【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業では、資源価格の下落を受け素材業種が持ち直したことに加え、部材不足の緩和により自動車業種の景況感が改善いたしました。また非製造業では、宿泊・飲食サービスなどを中心に消費関連業種の景況感が改善いたしました。海外に目を転じますと、中国では、ゼロコロナ政策の解除を機に、コロナ禍で積み上がった貯蓄を支えに、個人消費が増勢するなど、景気回復はサービス消費がけん引しております。一方、世界的な巣ごもり需要の終息や、欧米景気の減速に伴い、輸出の低迷が続いており、中国での国内生産が伸び悩み、景気を下押ししております。欧州経済については、製造業が新規受注の減少により景況感が低下したものの、旅行関連業種などのサービス業の景況感が大きく改善し、景気をけん引しております。米国経済においては、製造業では、巣ごもり消費の一巡や金融引き締めなどを受けた財需要の減速を反映し、新規受注が減少したことを受け、生産活動は低迷しております。一方、非製造業では、飲食・宿泊などのサービス業が底堅く推移しております。このように世界経済は、コロナ後のリバウンド需要により、サービス業の景況感は改善しつつあります。一方、製造業は、主に半導体の供給制約の解消で輸送機械関連の生産が増加したものの、コロナ禍の巣ごもり需要が収束し、景況感が停滞しており、依然として先行き不透明な状況にあります。
当社グループの主要顧客であります自動車メーカーにつきましては、日本市場では、当第1四半期連結累計期間において、対前年同期比で、生産台数、販売台数ともに大きく上回った状況となりました。海外におきましては、当第1四半期連結累計期間の対前年同期比で、中国市場は、生産台数、販売台数ともに下回ったものの、米国市場、欧州市場、韓国市場及びインド市場では、生産台数、販売台数ともに上回った状況となりました。
このような状況の中、当社グループの当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比21.1%増の879億7千7百万円となりました。
利益面では、原材料価格や電気代の高騰などを受けたものの、減価償却費や人件費などの固定費の増加を抑えたことにより、営業利益は前年同期比28.0%増の101億4千6百万円となりました。経常利益は円安が進み為替差益が発生したことにより、前年同期比19.3%増の134億8百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比21.1%増の97億2千8百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
各セグメントの売上高は、外部顧客に対するものであります。
①合成樹脂成形品事業
合成樹脂成形品事業は、国内においては、自動車の生産活動が持ち直したことなどを受け、売上高は増収となりました。海外におきましても、米国、欧州及び韓国などにおいて自動車の生産活動が持ち直したことや、為替が円安に向かったことなどを受け増収となり、全体としては増収となりました。利益面においては、原材料価格や電気代の高騰などを受けたものの、減価償却費や人件費などの固定費の増加を抑えたことにより増益となりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の合成樹脂成形品事業の売上高は前年同期比22.4%増の798億2千6百万円となりました。セグメント利益につきましては、前年同期比28.3%増の100億9千2百万円となりました。
②ベッド及び家具事業
ベッド及び家具事業は、国内においては販売店向けに加えてホテル向けが大きく伸びて、増収増益となりました。一方、海外においてはシンガポール・香港にてホテル及び小売向けが好調であったものの、中国本土ではコロナによる配送停止などの影響により主要都市での売上が伸び悩み、海外全体としては、増収減益となりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間のベッド及び家具事業の売上高は前年同期比10.0%増の81億5千万円となりました。セグメント利益につきましては、前年同期比5.3%増の13億7千1百万円となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの主要なマーケットである自動車産業については、グローバル・ベースでは感染症の沈静化に伴い過去数年間の低迷期から脱却しつつあり、また、半導体等の部品不足も回復傾向にありますが、地政学上の様々な変化も起きていることから、顧客要求も多様化、複雑化しております。
そのため、当社グループが更に飛躍・成長するには、これらの課題及びニーズに的確に対応しグローバル・ベースでの顧客満足度を向上させることが重要であります。
その課題達成に向けて、各ユーザーのニーズを的確かつ迅速に対応し得る商品と生産工程に関わる技術の構築、働き方の改善、人材育成及びニフコ流JOB型人事体系の構築、セキュリティの確保とIT活用の推進を考慮した情報システムの構築に注力するとともに、グローバル各社の予実管理を更に強化し、海外地域統括制の導入による地域内拠点間の協力体制の構築、現地での迅速な意思決定の推進等を図っております。
また、当社では他社の知的財産権を尊重し、当社の商品が他社の知的財産権を侵害しないよう開発段階から特許調査を行うことで他社の知的財産権に対する侵害回避に努め、知的財産に関する訴訟リスクの低減を図っております。なお、当期におきましては、知的財産権に関する問題で第三者から訴訟を提起された事案はございません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、8億2千8百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループでは、日系自動車メーカーを中心に各国自動車メーカーに対する売上比率が高い水準にあり、これら自動車メーカー向け製品の需要については経済状況により影響を受けますが、主要市場である日本、米国、中国のうち日本国内における自動車の販売については長期的に見ると減少傾向にあります。
そのため、グローバル化を進めておりますが、特に米国あるいは中国の経済状況が不調に陥った場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶことが予想されます。
また、当社グループは、原油価格及びナフサ等の石油製品の価格が高騰し、その期間が長期に及ぶ場合には原材
料価格の上昇により、経営成績に影響が生じる可能性があります。
なお、当社グループは、取引先からの価格値引き要請に対して生産コストの削減等の努力をしておりますが、予想以上に値引き要請が強い場合、経営成績に重要な影響を受ける場合があります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産・負債及び純資産の状況
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ36億7千8百万円減少して、3,554億7千2百万円となりました。主な減少要因としては、売掛金が34億9千8百万円増加したものの、商品及び製品が17億5千7百万円、有形固定資産が7億9千万円それぞれ減少しております。また、現金及び預金が45億8千2百万円減少したことなどによるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ107億6千6百万円減少して、1,222億5千6百万円となりました。減少要因としては、1年内返済予定の長期借入金が100億7千5百万円減少したことなどによるものであります。
当第1四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ70億8千8百万円増加して、2,332億1千5百万円となりました。主として利益剰余金が64億1千5百万円増加したこと、及び円安により為替換算調整勘定が9億4千8百万円増加したことなどによるものであります。
②資金需要
当社グループの運転資金は、主に製品製造過程に供される原材料や部材の購入のほか、製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、人件費、物流費、研究開発費であります。これらの必要資金は、利益の計上から生み出した内部資金により賄っております。
設備投資資金については、その投資に際し、投資採算及びキャッシュ・フローを重視し実施しております。これら設備投資の資金は、原則として減価償却費及び利益の計上から生み出された内部資金の一部を充当することとしておりますが、国内、海外での積極的な設備投資については、状況に応じて社債発行及び外部借入で調達することとしております。
③財務政策
当社グループは、健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力等により、運転資金及び通常の設備投資資金を調達し、将来の成長のための投資及びM&A資金等については、長期で低利な条件での調達を実施しております。
これにより当社グループの調達手段の多様化及び低コストでの長期安定資金の調達が実現し、更に資本コストの引き下げ効果及び、設備投資効果と相俟って、今後も財務体質は引き続き安定して推移するものと考えております。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識については、「(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」並びに「(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し」において説明したとおりであります。
今後の方針については、当社グループのビジネスがますますグローバル化していく中で、各市場及び顧客ごとのニーズをくみ上げた事業展開を図ることにより優良企業として長期的な観点から企業価値を高めていきます。