【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期累計期間のわが国経済は、国内総生産(GDP)が2023年4~6月期まで名目・実質ともに3四半期連続の前期比プラス成長となり、同四半期のGDP(年率換算)は名目が589兆円、実質が558兆円となり、ともに過去最高を更新し、拡大基調となりました。また、消費者物価指数(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は4月以降、前年同月比で4%超の上昇が継続する一方、勤労者世帯の実質可処分所得は2022年10月以降、前年同月比でマイナスが継続し、経済全体の傾向と生活実感が乖離する状況となりました。米国経済においては実質GDPが2023年4~6月期まで4四半期連続でプラス成長となり、拡大基調となりましたが、消費者物価の上昇ペースが鈍化したことを受けて、連邦準備制度理事会(FRB)は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置きました。欧州においては、実質GDPが2023年1~3月期、4~6月期と2四半期連続で小幅プラス成長となる中、物価上昇への対応として欧州中央銀行(ECB)は利上げを継続しましたが、ユーロ圏景況感指数は下落基調が止まらず、マネーサプライのM3は8月に過去最大の落ち込みとなるなど、今後の景気低迷が懸念される状況となりました。当第2四半期累計期間の国内株式市場は6月中旬まで上昇基調となりましたが、その後はボックス圏で推移しました。東京証券取引所による低PBR(株価純資産倍率)企業に対する改善要請や長期の割安株投資で知られる米著名投資家が日本株への追加投資の意思を明らかにしたこと、円安傾向などが追い風となる一方、日銀が7月下旬の金融政策決定会合で長短金利操作の運用柔軟化を決めたことや中国景気の先行き懸念、米長期金利の上昇、原油高などが重荷となりました。こうした状況を受けて、当第2四半期累計期間の日経平均株価は2023年3月末と比べ13.6%高い31,857円62銭で終了しました。このような環境下、当第2四半期累計期間の業績は、営業収益が69億90百万円(前第2四半期累計期間比 121.1%)と増加し、営業収益より金融費用27百万円(同 101.2%)を控除した純営業収益は、69億62百万円(同 121.2%)と増加しました。また、販売費・一般管理費は59億20百万円(同 102.5%)となり、その結果、営業利益は10億42百万円(前第2四半期累計期間実績 営業損失34百万円)、経常利益は12億73百万円(前第2四半期累計期間比 535.0%)となりました。特別利益が2億37百万円(前第2四半期累計期間実績 -百万円)、特別損失が6百万円(同 56百万円)、税金費用が4億59百万円(前第2四半期累計期間比 3,727.8%)となったことから、四半期純利益は10億45百万円(同 616.0%)となりました。
主な比較・分析は以下のとおりであります。 ① 流動資産当第2四半期会計期間の「流動資産」は、前事業年度に比べ62億95百万円増加し、547億19百万円となりました。これは、「トレーディング商品」が15億69百万円減少する一方、「現金・預金」が53億55百万円、「預託金」が13億10百万円、「信用取引資産」が13億3百万円増加したことなどによるものです。
② 固定資産当第2四半期会計期間の「固定資産」は、前事業年度に比べ15億49百万円増加し、146億89百万円となりました。これは、「有形固定資産」が1億6百万円、「無形固定資産」が41百万円減少する一方、「投資有価証券」が16億94百万円増加したことなどによるものです。
③ 流動負債当第2四半期会計期間の「流動負債」は、前事業年度に比べ61億73百万円増加し、248億84百万円となりました。これは、「有価証券担保借入金」が4億26百万円減少する一方、「預り金」が55億6百万円、「未払法人税等」が5億9百万円、「賞与引当金」が2億5百万円、「信用取引負債」が1億27百万円、「受入保証金」が76百万円増加したことなどによるものです。
④ 固定負債及び特別法上の準備金当第2四半期会計期間の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ6億5百万円増加し、44億34百万円となりました。これは、「繰延税金負債」が5億75百万円、「従業員株式給付引当金」が1億3百万円増加したことなどによるものです。
⑤ 純資産当第2四半期会計期間の「純資産」は、前事業年度に比べ10億66百万円増加し、400億90百万円となりました。これは、「剰余金の配当」で13億2百万円減少する一方、「その他有価証券評価差額金」で13億22百万円、「四半期純利益」で10億45百万円増加したことなどによるものです。
⑥ 受入手数料当第2四半期累計期間の「受入手数料」の合計は、60億4百万円(前第2四半期累計期間比 122.4%)となりました。
(委託手数料) 「委託手数料」は、26億42百万円(同 136.9%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が4,986億円(同 134.3%)と増加したことにより、株券の委託手数料が26億31百万円(同 138.0%)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は10百万円(同 45.1%)となりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、9百万円(同 254.6%)となりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料)主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、14億50百万円(同 119.2%)となりました。これは、インドの取引所に上場している中型株式等に投資する投資信託や、わが国の予想配当利回りの高い株式を対象に投資信託財産の成長を図ることを目標に積極的な運用を行う投資信託、高い技術力やブランド力があり、今後グローバルでの活躍が期待出来る日本企業を中心に投資する投資信託の販売が、好調だったことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、ファンドラップ手数料や投資信託の代行手数料の増加等により19億1百万円(同 108.5%)となりました。
⑦ トレーディング損益当第2四半期累計期間の「トレーディング損益」は、株券等が米国株式の売買高の増加により7億41百万円(前第2四半期累計期間比 138.4%)、債券・為替等は93百万円(同 41.8%)となり、合計で8億34百万円(同 109.9%)となりました。
⑧ 金融収支当第2四半期累計期間の「金融収益」は、受取利息の増加等により1億39百万円(前第2四半期累計期間比 148.4%)、「金融費用」は信用取引費用の増加等により27百万円(同 101.2%)で差引収支は1億11百万円(同 168.0%)の利益となりました。
⑨ 販売費・一般管理費 当第2四半期累計期間の「販売費・一般管理費」は、「不動産費」が減少する一方、営業収益の増加により賞与引当金繰入などの「人件費」が増加したことから、59億20百万円(前第2四半期累計期間比 102.5%)となりました。
⑩ 特別損益当第2四半期累計期間の「特別利益」は、「投資有価証券売却益」が2億24百万円(前第2四半期累計期間実績 -百万円)、「金融商品取引責任準備金戻入」が13百万円(同 -百万円)となりました。「特別損失」は「減損損失」が6百万円(同 -百万円)となり、差引2億31百万円の利益(同 56百万円の損失)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ53億55百万円増加し、273億13百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は58億34百万円の増加となりました。これは「顧客分別金信託の増減額」で13億円、「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」で11億75百万円、「募集等払込金の増減額」で4億62百万円減少する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で55億83百万円、「トレーディング商品の増減額」で16億11百万円、「税引前四半期純利益」で15億5百万円増加したことなどが要因です。なおこれは、前第2四半期累計期間の「営業活動によるキャッシュ・フロー」12億87百万円の増加と比較すると45億47百万円の増加となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は7億26百万円の増加となりました。これは「有形固定資産の取得による支出」で44百万円減少する一方、「投資有価証券の売却による収入」で4億49百万円、「敷金の回収による収入」で3億33百万円増加したことなどが要因です。なおこれは、前第2四半期累計期間の「投資活動によるキャッシュ・フロー」5億63百万円の減少と比較すると12億90百万円の増加となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は12億99百万円の減少となりました。これは「配当金の支払額」で12億95百万円減少したことなどが要因です。なおこれは、前第2四半期累計期間の「財務活動によるキャッシュ・フロー」4億61百万円の減少と比較すると8億37百万円の減少となっております。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第2四半期累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第2四半期累計期間において、経営方針等について重要な変更又は新たに定めたものはありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更又は新たに生じたものはありません。
(6) 財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針該当事項はありません。
(7) 研究開発活動該当事項はありません。
(8) 従業員数当第2四半期累計期間において、従業員数の著しい変動はありません。
(9) 主要な設備当第2四半期累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前事業年度末における計画の著しい変更はありません。
(10) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式・外国債券のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安になると円ベースの価格が上昇いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価格が上下しますが、基準価格が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは8種類のファンドとMRFを組み合わせ、国際分散投資をしていることから、運用成績や為替の動向で、残高に対する報酬が増減いたしますが、販売は運用成績にあまり影響を受けず、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。
(11) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第2四半期会計期間の現金・預金残高は273億13百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。当社の現金・預金残高の主な変動要因は信用取引貸付金であります。市況が良い時には信用取引が増加するため、貸付金増加に対応するための資金を確保しておく必要があります。また、お客さまの利便性向上や業務の効率化等のためのシステム投資を行っており、こうした成長投資を継続して実施するための資金を必要としております。株主還元実施後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や成長投資のための資金として有効に活用いたします。
#C8622JP #水戸証券 #証券商品先物取引業セクター