【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態の状況 総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少等がありましたが、現金及び預金、有形固定資産、投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ443億円増加し1兆2,386億円となりました。負債は、支払手形及び買掛金の減少等がありましたが、未払法人税等、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ130億円増加し4,130億円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ313億円増加し8,255億円となりました。
(2) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年9月30日)における世界経済は、欧米先進国を中心としたインフレの高止まりと金融引き締め政策が継続し、中国ではゼロコロナ政策解除後の需要が期待ほど回復しておらず、製造業を中心に減速基調で推移しました。また、原燃料価格や人件費の上昇等に伴う物価上昇圧力の拡大やウクライナ問題の長期化、中東情勢の緊迫等も加わり、先行き不透明な状況が続いております。 このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ナフサ等の原燃料価格及び海外製品市況の下落に伴う販売価格の下落に加え、景気減速に伴う需要減退や南陽事業所の定期修繕、四日市事業所のプラントトラブルの影響を受け販売数量が減少したことから、4,857億円と前年同期に比べ410億円(7.8%)の減収となりました。営業利益は、ナフサや石炭等の原燃料価格下落を背景とした交易条件の改善がありましたが、在庫受払差の大幅な悪化と販売数量の減少により、321億円と前年同期に比べ129億円(28.7%)の減益となりました。経常利益は、円安進行に伴う為替差益を計上しましたが、444億円と前年同期に比べ203億円(31.3%)の減益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、267億円と前年同期に比べ153億円(36.4%)の減益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
石 油 化 学 事 業
エチレンは、コンビナート内需要減少及び四日市事業所のプラントトラブルによる生産量減少により、出荷が減少しました。プロピレンは、コンビナート内需要増加が四日市事業所のプラントトラブルによる生産量減少を上回り、出荷が増加しました。キュメンは、四日市事業所にて非定修年による生産量増加に伴い出荷が増加しました。また、ナフサ価格の下落により、エチレン及びプロピレンの販売価格は下落しました。海外市況下落の影響を受け、キュメンの販売価格は下落しました。 ポリエチレン樹脂は、様々な業界で需要が低迷しており、特に国内出荷数量が減少しました。輸出販売価格は、EVA樹脂を中心に海外市況の悪化を背景に下落しました。クロロプレンゴムは、国内輸出ともに需要低迷で出荷数量が減少しましたが、円安進行や原材料価格高騰を背景に国内輸出ともに販売価格は上昇しました。 この結果、売上高は、前年同期に比べ139億円(13.1%)減少し923億円となり、営業利益は、ナフサ等原燃料価格下落に伴いポリエチレン樹脂等の交易条件が改善したものの、在庫受払差の悪化や販売数量の減少により、前年同期に比べ24億円(38.4%)減少し39億円となりました。
ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業
苛性ソーダは、定期修繕等による生産量の減少に伴い出荷が減少しました。一方、価格是正により国内価格は上昇し、海外市況の下落により輸出価格は下落しました。塩化ビニルモノマーは、定期修繕等による生産量の減少に伴い出荷が減少しました。塩化ビニル樹脂は、国外出荷が増加しました。また、海外市況の下落を反映し塩ビ製品の海外販売価格は下落しました。 セメントは、需要低調により国内輸出ともに出荷が減少しましたが、国内販売価格は上昇しました。 ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、前年同期並みの出荷となりましたが、海外市況の下落により販売価格は下落しました。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系硬化剤は、中国における建築・土木用途等、世界的な需要低迷を背景に市況が下落し、販売価格が下落しました。 この結果、売上高は前年同期に比べ342億円(16.6%)減少し1,722億円となり、営業損益は、ナフサや石炭等の原燃料価格下落に伴い交易条件は改善した一方で、在庫受払差が悪化したことにより、前年同期に比べ19億円減少し18億円の損失となりました。
機 能 商 品 事 業
エチレンアミンは、世界的な景況感悪化に伴う需要減少の影響があり出荷が減少しましたが、前年度の価格是正や円安進行により販売価格は上昇しました。臭素は、生産能力増強に合わせた拡販を行い出荷が増加しましたが、海外市況下落を受けて販売価格は下落しました。 計測関連商品は、欧米及び中国向けで液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が減少しました。診断関連商品は、国内外で自動ヘモグロビン分析装置及び関連試薬の出荷が増加しましたが、国内向けで遺伝子検査試薬の出荷が減少しました。 ハイシリカゼオライトは、需要回復により自動車用途を中心に出荷が増加し、円安進行により販売価格は上昇しました。ジルコニアは、装飾用途・歯科用途で出荷が減少しましたが、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。石英ガラスは、半導体需要の減速により出荷が減少しましたが、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。電解二酸化マンガンは、欧州・アジア地域での出荷が増加し、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。 この結果、売上高は、前年同期に比べ10億円(0.8%)減少し1,299億円となり、営業利益は、為替の影響や石炭等の原燃料価格下落に伴い交易条件が改善したものの、在庫受払差の悪化や石英ガラス、ジルコニア等の出荷減少により、前年同期に比べ93億円(31.6%)減少し201億円となりました。
エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業
水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野において受注した国内外の大型案件の工事が順調に進捗し、メンテナンスや設備保有型サービスなどのソリューションサービスも好調であったことから、売上高が増加しました。 建設子会社の売上高は増加しました。 この結果、売上高は前年同期に比べ56億円(9.0%)増加し680億円となり、営業利益は前年同期に比べ7億円(9.3%)増加し86億円となりました。
そ の 他 事 業
運送・倉庫、検査・分析、情報処理等その他事業会社の売上高は増加しました。 この結果、売上高は前年同期に比べ25億円(12.1%)増加し233億円となりましたが、営業利益は前年同期に比べ0億円(2.4%)減少し13億円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ141億円増加し、1,335億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、581億円の収入となりました。売上債権、棚卸資産、法人税等の支払額の減少等により資金が増加し、前年同期に比べ931億円収入が増加いたしました。投資活動によるキャッシュ・フローは、331億円の支出となりました。設備投資による支出の増加等により、前年同期に比べ33億円支出が増加いたしました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは前年同期に比べ898億円収入が増加し、250億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、143億円の支出となりました。短期借入金の減少等により、前年同期に比べ273億円支出が増加いたしました。なお、当第2四半期連結累計期間の設備投資の資金調達は主に自己資金及び借入金により賄っております。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は約110億円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。