【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間の沖縄県経済は、個人消費や観光関連が持ち直しており、建設関連についても公共投資が高めの水準となっている。
当第3四半期連結累計期間の販売電力量は、電灯については、他事業者への契約切り替えによる需要減により、前年同期を下回った。電力については、新型コロナウイルスの影響が弱まったことなどによる需要増により、前年同期を上回った。この結果、電灯と電力の販売電力量合計は、前年同期に比べ0.9%増の56億21百万kWhとなった。
当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高(営業収益)については、電気事業において、燃料費調整制度の影響や他社販売電力料などの増加があり、前年同期に比べ424億46百万円増(32.1%増)の1,745億37百万円となった。営業費用については、電気事業において、燃料価格高騰に伴う燃料費や他社購入電力料などの増加があり、前年同期に比べ819億3百万円増(64.4%増)の2,090億84百万円となった。電気事業において、燃料価格高騰に伴う費用増を電灯電力料に反映できていない部分があるため、営業損益は345億46百万円の損失(前年同期は営業利益49億10百万円)、営業外損益を含めた経常損益は346億78百万円の損失(前年同期は経常利益48億83百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損益は291億51百万円の損失(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益37億円)となった。なお、当社グループの主たる事業である電気事業において、電力需要が夏季にピークを迎えることや、発電所の修繕工事の完了時期による影響を受けることなどにより、四半期の業績に季節的変動がある。
当第3四半期連結累計期間の財政状態は、資産については、棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ444億46百万円増(10.0%増)の4,909億66百万円となった。負債については、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ748億90百万円増(26.3%増)の3,601億22百万円となった。純資産については、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上などにより、前連結会計年度末に比べ304億44百万円減(18.9%減)の1,308億43百万円となった。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ9.4ポイント減の26.3%となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。なお、前連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当第3四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいている。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりである。
① 電気事業売上高については、燃料費調整制度の影響や他社販売電力料などの増加があり、前年同期に比べ413億22百万円増(32.6%増)の1,681億77百万円となった。営業費用については、燃料価格高騰に伴う燃料費や他社購入電力料などの増加があり、前年同期に比べ805億90百万円増(65.6%増)の2,033億79百万円となった。この結果、営業利益は前年同期に比べ392億68百万円減の352億2百万円の損失となった。
② 建設業売上高については、民間工事の増があったものの内部向け工事の減などにより、前年同期に比べ7億20百万円減(4.1%減)の167億49百万円となった。営業費用については、6億95百万円減(4.1%減)の162億66百万円となった。この結果、営業利益は前年同期に比べ24百万円減(4.9%減)の4億82百万円となった。
③ その他売上高については、ガス供給事業の増やESP事業の増などにより、前年同期に比べ23億39百万円増(11.7%増)の223億18百万円となった。営業費用については、26億34百万円増(13.8%増)の217億20百万円となった。この結果、営業利益は前年同期に比べ2億94百万円減(33.0%減)の5億98百万円となった。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、有形固定資産の減価償却方法の変更を行っている。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)」に記載のとおりである。
(3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はない。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営環境及び対処すべき課題について重要な変更があった。なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の項目番号に対応したものである。
(4) 経営環境及び対処すべき課題電力需要については、電力小売全面自由化による新電力の参入が本土エリアと同様に進み、また、ガス事業における他燃料を扱う事業者やエネルギーサービスプロバイダ(ESP)事業における県外の大手エネルギー事業者等との激しい競合が続くなど、エネルギー市場は激しい競争下にある。また、県経済は新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き不透明感はあるものの、総合エネルギー事業者として、新型コロナ収束後の中長期的な市場動向を見据えつつ、商業・宿泊施設の建設や大規模都市開発などの新たなエネルギー需要やビジネスチャンスを着実に捉えていかなければならない。更に、ウクライナ情勢に起因する燃料価格高騰については、緊急経営対策委員会を設置し、最大限の収支対策を検討・実施しているところである。しかし、燃料価格高騰の長期化や円安の進行により、事業環境は厳しさを増しており、電力の安定供給を継続していくために、規制料金を含む全ての電気料金について、2023年4月※から規制部門における電気料金について値上げを申請するとともに自由化部門においても同時期から電気料金の見直しを予定している。地球温暖化対策については、社会的な要請が一層高まっている中、当社グループは従来から重要な経営課題と認識し、最も有力な手段である液化天然ガスを燃料とした吉の浦火力発電所の導入をはじめ、石炭火力発電所における木質バイオマスの混焼、再エネ導入などを進めてきた。今後も、長期的な指針となる「沖縄電力ゼロエミッションへの取り組み」に基づき、再エネ主力化や火力発電のCO2排出削減を通し、カーボンニュートラルという長期的かつチャレンジングな目標の達成に向けて、更なる取り組みを推進していく。収益面については、厳しい競争環境に勝ち抜いていくために、おきでんmore-Eポイントサービスなどのより良いサービスを提供しながらおきでんサポーターを増やしていく。太陽光発電による脱炭素と蓄電池を活用した防災対策を組み合わせた「かりーるーふ」に、オール電化を加え、新たな電化提案を進めていく。また、環境志向の高いお客さまには、「うちな~CO2フリーメニュー」などにより、新しい価値を提供していく。電気とガスの両方を供給できる総合エネルギー事業者として、CO2削減、安定供給、BCP(事業継続計画)強化といった利点を持つエネルギーセンターによる面的供給など、グループの技術を集結したエネルギー供給にも注力していく。さらに、グループ資産の有効活用やヘルスケア事業など、将来に向けた新規投資案件や新規事業の具現化に向け取り組み、「トップラインの拡大」を図っていく。コスト面については、より付加価値の高い領域にリソースを向ける「攻めの効率化」を積極的に行いながら、Convert(デジタル化)、Optimize(最適化)、Make(価値創造)の「おきでん.COM」の考え方のもと、収益性の向上と新たな価値創造にグループ大で前向きかつ積極的に取り組んでいく。エネルギーの安定供給については、当社不変の基本的使命であり、総合エネルギー事業者として、これまで築いてきたお客さまからの信頼を今後も維持していくため、設備の予知保全、ヒューマンエラー防止に向けた取り組みを継続する。また、長期に亘る安定供給の確保を行うためにも、持続的に利益確保ができるよう修繕費や減価償却費といった設備関係のトータルコストの低減を検討しながら、効率的な設備形成に取り組んでいく。台風時における迅速な復旧に向けては、グループ・協力会社を挙げた全社的な復旧体制の充実を図るとともに、自治体等への電力データの提供による防災関係機関との連携やお客さま対応など、災害対策の強化に部門を超えて取り組む。また、高度化するサイバー攻撃等に備え、サイバーインシデントの未然防止・被害拡大防止に着実に取り組む。無事故無災害への取り組みについては、「安全」は経営の根幹であり、当社事業に従事する全ての者の安全確保が最優先事項であることを強く認識し、安全文化の浸透、安全管理の徹底にグループ・協力会社一丸となって取り組む。また、従業員の心身における健康を確保し、仕事と生活の調和を図るため、長時間労働の防止等、適正な労働時間管理を徹底する。そして、従業員とともに健康経営を実践し、健康で活き活きと働くことができる職場環境づくりに努めていく。電気事業以外の事業については、総合エネルギー事業を中心に建設業・不動産業、IT関連事業など、これまでの事業運営で培ったグループ各社の強みと総合力を発揮して更なる収益拡大に取り組んでいく。
※規制料金の改定については、国の審査等を経ることになるため実際の改定実施は遅れる可能性がある。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3億78百万円である。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。
(6) 生産、受注及び販売の状況当第3四半期連結累計期間において、電気事業セグメントにおける生産、販売の実績に著しい変動があり、その内容については、「(1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載している。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの資本の財源については、電気事業等を行うための設備投資と債務償還などに必要な資金を、自己資金に加えて、金融機関からの長期借入や社債発行により調達している。また、短期的な運転資金を銀行借入やコマーシャル・ペーパー発行により調達している。資金の流動性については、各種計画に基づき、適時に資金繰計画を作成・更新するほか、当座借越枠の設定やコミットメントラインの取得により確保している。
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