【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」とい
う。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス禍から脱する過程に徐々に移行しましたが、世界的な半導体不足、エネルギー価格の高騰は継続し、欧米の金利上昇による円安の影響もあって、業種別に跛行性がある不安定な状況で推移しました。
国内IT投資については、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資を中心として、総じて堅調に推移しましたが、一方で、半導体不足による機器納入の遅れ、SE人材の不足といった問題も顕在化しました。
このような環境の中、当社はセグメント毎に売上維持・拡大に向けた事業施策に注力するとともに、DX関連を中心に以下の戦略施策を推進・実施し、将来の成長を睨んだ事業基盤の強化に努めました。
・グローバルにインフラビジネスを展開するキンドリルジャパン株式会社と協業し、その第一弾として金融業界向けにITインフラ、業務アプリなどのDX推進サービスを共同で提供する事業を開始
・SBIグループが中小企業のDX化を推進するサービス「SBI DXデータベース」に参画
・今後成長が期待されるeスポーツ業界に特化した人材ビジネスを展開する「株式会社eek」を設立
・画像処理・画像解析の世界的なプロフェッショナル集団であるAI開発会社、株式会社サイバーコアと資本業務提携
その結果、当連結会計年度の売上高は、前年度比0.5%増の13,986百万円となりました。セグメント別の外部顧客への売上高の状況は、次の通りです。
・ソフトウェア開発事業は、長期・優良案件と開発リソースの確保に努めた結果、DX需要を中心にサービサー等の金融業向け及び官公庁向け等で増収となり、同2.0%増の10,727百万円となりました。
・コンサルティング事業は、自動車業界におけるCASE等の領域で受注が伸び、好調であったエッジコンピューティング系(組込系)を中心に同6.4%増の1,221百万円となりました。
・ソリューション事業は、自動車教習所向けソリューション業務はハードウェア確保の困難はあったものの、オンライン学科教習ツールの好調により、ほぼ前期並みとなりましたが、エッジコンピューティング系(組込系)開発業務において半導体不足による影響を大きく受けた外、サブスク型のクラウドサービス業務において収益認識に関する会計基準の適用の影響もあって、同9.8%減の2,037百万円となりました。
損益面につきましては、ソフトウェア開発事業およびコンサルティング事業は堅調に推移しましたが、粗利率の高いソリューション事業の減収が影響し、売上総利益は同1.3%減の3,341百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、営業活動が再開する中、コロナ禍で一時的に減少した旅費交通費・広告宣伝費の回復等により同1.4%増の2,312百万円となり、これらの結果、営業利益は同6.9%減の1,029百万円、経常利益は同6.0%減の1,056百万円となりました。更に、前期のデジタルサイネージ事業売却に伴う特別利益計上等の一時的増益要因が解消したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、同46.8%減の564百万円となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は7,599百万円となり、前連結会計年度末に比べ134百万円増加いたしました。これは主に、棚卸資産が増加したことによるものであります。固定資産は3,855百万円となり、前連結会計年度末に比べ48百万円増加いたしました。これは主に、クラウド事業への投資によりソフトウェアが増加したことと、上場株式の時価評価および非上場株式の取得により投資有価証券が増加したことによるものであります。
この結果、総資産は11,455百万円となり、前連結会計年度末に比べ182百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,538百万円となり、前連結会計年度末に比べ84百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が増加したことによるものであります。固定負債は1,099百万円となり、前連結会計年度末に比べ197百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は3,637百万円となり、前連結会計年度末に比べ112百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は7,817百万円となり、前連結会計年度末に比べ294百万円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金および非支配株主持分が増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は61.2%(前連結会計年度末は60.1%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ98百万円減少し、当連結会計年度末残高は4,692百万円となりました。主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は1,176百万円(前連結会計年度は631百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益、減価償却費によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は465百万円(前連結会計年度は202百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出および無形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は809百万円(前連結会計年度は337百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出および配当金の支払額によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
ソフトウェア開発事業(千円)
8,167,173
-
ソリューション事業(千円)
1,306,499
-
コンサルティング事業(千円)
685,123
-
合計(千円)
10,158,796
-
(注)1.金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺処理しております。
2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度期首から新たな会計方針を適用しております。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、生産実績の増減率の記載は省略しております。
2.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
ソフトウェア開発事業(千円)
317,353
-
ソリューション事業(千円)
260,622
-
合計(千円)
577,975
-
(注)1.金額は、実際仕入額によっており、セグメント間の取引については相殺処理しております。
2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度期首から新たな会計方針を適用しております。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、商品仕入実績の増減率の記載は省略しております。
3.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高
(千円)
前年同期比(%)
ソフトウェア開発事業
11,363,503
107.5
1,640,290
-
ソリューション事業
2,359,467
118.2
524,300
-
コンサルティング事業
1,215,068
109.0
232,665
-
合計
14,938,038
109.2
2,397,255
-
(注)1.セグメント間の取引については相殺処理しております。
2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度期首から新たな会計方針を適用しております。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、受注残高の増減率の記載は省略しております。
4.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
ソフトウェア開発事業(千円)
10,727,277
-
ソリューション事業(千円)
2,037,242
-
コンサルティング事業(千円)
1,221,837
-
合計(千円)
13,986,357
-
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
2.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度期首から新たな会計方針を適用しております。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、販売実績の増減率の記載は省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループでは当連結会計年度を初年度とする中期計画(2022年12月期~2024年12月期)においては、基本方針として1)経営基盤の強化、2)本業であるSIビジネスの競争力強化、3)ストック型ビジネスの強化・拡大、4)海外マーケットの開拓をテーマとして推進しております。
当連結会計年度における主な取組み状況は以下のとおりです。
1)経営基盤の強化
限られた開発リソースの中で企業価値向上を遂げる施策として、より利益率の高い開発プロジェクトへの要員シフトおよび利益率の高いクラウドアプリケーション開発に注力しました。当連結会計年度のM&Aにおいては、eスポーツ業界に特化した株式会社eek設立、画像認識のAI開発力を保有する株式会社サイバーコアへの投資を実施しました。次年度以降についても成長分野への投資継続に加え、SI開発企業買収による開発リソース調達などにも注力します。
2)本業であるSIビジネスの競争力強化
主業務であるSIビジネスにおける喫緊の課題は人材確保であるとの認識に立脚し、この課題に対する新たな取り組みとして、未経験者の採用を開始しております。同時に開発要員の協力先となるSI企業との連携が重要であり、この様な企業との連携を強化する事を目的に組織変更を行い、開発要員数の増加に努めて参ります。
非価格競争力の強化については、引き続き専門特化戦略を推進しております。特にグループ会社においては、製造業向けモデル化支援、機能安全化支援などのコンサルティングサービスの高い技術力を活かした先進的なソリューションの提供や、計測系技術を活かしたIoTソリューションが引き続き好評であり、適用分野の広がりとともに新たな顧客の開拓が進みました。
3)ストック型ビジネスの強化・拡大
安定的な収益を狙いとするストック型ビジネスとして注力しているソリューションの一つが、日本発のストレージサービス「Fleekdrive」であり、株式会社Fleekdriveが展開しています。ストレージ機能を土台として上位置のアプリケーションとなる人事労務サービスの開発を推進しました。次年度リリースを予定しており、今後の成長が加速する見込みです。もう一つが自動車教習所向けソリューションであり、株式会社ノイマンが、指定自動車教習所で学科教習をライブ配信方式(双方向)および録画配信方式(オンデマンド)で受講可能とするオンライン学科教習ツール「N-LINE」の販売を展開し、オンラインツール導入校シェアは70%超と業界内で支持を得ております。
4)海外マーケットの開拓
株式会社ノイマンにおけるベトナムの自動車教習所向けのソリューション展開については、日本の教習所指導要領の採用による品質向上や日本で実用されている教習管理システムを現地合弁自動車教習所に導入し生産性が向上した結果、現地合弁自動車教習所の業績が伸長しました。また、今後展開するベトナム国内向けソリューションの実証にも繋がっております。
②当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における財政状態は、増加した現金の一部を金融機関からの借入の返済に充てることで、財務のスリム化を図るなどし、自己資本比率が、前連結会計年度の60.1%から61.2%となりました。
(資産)
流動資産は、ソリューション事業の仕入が増加したことにより棚卸資産が増加いたしました。
固定資産は、クラウド事業への投資によりソフトウェアが増加し、無形固定資産が増加しておりますが、一方で、前連結会計年度のデジタルサイネージ事業売却に関連した繰延税金資産が減少し、投資その他の資産は減少しております。
上記により、資産合計は、前連結会計年度末と比べて182百万円増加いたしました。
(負債)
流動負債は、支払手形及び買掛金が増加しておりますが、一方で、金融機関からの借入の返済を進め、短期借入金および1年内返済予定の長期借入金が減少しております。
固定負債は、金融機関からの借入の返済を進め、長期借入金が減少しております。
上記により、負債合計は、前連結会計年度末と比べて112百万円減少いたしました。
(純資産)
純資産は、当期純利益の計上により利益剰余金および非支配株主持分が増加し、前連結会計年度末と比べて294百万円増加いたしました。
③資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループは、資金の調達方針として、コスト面を考慮しつつも、安定資金を確保することを優先し調達することを基本方針としております。
運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入による調達を基本としておりますが、一定の運転資金については長期借入により調達しております。
設備投資資金につきましては、金融機関からの長期借入による調達を基本としております。ただし、余資が膨らんだ状況においては、財務の健全性向上のため、自己資金を新事業への投資資金として活用することも検討されます。
当連結会計年度においては、主に、ストック型ビジネス拡充のための設備投資に資金を使用したほか、引き続き新型コロナウイルス感染症の感染収束の時期が不透明であったことから、十分な手元流動性を確保したうえで、金融機関からの借入の返済を進めるなどし、当社グループ内の余剰資金の有効活用に努めました。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国における一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績やその時々の状況を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があることから、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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