【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績の概要
① 経営成績等の概要当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限が解除され、旅行支援等の各種施策もあり経済活動には一定の回復感も見られる状況となりました。一方で世界情勢や円安の影響による資源、エネルギー価格や物価の上昇が続き、消費行動への影響が懸念されるなど、先行き不透明感が残る状況となりました。二輪車業界においては、二輪車が密を回避する移動手段であると共に趣味の乗り物として再評価され、免許取得者や新車、中古車の販売台数の増加傾向が続く状況となりました。新車販売台数については、業界新聞の推定では前年並みの41万台程度となりましたが、趣味性の高い排気量250ccを超える小型二輪クラスは前年比で21.7%の大幅増となりました。また、国内保有台数についても趣味の利用が多い原付二種以上のクラスでは過去15年以上安定増加が続いておりますが、特にここ2年間は大きく伸長しており、2022年度は前年比で2.94%増の580万台となりました。当社グループでは、このような二輪車業界の市場環境を背景に販売が好調に推移しましたが、第3四半期以降は小売事業における来店客数や国内卸売事業の出荷に落ち着きが見られる状況となりました。また第3四半期から第4四半期にかけては円安が進み、主体の国内卸売事業において海外仕入コストの上昇による利益率低下も顕著となる状況となりました。この結果、当連結会計年度の連結売上高は145億86百万円(前期比16.3%増)、営業利益は20億56百万円(前期比12.5%増)、経常利益は21億16百万円(前期比12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億33百万円(前期比8.4%増)となりました。また、連結における自己資本比率は69.0%、自己資本当期純利益率については23.9%となり大きく向上しました。
[国内拠点卸売事業] 国内拠点卸売事業では、ツーリングバッグ、スマホマウント、インカム等のツーリング用品、新型車や人気車のカスタマイズ商品を中心に好調に推移しました。また㈱デイトナの50周年記念として販売したセブンスターキャストホイールとバイクガレージは限定受注で完売となり大変好評をいただきました。第3四半期以降は円安が進み仕入れコストの上昇もありましたが、好調な販売により売上高が伸長したこととコスト上昇に対処する商品の価格改定も随時進め利益を確保することができました。 この結果、国内拠点卸売事業の売上高は112億28百万円(前期比14.3%増)、セグメント利益は17億14百万円(前期比6.7%増)となりました。
[アジア拠点卸売事業]アジア拠点卸売事業では、販売網の整備、欠品対策や価格設定での競合他社に対する優位性を保ち、売上高は大きく伸長しました。一方で販売規模の拡大に合わせた物流倉庫やシステムに課題が見られる状況となりました。この結果、売上高は5億52百万円(前期比159.8%増)、セグメント利益は93百万円(前期はセグメント利益5百万円)となりました。
[小売事業]小売事業においては、ヘルメット、ウェア、人気車種の車両カスタムなど堅調な販売が続き前年を超える売上高となりました。第3四半期以降は来店客数が徐々に落ち着くなど変化も見られる状況となりました。この結果、売上高は26億53百万円(前期比10.7%増)、セグメント利益は2億12百万円(前期比12.3%増)となりました。
[その他]その他事業の太陽光発電事業は、第3四半期には落雷による設備の故障などもあり前年をやや下回る売電収入となりましたが、保険による修繕費用の戻りや稼働できなかった期間の営業補償により利益を確保しました。リユースWEB事業では、中古部品の仕入先の確保もあり、販売も順調であったため、セグメント利益を出すことができました。この結果、その他事業における売上高は3億48百万円(前期比28.1%増)、セグメント利益は34百万円(前期比31.9%増)となりました。
② 財政状態の分析(流動資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べ24.4%増加し、70億60百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が2億57百万円、棚卸資産が12億45百万円増加したことなどによります。
(固定資産)固定資産は、前連結会計年度末に比べ3.5%増加し、25億81百万円となりました。これは、有形固定資産が56百万円、無形固定資産が61百万円減少しましたが、投資その他の資産が2億5百万円増加したことなどによります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ14億73百万円増加し、96億42百万円となりました。
(流動負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べ4.0%増加し、23億73百万円となりました。これは、未払法人税等が1億6百万円減少しましたが、短期借入金が2億5百万円増加したことなどによります。
(固定負債)固定負債は、前連結会計年度末に比べ20.0%増加し、5億30百万円となりました。これは、長期借入金が95百万円増加したことなどによります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ1億80百万円増加し、29億4百万円となりました。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べ23.7%増加し、67億37百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ2億40百万円減少の9億32百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュフロー)税金等調整前当期純利益が21億20百万円の計上しましたが、売上債権の増加による支出が2億57百万円、棚卸資産の増加による支出が12億46百万円、法人税等の支払額による支出が7億90百万円となったことにより、当連結会計年度における営業活動により使用された資金は4百万円(前連結会計年度に得られた資金は7億52百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュフロー)子会社株式の取得による支出が1億20百万円、貸付金の貸付による支出が50百万円となったことにより、当連結会計年度における投資活動により使用された資金は2億78百万円(前連結会計年度に使用された資金は1億72百万円)となりました。
(財務活動によるキャッシュフロー) 長期借入金の返済による支出が3億52百万円、配当金の支払額が1億88百万円となりましたが、短期借入金の増加が2億3百万円、長期借入れによる収入が3億80百万円となったことにより、当連結会計年度における財務活動により得られた資金は39百万円(前連結会計年度に使用された資金は5億38百万円)となりました。
(仕入及び販売の状況)
(1) 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前連結会計年度増減率(%)
国内拠点卸売事業
8,179,144
22.3
アジア拠点卸売事業
436,314
161.1
小売事業
1,570,961
15.3
合計
10,186,419
23.9
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
(2) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前連結会計年度増減率(%)
国内拠点卸売事業
11,031,939
14.2
アジア拠点卸売事業
552,589
162.3
小売事業
2,652,740
10.7
その他
348,884
28.1
合計
14,586,153
16.3
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
株式会社山城
1,830,954
14.6
2,182,614
15.0
アマゾンジャパン合同会社
―
―
1,730,691
11.9
3 前連結会計年度におけるアマゾンジャパン合同会社への販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討の内容当社グループでは、毎年3カ年の中期経営計画を策定し、ローリング方式で毎年市場環境の変化等を取り込み調整しながら推進しております。2022年度は、2024年に向けた中期経営計画を策定し推進してまいりました。この計画については引き続き好調な二輪車市場を背景に、2022年度末においては連結売上高145億円となり、当初計画を上回る結果となりました。利益面においては、円安への為替の急激な変動や原材料不足等による仕入れ価格の上昇により厳しい状況となりましたが、目標とする経常利益率14%は超え、2022年度は14.5%となりました。事業投資やM&Aに備えて重視している自己資本比率は69.0%となり、前期の65.7%から3.3ポイント上昇いたしました。自己資本利益率は23.9%となり前期の27.8%からは減少となりましたが、依然高い水準を維持しております。当社においては、重視している新商品投入について、2022年度は代替品を除く新商品739点を投入し当社売上高全体に占める構成比は5.8%となりました。(50周年記念商品は除いております)
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(a) キャッシュ・フローの分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)業績の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(b) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの資金需要の主なものは、商品および資材のほか販売費及び一般管理費などの運転資金、有形・無形固定資産などの購入による設備投資資金であります。当社グループは、運転資金につきましては自己資金および金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資につきましては自己資金および金融機関からの長期借入金を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は15億15百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は9億32百万円となっております。
項 目
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
自己資本比率
45.7%
50.3%
57.0%
65.7%
69.0%
時価ベースの自己資本比率
36.4%
51.1%
66.2%
89.9%
85.9%
キャッシュ・フロー対有利子負債
5.8年
4.8年
1.1年
1.7年
―年
インタレスト・カバレッジ・レシオ
27.6倍
33.0倍
108.8倍
70.6倍
―倍
(注) 1. いずれも連結ベースの財政数値により計算しております。 2. キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。3. 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としてお
ります。 4. 2022年度12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオにつ いては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会社上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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