【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績
[全般]
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)においては、世界的な物価上昇を背景とした米欧の金融引き締めや、中国におけるゼロコロナ政策緩和後の景気回復の遅れ等を受け、世界経済の回復ペースは鈍化しています。
一方、わが国経済については、物価上昇による家計や企業への影響や世界経済の下振れ懸念はあるものの、新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う行動制限の解除を受け、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復が続きました。
同期間における原油価格(ドバイ原油)は、期初は1バーレル当たり84ドルから始まり、期末には77ドル、期平均では前年同期比30ドル安の78ドルとなりました。各国の金融引き締めによる世界的な景気後退懸念等の影響を受け下落基調であったものの、OPECプラスによる協調減産の合意が下支えし、80ドル前後で推移しました。
銅の国際価格(LME〔ロンドン金属取引所〕価格)は、期初は1ポンド当たり407セントから始まり、期末には372セント、期平均では前年同期比47セント安の385セントとなりました。世界的な景気後退懸念や中国の景気回復の遅れ等の影響を受けて、5月に350セント台後半まで下落し、その後は380セント前後で推移しています。
円の対米ドル相場は、日米の金利差拡大を背景に円安が進行し、期平均では前年同期比7円円安の137円となりました。
こうした状況のもと、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は、原油価格の下落に伴う石油製品販売価格の下落や金属価格の下落等により、前年同期比9.5%減の3兆2,183億円となりました。また、営業利益は、前年同期比2,313億円減益の940億円となりました。在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、前年同期比77億円増益の1,249億円となりました。
金融収益と金融費用の純額61億円を差し引いた結果、税引前四半期利益は、前年同期比2,441億円減益の879億円となり、法人所得税費用362億円を差し引いた四半期利益は、前年同期比1,831億円減益の517億円となりました。
なお、四半期利益の内訳は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が458億円、非支配持分に帰属する四半期利益が59億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
[エネルギーセグメント]
エネルギーセグメントの石油製品については、自動車の低燃費化を主要因とする構造的な国内石油製品需要の減少や、輸出市況の下落を受けて輸出数量が減少したことにより、販売数量は3.4%減となりました。
一方、石油化学製品は、中国における新型コロナウイルス感染症の影響緩和により、パラキシレン、ベンゼンともに市況は前年同期に比べ良化しました。
こうした状況のもと、エネルギーセグメントの当第1四半期連結累計期間における売上高は、前年同期比10.3%減の2兆6,811億円となりました。営業利益は前年同期比2,282億円減益の192億円となりました。これには原油価格の下落を主因とする在庫影響による会計上の損失が309億円(前年同期は2,081億円の利益)含まれており、在庫影響を除いた営業利益相当額は、前年同期比108億円増益の501億円となりました。
[石油・天然ガス開発セグメント]
原油及び天然ガスの生産量については、一部プロジェクトにおける減退及び定期修繕に伴う操業停止影響等により、前年同期に比べ減少しました。また、原油及び天然ガスの販売価格は、原油市況を反映し前年同期に比べ下落しました。
こうした状況のもと、石油・天然ガス開発セグメントの当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比9.2%減の442億円、営業利益は前年同期比20億円減益の259億円となりました。
[金属セグメント]
半導体材料事業については、各製品の販売量は、半導体市場における民生用電子デバイスの需要減少、それに伴う各サプライチェーンにおける在庫調整を主因に、概ね前年同期を下回り、減益となりました。
情報通信材料事業については、各製品の販売量は、昨年の中国のゼロコロナ政策等による景気減速の長期化、各サプライチェーンにおける在庫調整を主因に、前年同期を下回り、減益となりました。
基礎材料事業については、カセロネス銅鉱山の売却に伴う当四半期の利益剝落があったものの、同鉱山の売却に関連して生じる為替の評価益を主因に増益となりました。なお、SCM Minera Lumina Copper Chileの株式の51%について、Lundin Mining Corporationへの譲渡は、7月13日付で完了しました。
こうした状況のもと、金属セグメントの当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比4.1%減の3,934億円、営業利益は前年同期比10億円減益の401億円となりました。
[その他]
その他の事業の当第1四半期連結累計期間における売上高は前年同期比4.5%減の1,116億円、営業利益は前年同期比11億円減益の96億円となりました。
建設事業については、公共投資は底堅く、民間設備投資に持ち直しの動きが見られたものの、原材料価格の上昇、為替変動、労働需給のひっ迫等、依然として不透明な状況が継続しました。このような事業環境下、技術の優位性を活かした受注活動、原材料価格の上昇に対応したアスファルト合材の適正価格での販売、生産性の向上及びコスト削減の推進により、競争力の強化に努めました。
上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高が合計120億円(前年同期は112億円)含まれています。
(2)財政状態
①資産 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末比3,512億円増加の10兆3,057億円となりました。
②負債 当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、棚卸資産の増加に伴う運転資金の増加等により、前連結会計年度末比2,894億円増加の6兆9,563億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末比2,601億円増加の3兆3,695億円となり、また、手元資金を控除したネット有利子負債は1,476億円増加の2兆9,077億円となりました。なお、有利子負債にはリース負債を含めていません。
③資本 当第1四半期連結会計期間末における資本合計は、配当金の支払いによる減少等があったものの、四半期利益の計上等により、前連結会計年度末比618億円増加の3兆3,494億円となりました。
なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比0.3ポイント減少し28.4%、1株当たり親会社の所有者帰属持分は前連結会計年度末比22.62円増加の971.29円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.03ポイント悪化し、0.87倍(ハイブリッド債資本性調整前)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は4,178億円となり、期首に比べ1,063億円増加しました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、資金は1,414億円増加しました(前年同期は1,444億円の減少)。これは、運転資金の増加や法人税の支払等の資金減少要因があったものの、税引前四半期利益や減価償却費、当第1四半期連結会計期間末の揮発油税等の支払いが当第2四半期連結累計期間にずれ込んだこと等の資金増加要因が上回ったことによるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、資金は1,911億円減少しました(前年同期は1,232億円の減少)。これは、主として再生可能エネルギー事業への投資や製油所における石油精製設備の維持・更新のための投資によるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、資金は1,605億円増加しました(前年同期は2,808億円の増加)。これは、配当金の支払等の資金減少要因があったものの、短期借入金の増加等の資金増加要因が上回ったことによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、8,832百万円です。
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