【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財務状態及び経営成績の状況①経営成績の状況当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染者数は一時減少傾向にありましたが、再び増加傾向に推移しました。一方、経済社会活動は新型コロナウイルス感染症対策を取りながら正常に戻りつつあります。そのような状況の中、原材料価格やエネルギー価格の上昇、急激な円安進行などにより食品をはじめとする様々な商品・サービス価格が上昇し消費者の生活防衛意識が高まり、先行きが不透明な状況が続いております。 当社グループが属する食品スーパーマーケット業界におきましては、EC事業者やドラッグストアなど他業種の食品取扱いが増加傾向にあることや食品価格の相次ぐ値上げ、経済社会活動の正常化により消費者の行動が内食から外食へシフトしていることから、販売を取り巻く環境は依然厳しい状況が続いております。このような状況のもと、当社グループは、「まずはお客様ありき」の精神のもと、地域のお役立ち業として社会インフラの使命を果たすため、お客様・従業員への新型コロナウイルス感染症の感染予防策を徹底し営業活動を止めない、また安心・安全な商品とサービスの安定供給に注力してまいりました。当第3四半期連結累計期間における経営成績は、営業収益が1,890億26百万円(前年同四半期比1.6%減)、売上高が1,810億74百万円(同1.7%減)とそれぞれ減収となりました。また、売上総利益率は0.1ポイント減少して27.7%となり、売上総利益は501億84百万円(同1.9%減)、販売費及び一般管理費は565億31百万円(同0.1%減)となりました。以上の結果、営業利益は16億4百万円(同38.1%減)、経常利益は18億32百万円(同36.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は10億72百万円(同48.9%減)となりました。
当社グループにおける事業セグメントごとの状況は次のとおりです。
[スーパーマーケット事業]当社は、“新鮮さを お安く 心をこめて”を経営目標とし、「楽しい」「美味しい」「鮮度感溢れる」をお客様に感じていただくことを目指し、価値ある商品の開発やお値打ち価格での商品提供を行ってまいりました。売上高におきましては、年末商戦は好調であったものの、当年度前半の外食及びレジャー機会等の増加による客数減や円安・資源高による商品値上げに起因した買い上げ点数減の影響を取り戻すまでには至らず、減少となりました。利益面におきましては、売上減少に加え、急激な原材料高騰による売上総利益率の悪化や水道光熱費の増加等の要因により、前年を大きく下回りました。このような状況のもと、重点施策であるスーパーマーケットの核となる「生鮮品(青果・鮮魚・精肉)と惣菜強化」と「ファミリー・ヤング層の拡大」に対して利用頻度の高い商品・品揃えの導入をすすめてまいりました。青果に関しては、産地直送品の比率を高め、「旬・鮮度」にこだわった商品の展開を拡大、鮮魚に関しては、「産地・季節・期間限定」など付加価値のある商品開発と産地開拓を実施、精肉に関しては、生産者と一体になり、飼料にこだわった商品開発をすすめてまいりました。惣菜に関しては、当社の小売支援事業である㈱サンフードジャパンとの共同開発をすすめ「原材料・製法・味」にこだわり、他社と差別化できる商品の開発をすすめてまいりました。また、ファミリー・ヤング層への対応としては、カットフルーツ、サーモン、冷凍食品の展開・品揃えの強化をすすめてまいりました。 コロナ禍を契機とした「お客様の生活様式の変化への対応」といたしましては、楽天全国スーパーにおいて「いなげやネットスーパー」のサービスを、大和高座渋谷店(神奈川県大和市)、横浜東蒔田店(横浜市南区)、横浜西が丘店(横浜市泉区)、荒川西日暮里店(東京都荒川区)、飯田橋店(東京都新宿区)の5店舗にて開始いたしました。また、「高齢者や買い物に来ることができないお客様」に対応した「移動スーパーとくし丸」は順調にエリアを拡大、現在20台稼働しており、今年度さらに2台稼働させる計画となっております。 設備投資といたしましては、既存店の活性化を引き続き推進し、大泉学園店(埼玉県新座市)、所沢狭山ヶ丘店(埼玉県所沢市)など5店舗の改装を実施いたしました。なお、当第3四半期連結会計期間末における店舗数は、前連結会計年度末から変動なく132店舗となっております。以上の結果、既存店売上高は前年同四半期比2.0%減となり、当第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高(外部顧客)は1,474億37百万円(前年同四半期比2.5%減)、セグメント利益は8億57百万円(同54.8%減)となりました。
[ドラッグストア事業]㈱ウェルパークにおいては、「継続的な成長の為のチェーンストア経営の再構築」を基本方針として、競争力を高めるために売上高の最大化と経費の最小化の実現にまい進してまいりました。当第3四半期連結累計期間は、既存店売上高が前年同四半期比0.1%減となりました。EC拡大によりお客様の利便性向上を目指し、また「大創業祭ポイントプレゼントキャンペーン」などの企画を行い、集客力の強化をすすめてまいりました。設備投資といたしましては、練馬平和台店(東京都練馬区)、世田谷上祖師谷店(東京都世田谷区)の2店舗を新設しました。また、既存店の活性化のため、むさし村山店(東京都武蔵村山市)など22店舗の改装を実施いたしました。一方で1店舗を閉鎖したことにより、当第3四半期連結会計期間末での店舗数は142店舗となっております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高(外部顧客)は330億67百万円(前年同四半期比2.3%増)、セグメント利益は5億7百万円(同12.3%増)となりました。
[小売支援事業]デイリー食品卸しと惣菜製造を行っている㈱サンフードジャパンは、安全・安心でおいしい価値ある商品の提供、お客様のことを考えたサービスの提供に取り組んでおります。惣菜製造事業においては、㈱いなげやと連携した独自商品の開発、内製化等、グループ内の同事業強化のバックアップに注力してまいりました。商業施設を中心に建物施設の企画設計、警備や清掃及び保険代理店業務等を行っている㈱サビアコーポレーションはいなげやグループが地域のお役立ち業として企業価値を高めるために、店舗の企画段階から提案を行い開発および管理におけるコスト削減やリスク低減に取り組んでおります。また、これらグループ内事業で積みあげた安心・安全で快適な各種機能・サービスを一般のお客様に提供することも行ってまいりました。障がい者雇用の拡大を目的とした特例子会社㈱いなげやウイングは、従業員の能力開発や自立支援、グループ各社に向け障がい者雇用の支援強化に取り組んでおります。また、障がい者の職場での定着支援活動などを行うことによりグループ会社全体に障がい者への理解を深めていく役割も担っております。露地栽培・水耕栽培等、農業経営を行う㈱いなげやドリームファームは、「安心」「安全」「おいしい」で健康と笑顔の創造を目指し品質向上や地産地消の推進に取り組んでおります。また、㈱いなげやの青果担当者に対する学びの場として農業研修を実施する等、グループ内の人財育成の役割も担っております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間のセグメント別売上高(外部顧客)は5億69百万円(前年同四半期比0.2%増)、セグメント利益は2億12百万円(同27.7%減)となりました。
当社グループにおける環境、地域貢献活動の状況は次のとおりです。いなげやグループは、地域のお客様に安心安全な食を中心とした日常を提供するお役立ち業として、社是・経営理念・グループビジョンに基づき「サステナビリティ方針」を策定し、持続可能(サステナブル)な経営の推進に取り組んでおります。環境活動への取り組みといたしましては、循環型社会の実現に向けて「食品ロス削減」や「食品リサイクル」、「ペットボトルリサイクル(ボトルtoボトル)」、また2022年4月より施行の「プラスチック資源循環促進法」に伴い、店舗で無償提供するストローやスプーンなどをプラスチックから環境配慮型資材(紙製や植物由来のバイオマス配合のプラスチック)へ切り替えました。さらに、将来のエネルギーシフトに備えて再生可能エネルギーを利用した太陽光発電を新たに4店舗導入いたしました。社会貢献活動では、障がい者雇用の促進(いなげやウイング)や地産地消の促進(いなげやドリームファーム)、実店舗への買い物が困難なお客様への対応(移動スーパーとくし丸)、店舗での募金活動(盲導犬育成支援)や人道支援を目的とした「ウクライナ緊急支援募金」など様々な取り組みを行ってまいりました。また、当社グループの「健康経営宣言」に基づく健康経営の取り組みが評価され、今年度は経済産業省と日本健康会議が共同で認定する制度「健康経営優良法人2022」に認定されました。今後も地域とのつながりを大切に健全な社会の実現に貢献してまいります。
②財政状態の状況(資産の部)当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ49億50百万円増加し、1,036億48百万円になりました。流動資産は、44億20百万円増加し、453億99百万円になりました。これは主に、現金及び預金が70億33百万円、売掛金が37億7百万円それぞれ増加した一方で、手許資金運用の有価証券が63億19百万円減少したことによるものです。固定資産は、5億37百万円増加し、581億89百万円になりました。これは主に、投資その他の資産が4億4百万円、有形固定資産が3億84百万円それぞれ増加した一方で、無形固定資産が2億52百万円減少したことによるものです。繰延資産は、8百万円減少し、59百万円になりました。これは社債発行費の償却によるものです。
(負債の部)当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ38億45百万円増加し、456億57百万円になりました。流動負債は、51億63百万円増加し、341億62百万円になりました。これは主に、買掛金が45億50百万円(電子記録債務を含め45億26百万円)、流動負債その他(未払金など)が10億91百万円、短期借入金が4億50百万円それぞれ増加した一方、賞与引当金が8億63百万円減少したことによるものです。固定負債は、13億17百万円減少し、114億94百万円になりました。これは主に、長期借入金が11億91百万円、社債が2億41百万円それぞれ減少したことによるものです。
(純資産の部)当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べ11億4百万円増加し、579億91百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が8億12百万円、利益剰余金が3億75百万円それぞれ増加したことによるものです。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.6ポイント下がり、54.8%になりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。