【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期累計期間のわが国経済は、国内総生産(GDP)が名目・実質とも2022年10~12月期、2023年1~3月期とプラス成長を維持し、1~3月期の実質成長率が2022年4~6月期以来の高水準となるなど堅調な推移となりました。消費者物価指数の「生鮮食品・エネルギーを除く総合」の5月までの前年同月比の伸び率が拡大を続け、また、勤労者世帯の実質可処分所得の前年同月比のマイナスが常態化する一方、景気ウォッチャー調査は現状判断DI・先行き判断DIとも2月に基準点となる50を上回り、6月まで5ヵ月連続で50を超過し、現状判断DIは2017年5月~2018年1月(9ヵ月連続)、先行き判断DIも2017年5月~2018年6月(14ヵ月連続)以来の連続超過となりました。米国経済は、消費者物価の上昇を受けながら実質GDPが2023年1~3月期まで3四半期連続でプラス成長と順調に推移しました。しかし、ユーロ圏は実質GDPが、2022年10~12月期・2023年1~3月期と小幅ながら連続マイナス成長となりました。また、主要国の金融政策においては、日本が金融緩和政策を維持する一方、米国は6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で約1年半ぶりの政策金利据え置きを決定しました。欧州中央銀行(ECB)は6月まで8会合連続、英国も同13会合連続の利上げを実施し、利上げを一時停止していたカナダや豪州が利上げを再開するなど、多くの国で金融引き締めスタンスが継続されました。当第1四半期累計期間の国内株式市場は、大幅上昇となりました。東京証券取引所の低PBR企業に対する改善要請や長期の割安株投資で知られる米著名投資家による日本株追加投資の検討、日銀の金融緩和継続観測と円安に加え、4月下旬~5月中旬に行われた2023年3月期の決算発表で堅調な見通しを示す企業が多かったことや米連邦債務問題の解決などが投資安心感につながり、日経平均株価は6月まで6ヵ月連続で上昇し、約33年ぶりの高値となりました。こうした状況を受けて、当第1四半期累計期間の日経平均株価は、2023年3月末と比べ18.4%高い33,189円04銭で終了しました。このような環境下、当第1四半期累計期間の業績は、営業収益が35億70百万円(前第1四半期累計期間比 133.9%)と増加し、営業収益より金融費用14百万円(同 111.6%)を控除した純営業収益は、35億55百万円(同 134.0%)と増加しました。また、販売費・一般管理費は29億63百万円(同 103.1%)となり、その結果、営業利益は5億92百万円(前第1四半期累計期間実績 営業損失2億21百万円)、経常利益は7億66百万円(同 経常損失4百万円)となりました。特別利益が2億33百万円(同 -百万円)、特別損失が6百万円(同 0百万円)、税金費用が2億70百万円(同 △47百万円)となったことから、四半期純利益は7億23百万円(前第1四半期累計期間比 1,694.2%)となりました。
主な比較・分析は以下のとおりであります。 ① 流動資産当第1四半期会計期間の「流動資産」は、前事業年度に比べ59億39百万円増加し、543億63百万円となりました。これは、「トレーディング商品」が15億53百万円減少する一方、「募集等払込金」が33億5百万円、「預託金」が23億10百万円、「現金・預金」が19億92百万円増加したことなどによるものです。 ② 固定資産当第1四半期会計期間の「固定資産」は、前事業年度に比べ7億9百万円増加し、138億49百万円となりました。これは、「投資有価証券」が7億75百万円増加したことなどによるものです。 ③ 流動負債当第1四半期会計期間の「流動負債」は、前事業年度に比べ61億7百万円増加し、248億18百万円となりました。これは、「有価証券担保借入金」が2億45百万円減少する一方、「預り金」が54億54百万円、「信用取引負債」が5億81百万円、「未払法人税等」が1億63百万円、「受入保証金」が1億12百万円増加したことなどによるものです。
④ 固定負債及び特別法上の準備金当第1四半期会計期間の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ4億79百万円増加し、43億8百万円となりました。これは、「繰延税金負債」が4億62百万円、「従業員株式給付引当金」が31百万円増加したことなどによるものです。
⑤ 純資産当第1四半期会計期間の「純資産」は、前事業年度に比べ61百万円増加し、390億85百万円となりました。これは、「剰余金の配当」で13億2百万円減少する一方、「四半期純利益」で7億23百万円、「その他有価証券評価差額金」で6億40百万円増加したことなどによるものです。
⑥ 受入手数料当第1四半期累計期間の「受入手数料」の合計は、29億52百万円(前第1四半期累計期間比 127.1%)となりました。
(委託手数料) 「委託手数料」は、13億65百万円(同 151.7%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が2,532億円(同 144.2%)と増加したことにより、株券の委託手数料が13億59百万円(同 152.9%)となったことによるものです。なお、受益証券の委託手数料は5百万円(同 54.2%)となりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、5百万円(同 191.5%)となりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料)主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、6億78百万円(同 122.2%)となりました。これは、インドの取引所に上場している中型株式等に投資する投資信託や、わが国の予想配当利回りの高い株式を対象に投資信託財産の成長を図ることを目標に積極的な運用を行う投資信託、世界の上場株式の中からAI(人工知能)の進化、応用により高い成長が期待される企業の株式に投資する投資信託の販売が好調だったことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、投資信託の代行手数料やファンドラップ手数料の増加等により9億3百万円(同 104.5%)となりました。
⑦ トレーディング損益当第1四半期累計期間の「トレーディング損益」は、株券等が米国株式の売買高の増加により4億80百万円(前第1四半期累計期間比 254.6%)、債券・為替等は59百万円(同 57.3%)となり、合計で5億39百万円(同 184.7%)となりました。
⑧ 金融収支当第1四半期累計期間の「金融収益」は、受取利息の増加等により70百万円(前第1四半期累計期間比 158.8%)、「金融費用」は信用取引費用の増加等により14百万円(同 111.6%)で差引収支は56百万円(同 178.0%)の利益となりました。 ⑨ 販売費・一般管理費 当第1四半期累計期間の「販売費・一般管理費」は、「不動産費」が減少する一方、営業収益の増加により賞与引当金繰入などの「人件費」が増加したことから、29億63百万円(前第1四半期累計期間比 103.1%)となりました。
⑩ 特別損益当第1四半期累計期間の「特別利益」は、「投資有価証券売却益」が2億24百万円(前第1四半期累計期間実績 -百万円)、「金融商品取引責任準備金戻入」が9百万円(同 -百万円)となりました。「特別損失」は「減損損失」が6百万円(同 -百万円)となり、差引2億27百万円の利益(同 0百万円の損失)となりました。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第1四半期累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第1四半期累計期間において、経営方針等について重要な変更又は新たに定めたものはありません。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更又は新たに生じたものはありません。
(5) 財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針該当事項はありません。
(6) 研究開発活動該当事項はありません。 (7) 従業員数当第1四半期累計期間において、従業員数の著しい変動はありません。 (8) 主要な設備当第1四半期累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前事業年度末における計画の著しい変更はありません。 (9) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式・外国債券等のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安になると円ベースの価格が上昇いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価格が上下しますが、基準価格が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは8種類のファンドとMRFを組み合わせ、国際分散投資をしていることから、運用成績や為替の動向で、残高に対する報酬が増減いたしますが、販売は運用成績にあまり影響を受けず、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。
(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第1四半期会計期間の現金・預金残高は239億51百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。当社の現金・預金残高の主な変動要因は信用取引貸付金であります。市況が良い時には信用取引が増加するため、貸付金増加に対応するための資金を確保しておく必要があります。また、お客さまの利便性向上や業務の効率化等のためのシステム投資を行っており、こうした成長投資を継続して実施するための資金を必要としております。株主還元実施後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や成長投資のための資金として有効に活用いたします。
#C8622JP #水戸証券 #証券商品先物取引業セクター