【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業において、輸出に関しては、部品の供給制約が緩和したことに伴い輸送機械などにおいて、増加基調を維持したものの、資源高や円安を背景とした原材料コストの増加が景況感を下押しに作用いたしました。一方、非製造業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりサービス消費の回復が一服したことで、消費関連は伸び悩んだものの、建設及び物流関連など幅広い業種で、景況感が改善いたしました。海外に目を転じますと、中国では、5月以降多くの都市で活動制限が緩和されたことに伴い、工場の操業が再編し、部品などの供給制約が緩和され、景気が持ち直す方向に向かう一方、中国政府によるPCR検査の強化や的を絞った外出制限を再び広範囲に発動する可能性もあり、景気が下振れするリスクも残っております。欧州経済については、活動制限の緩和や、コロナ禍で積み上がった過剰貯蓄の取り崩し、良好な雇用・所得環境などを背景に、対面型サービスを中心に回復傾向にあります。一方、英国は、長期化する物価高による家計の実質購買力の低下などを受け、景気の減速が鮮明化しております。また、米国においては、コロナ禍で急増した財消費は巣ごもり需要やリベンジ消費の一服により、昨年春から頭打ちとなりました。一方、サービス消費はコロナ禍前のトレンドに回帰しておらず回復の余地が残っており、需要は財消費からサービス消費へシフトしております。このように世界経済は、景気が持ち直しつつも、ウクライナ問題を起点とした物価高上昇や代替供給源の確保・食料不足の懸念などの課題に直面していることに加え、中国政府によるゼロコロナ政策によって世界の供給網が停滞する恐れなど、依然として先行き不透明な状況にあります。
当社グループの主要顧客であります自動車メーカーにつきましては、日本市場では、当第2四半期連結累計期間において、対前年同期比で、生産台数に増加は見られたものの、販売台数は減少いたしました。海外におきましては、当第2四半期連結累計期間の対前年同期比で、米国市場及び欧州市場では、生産台数、販売台数ともに前年割れの状況となりましたが、中国市場及びインド市場では、生産台数、販売台数ともに上回った状況となっております。
このような状況の中、当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比6.2%増の1,483億5千万円となりました。
利益面では、原材料価格や物流費の高騰に加え、減価償却費や人件費などの固定費が増加したことにより、営業利益は前年同期比5.3%減の152億1千7百万円となりました。経常利益は円安が進み為替差益が発生したことにより、前年同期比20.0%増の203億4千5百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比16.4%増の138億4千万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
各セグメントの売上高は、外部顧客に対するものであります。
① 合成樹脂成形品事業
合成樹脂成形品事業は、国内において、自動車の生産活動の持ち直しなどの影響により、売上高は増収となりました。海外におきましては、為替が円安に向かったことや、中国において自動車の生産台数が回復に向かったことなどを受け増収となり、全体として増収となりました。利益面においては、原材料価格や物流費の高騰に加え、減価償却費や人件費などの固定費が増加したことにより、減益となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の合成樹脂成形品事業の売上高は前年同期比5.6%増の1,332億5千8百万円となり、セグメント利益につきましては、前年同期比6.7%減の151億4千4百万円となりました。
② ベッド及び家具事業
ベッド及び家具事業は、国内においては販売店向け売上が順調に伸びたことにより、原材料などの高騰による原価アップを吸収して、増収増益となりました。一方、海外においては中国でのロックダウン・行動制限による店舗休業などがあるものの、円安による為替影響があり、増収増益となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間のベッド及び家具事業の売上高は前年同期比11.6%増の150億9千1百万円となりました。セグメント利益につきましては、前年同期比4.3%増の24億7千6百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、156億6百万円の資金の増加となり、前年同四半期連結累計期間が189億8千3百万円の資金の増加であったことに比べて、33億7千6百万円の減少となりました。これは主に棚卸資産の増減額が減少した一方で、売上債権の増減額が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、74億3千1百万円の資金の減少となり、前年同四半期連結累計期間が54億1千4百万円の資金の減少であったことに比べて、20億1千6百万円の減少となりました。これは前年同期間と比較して、定期預金の預入による支出が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、49億7千6百万円の資金の減少となり、前年同四半期連結累計期間が73億1千6百万円の資金の減少であったことに比べて、23億4千万円増加となりました。これは主に前年同期間は自己株式の取得による支出があったことによるものであります。
これらの増減に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額を合せますと、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて105億8千5百万円増加し、1,205億7千8百万円となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの主要なマーケットである自動車産業については、グローバル・ベースでは今後も成長していくものと考えておりますが、感染症に加え地政学等の様々な変化が起き、顧客からの要求等も多様化しております。
そのため、当社グループがさらに飛躍・成長するには、これらの変化及びニーズに的確に対応し、グローバル・ベースでの顧客満足度を向上させることが課題であります。
その課題達成に向けて、各ユーザーのニーズを的確かつ迅速に対応し得る商品と生産工程に関わる技術の構築、多様性の推進と人権を重視したガバナンス体制の強化、セキュリティの確保とIT活用の推進を考慮した情報システムの構築に注力するとともに、当面はグローバル戦略車及び多国間プロジェクトの円滑な立上げ、グローバル各社の品質保証体制強化を図っております。
また、当社では他社の知的財産権を尊重し、当社の商品が他社の知的財産権を侵害しないよう開発段階から特許調査を行うことで他社の知的財産権に対する侵害回避に努め、知的財産に関する訴訟リスクの低減を図っております。なお、当期におきましては、知的財産権に関する問題で第三者から訴訟を提起された事案はございません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、18億5千万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループでは、自動車メーカー、特に主要日系自動車メーカーに対する売上比率が高い水準にありますが、これら日系自動車メーカー向けの製品の需要は、世界経済の動向、特に主要市場である日本をはじめ米国、中国などの経済状況に影響を受け、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす場合があります。
そのため、グローバル化を進めておりますが、特に米国あるいは中国の経済状況が不調に陥った場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶことが予想されます。
また、当社グループでは、原油価格及びナフサ等の石油製品の価格が高騰し、その期間が長期に及ぶ場合には原材料価格の上昇により、経営成績に影響が生じる可能性があります。
なお、当社グループは、取引先からの価格値引き要請に対して生産コストの削減等の努力をしておりますが、予想以上に値引き要請が強い場合、経営成績に重要な影響を受ける場合があります。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①
資産・負債及び純資産の状況
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ311億4千4百万円増加して、3,642億1千3百万円となりました。主な増加要因としては、有価証券が6億6千6百万円減少したものの、有形固定資産が62億7百万円、売掛金が33億5千7百万円、商品及び製品が32億1千5百万円それぞれ増加しております。また、現金及び預金が156億1千5百万円増加したこと等によるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ49億4千万円増加して、1,371億3千3百万円となりました。増加要因としては、支払手形及び買掛金が11億2千6百万円、流動負債のその他が17億9千5百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ262億4百万円増加して、2,270億8千万円となりました。主として利益剰余金が107億2千万円増加したこと、及び円安により為替換算調整勘定が151億3千5百万円増加したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は61.5%、1株当たり純資産は2,235円11銭となりました。
②
キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの概況については、「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③
資金需要
当社グループの運転資金は、主に製品製造過程に供される原材料や部材の購入のほか、製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、人件費、物流費、研究開発費であります。これらの必要資金は、利益の計上から生み出した内部資金により賄っております。
設備投資資金については、その投資に際し、投資採算及びキャッシュ・フローを重視し実施しております。これら設備投資の資金は、原則として減価償却費及び利益の計上から生み出された内部資金の一部を充当することとしておりますが、国内、海外での積極的な設備投資については、状況に応じて社債発行及び外部借入で調達することとしております。
④
財務政策
当社グループは、健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力等により、運転資金及び通常の設備投資資金を調達し、将来の成長のための投資及びМ&A資金などについては、長期で低利な条件での調達を実施しております。
これにより当社グループの調達手段の多様化及び低コストでの長期安定資金の調達が実現し、更に資本コストの引き下げ効果及び、設備投資効果と相俟って、今後も財務体質は引き続き安定して推移するものと考えております。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識については、「(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」並びに「(6) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し」において説明したとおりであります。
今後の方針については、当社グループのビジネスがますますグローバル化していく中で、各市場及び顧客ごとのニーズをくみ上げた事業展開を図ることにより優良企業として長期的な観点から企業価値を高めていきます。