【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態の状況 総資産は、現金及び預金の減少等がありましたが、受取手形、売掛金及び契約資産、商品及び製品の増加等により、前連結会計年度末に比べ853億円増加し1兆1,730億円となりました。負債は、未払法人税等の減少等がありましたが、支払手形及び買掛金、短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ446億円増加し3,726億円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ407億円増加し8,004億円となりました。
(2) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)の世界経済は、各国で新型コロナウイルス感染防止対策と経済活動の両立が進み回復途上にありましたが、ウクライナ問題や中国ゼロコロナ政策が長期化する中、供給面の制約や資源価格の高騰、急激なインフレ、金融引き締めなどが景気下押し要因となっており、先行きは依然として不透明な状況が続いております。 このような情勢下、当社グループの連結業績については、売上高は、ナフサ等の原燃料価格の上昇による販売価格の上昇や円安進行により、5,266億円と前年同期に比べ981億円(22.9%)の増収となりました。営業利益は、ナフサや石炭等の原燃料高の影響が販売価格上昇の影響を上回ったことでの交易条件の悪化により、450億円と前年同期に比べ203億円(31.1%)の減益となりました。経常利益は、円安進行に伴う為替差益により営業外損益が改善し、647億円と前年同期に比べ43億円(6.2%)の減益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、420億円と前年同期に比べ40億円(8.7%)の減益となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。 石 油 化 学 事 業
エチレン、プロピレン及びキュメンは、定修年による生産量の減少に伴い出荷が減少いたしました。また、ナフサ価格の上昇により、エチレン及びプロピレンの製品価格は上昇いたしました。海外市況上昇等の影響を受け、キュメンの製品価格は上昇いたしました。 ポリエチレン樹脂は、国内輸出ともに出荷が減少いたしましたが、ナフサ価格及び海外市況の上昇を反映して製品価格は上昇いたしました。クロロプレンゴムは、国内輸出ともに出荷は前年同期並みに推移いたしました。また、需給のひっ迫や原材料価格高騰を背景に製品価格は上昇いたしました。 この結果、売上高は前年同期に比べ185億円(21.1%)増加し1,062億円となり、営業利益は、エチレン、プロピレン、キュメン等のオレフィン製品やポリエチレン樹脂の出荷減少に加え、ナフサ等原燃料価格上昇に伴う交易条件の悪化により、前年同期に比べ22億円(25.9%)減少し64億円となりました。
ク ロ ル ・ ア ル カ リ 事 業
苛性ソーダは、生産量の増加に伴い出荷が増加いたしました。また、国内価格の是正及び海外市況の上昇により製品価格は上昇いたしました。塩化ビニルモノマーは、生産量の増加に伴い出荷が増加いたしました。塩化ビニル樹脂は、出荷が減少いたしましたが、国内価格の是正等により製品価格は上昇いたしました。 セメントは、需要低調により国内出荷が減少いたしましたが、国内輸出ともに製品価格は上昇いたしました。 ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、生産量の増加に伴い国内外で出荷が増加いたしました。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系硬化剤は、海外市況の上昇により製品価格が上昇いたしました。 この結果、売上高は前年同期に比べ463億円(29.0%)増加し2,064億円となり、営業利益は、ナフサや石炭等の原燃料価格上昇に伴う交易条件の悪化により、前年同期に比べ280億円(99.5%)減少し1億円となりました。
機 能 商 品 事 業
エチレンアミンは、中国上海でのロックダウンが影響し出荷が減少いたしましたが、海外市況の上昇により製品価格は上昇いたしました。 計測関連商品は、液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が堅調に推移いたしました。診断関連商品は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、中国向けで体外診断用医薬品の出荷が減少いたしましたが、国内向けで新型コロナウイルス遺伝子検査試薬の出荷が増加いたしました。 ハイシリカゼオライトは、前年同期並みの出荷となりました。ジルコニアは、欧州向け歯科材料用途を中心に出荷が増加いたしました。石英ガラスは、半導体需要の拡大に伴い出荷が増加いたしました。電解二酸化マンガンは、米国における需給緩和の影響で出荷が減少いたしましたが、価格是正により国内外の製品価格は上昇いたしました。 この結果、売上高は前年同期に比べ208億円(18.9%)増加し1,309億円となり、営業利益は、石英ガラス等の出荷増加、為替影響等による交易条件の改善や在庫受払差の改善により、前年同期に比べ72億円(32.2%)増加し293億円となりました。
エ ン ジ ニ ア リ ン グ 事 業
水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野において国内外の大型案件の工事受注が好調に推移し、工事案件を高い水準で抱えていたことなどから、売上高が増加いたしました。 建設子会社の売上高は減少いたしました。 この結果、売上高は前年同期に比べ96億円(18.2%)増加し624億円となり、営業利益は前年同期に比べ29億円(57.3%)増加し79億円となりました。
そ の 他 事 業
商社等その他事業会社の売上高は増加いたしました。 この結果、売上高は前年同期に比べ28億円(15.6%)増加し208億円となりましたが、営業利益は前年同期に比べ1億円(7.9%)減少し13億円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ457億円減少し、1,151億円となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、349億円の支出となりました。売上債権、棚卸資産、法人税等の支払額の増加等により資金が減少し、前年同期に比べ625億円支出が増加いたしました。投資活動によるキャッシュ・フローは、298億円の支出となりました。設備投資による支出の増加等により、前年同期に比べ25億円支出が増加いたしました。 この結果、フリー・キャッシュ・フローは前年同期に比べ650億円支出が増加し、647億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、130億円の収入となりました。配当金の支払額は増加したものの、短期借入金の増加等により、前年同期に比べ285億円収入が増加いたしました。 なお、当第2四半期連結累計期間の設備投資の資金調達は主に自己資金及び借入金により賄っております。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、2022年8月10日に、2024年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。
[2022~2024年度 中期経営計画の概要]
1. 目指す収益構造 (~2030年度)□ コモディティは収益事業として定着も、今後は脱炭素対応に注力スペシャリティで1,000億円超の利益基盤構築を目指す
2. 経営基本方針□ ハイブリッド経営を基本としつつ、スペシャリティの収益拡大に注力• [コモディティ]“事業強化”と“CO2排出削減”を最適な組合せで実施、適正なコスト負担・価格転嫁による安定供給維持• [スペシャリティ]比較優位のある事業への能増投資、成長分野への経営資源重点配分、新規事業の育成により収益基盤を拡充□ CO2排出削減・有効利用に向け総力結集• 脱炭素対応を全方位から推進、持続可能な社会の実現に向け企業責務を全うする□ 健全財務に依拠した攻めの投資• 脱炭素下では事業環境が大きく変動、この変化を好機と捉え、タイムリーな戦略投資で将来への布石を打つ□ 安全基盤の強化、安全文化の定着・深化• プラントの安全操業は全てに優先、安全基盤の強化、安全文化の定着・深化に向け取り組み継続
3. 数値目標
(億円)
«参考»前中計の達成状況
2021年度実績
2024年度目標
2021年度目標
差異
売上高
9,186
11,600
8,900
286
営業利益
1,440
1,500
1,100
340
営業利益率
15.7%
10%以上
10%以上
達成
ROE
16.3%
10%以上
10%以上
達成
前提
ドル
112
125
110
2
ユーロ
131
135
125
6
ナフサ
56,875
75,000
46,000
10,875
4. 投融資計画□ 2022-2024年度3ヵ年累計投資額 = 設備投資2,000億円 + M&A、脱炭素追加対応□ スペシャリティを中心に積極投資を展開、設備投資にはCO2削減投資300億円含む□ M&Aはバイオ関連を中心に探索
主な設備投資計画≪通常投資≫
≪CO2削減投資≫・ CR(増設)
・
循環流動層ボイラへの更新・ 臭素・難燃剤(増設)
・
ガスタービン追加設置・ 分離精製剤(増設)
・ COプラントCO2原料化設備導入・ ジルコニア粉末(増設)・ MDIスプリッター海外設置・ ターゲット(米国能増)・ 石英素材・加工品(能増)
5. 研究開発□「ライフサイエンス」「電子材料」「環境・エネルギー」を重点3分野に据え、研究開発資源を集中投 下□「研究インフラの有効活用」「MI技術による材料設計効率化」「オープンイノベーションの推進」「ファンド等を活用した先端技術の獲得」により、研究開発を加速
6. 株主還元□ 安定配当を基本とし、自己株取得による資本効率向上にも努める□ 配当性向は30%を目安とする□ 自己株取得はフリーCFの水準等を勘案して機動的に実施する
7. 脱炭素対応(CO2削減目標)□ 2030年度30%削減(2018年度比)に向け具体的な施策を実施□ 現行技術での30%削減は発電設備燃料の木質バイオマス転換が主体、循環流動層ボイラ導入で燃料多様化図る□ CO2原料化は化学メーカーの使命、優先度を上げ取り組み強化
≪注意事項≫本資料の計画は、現時点で入手可能な情報に基づき判断した予想です。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は約102億円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第2四半期連結累計期間に著しい変動があった設備は、次のとおりであります。
重要な設備の新設等
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手年月
完了予定年月
完成後の増加能力
総額(百万円)
既支払額(百万円)
提出会社
南陽事業所(山口県周南市)
石油化学クロル・アルカリ機能商品
バイオマス発電所
40,000
9
自己資金及び借入金
2022年7月
2026年4月
発電出力74MW
提出会社
南陽事業所(山口県周南市)
機能商品
分離精製剤製造設備
16,000
7
自己資金及び借入金
2022年7月
2025年3月
生産能力70%増