【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態の状況 総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少等がありましたが、現金及び預金、有形固定資産、投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ128億円増加し1兆2,070億円となりました。負債は、支払手形及び買掛金の減少等がありましたが、短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ76億円増加し4,076億円となりました。純資産は、その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ52億円増加し7,994億円となりました。
(2) 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)における経済環境は、欧米諸国でインフレ率が高水準で推移したため金融引締め政策により企業活動が停滞し、中国ではゼロコロナ政策の解除によりサービス需要は回復しつつありますが、自動車やスマートフォンなどの耐久消費財の需要はまだ弱く、不動産市況の低迷なども加わり需要が期待したほど回復しておりません。また、原燃料価格や人件費の上昇等にともなう物価上昇圧力の拡大やウクライナ問題の長期化等も加わり、先行き不透明な状況で推移しております。 このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、景気減速に伴う需要減退や南陽事業所の定期修繕の影響を受け販売数量が減少したことから、2,406億円と前年同期に比べ117億円(4.6%)の減収となりました。営業利益は、ナフサや石炭等の原燃料価格下落を背景とした交易条件の改善がありましたが、在庫受払差の大幅な悪化と販売数量の減少により、136億円と前年同期に比べ167億円(55.1%)の減益となりました。経常利益は、円安進行に伴う為替差益を計上しましたが、222億円と前年同期に比べ214億円(49.0%)の減益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、132億円と前年同期に比べ152億円(53.5%)の減益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
石 油 化 学 事 業
エチレン、プロピレン及びキュメンは、四日市事業所エチレンプラント等の非定修年による生産量増加に伴い出荷が増加しました。また、ナフサ価格の下落により、エチレン及びプロピレンの販売価格は下落しました。海外市況下落の影響を受け、キュメンの販売価格は下落しました。 ポリエチレン樹脂は、様々な業界で需要が低迷しており、国内輸出ともに出荷が減少しましたが、価格是正等を受けて販売価格は上昇しました。クロロプレンゴムは、国内輸出ともに需要低迷で出荷は減少しましたが、円安進行や原材料価格高騰を背景に国内輸出ともに販売価格は上昇しました。 この結果、売上高は、前年同期に比べ10億円(2.1%)増加し497億円となり、営業利益は、ナフサ等原燃料価格下落に伴い在庫受払差は悪化した一方で、ポリエチレン樹脂等の交易条件が改善したことにより、前年同期に比べ3億円(10.1%)増加し29億円となりました。
ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業
苛性ソーダは、定期修繕等による生産量の減少に伴い出荷が減少しました。価格是正により国内価格は上昇し、海外市況の下落により輸出価格は下落しました。塩化ビニルモノマーは、定期修繕等による生産量の減少に伴い出荷が減少しました。塩化ビニル樹脂は、国内外で出荷が減少しました。また、海外市況の下落を受けて塩ビ製品の海外販売価格は下落しました。 セメントは、国内出荷が堅調に推移しました。また、国内販売価格は上昇しました。 ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、前年同期並みの出荷となりましたが、海外市況の下落により販売価格は下落しました。 この結果、売上高は前年同期に比べ192億円(18.9%)減少し828億円となり、営業損益は、ナフサや石炭等の原燃料価格下落に伴い交易条件は改善した一方で、在庫受払差が悪化したことにより、前年同期に比べ133億円減少し36億円の損失となりました。
機 能 商 品 事 業
エチレンアミンは、世界的な景況感悪化に伴う需要減少の影響もあり出荷が減少しましたが、前年度の価格是正や円安進行により販売価格は上昇しました。 計測関連商品は、欧米及び中国向けで液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が減少しました。診断関連商品は、国内外で自動ヘモグロビン分析装置及び関連試薬の出荷が増加しましたが、国内向けで遺伝子検査試薬の出荷が減少しました。 ハイシリカゼオライトは、需要回復により自動車用途を中心に出荷が増加し、円安進行により販売価格は上昇しました。ジルコニアは、装飾用途・歯科用途で出荷が減少しましたが、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。石英ガラスは、半導体需要の減速により出荷が減少しましたが、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。電解二酸化マンガンは、欧州・アジア地域での出荷が増加し、円安進行及び価格是正により販売価格は上昇しました。 この結果、売上高は、前年同期に比べ34億円(5.4%)増加し660億円となり、営業利益は、為替の影響や石炭等の原燃料価格下落に伴い交易条件が改善したものの、在庫受払差の悪化や固定費増加、ジルコニア、石英ガラス等の出荷減少により、前年同期に比べ37億円(25.8%)減少し105億円となりました。
エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業
水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野において受注した国内外の大型案件の工事が順調に進捗し、メンテナンスなどのソリューションサービスも好調であったことから、売上高が増加しました。 建設子会社の売上高は減少しました。 この結果、売上高は前年同期に比べ17億円(6.1%)増加し304億円となりましたが、営業利益は、建設子会社で利益率が低下したこと等により、前年同期に比べ1億円(4.3%)減少し32億円となりました。
そ の 他 事 業
運送・倉庫、検査・分析、情報処理等その他事業会社の売上高は増加しました。 この結果、売上高は前年同期に比べ14億円(13.7%)増加し118億円となり、営業利益は前年同期に比べ1億円(17.9%)増加し6億円となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は約57億円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。