【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)における世界経済は、新型コロナウイルスのパンデミックからの回復などにより社会経済活動が正常化に向かった一方、世界的な物価上昇を背景に、米欧を中心とした金融引き締め政策が継続し、景気下振れリスクが高まるなど、先行き不透明な状況が続きました。
このような状況下、当社グループは、2021年度よりスタートした中期経営計画「Grow UP 2023」の最終年度として、今年度も「環境変化に強い収益構造への転換」を図るべく、「競争優位(“差異化”)事業の更なる強化」「新規事業の創出と育成の加速」「不採算事業の見直し・再構築」等の施策による事業ポートフォリオ改革を推進しております。
当社グループの売上高は、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)が新たに連結対象となったことや、円安が増収要因となりましたが、メタノールやアンモニアの市況下落や、電子材料、芳香族化学品の販売数量減少等の影響が上回り減収となりました。
営業利益は、円安や原燃料安が増益要因となったものの、電子材料や芳香族化学品を中心とした全般的な販売数量減少や、ポリアセタールの市況下落等により減益となりました。
経常利益は、メタノール市況の下落等により海外メタノール生産会社における持分法利益が減少したことや、営業利益が減少したことなどから減益となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の連結化に伴う段階取得差益の計上等により増益となりました。
以上の結果、売上高1,870億円(前年同期比69億円減(3.6%減))、営業利益62億円(前年同期比126億円減(67.0%減))、持分法損失6億円(前年同期比29億円悪化)、経常利益70億円(前年同期比178億円減(71.8%減))、親会社株主に帰属する四半期純利益198億円(前年同期比37億円増(23.2%増))となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
〔基礎化学品〕
メタノールは、市況が前年同期に比べ下落したことなどから減収減益となりました。
メタノール・アンモニア系化学品は、MMA系製品の販売数量が減少したことや、アンモニア等市況の下落により減収減益となりました。
ハイパフォーマンスプロダクツは、米欧の景気減速に伴う需要低迷により、メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドの販売数量が減少したことなどから減収減益となりました。
キシレン分離/誘導品は、高純度イソフタル酸(PIA)の販売数量減少やユーティリティ費用の上昇などから減収減益となりました。
発泡プラスチック事業は、製品価格改定等による売上の増加や、コスト削減などから増収増益となりました。
以上の結果、売上高998億円(前年同期比152億円減(13.2%減))、営業利益32億円(前年同期比44億円減(57.5%減))、経常利益20億円(前年同期比63億円減(75.7%減))となりました。
〔機能化学品〕
無機化学品は、原燃料価格上昇等の販売価格への転嫁が増益要因となりましたが、半導体需要の低迷により、半導体向け薬液の販売数量が減少したことなどから減収減益となりました。
エンジニアリングプラスチックスは、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の連結化により増収となりましたが、ポリアセタールの市況が下落したことや、ポリカーボネート及びポリカーボネートシート・フィルムの販売数量が減少したことなどから減益となりました。
光学材料は、光学樹脂ポリマーの主用途であるスマートフォンの需要が低調に推移したことなどから、減収減益となりました。
電子材料は、主力の半導体パッケージ用BT材料の販売水準は汎用品を中心に前年第4四半期から回復傾向にあるものの、依然として半導体需要が低水準で推移したことから、前年同期比で減収減益となりました。
「エージレス®」等の脱酸素剤は、国内食品用途における巣ごもり需要の反動や、輸出販売の減少に加え、原材料価格の上昇等もあり、減収減益となりました。
以上の結果、売上高871億円(前年同期比82億円増(10.5%増))、営業利益35億円(前年同期比85億円減(70.7%減))、経常利益47億円(前年同期比98億円減(67.7%減))となりました。
〔その他の事業〕
その他の事業の売上高は0億円、営業損失は0億円、経常利益は0億円となりました。
(2)財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて804億円増加の11,097億円となりました。
流動資産は、470億円増加の5,303億円となりました。増加の要因は、商品及び製品の増加などであります。
固定資産は、333億円増加の5,793億円となりました。増加の要因は、のれんの増加などであります。
負債は、481億円増加の4,062億円となりました。流動負債は、短期借入金の増加などにより385億円増加しました。固定負債は、長期借入金の増加などにより96億円増加しました。
純資産は、322億円増加の7,034億円となりました。増加の要因は、利益剰余金の増加などであります。
この結果、自己資本比率は56.7%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、6,264百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。