【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における綿半グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症対策を取りつつ、行動制限が徐々に緩和されたことで、社会経済活動は正常化へ向けた動きが進みました。一方で、為替相場の急激な変動やウクライナ情勢の長期化を背景とした原材料価格の高騰によるコストプッシュ型インフレの進行など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
綿半グループが関係する事業環境のうち、小売事業では、業種・業態を超えた競争が激しさを増すなかで、物価上昇による顧客の消費マインドの低下や、光熱費をはじめとした各種コストが上昇するなど厳しい事業環境が続きました。
建設事業では、企業の設備投資に持ち直しの動きが続くなど、受注環境は堅調に推移いたしました。一方で、住宅市場においては、資材価格高騰による建築コストの増加、住宅ローン金利の上昇による市場の冷え込み懸念もあり、持家の新設住宅着工戸数が大きく落ち込むなど、引続き注視が必要な事業環境となっております。
貿易事業では、原油価格高騰による輸送コストの上昇、急激な為替変動など、不安定な状況が続きました。医薬品市場においては、毎年の薬価改定による市場の抑制が懸念されております。また、化粧品市場においても、行動制限の緩和により緩やかな回復は見られたものの、幅広い分野での値上げに伴う節約志向の高まりなどを受けて、消費マインドの回復は鈍く、依然として厳しい事業環境が続いております。
このような事業環境下におきまして、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ146億50百万円増加し、842億2百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ127億45百万円増加し、629億50百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億5百万円増加し、212億51百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は1,342億99百万円(前期比17.3%増)、営業利益は24億2百万円(同0.1%増)、経常利益は30億57百万円(同4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は16億53百万円(同25.0%減)となりました。
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<小売事業>
小売事業では、スーパーセンター、ホームセンター、食品スーパー、ドラッグストア、インターネット通販等多種多様な業態を関東甲信・東海地方に53店舗展開しており、「新規出店・店舗改装・新業態の開発を継続して推進」「流通網の拡大」を重点施策としております。
「新規出店・店舗改装・新業態の開発を継続して推進」の取組みとして、綿半スーパーセンター上田店・権堂店を新規出店したほか、大型店舗に順次医薬品コーナーを導入し、新たなスーパーセンター業態の構築を推進しております。
「流通網の拡大」では、鮮魚の直接仕入先を日本各地の漁港に広げたほか、青果においても、契約農家の拡大を進めるとともに、産地からお客さまにお届けするまで低温を維持し続けるコールドチェーンを構築いたしました。また、綿半ファームで育てた良質な豚を各店舗へ流通させるなど、生鮮商品の鮮度向上に取組んでまいりました。
加えて、世界的な物価上昇が続くなか、低価格・高品質で環境にやさしいオリジナル商品の開発を加速するなど、お客さまの暮らしに寄り添った事業を展開しております。
当連結会計年度における業績は、上田店・権堂店の新規出店効果もあり、売上高については、776億11百万円(前期比1.4%増)となりました。一方、セグメント利益は、新規出店コストの発生や電力料値上げ等の影響により、7億62百万円(同58.0%減)となりました。
<建設事業>
建設事業では、木造建築、屋根外装改修、鉄構、自走式立体駐車場の建設工事等を展開しており、重点施策として「木の加工・流通網の構築」「木を使った商品開発の推進」「鉄骨分野のFA化をさらに加速」に取組んでまいりました。
「木の加工・流通網の構築」では、夢ハウスが有する原木の仕入からプレカットまでを行う木材の製造機能を活かして、長野県産木材の有効活用による地域経済の活性化に注力しております。
「木を使った商品開発の推進」では、綿半林業とサイエンスホームが手を組み、それぞれの強みを合わせた住宅ブランド『cotton1/2』をスタートしました。最高品質の天然無垢材を低価格で提供することで、メジャー住宅ブランドを目指してまいります。
また、大規模木造建築物の開発にも注力しており、柱のない開放的な空間を短工期で実現する木造システム建築『PREST WOOD』を開発しました。
「鉄骨分野のFA化をさらに加速」では、2022年4月より長野県高森町の新工場が稼働いたしました。鉄構工場機能を集約した新工場の自動化により、加工能力の向上と効率化による収益性の向上を図ってまいりました。
当連結会計年度における業績は、資材価格高騰の影響を受ける一方で、各分野ともに工事が順調に進捗したことで、売上高は496億2百万円(前期比55.8%増)と、セグメント利益は18億88百万円(同122.7%増)となりました。
<貿易事業>
貿易事業では、天然由来の医薬品・化成品の輸入販売、不妊治療薬の原薬製造や農園芸品の販売等を行っており、重点施策として「食品分野への進出」「肥料・飼料分野の拡大」に取組んでまいりました。
「食品分野への進出」では、ヘルスケア意識の高まりにより注目されている健康志向市場向けに、栄養価の高いウチワサボテン果実をプラスした、「ギルトフリー+」の食品原料の販売を開始しました。
また1月には、メキシコを中心とした海外より果実・野菜等の輸入・販売を行っている、株式会社カサナチュラルと資本業務提携を結びました。カサナチュラルとの連携により、天然原料の新規開拓・調達を加速し、さらなる食品分野の事業構築を図ってまいります。
「肥料・飼料分野の拡大」では、100%天然植物由来の動物飼料添加物『Nutrafito Plus』の販売を開始するなど、天然の肥料・飼料分野への進出・拡大を進めてまいります。
そのほか、海外原料の安定した在庫確保や不妊治療薬の原薬製造の安定化・高品質化に向けた精製率を高める方法の研究開発を進めております。
当連結会計年度における業績は、円安傾向の為替相場や、世界的な物流コスト上昇等の影響を受け、売上高は60億1百万円(前期比3.2%増)、セグメント利益は5億76百万円(同17.4%減)となりました。
<その他>
「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、不動産事業等を含んでおります。当連結会計年度における業績は、不動産事業を営む綿半リアルエステートがグループ入りしたこと等により、売上高は10億83百万円(前期比284.9%増)、セグメント利益は1億68百万円(同17.2%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は28億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億99百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果使用した資金は、36億53百万円(前期は16億32百万円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益29億10百万円、減価償却費18億12百万円、仕入債務の増加29億23百万円、その他の負債の増加19億17百万円があった一方、売上債権の増加88億96百万円、棚卸資産の増加38億60百万円、法人税等の支払額9億44百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は、39億56百万円(前期は40億10百万円の使用)となりました。これは主に固定資産の取得による支出35億84百万円、連結子会社株式の取得による支出7億93百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果獲得した資金は、61億63百万円(前期は47億86百万円の獲得)となりました。これは主に配当金の支払額4億17百万円があった一方、借入金の増加66億22百万円があったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
綿半グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高
受注残高
金額(百万円)
前期比(%)
金額(百万円)
前期比(%)
建設事業(百万円)
36,278
△7.4
18,298
△36.8
(注)1.綿半グループでは建設事業以外は受注生産を行っておりません。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比
(%)
小売事業 (百万円)
77,611
1.4%
建設事業 (百万円)
49,602
55.8%
貿易事業 (百万円)
6,001
3.2%
報告セグメント計 (百万円)
133,215
16.6%
その他 (百万円)
1,083
284.9%
合計 (百万円)
134,299
17.3%
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.販売実績総額に対する割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績等の記載は省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による綿半グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において綿半グループが判断したものであります。
①財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
②経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
綿半グループは、合才の精神による横連携による収益性の向上を目指しており、事業の成長・差別化・高収益化を測定するための経営指標として、売上高経常利益率を指針に定めております。
当連結会計年度の実績につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境と綿半のめざす姿」に記載しております。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
④経営戦略の現状と見通し
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑤資本の財源及び資金の流動性について
綿半グループの運転資金需要のうち主なものは、商品、建設資材等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
綿半グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金及び投資資金は、営業活動によって得られた自己資金を充当し、不足する場合には金融機関からの借入により資金調達をしております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は298億59百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は28億71百万円となっております。
⑥重要な会計方針、見積り及び当該見積りに用いた仮定
綿半グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り及び仮定を用いております。これらの見積り等については、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は当該見積り等と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。