【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況 当連結会計年度の売上高は1,071百万円(前期は1,252百万円の売上高)、売上原価は473百万円(前期は478百万円の売上原価)、売上総利益は597百万円(前期は774百万円の売上総利益)となりました。販売費及び一般管理費は550百万円(前期は547百万円の販売費及び一般管理費)となり、営業利益は46百万円(前期は226百万円の営業利益)となりました。 経常利益は73百万円(前期は239百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,750百万円(前期は3,801百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は、以下のとおりであります。
① 情報サービス事業金融・経済情報配信サービス分野におきましては、ポータルサイト向けコンテンツ提供からの収益が底堅く推移しているものの、法人向けリアルタイムサービス及びアウトソーシングサービスが前期比で減少しています。また、フィスコブランドを活用したプラットフォームの利用に暗号資産の低迷が影響し、広告売上が減少したことなどから、前期比で84百万円減少し、売上高は533百万円(前期は617百万円の売上高)となりました。 上場企業を対象としたIR支援及びIRコンサルティングサービス分野におきましては、フィスコウェビナー開催による潜在ニーズ顕在化の働きかけ、ならびに軟調な株式市況から引き続きIRを積極化する企業ニーズを受けて、中核サービスであるスポンサー型アナリストレポート(フィスコ企業調査レポート)の受注及び改訂コーポレートガバナンスコード対応を意識した統合報告書、決算説明資料・翻訳等の受注によって概ね期初計画通りに推移し、売上高は579百万円(前期は564百万円の売上)となりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は1,112百万円(前期は1,182百万円の売上高)となり、セグメント利益は406百万円(前期は470百万円のセグメント利益)となりました。
② 広告代理業広告代理業分野では、従来からのビジネス媒体による定期広告出稿は順調に推移しているほか、第3四半期以降、旅行関連のメディア出稿の一部復活やアートイベント開催に伴う動画制作の受注などコロナ禍からの脱却を予感させる状況となっております。またHPのコンテンツ更新に加えてSEO対策の強化や分析の深化を目的とする追加や修正は継続して発生しており、ネット分野のサービスも多様化しながらも堅調に推移しています。また月次商品・サービスキャンペーンのスポット的な実施からレギュラー化の流れは続いており、売上の安定的な確保につながっております。案件は依然小型化しているものの、今後幅広い分野での受注に向けた営業力強化を継続してまいります。この結果、売上高は60百万円(前期は48百万円の売上高)となり、セグメント利益8百万円(前期は6百万円のセグメント利益)となりました。
③ 暗号資産・ブロックチェーン事業株式会社フィスコ・コンサルティングは、暗号資産に対する自己勘定投資を行っていることから、損益の純額を売上に計上しており、2022年11月のアメリカ大手暗号資産交換所FTXトレーディングの経営破綻から、ビットコインを中心とした暗号資産市場の暴落の影響を受け、保有する暗号資産の評価損などの計上により、売上高は△137百万円(前期は22百万円の売上高)、セグメント損失は142百万円(前期は17百万円のセグメント利益)となりました。
(2) 財政状態の状況(資産)当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末に比して1,556百万円減少し、3,826百万円となりました。これは、保有する株式会社 CAICA DIGITALの株式の評価損を計上したこと等による投資有価証券評価損2,713百万円を特別損失に計上したことで、投資有価証券が1,322百万円減少したことなどが主たる要因であります。
(負債)負債につきましては、前連結会計年度末に比して4百万円増加し、1,763百万円となりました。これは、繰延税金負債が80百万円増加したこと、未払金が31百万円減少、短期借入金が19百万円減少及び長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が13百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)純資産につきましては、前連結会計年度末に比して1,561百万円減少し、2,063百万円となりました。これは、利益剰余金が2,887百万円減少したこと、その他有価証券評価差額金が1,319百万円増加したことなどが主たる要因であります。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比して33百万円減少し、263百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は、以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金は170百万円の増加(前連結会計年度は321百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失2,665百万円計上したものの、投資有価証券評価損2,713百万円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金は40百万円の減少(前連結会計年度は45百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入38百万円があった一方で、投資有価証券の取得による支出82百万円及び無形固定資産の取得による支出34百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金は163百万円の減少(前連結会計年度は221百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純減額が19百万円、長期借入金の返済による支出が13百万円及び配当金の支払額が138百万円あったことによるものであります。
(4) 今後の見通し
当社は、引き続きブランド力を生かし安定的な収益の確保に加え、成長に向けた新規事業領域への取り組みの推進とコスト削減を中心とした構造改革を継続し、収益性の向上に努めます。2023年12月期の連結業績予想は、売上高1,318百万円、営業利益168百万円、経常利益160百万円、親会社株主に帰属する当期純利益157百万円を見込んでおります。
セグメント別の見通しは、以下のとおりであります。
① 情報サービス事業主力事業である金融・経済情報配信サービス分野において、フィスコブランドを活用した広告収入がここ数年で売上の比率を高めたことから、そのノウハウを生かした他社サイトの運営支援も拡大させる方針です。また、既に発表いたしましたように、Learn to Earn機能(サイト内コンテンツを学ぶ・読むとポイントが配布され、暗号資産フィスココイン(FSCC)等にも交換できる機能)を今年度中に実装する予定であり、投資家や上場企業に注目されるサイトのプラットフォーム化を前進させる考えです。企業IR支援サービス分野では、組織力強化やブランドの強化を図ることで、統合報告書ならびに英文翻訳業務の拡大を図り、気候関連財務情報開示(TCFD)支援サービス、環境情報開示(CDP)質問書支援サービス、株式報酬制度支援サービス、コーポレートガバナンス対応支援サービス等、企業のIRに関する課題をワンストップで解決できる体制構築と事業拡大を目指しております。このほか、バーチャル株主総会および議決権行使アプリケーションサービスや株主優待サポートサービスの新規受注、サービス提供による新たな事業収益の獲得を図ってまいります。2023年度のセグメント売上については、2022年度と同水準の1,274百万円の売上を見込んでおります。
② 広告代理業広告代理業では、新型コロナウイルス感染症の5類への移行見込みや社会・経済活動を優先する環境下において、広告活動も自粛緩和が一層進み、回復のスピードは増すものと思われます。2021年以降、広告市場ではインターネット広告は従来のマスコミ4媒体による広告費総額を上回っており、従来の紙媒体での広告に代わりオンライン広告の増加傾向が続く中、特にYouTubeを中心とするネット動画の活用増の傾向を踏まえ、提案力の強化を進めながら利益率の高い案件の獲得につなげてまいります。2023年度のセグメント売上については、44百万円を見込んでおりますが、売上および利益の確保を目指し、広告制作の収益性の向上につなげてまいります。
③ 暗号資産・ブロックチェーン事業フィスコ・コンサルティングでは、引き続き暗号資産に対する自己勘定投資を予定しており、暗号資産の価格の推移を見極め、慎重にトレーディングを行ってまいります。当社発行暗号資産フィスココイン(FSCC)の認知度向上を図りつつ、暗号資産分野における新規ビジネスの創造、フィスココイン(FSCC)の価値向上を通じて、当社の企業価値の向上を目指しています。また、フィスココイン(FSCC)の取扱い交換所である「Zaif」を中心に、今後もCAICA DIGITALグループとの暗号資産分野において、営業促進の連携、暗号資産ビジネスの強化、フィスココイン(FSCC)の利用範囲の拡大を図り協業体制を継続していきます。2023年度のセグメント売上については、暗号資産取引相場の動向に影響を受け、業績予想が困難なため、2023年12月期の連結業績予想には織り込んでおりません。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績重要性の観点から生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。② 受注実績生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。③ 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
情報サービス事業
1,112,594
94.1
広告代理業
60,997
125.9
暗号資産・ブロックチェーン事業
△137,370
-
報告セグメント計
1,036,222
82.7
その他
35,149
-
合計
1,071,372
85.5
(注)
1.
セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.
上表の「暗号資産・ブロックチェーン事業」、「報告セグメント計」、「合計」の前年同期比の算出方法につきましては、暗号資産に係る表示方法の変更に伴い、前連結会計年度の販売高は、組み替え後の金額を適用し、算出しております。
(6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当連結会計年度の経営成績等は、売上高は1,071百万円(前期は1,252百万円の売上高)となりました。売上原価は、473百万円(前期は478百万円の売上原価)となり、販売費及び一般管理費は、550百万円(前期は547百万円の販売費及び一般管理費)となりました。営業利益は、46百万円(前期は226百万円の営業利益)となりました。 また、経常利益は、73百万円(前期は239百万円の経常利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、2,750百万円(前期は3,801百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。 詳細は、「経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性にかかる情報 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 当社グループでは、運転資金、設備投資及び投融資資金の資金需要があり、自己資金、借入、社債の発行、及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。また、新型コロナウイルス感染症による影響等の不確実性については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (14) 新型コロナウイルス感染症による影響について」に記載しております。
(繰延税金資産)企業会計上の収益・費用と、課税所得計算上の益金又は損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表への繰延税金資産計上の要否を検討しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は、繰延税金資産が減少され、税金費用が計上される可能性があります。
(貸倒引当金)当社グループは、債権に対し貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、過去の貸倒損失の実績及び回収可能性に疑義がある債権の個別評価に基づいて計上しております。入手可能な情報に基づき貸倒引当金は十分であると考えておりますが、将来、債権先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
(有価証券)当社グループは、市場価格のない株式等につきましては、実質価額が著しく低下し、かつ回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
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