【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
(単位:億円)
前第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年9月30日)
増減額 (増減率)
売上高
4,828
4,589
△239
(△5.0%)
営業損益
529
446
△83
(△15.7%)
経常損益
5,675
852
△4,822
(△85.0%)
親会社株主に帰属する
四半期純損益
5,654
631
△5,022
(△88.8%)
為替レート(円/US$)(6ヶ月平均)
131.56
139.93
8.37
(6.4%)
燃料油価格(US$/MT)(6ヶ月平均)
850
605
△245
(△28.8%)
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年9月30日まで)の売上高は4,589億円、営業利益は446億円、経常利益は852億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は631億円となりました。
なお、持分法による投資利益として350億円を計上しました。うち、当社の持分法適用関連会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下、「ONE社」という。)からの持分法による投資利益の計上額は322億円です。
セグメントごとの業績概況は次のとおりです。
(単位:億円)
前第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年9月30日)
増減額 (増減率)
ドライバルク
売上高
1,715
1,375
△339
(△19.8%)
セグメント損益
248
28
△219
(△88.5%)
エネルギー
資源
売上高
507
514
6
(1.3%)
セグメント損益
89
52
△36
(△41.4%)
製品物流
売上高
2,546
2,646
99
(3.9%)
セグメント損益
5,369
798
△4,570
(△85.1%)
その他
売上高
59
53
△5
(△9.9%)
セグメント損益
5
11
6
(131.3%)
調整額
セグメント損益
△36
△38
△1
(-)
合計
売上高
4,828
4,589
△239
(△5.0%)
セグメント損益
5,675
852
△4,822
(△85.0%)
なお、各セグメントの状況をより適切に反映させるため、全社費用の配賦方法を一部変更しています。前第2四半期連結累計期間のセグメント情報につきましても、変更後の方法により表示しています。
①ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、一時的に中国向け鉄鉱石の輸送需要が改善したものの、中国の実需回復遅れに加え、滞船緩和が進んだことで船腹需給バランスが緩み、軟化しました。しかし、足元では中国の鉄鋼内需回復への期待感と雨期の明けたギニアからのボーキサイト輸送需要の回復などの季節的要因も重なり、上昇に転じました。
中・小型船市況は、欧州等遠隔地向け石炭・鋼材輸送の減少、穀物先物価格の下落による買い控えを背景とした中国向け輸送需要の減退などにより下落しましたが、穀物輸送需要の本格化による滞船の増加とパナマ運河の渇水等の影響による船舶稼働率の押し下げなどにより、足元では上昇しました。
このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減や配船効率向上に努めました。
ドライバルクセグメント全体では、前年同期比で減収減益となりました。
②エネルギー資源セグメント
[液化天然ガス輸送船事業・電力事業・油槽船事業・海洋事業]
LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は、中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
一方で、前年度に実施した運航船舶の見直し等もあり、エネルギー資源セグメント全体では、前年同期比で増収となるも減益となりました。
③製品物流セグメント
[自動車船事業]
世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足を背景とした生産・出荷への影響が漸減するなかで、回復基調が継続しました。また、運賃修復及び運航効率の改善に継続的に取り組みました。
[物流事業]
国内物流・港湾事業では、コンテナターミナルの取扱量が前年同期を下回りました。曳船事業の作業数及び倉庫事業の取扱量は堅調に推移しました。国際物流事業では、フォワーディング事業における海上及び航空輸送需要の減少傾向が継続し、市況も低迷しました。完成車物流事業では、豪州での外来種子付着による検疫不合格輸入車の増加に起因する滞船が深刻化していましたが、需要は依然高く陸送取扱台数及び保管台数が増加しました。
[近海・内航事業]
近海事業では、石炭の輸送量は減少しましたが、鋼材輸送の新規契約獲得により全体では大幅に輸送量が増加しました。内航事業では、物価上昇の影響によりトラックやシャーシの輸送量が減少しましたが、新型コロナウイルス感染症による影響が縮小したことにより、乗用車・旅客の乗船数は増加しました。
[コンテナ船事業]
コンテナ船事業では、ピークシーズンに入っても荷動きの回復に力強さは見られず、新造船竣工が増加したこともあり、短期運賃市況の上昇トレンドは継続しませんでした。当社持分法適用関連会社であるONE社では、減便やサービスの合理化を実施し黒字を確保したものの、前年同期比で大幅な減益となりました。
製品物流セグメント全体では、前年同期比で増収となるも減益となりました。
④その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期業績は前年同期比で減収となるも増益となりました。
(2) 財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の資産の部は、投資有価証券の増加などにより前連結会計年度末に比べ980億円増加し、2兆1,506億円となりました。
負債の部は、社債の増加などにより前連結会計年度末に比べ288億円増加し、5,347億円となりました。
純資産の部は、為替換算調整勘定の増加などにより前連結会計年度末に比べ691億円増加し、1兆6,158億円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、58億円減少して、3,409億円となりました。各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、利息及び配当金の受け取り等により1,331億円のプラス(前第2四半期連結累計期間は、1,458億円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得等により286億円のマイナス(前第2四半期連結累計期間は、271億円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い及び自己株式の取得等により1,188億円のマイナス(前第2四半期連結累計期間は、843億円のマイナス)となりました。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は111百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
ドライバルクセグメントでは、中国経済の先行き不透明感、欧米を中心としたインフレ・高金利による景気停滞などの懸念要素があるものの、限定的な新造船竣工を背景に中期的な船腹需給は引き締まり、ドライバルク市況は振幅を伴いながらも全体として底堅く推移していくと見込んでいます。輸送需要とトレードパターンの変化に注視し、迅速に対応できる準備を進めてまいります。また、運航効率の改善とコスト削減等に取り組むとともに、環境対応ニーズの強まるなか、事業基盤と高い輸送品質を生かした営業活動を積極的に行い、中長期契約の上積みによる安定収益拡充と、適切なリスクコントロール下での収益最大化に努めます。
エネルギー資源セグメントでは、LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)において、中長期の傭船契約に支えられて順調な推移を見込んでおり、引き続き安定収益の確保に努めます。
製品物流セグメントでは、自動車船事業においては、世界自動車販売市場は、地政学的リスク及び世界経済のリセッションリスクは残るものの、経済活動が正常化に向かうなかで、半導体や部品供給の改善に伴い、生産・出荷の回復基調が継続する見通しです。引き続き、船隊適正化や運航・配船効率向上に取り組みます。
物流事業においては、国内物流・港湾事業では、コンテナターミナル取扱量の減少傾向が依然として継続していることに伴い、通期の取扱量は不透明な状況です。曳船事業は作業数が堅調に推移し収支改善を見込みます。倉庫事業は、例年並みの収益見込みです。国際物流事業では、フォワーディング事業における海上及び航空輸送需要の減少に伴い、今後の市況動向の見通しは不透明な状況です。完成車物流事業は、豪州各港での外来種子付着による検疫不合格輸入車の増加に起因する滞船状況も段階的に回復していることもあり輸送台数、保管台数ともに引き続き堅調に推移する見込みです。
近海・内航事業においては、市況は前年比で低調な推移が見込まれるため、適切な市況エクスポージャーの管理を継続するとともに、運航効率の改善やコスト削減に取り組みます。内航事業では、フェリー輸送では乗用車、旅客の乗船数は前年を上回る見込みです。また、人件費を中心に運航コストの上昇も同時に進んでいることから、顧客の理解を求めながら、運賃修復に取り組みます。
コンテナ船事業においては、荷量は年度後半にかけ緩やかな回復を見込むものの、欧米の主な消費国での在庫は依然として高水準であり、船腹供給の増加もあり厳しい事業環境が継続する見通しです。ONE社では、経済環境を注視し、輸送需要の変動に合わせ機動的な対応を実施するなど、着実な事業運営に努めます。