【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
(単位:億円)
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減額 (増減率)
売上高
2,284
2,222
△62
(△2.8%)
営業損益
188
196
7
(4.0%)
経常損益
2,673
491
△2,182
(△81.6%)
親会社株主に帰属する
四半期純損益
2,666
385
△2,280
(△85.5%)
為替レート(円/US$)(3ヶ月平均)
126.49
135.81
9.32
(7.4%)
燃料油価格(US$/MT)(3ヶ月平均)
821
609
△212
(△25.8%)
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年6月30日まで)の売上高は2,222億円、営業利益は196億円、経常利益は491億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は385億円となりました。
なお、持分法による投資利益として244億円を計上しました。うち、当社の持分法適用関連会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下、「ONE社」という。)からの持分法による投資利益の計上額は230億円です。
セグメントごとの業績概況は次のとおりです。
(単位:億円)
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減額 (増減率)
ドライバルク
売上高
846
725
△120
(△14.2%)
セグメント損益
145
15
△130
(△89.7%)
エネルギー
資源
売上高
247
236
△11
(△4.6%)
セグメント損益
56
24
△31
(△56.1%)
製品物流
売上高
1,157
1,231
73
(6.4%)
セグメント損益
2,486
459
△2,027
(△81.5%)
その他
売上高
34
28
△5
(△15.2%)
セグメント損益
1
7
6
(479.8%)
調整額
セグメント損益
△16
△16
0
(-)
合計
売上高
2,284
2,222
△62
(△2.8%)
セグメント損益
2,673
491
△2,182
(△81.6%)
なお、各セグメントの状況をより適切に反映させるため、全社費用の配賦方法を一部変更しています。前第1四半期連結累計期間のセグメント情報につきましても、変更後の方法により表示しています。
①ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、中国の経済回復への期待感を背景とし、一時的に回復基調となりましたが、中国国内での実需回復が遅れ、滞船緩和が進んだことで船腹需給バランスが緩み、前年同期比で軟調に推移しました。
中・小型船市況は、需要地での在庫高を背景とした欧州向け石炭・鋼材輸送の減少、穀物先物価格の下落による買い控えを背景とした中国向け輸送需要の減退などにより、軟調に推移しました。
このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減や配船効率向上に努めました。
ドライバルクセグメント全体では、前年同期比で減収減益となりました。
②エネルギー資源セグメント
[液化天然ガス輸送船事業・電力事業・油槽船事業・海洋事業]
LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は、中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
一方で、前年度に実施した運航船舶の見直しもあり、エネルギー資源セグメント全体では、前年同期比で減収減益となりました。
③製品物流セグメント
[自動車船事業]
世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足を背景とした生産・出荷への影響が漸減するなかで、回復基調が継続しました。また、運賃修復及び運航効率の改善に継続的に取り組みました。
[物流事業]
国内物流・港湾事業では、コンテナターミナルの取扱量が前年同期を下回りました。曳船事業の作業数及び倉庫事業の取扱量は堅調に推移しました。国際物流事業では、フォワーディング事業における海上及び航空輸送需要の減少傾向が継続し、市況も低迷しました。完成車物流事業では、豪州での外来種子付着による検疫不合格輸入車の増加に起因する滞船問題が深刻化しておりましたが、需要は依然高く陸送取扱台数及び保管台数が増加しました。
[近海・内航事業]
近海事業では、鋼材やバイオマス燃料の需要は堅調に推移したものの、石炭ではロシア・ウクライナ情勢によりロシア炭の輸送がなくなったことで、輸送量は前年同期を大きく下回りました。内航事業では、物価上昇の影響などもあり、特に鉄骨や建材などの荷動きが低下し、輸送量は減少しました。
[コンテナ船事業]
当社持分法適用関連会社であるONE社の業績は、混乱していたサプライチェーンの正常化に加え、輸送需要が低迷したことにより短期運賃市況が下落した結果、軟調に推移しました。
製品物流セグメント全体では、前年同期比で増収減益となりました。
④その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期業績は前年同期比で減収となるも増益となりました。
(2) 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末の資産の部は、現金及び預金の増加などにより前連結会計年度末に比べ835億円増加し、2兆1,361億円となりました。
負債の部は、長期借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べ282億円増加し、5,341億円となりました。
純資産の部は、為替換算調整勘定の増加などにより前連結会計年度末に比べ553億円増加し、1兆6,020億円となりました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は35百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
ドライバルクセグメントでは、欧米を中心としたインフレ・高金利による景気停滞、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中国経済活動の回復遅れや限定的な新造船竣工を背景とした船腹需給の引き締まりにより、市況は足元軟調に推移していますが、期末にかけて改善を見込んでいます。輸送需要とトレードパターンの変化に注視し、迅速に対応できる準備を進めます。また、運航効率の改善やコスト削減等に取り組むとともに、環境対応ニーズの強まるなか、事業基盤と高い輸送品質を生かした営業活動を積極的に行い、中長期契約の上積みによる安定収益拡充と適切なリスクコントロール下での収益最大化に努めます。
エネルギー資源セグメントでは、LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)において、中長期契約の傭船契約に支えられて順調な推移を見込んでおり、引き続き安定収益の確保に努めます。
製品物流セグメントでは、自動車船事業においては、世界自動車販売市場は、地政学的リスク及び世界経済のリセッションリスクは残るものの、経済活動が正常化に向かうなかで、半導体や部品供給の改善に伴い、生産・出荷の回復基調が継続する見通しです。引き続き、船隊適正化や運航・配船効率向上に取り組みます。
物流事業においては、国内物流・港湾事業では、足元ではコンテナターミナルの取扱量が前年同期比減少傾向であるものの、通期では前年と同水準の取扱量を見込みます。曳船事業は収支改善を見込みます。倉庫事業は例年並みの収益見込みです。国際物流事業では、フォワーディング事業における海上及び航空輸送需要の減少に伴い、今後の市況動向の見通しは不透明な状況です。完成車物流事業は、豪州各港での外来種子付着による検疫不合格輸入車の増加に起因する滞船状況も段階的に回復していることもあり輸送台数、保管台数ともに好調に推移する見込みです。
近海・内航事業においては、市況は低調な推移が見込まれるため、適切な市況エクスポージャーの管理を継続するとともに、運航効率の改善やコスト削減に取り組みます。内航事業では引き続き、物価高の影響などで荷動きは低調に推移する見込みです。一方乗用車、旅客は前年を上回る見込みです。また、人件費を中心に運航コストの上昇も同時に進んでいることから、顧客の理解を求めながら、運賃修復に取り組みます。
コンテナ船事業においては、輸送需要の回復や欧米の主な消費国での過剰在庫の解消に時間を要しており、需給状況の不確実性が増しています。ONE社では、経済環境を注視し、需給変動に合わせた機動的な対応を実施するなど、着実な事業運営に努めます。