加となりました。以上の結果、経常利益は16億84百万円と前連結会計年度に比べ3億29百万円の増加となりました。
特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益13百万円を計上し、特別損失は、固定資産除売却損7百万円、減損損失2百万円等を計上し、合計10百万円を計上いたしました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、9億88百万円と前連結会計年度に比べ1億65百万円の増加となりました。
b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況ガス関連事業ガス関連事業の売上高は、220億83百万円と前連結会計年度に比べ18億86百万円(9.3%)の増加、営業利益は20億3百万円と前連結会計年度に比べ2億90百万円(17.0%)の増加となりました。当部門の状況といたしましては、溶解アセチレン、酸素及び窒素は需要が減少したものの調達コスト増加に伴う販売価格の改定に加え、アルゴンは発電所工事・自動車関連向けに、水素は石英加工向けに、食品用ガスは行動制限の緩和を受け外食産業向けに需要が増加、液化石油ガスは輸入価格の上昇の影響を受け、売上高は増加しました。利益面におきましては、前年に実施した多賀城工場の大規模定期修理がなかったものの、電気料金の大幅な上昇に伴う製造コストが増加、水素も調達コストの増加で収益を圧迫しましたが、各種高圧ガスの価格改定を行ったこと及び食品用ガスの出荷量が大幅に増加したこと等により、営業利益は増加となりました。なお、ガス関連事業は地政学リスクに晒されるなか原材料価格や燃料価格の高騰等の懸念はありますが、その変化に対し迅速に対応してまいります。また、食品用ガスの分野におきましては、感染症による影響は薄れていく中で、市場規模拡大に向け人的資本への投資を積極的に行い、事業基盤の強化策を実行してまいります。
器具器材関連事業器具器材関連事業の売上高は、96億86百万円と前連結会計年度に比べ7億12百万円(7.9%)の増加、営業利益は3億53百万円と前連結会計年度に比べ85百万円(31.8%)の増加となりました。当部門の状況といたしましては、溶接材料は販売価格を改定したことに加え、溶接切断器具はコロナ禍で停滞していた需要が回復し大型工作機械の需要が増加したこと等により売上高は増加しました。営業利益は、売上総利益の増加に伴い増加となりました。なお、設備投資需要が回復基調にあるなかで、溶接切断器具は鉄工所向け等の需要の増加や自動化を見据えた新たな需要の獲得、溶接材料は自動車関連向けに堅調な需要が見込まれ、また生活関連器具においてもさらなる販路の拡大に努めてまいります。
自動車機器関連事業自動車機器関連事業の売上高は、11億70百万円と前連結会計年度に比べ5億86百万円(100.4%)の増加、営業損益は前連結会計年度に比べ73百万円増加し、46百万円の営業利益(前連結会計年度は27百万円の営業損失)となりました。当部門の状況といたしましては、自動車部品メーカーの設備投資需要の回復を受け、営業利益を確保しました。なお、自動車業界を取り巻く事業環境は、環境規制の強化に伴うさらなる技術開発が期待されるなかで、今後、半導体不足の解消が徐々に進み、当社グループの主要取引先である自動車部品メーカーの需要も堅調に推移していくものと考えております。
製氷機関連事業製氷機関連事業の売上高は、8億64百万円と前連結会計年度に比べ3億11百万円(26.5%)の減少、営業利益は42百万円と前連結会計年度に比べ27百万円(170.9%)の増加となりました。当部門の状況といたしましては、製氷・冷凍機械の大型物件の減少により売上高及び売上総利益は減少しましたが、販売費及び一般管理費は前期に発生した保証工事等が大幅に減少したこともあり、営業利益は増加しました。なお、製氷・冷凍機械の受注環境に大きな変化はありませんが、大口受注先の設置が一巡するなかで、さらに新規顧客の獲得を目指すべく新たな分野からの受注獲得に向けた積極的な営業展開を行い、引き続き販路の拡大に努めてまいります。
その他その他の売上高は、2億81百万円と前連結会計年度に比べ71百万円(20.3%)の減少、営業利益は47百万円と前連結会計年度に比べ6百万円(12.7%)の減少となりました。当部門の状況といたしましては、医療機器の需要が増加したものの、医療用ガス配管工事の大型物件にかかる仕掛の減少により、売上高及び営業利益は減少となりました。
c.目標とする経営指標の達成状況等当社グループは、産業ガス及び関連する技術・機器等を通じ、経済的価値を創造するとともに、社会に貢献することを基本方針とし、2022年度を初年度とする4ヶ年の新中期経営計画を策定いたしました。既存事業の競争力強化と成長分野への積極投資を行う両利きの経営で、さまざまな事業強化策を実行し、事業ポートフォリオの変革を続けながら企業価値向上に努める所存であります。目標とする経営指標といたしましては、連結売上高400億円、経常利益25億円(経常利益率6%以上)、親会社株主に帰属する当期純利益16億円、ROE(自己資本当期純利益率)は8%以上を維持すること、また累進配当施策を実施し、1株当たり50円以上の年間配当を維持することを目標にしております。現時点の進捗状況といたしましては、連結売上高は340億円、経常利益16億円(経常利益率4.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益9億円、ROE6.1%であり、年間配当金は10円増配し60円といたしました。長期化する感染症の拡大や地政学リスク、エネルギー価格の高騰など、事業環境に多くの変化が生じましたが、その変化に迅速に対応し、新中期経営計画2年目に向けた足掛かりを築くことができました。今後も外部環境が不透明な状況が続きますが、目標達成に向け尽力してまいります。
② 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
ガス関連事業
953,876
+6.8
器具器材関連事業
―
―
自動車機器関連事業
―
―
製氷機関連事業
659,854
△17.1
その他
―
―
合計
1,613,730
△8.2
(注) 金額は製造原価によっております。
b.仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
ガス関連事業
13,099,180
+11.6
器具器材関連事業
8,195,348
+8.8
自動車機器関連事業
1,030,272
+58.9
製氷機関連事業
197,250
△46.3
その他
211,543
△2.8
合計
22,733,594
+11.1
(注) 1 当連結会計年度において、自動車機器関連事業に著しい変動がありました。これは、自動車部品メーカーの設備投資需要の回復によるものであります。2 当連結会計年度において、製氷機関連事業に著しい変動がありました。これは、製氷・冷凍機械の大型物件の減少によるものであります。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
ガス関連事業
22,083,821
+9.3
器具器材関連事業
9,686,234
+7.9
自動車機器関連事業
1,170,735
+100.4
製氷機関連事業
864,979
△26.5
その他
281,865
△20.3
合計
34,087,637
+9.0
(注) 1 当連結会計年度において、自動車機器関連事業に著しい変動がありました。これは、自動車部品メーカーの設備投資需要の回復によるものであります。2 当連結会計年度において、製氷機関連事業に著しい変動がありました。これは、製氷・冷凍機械の大型物件の減少によるものであります。3 当連結会計年度において、その他に著しい変動がありました。これは、医療用ガス配管工事の大型物件にかかる仕掛の減少によるものであります。
(2) 財政状態の状況
流動資産当連結会計年度末における流動資産の残高は192億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億31百万円の増加となりました。この主な要因は、器具器材関連事業の売掛金の回収により減少しましたが、自動車機器関連事業の売上高が増加したこと等により売上債権等が増加したこと等によるものであります。
固定資産当連結会計年度末における固定資産の残高は121億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億38百万円の減少となりました。この主な要因は、固定資産の投資による増加がある一方で、減価償却費の計上により減少したこと等によるものであります。
流動負債当連結会計年度末における流動負債の残高は109億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億92百万円の増加となりました。この主な要因は、器具器材関連事業の買掛金が支払いにより減少しましたが、自動車機器関連事業の売上高増加に伴い仕入債務が増加したこと等によるものであります。
固定負債当連結会計年度末における固定負債の残高は20億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ68百万円の減少となりました。この主な要因は、長期借入金が減少したこと等によるものであります。
純資産当連結会計年度末における純資産の残高は183億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億68百万円の増加となりました。この主な要因は、配当金の支払いによる減少がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと等によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、85億37百万円となり、前連結会計年度末より2億8百万円(2.5%)の増加となりました。営業活動で得られた資金は11億5百万円、投資活動で使用した資金は4億43百万円、財務活動で使用した資金は4億54百万円となり、現金及び現金同等物は増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー税金等調整前当期純利益及び契約負債が増加しましたが、売上債権及び契約資産、仕入債務の支払いが増加したこと等により、前連結会計年度に比べ6億75百万円(37.9%)減少しております。
投資活動によるキャッシュ・フロー有形固定資産の売却による収入が減少しましたが、有形固定資産の取得による支出が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ2億40百万円(35.2%)支出が減少しております。
財務活動によるキャッシュ・フロー主に長期借入金の返済による支出が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ1億76百万円(28.0%)支出が減少しております。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループにおける主な資金需要は、事業活動にかかる製品製造のための原料費及び商品仕入れの他、販売費及び一般管理費等の運転資金及び生産性向上のための設備投資資金であります。また、成長分野への中長期的な投資と株主還元を両立させながら必要な資金の確保を行い、財務健全性を維持しながら、キャッシュ・フロー経営の推進を図ってまいります。運転資金及び設備投資資金については、主に自己資金から充当し、必要に応じて金融機関からの借入により調達することを基本としております。また、財務基盤の充実と、今後起こり得る様々なリスクに十分に対応できる自己資本を保有してまいります。資金の流動性については、手許の運転資金はグループファイナンスを通じて連結子会社の余剰資金を当社に集中させる等資金効率の向上を図っている他、金融機関との間で当座貸越契約等を行っており、流動性に一部支障が生じる事象が発生した場合でも一定の流動性が維持できると考えております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債の残高は36億11百万円、現金及び現金同等物の残高は85億37百万円であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。