【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍による行動制限の緩和や設備投資を中心とした内需拡大により持ち直しの動きが見られるものの、ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギー価格の上昇や世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の減速リスクが懸念され不透明な状況が続きました。当社グループが属する建設業界におきましては、公共投資は堅調に推移し民間建設投資も回復の動きを見せているものの、資機材・原材料価格の高騰や物流コストの上昇が受注活動に影響を及ぼしました。このような環境下、当社グループでは海外のタイや中国の事業会社はコロナ禍からの回復基調にあるものの依然として工事進捗遅れ等の影響を受けましたが、国内の重仮設事業は遅れていた案件の進捗等もあり概ね堅調に推移しました。以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は201億1百万円(前年同期比9億97百万円、5.2%増)となり、営業利益は11億60百万円(同93百万円、8.8%増)、経常利益は14億80百万円(同1億23百万円、9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11億11百万円(同1億8百万円、10.8%増)と増収増益となり、現中期経営計画最終年度(2024年3月期)の連結純利益目標値(11億円)を一年前倒しで達成することが出来ました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。①重仮設事業 重仮設鋼材の賃貸稼働量は前年比改善し、遅れていた案件の進捗等もあり、売上高は157億55百万円(前年同期比9億19百万円、6.2%増)となり、採算管理を徹底し原価低減に努めた結果、セグメント利益は17億96百万円(同2億21百万円、14.0%増)となりました。②重仮設工事事業 受注済みの工事案件の進捗により売上高は28億18百万円(同68百万円、2.5%増)と前年同期比増加しましたが、本格始動が遅れた工事会社の費用増もあり、セグメント利益は89百万円(同43百万円、32.8%減)となりました。③土木・上下水道施設工事等事業 土木水道等設備工事は堅調に推移したものの、工場プラント工事案件の進捗遅れもあり、売上高は15億26百万円(同9百万円、0.6%増)、セグメント利益は73百万円(同3百万円、4.8%減)となりました。(注)セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績当社グループでは、出荷直前に取引契約の締結を行うという業界の慣習、取引形態の特殊性により、受注生産を行っていないため、修理実績、加工実績についてはセグメントごとの記載を省略しております。なお、当社グループの工場における主たる業務は、建設用重量仮設鋼材の修理、加工並びに在庫管理でありますが、当連結会計年度における修理及び加工実績は次のとおりであります。
区分
金額(百万円)
前期比(%)
修理実績
317
1.2
加工実績
358
25.2
合計
676
12.6
②受注実績出荷直前に取引契約の締結を行うという業界の慣習、取引形態の特殊性により、受注高の集計は行っておりませんので、当社グループの受注実績及びそのセグメントごとの記載を省略しております。
③販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
重仮設
15,755
6.2
重仮設工事
2,818
2.5
土木・上下水道施設工事等
1,526
0.6
合計
20,101
5.2
(2) 財政状態当連結会計年度の資産合計は、現金及び預金の減少額3億2百万円、建設機材の減少額3億27百万円、投資有価証券の増加額3億11百万円などにより、前期末比1億31百万円減の318億16百万円となりました。負債合計は、借入金の減少額7億21百万円と電子記録債務の増加額5億40百万円、その他負債の減少額7億21百万円などにより、前期末比6億88百万円減の165億64百万円となりました。純資産合計は、配当金3億92百万円の支払による減少額と自己株式取得による減少額3億円、親会社株主に帰属する当期純利益11億11百万円の計上による増加額などにより、前期末比5億56百万円増の152億51百万円となり、自己資本比率は1.9ポイント増の46.3%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。(重仮設事業)建設用重量仮設鋼材の賃貸稼働量は前年比改善し、遅れていた案件の進捗等もあり売上高が増収となりましたが、建設機材、商品及び材料貯蔵品の保有額が4億87百万円減少したため、前期末比3億1百万円減の238億77百万円となりました。(重仮設工事事業)マルケンテックジャパン㈱の本格始動により売上高がセグメント全体で68百万円の増収となり、受取手形及び売掛金と電子記録債権の合計が2億38百万円増加したため、前期末比77百万円増の12億63百万円となりました。(土木・上下水道施設工事等事業)土木水道等設備工事が堅調に推移し、受取手形及び売掛金と電子記録債権の合計が1億61百万円増加したため、前期末比2億23百万円増の9億98百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー①営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、12億49百万円(前期比1億66百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益14億80百万円の計上と、持分法による投資利益2億72百万円による資金の減少額などによるものであります。②投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動によるキャッシュ・フローは、△1億15百万円(前期比75百万円の資金支出の減少)となりました。これは主に、当社工場設備を中心とした有形固定資産の取得による支出1億9百万円などによるものであります。③財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動によるキャッシュ・フローは、△14億36百万円(前期比8億12百万円の資金支出の減少)となりました。これは主に、借入金の減少額7億21百万円、自己株式の取得による支出3億円と配当金の支払3億92百万円によるものであります。 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末比3億2百万円減の7億36百万円となりました。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報(財務方針について)当社は、下記のとおり中期経営計画において、安定的な収益を確保し、自己資本比率の向上、NET有利子負債の削減による財務体質の強化を図っており、今後もその方針を継続してまいります。第55期の自己資本比率は前期比1.9ポイント増の46.3%となり、NET有利子負債は営業活動によるキャッシュ・フローが12億49百万円の黒字を確保したことなどにより、前期比4億18百万円減の46億46百万円と更に削減することができました。
第49期~第51期中期経営計画
第52期~第56期中期経営計画
目
標
値
第51期末実績値
目
標
値
第55期末実績値
自己資本比率NET有利子負債
40.0% 80億円以下
40.6% 70.99億円
45.0% 83億円
46.3% 46.46億円
また、第52期~第56期中期経営計画「未来への変革と創造への挑戦」において、有力パートナーや協力企業との提携、資本参加、M&Aを計画するとともに、海外ではタイ丸建㈱で大型開発案件やインフラ整備案件の需要に対応した建設用重量仮設鋼材の購入や設備投資を実施しております。また、第三の海外案件として中国において2020年8月に鋼製山留工法を用いた重仮設合弁事業を開始しており、引き続き国内外の投資案件への資金需要に対応してまいります。
(資本の財源)当社グループの資金需要は、足元では建設用重量仮設鋼材の購入費・工事費・整備加工費・運送費ならびに工場設備投資に伴う支出であり、また今後中長期的には、国内では中期経営計画に基づくM&A・資本参加や新商材の開発、海外ではタイ丸建㈱での建設用重量仮設鋼材の追加購入や新規合弁事業のための投資資金であり、これらの資金需要に備えてまいります。その資金の財源は、営業活動による収入で確保しておりますが、不足する場合は国内の金融機関からの借入により調達しており、その借入について相対での借入枠を十分確保するとともに、長期・短期のバランスを考慮して安定的な資金調達を行っております。また、当社と連結子会社の間で資金の融通を行うなど、当社グループ全体での資金の効率化を図っております。海外の持分法適用関連会社であるタイ丸建㈱の資金需要に対応するため、現地金融機関からの借入れの一部等について、同社の株主である当社とItalian-Thai Development Public Co.,LTD.が債務保証を行っています。
(資金の流動性)当社は、期初に開催される取締役会において、年間の資金調達方針を審議の上決定しております。また、より効率的な資金管理を行い、キャッシュ・フロー経営を徹底するために、月次単位で資金予算を管理、更新するなど、資金予算制度の充実を図り手元流動性を確保しております。なお、当社では適正な手元現預金の水準について特に定めておりませんが、当社の定例支払日である月末日において支払資金が充分に確保できる様に資金繰りを行っており、各取引金融機関との間で借入枠の十分な確保に努めております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす見積りや仮定に基づく事項は、過去の実績や現状等を勘案して合理的な基準により会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。