【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものです。
なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとしています。
(1)経営成績の状況
(単位:億円)
前第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
増減額 (増減率)
売上高
5,565
7,288
1,723
(31.0%)
営業損益
233
806
573
(245.8%)
経常損益
4,336
6,419
2,083
(48.0%)
親会社株主に帰属する
四半期純損益
4,233
6,382
2,149
(50.8%)
為替レート(円/US$)(9ヶ月平均)
110.97
135.70
24.73
(22.3%)
燃料油価格(US$/MT)(9ヶ月平均)
521
808
286
(54.9%)
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)の売上高は7,288億円、営業利益は806億円、経常利益は6,419億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,382億円となりました。
なお、当社の持分法適用関連会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下、「ONE社」という。)の業績好調などにより、持分法による投資利益として5,736億円を計上しました。うち、ONE社からの持分法による投資利益計上額は当第3四半期連結累計期間5,670億円、当第3四半期連結会計期間においては725億円となりました。
セグメントごとの業績概況は次のとおりです。
(単位:億円)
前第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
増減額 (増減率)
ドライバルク
売上高
2,073
2,478
405
(19.5%)
セグメント損益
147
231
83
(56.7%)
エネルギー
資源
売上高
666
769
104
(15.6%)
セグメント損益
21
93
72
(348.7%)
製品物流
売上高
2,748
3,959
1,212
(44.1%)
セグメント損益
4,253
6,159
1,906
(44.8%)
その他
売上高
79
82
2
(3.1%)
セグメント損益
2
5
4
(187.8%)
調整額
セグメント損益
△87
△69
18
(-)
合計
売上高
5,565
7,288
1,723
(31.0%)
セグメント損益
4,336
6,419
2,083
(48.0%)
①ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、期首には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、「新型コロナウイルス感染症」という。)対策に伴う港湾の混雑及び滞船の影響で、船腹供給が引き締まり高水準で推移しましたが、期央から年末にかけては、影響の緩和及び中国向けの輸送需要の減少により振幅を伴いながら、軟調に推移しました。
中・小型船市況は、期首に市況を下支えしたインド向け石炭輸送や欧州向け鋼材輸送需要等の減少に加え、中国での滞船緩和の影響を受け軟化しましたが、中国向け穀物の需要増加が牽引し、概ね堅調に推移しました。
このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減や配船効率向上に努めました。
以上の結果、ドライバルクセグメント全体では、前年同期比で増収増益となりました。
②エネルギー資源セグメント
[液化天然ガス輸送船事業・電力事業・油槽船事業・海洋事業]
LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では、前年同期比で増収増益となりました。
③製品物流セグメント
[自動車船事業]
世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足、ロシア・ウクライナ情勢の長期化などにより、一部で生産・出荷への影響があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調が継続しました。また、運賃修復及び運航効率の改善に継続的に取り組みました。
[物流事業]
国内物流・港湾事業では、国内コンテナターミナルの全体的な取扱量は中国航路に減少傾向が見られるものの、前年同期と同水準で推移しました。曳船事業では作業数が堅調に推移しました。倉庫事業の取扱量は継続して堅調に推移しました。
国際物流事業では、フォワーディング事業において、海上及び航空貨物輸送需要の減少傾向が継続しました。完成車物流事業では、豪州向け自動車の数量調整に伴い陸送取扱台数及び保管台数が減少しました。
[近海・内航事業]
近海事業では、ロシア・ウクライナ情勢により石炭の輸送量は前年同期を下回りましたが、鋼材やバイオマス燃料の需要は堅調に推移し、全体的な市況は好調に推移しました。内航事業では、乗用車・旅客は新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が解除されたことにより利用者の回復基調が継続し、貨物の輸送量も前年同期を上回りました。
[コンテナ船事業]
当社持分法適用関連会社であるONE社の業績は、当第3四半期連結会計期間以降、欧米を中心とした消費地での商品在庫の積み上がりやインフレによる消費意欲の減退などにより、輸送需要と短期運賃市況が低迷しましたが、上半期の業績が下支えとなり、前年同期比で改善しました。
以上の結果、製品物流セグメント全体では、前年同期比で増収増益となりました。
④その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、当第3四半期連結累計期間の業績は前年同期比で増収増益となりました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、投資有価証券の増加などにより前連結会計年度末に比べ5,143億円増加し、2兆893億円となりました。
負債の部は、短期借入金の減少などにより前連結会計年度末に比べ654億円減少し5,247億円となりました。
純資産の部は、利益剰余金の増加などにより前連結会計年度末に比べ5,797億円増加し、1兆5,646億円となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は183百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
ドライバルクセグメントでは、世界的なインフレや景気後退への懸念、中国の経済活動正常化の時期等の不確定要素が多いなか、下半期に入り市況は下落しましたが、ロシア・ウクライナ情勢に伴う石炭輸送需要の増加や限定的な新造船竣工量が船腹需給を引き締め、市況は一定の水準を保つ見込みです。輸送需要とトレードパターンの変化に注視し、迅速に対応できる準備を進めます。更に、運航効率の改善やコスト削減等の収支改善策に取り組むとともに、環境対応ニーズが強まるなか、高い輸送品質を生かした営業活動を積極的に行い、中長期契約の上積みによる安定収益拡充に努めます。
エネルギー資源セグメントでは、LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)において、中長期の傭船契約に支えられて順調な稼働を見込んでおり、引き続き安定収益の確保に努めます。
製品物流セグメントでは、自動車船事業においては、世界自動車販売市場は、半導体や自動車部品の不足、インフレ傾向の継続及び欧米を中心とした景気後退の影響が懸念されるものの、運賃修復に加え、船隊適正化及び運航・配船効率向上に継続して取り組みます。物流事業においては、国内物流・港湾事業では、北米西岸港湾労使協約の交渉の状況を注視しますが、国内ターミナル取扱量の堅調な推移は継続するとの見通しです。国際物流事業では、フォワーディング事業において、海上及び航空輸送の需要の減少に伴い、運賃市況は足元で下落傾向が継続しています。完成車物流事業では、豪州における堅調な輸入車需要の継続により、取扱台数増加を見込みます。コンテナ船事業においては、旧正月休暇による荷動き減少などの季節要因もあることから、輸送需要と短期運賃市況の回復には時間が掛かると予想しています。ONE社では経済環境を注視し、需給変動に合わせた対応を実施しながら、着実な事業運営に努めます。