【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況の概要
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和されたことにより社会経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しの動きが続きました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による半導体などの供給不足や原材料価格の高騰などを背景とした世界的な高インフレ、加えて欧米における急速な金融引き締め等により、先行きの不透明感も継続しました。
建設産業におきましては、担い手確保の問題に加えて、原油・資材価格や労務費などの物価上昇や労働者不足への対応によるコスト増加分の価格転嫁が、民間事業者との契約において円滑に進んでおらず業績への影響が懸念されているものの、公共投資は防災・減災、国土強靭化施策により底堅く推移し、民間投資においても持ち直しの動きが見られ事業量は堅調に推移しました。
このような中、当社グループでは、中期経営計画“Being a resilient company”の最終年度である当連結会計年
度は、レジリエント企業の実現に向けた次のステップにつなげるために、基幹3事業である国内土木、国内建築、
海外建設の各事業における重点施策を積み残しなく実行し、計画達成に向けて邁進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
総資産は、受取手形・完成工事未収入金等の増加などから、前連結会計年度末に比べ181億35百万円増加し、1,537億17百万円となりました。
負債は、支払手形・工事未払金等の増加などから、前連結会計年度末に比べ140億50百万円増加し、797億33百万円となりました。
純資産は、期末配当の実施及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上などから、前連結会計年度末に比べ40億84百万円増加し、739億84百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の50.2%から46.7%となり、3.5ポイント減少いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は、国内建築事業の回復により前期比10.4%増の1,683億51百万円となりましたが、国内土木事業の減収及び海外建設事業における瑕疵補修により、営業利益は前期比6.5%減の89億95百万円、経常利益は前期比6.4%減の85億51百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比3.5%減の56億56百万円となりました。
事業セグメント別の実績は以下のとおりであります。
(国内土木事業)
国内土木事業におきましては、環境変化に耐えうる事業基盤の構築に向けて、当社の基盤である官庁海上工事のシェアアップ、民間及び官庁陸上工事の受注拡大、成長ドライバーであるケーブル敷設分野を中心とする洋上風力事業への取り組み促進及び生産性向上に努めてまいりました。当連結会計年度は、繰越工事が前期と比較して減少したことにより、売上高は前期比12.8%減の776億18百万円、セグメント利益は前期比13.6%減の52億17百万円となりました。
(国内建築事業)
国内建築事業におきましては、営業利益を安定的に確保するため、組織営業力とコスト競争力の強化、ストック市場への取り組み強化策としてReReC®(Renewal、Renovation、Conversion)への注力及び生産性の向上に努めてまいりました。当連結会計年度は、繰越工事が前期と比較して増加したこと及び手持工事が順調に進捗したことにより、売上高は前期比55.0%増の675億42百万円、セグメント利益は前期比99.6%増の31億93百万円と倍増しました。
(海外建設事業)
海外建設事業におきましては、地域に根差した事業展開を継続し、顧客深耕や生産性の向上、現場力の強化に取り組み、事業量の拡大及び利益の安定的な確保に向けて基盤強化に努めてまいりました。当連結会計年度は、ケニアにおける大型港湾工事が竣工し、フィリピンにおける手持工事も順調に進捗したことにより、売上高は前期比18.6%増の225億15百万円となりましたが、フィリピンにおいて過年度に完成した土木工事に瑕疵があり、引当金も含めた補修額として10億15百万円を計上したことにより、セグメント利益は前期比82.4%減の2億93百万円となりました。
(不動産事業)
当連結会計年度の売上高は前期比33.3%減の4億51百万円、セグメント利益は前期比11.9%減の2億48百万円となりました。
(その他事業)
保険代理店業、物品の販売・リース事業などであり、当連結会計年度の売上高は前期比1.3%増の2億24百万円、セグメント利益は前期比40.5%増の43百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより117億85百万円の収入超過となりました。(前期は222億87百万円の収入超過)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産・無形固定資産の取得による支出などから、4億85百万円の支出超過となりました。(前期は11億9百万円の支出超過)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済、配当金の支払などから、28億72百万円の支出超過となりました。(前期は74億62百万円の支出超過)
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、390億8百万円となりました。(前期末残高は304億85百万円)
キャッシュ・フロー指標の推移
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
自己資本比率(%)
36.8
41.3
43.1
50.2
46.7
時価ベースの自己資本比率(%)
28.6
30.4
36.3
53.7
56.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
1.3
-
-
0.3
0.4
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
59.9
-
-
231.2
93.6
※自己資本比率:自己資本(純資産-非支配株主持分)/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払
①各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
②株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
③キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金を対象としております。また、利払は連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④キャッシュ・フローがマイナスである場合は、当該年度の記載を省略しております。
③生産、受注及び販売の実績
(1)受注実績
(単位 百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
国内土木事業
国内建築事業
102,939
62,476
34.0
△7.2
海外建設事業
不動産事業
その他事業
25,328
451
224
△37.2
△33.3
1.3
合計
191,419
3.3
(2)売上実績 (単位 百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
国内土木事業
国内建築事業
77,618
67,542
△12.8
55.0
海外建設事業
不動産事業
その他事業
22,515
451
224
18.6
△33.3
1.3
合計
168,351
10.4
(注)1.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
なお、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
受注工事高(契約高)及び施工高の状況
①受注工事高、完成工事高、繰越工事及び施工高
第102期(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(単位 百万円)
種類別
前期繰越
工事高
当期受注
工事高
計
当期完成
工事高
次期繰越高
当期施工高
手持工事高
うち施工高
建設事業
%
海上土木
(36,075)
35,702
75,617
111,319
62,376
48,942
0.5
230
62,085
陸上土木
(33,163)
32,579
22,912
55,492
30,709
24,782
0.9
214
30,761
建 築
57,579
66,586
124,165
42,827
81,338
1.1
914
42,908
計
(126,818)
125,861
165,115
290,977
135,913
155,063
0.9
1,360
135,755
不動産事業
-
657
657
657
-
-
-
-
合計
(126,818)
125,861
165,772
291,634
136,570
155,063
-
-
-
第103期(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位 百万円)
種類別
前期繰越
工事高
当期受注
工事高
計
当期完成
工事高
次期繰越高
当期施工高
手持工事高
うち施工高
建設事業
%
海上土木
(48,942)
49,654
68,043
117,697
55,110
62,586
0.6
381
55,261
陸上土木
(24,782)
24,890
37,859
62,750
27,459
35,291
0.2
58
27,302
建 築
81,338
61,861
143,199
66,912
76,287
0.5
389
66,387
計
(155,063)
155,883
167,764
323,647
149,482
174,165
0.5
829
148,951
不動産事業
-
443
443
443
-
-
-
-
合計
(155,063)
155,883
168,207
324,090
149,925
174,165
-
-
-
(注)1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額に増減のあるものについては、当期受注工事高にその増減を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2.次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。
3.次期繰越高(手持工事高)は、不動産事業を除き(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)に一致しております。
4.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、前事業年度における次期繰越高であり、下段は当該事業年度の外国為替相場の変動による増減額等を反映させたものであります。
②受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(単位 %)
期別
区分
特命
競争
計
第102期
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
海上土木工事
4.6
95.4
100
陸上土木工事
20.6
79.4
100
建築工事
39.9
60.1
100
第103期
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
海上土木工事
10.0
90.0
100
陸上土木工事
21.1
78.9
100
建築工事
48.6
51.4
100
(注)算出は請負金額比によります。
③完成工事高
(Ⅰ)完成工事高 (単位 百万円)
期別
区分
国内
海外
計
(B)
官公庁
民間
(A)
(A)/(B)
(%)
第102期
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
海上土木工事
41,315
10,623
10,438
16.7
62,376
陸上土木工事
19,924
7,759
3,025
9.9
30,709
建築事業
5,043
37,725
57
0.1
42,827
計
66,283
56,108
13,521
9.9
135,913
第103期
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
海上土木工事
35,315
9,795
9,999
1.8
55,110
陸上土木工事
17,690
7,938
1,830
6.7
27,459
建築事業
3,823
62,980
108
0.2
66,912
計
56,830
80,713
11,938
8.0
149,482
(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第102期 請負金額10億円以上の主なもの
インドネシア共和国
パティンバン新港開発事業(第1期-1工事)パッケージ2
国土交通省
東京国際空港C滑走路他地盤改良工事(その2)
宮城県
平成29年度県債311地震災1464-001号 野々島地区海岸災害復旧工事
関西エアポート株式会社
関西国際空港1期島消波ブロック設置工事(1工区)
神戸市
六甲アイランド東部公共上屋新築工事
センコーグループ株式会社
(仮称)センコーグループホールディングス岩槻物流センター新築工事
第103期 請負金額10億円以上の主なもの
ケニア共和国ケニア港湾公社
モンバサ港コンテナターミナル開発工事(2期)
国土交通省
川崎港臨港道路東扇島水江町線東扇島アプローチ部橋梁下部工事
東京都
六郷ポンプ所設備再構築に伴う建設及び耐震補強工事
四国旅客鉄道株式会社
予讃線海岸寺・詫間間護岸復旧その4工事
高槻市
高槻市エネルギーセンター第一工場解体及びリサイクル施設整備工事
株式会社日本エスコン
岐阜県羽島市物流施設開発PJ
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりであります。
第102期 国土交通省 29,286百万円 21.5%
第103期 国土交通省 24,309百万円 16.3%
(Ⅱ)不動産事業売上高
(単位 百万円)
期別
区分
金額
第102期
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
土地建物販売収入
239
賃貸収入
417
計
657
第103期
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
土地建物販売収入
-
賃貸収入
443
計
443
④手持工事高(2023年3月31日現在)
(単位 百万円)
区分
国内
海外
計
官公庁
民間
海上土木工事
25,692
11,243
25,650
62,586
陸上土木工事
30,476
4,814
-
35,291
建築工事
11,416
64,870
-
76,287
計
67,585
80,928
25,650
174,165
(注)手持工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
国土交通省
令和4年度馬毛島仮設桟橋築造工事(その2)
2023年11月完成予定
株式会社Peace Deli
Peace Deli千葉誉田PJ新築工事
2024年2月完成予定
阪神国際港湾株式会社
ポートアイランド(第2期)地区コンテナ南ふ頭再整備工事
2025年4月完成予定
フィリピン共和国
パッシグ・マリキナ河川改修(フェーズ4)(パッケージ2)
2025年10月完成予定
大阪府
大阪モノレール支柱建設工事(三島工区その2)
2026年1月完成予定
枚方京田辺環境施設組合
可燃ごみ広域処理施設整備・運営事業 建設工事
2026年3月完成予定
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
受注高 1,682億円(前期比24億円増)※当社個別
・国内土木事業は、大型の自衛隊施設整備工事の受注により305億円の増加、国内建築事業は、工場・倉庫など民間案件は前期に続き堅調であったものの、要員や生産性等を考慮し環境施設案件の受注をコントロールしたことから前期と比較して47億円の減少、海外建設事業は、前期と比べて当社が注力するODA案件の出件の端境期であったから前期と比較して231億円の減少となり、当社個別の受注高合計は前期と比較して24億円増加いたしました。
連結売上高 1,683億円(前期比158億円増)
・国内土木事業において繰越工事が前期と比較して減少した一方で、国内建築事業において繰越工事が前期と比較して増加したこと、また各事業における手持工事が順調に進捗したことにより、連結売上高は前期と比較して158億円増加いたしました。
連結売上総利益 195億円(前期比4億円増)
・国内建築事業では、売上高が前期と比較して増加したことにより大幅な増益となった一方で、国内土木事業での売上高減少や海外建設事業では過年度に完成した土木工事において瑕疵が発生したこともあり、連結売上総利益は前期と比較して微増となりました。
連結営業利益 89億円(前期比6億円減)
・売上総利益は増加したものの、人件費や調査・研究費等一般管理費が増加したことにより、連結営業利益は前期と比較して微減となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの事業活動における資金需要は主に大きく分けて運転資金と設備資金需要の2つがあります。季節
的変動の影響を受けやすい建設業の事業特性を踏まえ、運転資金調達についてはコミットメントライン(特定融資枠)設定契約によるものとし、2020年9月に金融機関7行と総額100億円、期間3年のシンジケーション方式によるコミットメントライン設定契約を締結しております。また、2023年3月に金融機関1行と総額50億円、期間1年のコミットメントライン設定契約を締結しております。
設備資金調達については、主要借入行を中心とした調達を行っております。
c.財務政策
当社グループの事業活動の推進、運営に必要な運転資金及び設備資金の調達を安定的に確保するため、金融機関からの借入による資金調達を行っております。
当連結会計年度末における長期借入金は17億54百万円、短期借入金は29億51百万円となり、有利子負債総額は前連結会計年度末比8億86百万円減の47億5百万円となっております。また引き続き、資金調達コスト低減にも取り組んでまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、完成工事高及び完成工事原価の計上、販売用不動産の評価、貸倒引当金・完成工事補償引当金・工事損失引当金等の重要な引当金の計上、退職給付に係る負債の計上、繰延税金資産の計上等に関して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を連結貸借対照表及び連結損益計算書の金額に反映しております。但し、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が当社グループの業績に重要な影響を及ぼすと考えております。
a.一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法による完成工事高
完成工事高の計上にあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び連結会計年度末における工事進捗度を合理的に見積り、完成工事高を計上しております。工事施工中の事故・災害発生等による予定外の費用の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画(2020~2022年度)の達成状況
目標項目(2023年3月期)
達成目標
実績
3年間の連結営業利益合計
300億円
328億円
連結営業利益率
6%以上
5.3%
連結自己資本
700億円
718億円
連結自己資本比率
45%
46.7%
連結ROE(自己資本利益率)
10%以上
8.1%
