【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は、前第3四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。
(1)経営成績の状況
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、Withコロナに向けた新たな段階への移行が進められ、経済社会活動の正常化が進む中で景気が持ち直していく動きが見られました。しかしながら、世界的な金融引締め等による海外景気の減速懸念に加え、ウクライナ情勢の長期化の影響等による資源価格の高騰、急激な円安の進行等により、国内経済に与える影響が懸念され、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社はこのような環境の下、コスト削減による財務体質の改善と安定的な財務基盤の確立を図りつつ、再生医療支援事業及び細胞シート再生医療事業における活動を推進いたしました。
この結果、当第3四半期累計期間における売上高は88,185千円、営業損失は564,470千円、経常損失は570,781千円、四半期純損失は574,377千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
① 再生医療支援事業(細胞培養器材、製造受託など)
細胞培養器材事業では、2022年10月の販売開始に向け、細胞の大量回収に特化した新製品の開発をしてまいりました。当該製品は、様々な感染症やがん疾患などの予防法や治療法を開発するための研究用細胞の大量培養を目的とした新たな市場への販売が可能であり、特に海外を中心とした継続的に拡大するフラスコ製品の需要に対応できるものであります。今後もさらなる生産体制の充実、品質確保を図り、新規の顧客を獲得できるよう努めてまいります。
当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する再生医療受託事業については、引き続き共同研究先である東海大学より先進医療にかかる自己軟骨細胞シートの製造を受託しております。第3四半期累計期間には1症例の売上のみでしたが、検収時期のずれにより売上計上できなかったものも含め第4四半期中に複数症例の売上を計上する見込みです。
以上のような活動の結果、売上高は81,230千円、営業損失は70,433千円となりました。
② 細胞シート再生医療事業
細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び同種軟骨細胞シートの細胞シート2品目の再生医療等製品の自社開発を中心とした研究開発を推進しております。
食道再生上皮シートは医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)の下、2020年10月に治験届を提出後、引き続き追加治験を実施しております。PMDAからの新たな指摘への検討に対しても取り組みつつ2025年の製造販売承認申請に向けて活動を行っております。
同種軟骨細胞シートについては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)採択事業として「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けたセルバンク構築を含む企業治験開始のための研究開発」を引き続きその支援を受けながら開発を進めており、2022年末の治験届提出に向け着々と準備を進めております。
事業提携活動につきましては、複数の会社との事業提携及び共同研究契約の締結に向けた活動を積極的に行っております。今後も、引き続き新規の提携契約を獲得できるように努めてまいります。
以上のような活動の結果、売上高は6,955千円、営業損失は347,476千円となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末に比べて79,476千円増加し、1,087,014千円となりました。これは、現金及び預金が94,102千円増加した一方で、売掛金が18,764千円減少したことなどによります。
当第3四半期会計期間末の固定資産は、前事業年度末に比べて5,194千円減少し、395,476千円となりました。これは、有形固定資産が5,279千円減少したことによります。
この結果、当第3四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べて74,281千円増加し、1,482,490千円となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末に比べて42,857千円増加し、214,141千円となりました。これは、賞与引当金が10,895千円増加したことなどによります。
当第3四半期会計期間末の固定負債は、前事業年度末に比べて5,557千円減少し、186,739千円となりました。これは、長期借入金が5,625千円減少したことなどによります。
この結果、当第3四半期会計期間末の負債合計は、前事業年度末に比べて37,300千円増加し、400,881千円となりました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産合計は、前事業年度末に比べて36,981千円増加し、1,081,609千円となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ305,632千円増加した一方で、四半期純損失を574,377千円計上したことなどによります。
(3)研究開発活動
当第3四半期累計期間における当社が支出した研究開発費の総額は333,949千円であります。
なお、当第3四半期累計期間において当社の研究開発活動に重要な変更はありません。