【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」と
いう。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、オミクロン株の蔓延や「第7波」の急拡大等、新型コロナウイルス感染症の国内累計感染者数は3,000万人を超え、依然として終息する気配は見せておらず、また、長期化するロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰や日米金利格差を背景にした急激な円安進行により、消費者物価指数が大幅に上昇する等、依然として先行き不透明な状況となっております。
当社グループの事業領域であるアミューズメント市場におきましては、新型コロナウイルス感染者数が増減を繰り返す中でも行動制限が徐々に緩和され、緩やかながら客足は回復基調にあります。また、訪日外国人の入国制限の見直しにより、インバウンド消費にも期待が高まる等、明るい兆しが見え始めております。
住宅市場におきましては、2022年12月の新設住宅着工戸数が前年同月比1.7%の減少となり、前年同月比で3ヶ月連続の減少となりました。また、貸家着工戸数においては、前年同月比で22ヶ月連続の増加となりましたが、長期金利が上昇する等、引き続き注視が必要です。
このような経済状況の中、当社グループにおいては、主力事業であるプライズ事業・不動産関連事業を中心に事業収益の拡大を図ってまいりましたが、急激な円安進行により、プライズ事業において仕入コストが上昇する等、厳しい事業環境が続きました。また、株式会社ポップティーンにおいて、雑誌販売数の減少や紙代・印刷代の高騰により、2期連続の営業損失を計上したことを踏まえ、今後の事業計画を見直した結果、当初想定していた収益計画に遅れが生じる見込みとなったため、当連結会計年度において同社に係るのれんの減損損失及び固定資産の減損損失を計上したこと等により、33,547千円の特別損失を計上いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の営業収益は4,988,151千円(前年同期比1.9%増)、営業損失は75,358千円(前年同期は営業利益187,076千円)、経常損失は74,510千円(前年同期は経常利益182,443千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は107,817千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益85,850千円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
a.プライズ事業
当連結会計年度においては、プライズゲーム用景品の需要は高水準で推移し、年間を通して堅調に推移いたしました。一方で、前年同期の人気キャラクターグッズ売上の反動減を補うまでには至らず、売上高は前年同期を下回りました。利益面においては、景品の多くが中国を中心とした海外製造であることから、急激な円安進行による円換算での仕入コストの上昇、エネルギー価格高騰による海上輸送費の上昇等により、利益は大幅に減少いたしました。
以上の結果、売上高は2,675,557千円(前年同期比3.8%減)、セグメント利益は90,736千円(前年同期比59.0%減)となりました。
b.不動産関連事業
当連結会計年度においては、顧客(不動産会社・賃貸人・賃借人)に寄り添った丁寧な対応に努めてまいりました。営業面においては、新規取引店の獲得並びに既存取引先の再稼働等、営業強化・拡大に向けての取り組みを行いました。また、管理回収面においては、状況に応じた顧客管理に努め、与信審査及び債権管理業務の効率化に取り組んでまいりましたが、業績面においては、営業強化・拡大によるコスト増加や滞納者が増加したことに伴い貸倒引当金繰入額が増加したこと等により、セグメント利益は減少いたしました。
以上の結果、売上高は1,394,007千円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益は109,544千円(前年同期比36.9%減)となりました。
c.投資銀行事業
当連結会計年度においては、案件の成約に至らず、セグメント損失を計上することとなりました。なお、第2四半期連結累計期間において、当セグメントで計上していた広告費用(20,833千円)については、事業体制の見直しを進めていることに伴い、第3四半期連結会計期間において、全社費用に振り替えております。また、第3四半期連結会計期間以降においても、当該広告費用は、全社費用で計上しております。なお、事業体制を見直した結果、2023年1月1日付でフォーサイドフィナンシャルサービス株式会社の株式を譲渡し、本事業から撤退しております。
以上の結果、売上高はなく(前年同期は71,636千円)、セグメント損失は53,166千円(前年同期はセグメント損失37,684千円)となりました。
d.コンテンツ事業
当連結会計年度においては、費用対効果を重視したプロモーション施策を継続し、新規顧客の獲得を行ってまいりました。また、取扱い作品数の拡充やユーザビリティの向上を図ることで、顧客継続率の維持に取り組んでまいりました。一方で、auスマートパス向けアプリ配信事業においては、2022年7月以降、auスマートパス「アプリ取り放題」が終了したことに伴い、減収減益となっております。
以上の結果、売上高は116,155千円(前年同期比34.7%減)、セグメント損失は7,658千円(前年同期はセグメント利益8,075千円)となりました。
e.イベント事業
当連結会計年度においては、「PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000」を名古屋で開催し、多くのファンの方々にお越しいただき大盛況となりました。その他のイベントについても、来場者数は回復傾向にあり、物販は好調に推移いたしました。また、その他OEM物販が好調に推移したことにより、売上高、利益ともに、前年の実績を大幅に上回りました。
以上の結果、売上高は400,458千円(前年同期比142.2%増)、セグメント利益は36,713千円(前年同期はセグメント損失27,122千円)となりました。
f.マスターライツ事業
当連結会計年度においては、アイドルグループ「Blacknazarene」が音楽イベント「TOKYO IDOL FESTIVAL 2022」に出演したほか、2回の単独ワンマンLIVEを開催する等、経済活動の制限が緩和されていく中で、事業収益は緩やかな回復傾向にあるものの、利益を確保するには至りませんでした。
出版事業においては、デジタルネイティブ世代に向けたSNS展開の強化を図ることで事業収益の拡大を目指してまいりましたが、雑誌販売数の減少及び紙代・印刷代の高騰により、制作コストを賄うことができず、損失を計上することとなりました。
以上の結果、売上高は398,818千円(前年同期比20.2%増)、セグメント損失は78,057千円(前年同期はセグメント損失34,617千円)となりました。
g.その他の事業
当連結会計年度においては、貸付金の回収に努めたほか、コンサルティング案件を受託することができました。
以上の結果、売上高は3,153千円(前年同期比17.0%減)、セグメント利益は1,248千円(前年同期比28.1%減)となりました。
②財政状態の概況
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産のうち前連結会計年度末と比較し変動がある項目は主に以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産は前連結会計年度末に比べて177,558千円減少し4,249,015千円となりました。主
な要因と致しましては、現金及び預金の減少322,059千円、売上債権の増加100,572千円、収納代行未収金の増加
132,912千円、建物の減少31,408千円、土地の減少62,838千円及び長期貸付金の減少31,956千円等によるものであ
ります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べて66,312千円減少し3,193,324千円となりました。主
な要因と致しましては、未払法人税等の減少116,624千円、長期借入金の減少110,467千円、未払金の増加123,118
千円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べて111,245千円減少し、1,055,690千円となりまし
た。主な要因と致しましては、親会社株主に帰属する当期純損失107,817千円等を計上したことによるものであり
ます。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて322,059千円減少し、941,845千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及びこれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、329,264千円の支出(前年同期は180,881千円の収入)となりました。主な要因と致しましては、税金等調整前当期純損失100,376千円を計上したことや、売上債権の増加98,913千円、棚卸資産の増加67,175千円、未収入金の増加121,016千円及び未払法人税等(外形標準課税)の減少110,355千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、124,391千円の収入(前年同期は163,985千円の支出)となりました。主な要因と致しましては、有形固定資産の売却による収入80,184千円及び貸付金の回収による収入33,454千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、120,040千円の支出(前年同期は194,973千円の収入)となりました。主な要因と致しましては、短期借入金の純減少額21,000千円及び長期借入金の返済による支出117,912千円を計上したこと等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績及び受注実績
当社グループで行う事業は、生産、受注といった区分による表示が困難であるため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
b. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
プライズ事業(千円)
2,675,557
96.2
不動産関連事業(千円)
1,394,007
102.2
投資銀行事業(千円)
-
-
コンテンツ事業(千円)
116,155
65.3
イベント事業(千円)
400,458
242.2
マスターライツ事業(千円)
398,818
120.2
その他の事業(千円)
3,153
83.0
合計(千円)
4,988,151
101.9
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであり
ます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは当連結会計年度においては、前連結会計年度比で増収減益となりました。
(営業収益)
営業収益は前連結会計年度比1.9%増の4,988,151千円となりました。営業収益における増減要因分析といたしましては、プライズ事業及び不動産関連事業において堅調に収益を確保するとともに、ティーン向けファッション誌「Popteen」、女子小中学生向けファッション誌「Cuugal」の出版など、マスターライツ事業においても収益が拡大し、グループ全体の営業収益は93,737千円の増加となりました。
(売上原価)
売上原価は前連結会計年度比7.9%増の3,166,317千円となりました。売上原価における増減要因分析といたしましては、各事業における原価率のさらなる見直しを行い、継続的なコストコントロールを行いましたが、急激な円安進行により、プライズ事業における円換算での仕入コストが大幅に増加いたしました。また、Popteenの出版コストが通期で加わったこと等により、グループ全体の売上原価は231,036千円の増加となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は前連結会計年度比7.1%増の1,897,192千円となりました。販売費及び一般管理費における増減要因分析としましては、業容が拡大した出版事業において人件費、その他販売管理費が増加いたしました。また、不動産関連事業において、新型コロナウイルス関連の公的支援制度終了に伴い家賃滞納者が増加し、貸倒引当金繰入額が増加したこと等により、グループ全体の販売費及び一般管理費は125,135千円の増加となりました。
(営業損失・経常損失・親会社株主に帰属する当期純損失)
営業損失は75,358千円(前連結会計年度は営業利益187,076千円)、経常損失は74,510千円(前連結会計年度は経常利益182,443千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は107,817千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益85,850千円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損失の増減要因分析としましては、営業損失を計上したことにくわえ、株式会社ポップティーンにおいて、のれんの減損損失及び固定資産の減損損失を計上したこと等により、193,668千円の減益となりました。
なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の概況」に記載のとおりです。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状
態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、当社グループの運転資金・設備資金については、主に自己資金により充当してきましたが、新型コロナウイルス感染症が与える影響の長期化に備え、複数の金融機関から借入による資金調達を行っております。これらにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は941,845千円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に経営成績に重要な影響を与える要因に相当する内容を記載しております。
⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に相当する内容を記載しております。
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