【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(経営成績等の状況の概要)
(1) 経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による行動制限が多くの国で緩和され、経済活動の再開が進みましたが、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を背景とした原油・天然ガス等資源価格の上昇やインフレ抑制に向けた世界的な金融引き締めなど世界経済の先行きは不透明な状況となっております。このような環境のもと、当連結会計年度の売上収益は、主力製品である鋼材・鍛造品の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、前連結会計年度(260,117百万円)に比べ9.6%増の285,141百万円となりました。 利益につきましては、販売数量の減少や合金鉄・購入鋳片・エネルギー等購入品価格の高騰が減益要因となった一方で、販売価格の値上がりが増益要因となり、営業利益は前連結会計年度(2,139百万円)に比べ52.4%増の3,260百万円となりました。また、税引前利益は前連結会計年度(2,895百万円)に比べ41.6%増の4,099百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度(1,089百万円)に比べ47.8%増の1,610百万円となりました。
なお、セグメント区分ごとの売上収益は、次のようになっております。
鋼(ハガネ)カンパニー主力製品である特殊鋼の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上収益は105,687百万円と、前連結会計年度(99,556百万円)に比べ6.2%増加しました。
ステンレスカンパニー主力製品であるステンレス鋼の販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上収益は42,244百万円と、前連結会計年度(36,322百万円)に比べ16.3%増加しました。
鍛(キタエル)カンパニー主力製品である自動車用型打鍛造品の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上収益は114,463百万円と、前連結会計年度(103,037百万円)に比べ11.1%増加しました。
スマートカンパニー磁石の売上収益は減少したものの、電子部品の売上収益の増加により、当連結会計年度の売上収益は20,243百万円と、前連結会計年度(18,970百万円)に比べ6.7%増加しました。
その他事業当連結会計年度の売上収益は2,502百万円と、前連結会計年度(2,230百万円)に比べ12.2%増加しました。
(2) 財政状態の状況当連結会計年度末の資産合計は、退職給付に係る資産の減少などあったものの、現金及び現金同等物及び棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ21,049百万円増の385,449百万円となりました。負債合計は、借入金の増加などにより、19,201百万円増の171,126百万円となりました。資本合計は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に係る純変動の増加などにより、1,847百万円増の214,322百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(32,866百万円)に比べ14,668百万円増加し、47,534百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は13,028百万円と前連結会計年度(5,210百万円)に比べ7,818百万円増加しました。これは、営業債務及びその他の債務の減少による資金の減少2,864百万円(前連結会計年度は、営業債務及びその他の債務の増加による資金の増加7,590百万円)があったものの、税引前利益が4,099百万円と1,204百万円増加、棚卸資産の増加による資金の減少が4,560百万円と9,911百万円減少、営業債権及びその他の債権の増加による資金の減少が2,075百万円と5,762百万円減少したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の減少は15,958百万円と前連結会計年度(15,542百万円)に比べ416百万円増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の増加は16,998百万円(前連結会計年度は、財務活動による資金の減少11,987百万円)となりました。これは、前連結会計年度は、社債の償還による支出20,000百万円(当連結会計年度は、該当なし)、短期借入金の返済による支出5,000百万円(当連結会計年度は、該当なし)があったことに対して、当連結会計年度は長期借入れによる収入が4,038百万円増加したことなどによるものであります。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前期比(%)
鋼(ハガネ)カンパニー
144,824
5.7
ステンレスカンパニー
43,814
18.8
鍛(キタエル)カンパニー
114,244
10.2
スマートカンパニー
20,021
3.5
その他事業
16,598
5.8
合計
339,503
8.6
(注) 1 セグメント間取引については、内部振替前の金額によっております。2 金額は、販売価格によっております。
(2) 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、スマートカンパニー及びその他事業は見込生産を行っているため、記載しておりません。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
鋼(ハガネ)カンパニー
104,199
0.2
16,393
△8.3
ステンレスカンパニー
43,038
8.8
9,143
9.5
鍛(キタエル)カンパニー
119,819
14.9
38,706
16.1
(注) セグメント間の内部受注金額は、消去しております。
(3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前期比(%)
鋼(ハガネ)カンパニー
105,687
6.2
ステンレスカンパニー
42,244
16.3
鍛(キタエル)カンパニー
114,463
11.1
スマートカンパニー
20,243
6.7
その他事業
2,502
12.2
合計
285,141
9.6
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
豊田通商㈱
62,846
24.2
70,124
24.6
㈱アイシン
24,432
9.4
24,476
8.6
トヨタ自動車㈱
22,784
8.8
18,151
6.4
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「3.重要な会計方針」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績当社グループの当連結会計年度の売上収益は、販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して9.6%増加し、285,141百万円と過去最高となりました。セグメント別の売上収益については、鋼(ハガネ)カンパニーは特殊鋼の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して6.2%増加、ステンレスカンパニーはステンレス鋼の販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して16.3%増加、鍛(キタエル)カンパニーは鍛造品の販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して11.1%増加、スマートカンパニーは磁石の売上収益は減少したものの、電子部品の売上収益の増加により、前連結会計年度と比較して6.7%増加しました。利益につきましては、販売数量の減少や、合金鉄・購入鋳片・エネルギー等の購入品価格の高騰が減益要因となった一方で、販売価格の値上がりが増益要因となり、当連結会計年度の営業利益は3,260百万円となり、前連結会計年度(2,139百万円)に比べ1,121百万円増加しました。税引前利益は4,099百万円となり、前連結会計年度(2,895百万円)に比べ1,204百万円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益は1,610百万円となり、前連結会計年度(1,089百万円)に比べ521百万円増加しました。 (3) 資本の財源及び資金の流動性当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(32,866百万円)に比べ14,668百万円増加し、47,534百万円となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローが13,028百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローが15,958百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが16,998百万円の資金の増加であったことによるものであります。当社グループは、中期的には製造設備の合理化や生産能力増強、安定供給のための設備保全に対応するための設備投資を計画的に行っていく予定でありますので、今後も、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの状況を睨みながら、必要に応じて外部資金の調達を行い資金の流動性を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの増加に努め有利子負債の削減を図っていく所存であります。なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は52.9%(前連結会計年度末は55.3%)となっており、安定した財務基盤を維持しております。今後も、グローバルで金融機関との良好な関係を維持し、資金流動性と調達力を確保してまいります。
(4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループが目標とする経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当連結会計年度の経営成績は2023年度を最終年とした中期経営計画の目標とする経営指標(連結売上収益2,508億円、連結営業利益150億円)に対して、当連結会計年度の売上収益は285,141百万円、営業利益は3,260百万円となっております。販売数量の減少に加え、エネルギー・合金鉄等、購入品の価格高騰が継続する不透明な経済環境が継続しておりますが、お客様の従来以上のご理解もあり、購入品の価格高騰に対する販売価格への反映は進んでおります。さらなるモノづくり力の向上に励むとともに、自助努力を超える部分の販売価格への反映の必要性をご理解いただく活動に継続して取組み「愛知製鋼グループ 2021-23年度 中期経営計画」の達成を目指してまいります。