【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業において、原材料コストの増加により、石油・石炭製品や紙・パルプなどの素材業種を中心に景況感が悪化した一方、水際対策の緩和によるインバウンド需要の急回復などを受け、宿泊・飲食サービスなど消費関連の景況感が大幅に改善いたしました。海外に目を転じますと、中国経済では、9月に新型コロナウイルス感染症に対応する為、行動制限が広範囲に発動され、観光需要の抑制や、工場の操業停止など、再び景気が下振れいたしました。欧州経済については、需要面において、世界的な高インフレや金融引き締めなどを背景に、内外需が低迷し、供給面においては、エネルギー価格が高止まりしたことにより、製造業の生産活動は需給両面で下押しとなりました。米国経済においては、堅調な雇用情勢と、コロナ禍で積み上がった過剰貯蓄の取り崩しを背景に、サービスを中心に、個人消費が緩やかに増加しております。景況感は、製造業や建設業などの不振が重石となる一方、ビジネス向けサービスや対面型サービスなどが全体を押し上げております。このように世界経済は、エネルギー・部材・労働力など多岐にわたる供給制約の解消が遅れ、高インフレが持続しております。インフレ抑制を目的に多くの国で急ピッチな利上げが実施され、需要面からも景気が下押しされ、依然として先行き不透明な状況にあります。
当社グループの主要顧客であります自動車メーカーにつきましては、日本市場では、当第3四半期連結累計期間において、対前年同期比で、生産台数は上回ったものの、販売台数は下回りました。海外におきましては、当第3四半期連結累計期間の対前年同期比で、米国市場では、日本市場同様、生産台数は上回ったものの、販売台数は下回りました。欧州市場では、生産台数、販売台数ともに下回ったものの、中国市場及びインド市場では、生産台数、販売数ともに上回りました。
このような状況の中、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比12.4%増の2,342億1千万円となりました。
利益面では、売上増加による売上総利益の増加が、販売費及び一般管理費の増加を上回ったため、営業利益は前年同期比11.5%増の254億7千3百万円となり、経常利益は円安が進み為替差益が発生したことにより、前年同期比18.4%増の290億7千9百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比11.9%増の185億3千万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
各セグメントの売上高は、外部顧客に対するものであります。
① 合成樹脂成形品事業
合成樹脂成形品事業は、国内において、自動車の生産活動の持ち直しなどの影響により、売上高は増収となりました。海外におきましては、為替が円安に向かったことや、中国において自動車の生産台数が回復に向かったことなどを受け増収となり、全体として増収となりました。利益面においても、国内海外ともに、材料費や物流費が高騰したものの、固定費の抑制に努めたことにより、増益となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の合成樹脂成形品事業の売上高は前年同期比12.4%増の2,105億1千8百万円となりました。セグメント利益につきましては、前年同期比11.1%増の251億6千9百万円となりました。
② ベッド及び家具事業
ベッド及び家具事業は、国内においては販売店向け売上が順調に伸びたものの、原材料などの高騰及び円安影響による原価の上昇を吸収出来ず、増収減益となりました。一方、海外においては中国での一部ロックダウンなどによる落込みがあるものの、台湾・シンガポールでは卸・小売りが順調に伸び、加えて円安による為替影響もあり、増収増益となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間のベッド及び家具事業の売上高は前年同期比11.8%増の236億9千2百万円となりました。セグメント利益につきましては、前年同期比4.7%増の41億3百万円となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの主要なマーケットである自動車産業については、グローバル・ベースでは今後も成長していくものと考えておりますが、感染症に加え地政学等の様々な変化が起き、顧客からの要求等も多様化しております。
そのため、当社グループがさらに飛躍・成長するには、これらの変化及びニーズに的確に対応し、グローバル・ベースでの顧客満足度を向上させることが課題であります。
その課題達成に向けて、各ユーザーのニーズを的確かつ迅速に対応し得る商品と生産工程に関わる技術の構築、多様性の推進と人権を重視したガバナンス体制の強化、セキュリティの確保とIT活用の推進を考慮した情報システムの構築に注力するとともに、当面はグローバル戦略車及び多国間プロジェクトの円滑な立上げ、グローバル各社の品質保証体制強化を図っております。
また、当社では他社の知的財産権を尊重し、当社の商品が他社の知的財産権を侵害しないよう開発段階から特許調査を行うことで他社の知的財産権に対する侵害回避に努め、知的財産に関する訴訟リスクの低減を図っております。なお、当期におきましては、知的財産権に関する問題で第三者から訴訟を提起された事案はございません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、27億7千万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループでは、自動車メーカー、特に主要日系自動車メーカーに対する売上比率が高い水準にありますが、これら日系自動車メーカー向けの製品の需要は、世界経済の動向、特に主要市場である日本をはじめ米国、中国などの経済状況に影響を受け、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす場合があります。
そのため、グローバル化を進めておりますが、特に米国あるいは中国の経済状況が不調に陥った場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶことが予想されます。
また、当社グループでは、原油価格及びナフサ等の石油製品の価格が高騰し、その期間が長期に及ぶ場合には原材料価格の上昇により、経営成績に影響が生じる可能性があります。
なお、当社グループは、取引先からの価格値引き要請に対して生産コストの削減等の努力をしておりますが、予想以上に値引き要請が強い場合、経営成績に重要な影響を受ける場合があります。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資産・負債及び純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ334億4千9百万円増加して、3,665億1千7百万円となりました。主な増加要因としては、売掛金が86億6千9百万円、有形固定資産が60億5千4百万円、商品及び製品が29億7千万円それぞれ増加しております。また、現金及び預金が127億3千万円増加したことなどによるものです。
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ48億8千6百万円増加して、1,370億7千9百万円となりました。主な増加要因としては、支払手形及び買掛金が24億9千4百万円、流動負債のその他が29億2千3百万円増加したことなどによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ285億6千3百万円増加して、2,294億3千8百万円となりました。主として利益剰余金が122億8千8百万円増加したこと、及び円安により為替換算調整勘定が159億5千6百万円増加したことなどによるものであります。この結果、自己資本比率は61.8%、1株当たり純資産は2,258円89銭となりました。
② 資金需要
当社グループの運転資金は、主に製品製造過程に供される原材料や部材の購入のほか、製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、人件費、物流費、研究開発費であります。これらの必要資金は、利益の計上から生み出した内部資金により賄っております。
設備投資資金については、その投資に際し、投資採算及びキャッシュ・フローを重視し実施しております。これら設備投資の資金は、原則として減価償却費及び利益の計上から生み出された内部資金の一部を充当することとしておりますが、国内、海外での積極的な設備投資については、状況に応じて社債発行及び外部借入で調達することとしております。
③ 財務政策
当社グループは、健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力等により、運転資金及び設備投資資金を調達し、将来のための投資及びM&A資金などについては、長期で低利な条件での調達を実施しております。
これにより当社グループの調達手段の多様化及び低コストでの長期安定資金の調達が実現し、更に資本コストの引き下げ効果及び、設備投資効果と相俟って、今後も財務体質は引き続き安定して推移するものと考えております。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識については、「(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」並びに「(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し」において説明したとおりであります。
今後の方針については、当社グループのビジネスがますますグローバル化していく中で、各市場及び顧客ごとのニーズをくみ上げた事業展開を図ることにより優良企業として長期的な観点から企業価値を高めていきます。