【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、原燃料価格等が高騰したほか、世界的な物価上昇を背景に米欧を中心に金融引き締め政策が進められ、金利上昇が世界経済の成長を鈍化させる景気下振れリスクとなっております。また金融政策の修正に伴う為替変動や、中国における新型コロナウイルス感染拡大の影響など、先行き不透明な事業環境が継続しています。
このような状況下、当社グループは、2021年度よりスタートした中期経営計画「Grow UP 2023」のもと、「環境変化に強い収益構造への転換」を図るべく、「競争優位(“差異化”)事業の更なる強化」「新規事業の創出と育成の加速」「不採算事業の見直し・再構築」等の施策による事業ポートフォリオ改革を推進しております。また、原燃料価格および輸送費の上昇に対しては、コスト上昇分の販売価格への転嫁に取り組むことで、収益力の維持・強化に努めております。
当社グループの売上高は、為替変動の影響や、原燃料高の販売価格への転嫁に加え、韓国ポリアセタール販売会社の新規連結化などもあり、増収となりました。
営業利益は、原燃料価格や輸送費の上昇、電子材料の需要の落ち込みなどの減益要因があったものの、円安効果や、ポリアセタールの販売好調などもあり、前年同期並みとなりました。
経常利益は、メタノール市況は下落したものの、海外メタノール生産会社における繰延税金負債の取り崩しにより持分法利益が増加したことなどにより、増益となりました。
以上の結果、売上高5,993億円(前年同期比740億円増(14.1%増))、営業利益454億円(前年同期比5億円増(1.1%増))、持分法利益143億円(前年同期比34億円増(31.1%増))、経常利益637億円(前年同期比54億円増(9.4%増))、親会社株主に帰属する四半期純利益445億円(前年同期比51億円増(13.1%増))となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
〔基礎化学品〕
メタノールは、市況は前年同期をやや下回りましたが、円安効果に加え、持分法利益が増加したことなどから、増収増益となりました。
メタノール・アンモニア系化学品は、原燃料価格が上昇した中で採算是正を進めましたが、ネオペンチルグリコールの市況が悪化したことにより、減益となりました。
ハイパフォーマンスプロダクツは、芳香族アルデヒドの販売数量が増加したものの、MXDAの一時的な装置トラブルによる販売数量減などから、減益となりました。
キシレン分離/誘導品は、原燃料価格の上昇などにより高純度イソフタル酸(PIA)の採算が悪化したことなどから、減益となりました。
発泡プラスチック事業は、原燃料価格等の上昇に対する製品価格改定時期の遅れなどにより、減益となりました。
以上の結果、売上高3,602億円(前年同期比475億円増(15.2%増))、営業利益189億円(前年同期比45億円減(19.4%減))、経常利益290億円(前年同期比1億円増(0.6%増))となりました。
〔機能化学品〕
無機化学品は、半導体向け薬液の販売数量が増加したものの、輸送費や原燃料価格が上昇したことなどから、減益となりました。
エンジニアリングプラスチックスは、ポリカーボネート、ポリカーボネートシート・フィルムの販売数量が減少したものの、ポリアセタールの販売が好調に推移したほか、韓国ポリアセタール販売会社の新規連結化などもあり、増収増益となりました。
光学材料は、前年同期の顧客の在庫調整は解消したものの、光学樹脂ポリマーの主用途であるスマートフォンの需要が低調に推移したことなどから、前年同期並みの損益となりました。
電子材料は、主力の半導体パッケージ用BT材料において、PC関連機器や家電向けなどの汎用材料の需要が落ち込んだことに加え、スマートフォンやメモリ向けの高機能材料の需要も第3四半期に減少したことなどから、減収減益となりました。
「エージレス®」等の脱酸素剤は、海外向け販売が円安影響もあり食品分野を中心に堅調に推移したものの、原材料費や輸送費が上昇したことなどから、前年同期並みの損益となりました。
以上の結果、売上高2,390億円(前年同期比265億円増(12.5%増))、営業利益284億円(前年同期比40億円増(16.6%増))、経常利益335億円(前年同期比22億円増(7.1%増))となりました。
〔その他の事業〕
その他の事業の売上高は1億円、営業損失は2億円、経常損失は0億円となりました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,282億円増加の10,568億円となりました。
流動資産は、680億円増加の5,202億円となりました。増加の要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加などであります。
固定資産は、601億円増加の5,366億円となりました。増加の要因は、投資有価証券の増加などであります。
負債は、881億円増加の3,859億円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金の増加などにより381億円増加しました。固定負債は、長期借入金の増加などにより499億円増加しました。
純資産は、401億円増加の6,709億円となりました。増加の要因は、利益剰余金の増加などであります。
この結果、自己資本比率は57.2%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、17,192百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。