【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況 当事業年度における国内経済は、度重なる新型コロナウイルス感染症が収束しないものの、その拡大に一定の歯止めがかかり、各種規制の緩和により、経済、社会活動の正常化に向けた動きが進むとともに、景気は緩やかに持ち直してきました。一方で、長期化するロシア・ウクライナ情勢など地政学リスクは高まり、世界的なエネルギーコストをはじめ、資源、原材料価格等など物価が上昇し、為替、金融環境の変動の影響もあり、依然として不透明な状況が続きました。当社の主要な市場であります建設関連業界におきましては、公共投資が底堅く推移し、民間設備投資も緩やかながら回復してまいりましたが、資材価格などコストの上昇が続き、取り巻く事業環境は変動の要因も多い状況が続きました。その結果、売上高は、80億96百万円(前年同期比18.8%増)となりました。製品分類別における状況は次のとおりであります。鋳鉄器材は、堅調な建築工事により雨水排水・防水関連製品の増加基調が続きましたことと、外構、街路関連や設備投資の改善により外構・街路関連製品が増加したことから、22億33百万円(同26.0%増)となりました。スチール機材は、民間設備投資がやや持ち直したことや、外構関連の改善はあるものの、外構・街路関連製品の納入は伸びを欠き、11億86百万円(同7.3%増)となりました。製作金物は、当期における防災関連製品の納入がやや伸びを欠きましたが、外構、街路等景観整備工事の回復基調が続き、外構・街路関連製品が大きく増加し、建築工事関連も改善し建築金物が増加したことから、39億96百万円(同20.2%増)となりました。その他鋳造製品は、土木向け受託需要が減少しましたが、建機、機械向け製品が、納入先の堅調な需要により、改善基調が続き、6億78百万円(同10.9%増)となりました。利益につきましては、材料価格の高騰や、電力料をはじめとする諸物価の上昇が続くなど、生産におけるコスト環境は、厳しい状況が続きました。こうした状況の中で、市場における需要が回復傾向にあることや、原価改善に向けた生産性の向上、販売価格の適正化により、収益の改善、及び需要に対する安定供給に取り組んでまいりました結果、売上総利益は、30億74百万円(同45.8%増)となりました。販売費及び一般管理費につきましても、物価上昇による経費負担の増加もありますが、軽減に努め、20億62百万円(同1.0%増)となりました。その結果、営業利益は10億12百万円(前事業年度は67百万円)となりました。営業外損益につきましては、低金利の環境が続く状況は変わらないものの、当年度における設備の廃棄に伴う収益の発生もあり改善しました。その結果、経常利益は10億50百万円(前事業年度は80百万円)となり、一部の保有不動産に関して時価の下落による減損損失を計上しましたことから、当期純利益は7億9百万円(前事業年度は39百万円)となりました。
資産総額は165億83百万円となり、前事業年度末に比べ9億84百万円増加いたしました。これは主に、流動資産のうち、有価証券が4億円減少しましたが、現金及び預金が4億80百万円、売掛金が1億68百万円、固定資産のうち、建設仮勘定が3億6百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。 負債総額は25億75百万円となり、前事業年度末に比べ4億74百万円増加いたしました。これは主に、流動負債のうち、未払法人税等が3億00百万円増加したこと等によるものであります。
純資産は140億7百万円となり、前事業年度末に比べ5億10百万円増加いたしました。これは主に、剰余金の配当が2億13百万円ありましたが、当期純利益の計上が7億9百万円あったこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、営業活動により8億56百万円増加し、投資活動により39百万円増加し、財務活動により2億15百万円減少し、この結果、前事業年度末と比べ6億80百万円の増加となり、期末残高は10億84百万円となりました。営業活動の結果、得られた資金は、8億56百万円(前期比4億93百万円の収入増)となりました。これは主に、売上債権の増加が3億75百万円、棚卸資産の増加が2億59百万円、法人税等の支払額が64百万円ありましたが、税引前当期純利益の計上が10億49百万円あったこと等によるものであります。投資活動の結果、得られた資金は、39百万円(前事業年度は4億74百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が92億50百万円、有形固定資産の取得による支出が5億53百万円ありましたが、定期預金の払戻による収入が94億50百万円、有価証券の償還による収入が4億円あったこと等によるものであります。財務活動の結果支出した資金は、2億15百万円(前期比2百万円の支出増)となりました。これは、配当金の支払が2億14百万円あったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等〔注記事項〕(セグメント情報等)」に記載のとおり、単一セグ
メントであり、生産、受注及び販売の状況は製品分類別に記載しております。
a. 生産実績当事業年度における生産実績を製品分類別に示すと、次のとおりであります。
製品分類
生産高(千円)
前年同期比(%)
鋳鉄器材
787,530
110.5
スチール機材
686,551
106.6
製作金物
2,177,766
112.2
その他
671,291
113.9
合計
4,323,139
111.2
b. 製品仕入実績当事業年度における製品仕入実績を製品分類別に示すと、次のとおりであります。
製品分類
仕入高(千円)
前年同期比(%)
鋳鉄器材
443,166
110.4
スチール機材
203,453
97.9
製作金物
135,978
103.9
その他
9,626
54.0
合計
792,224
104.5
(注) 金額は、仕入価格によるものであります。
c. 受注実績当社は過去の実績と販売計画に基づき計画生産を行なっております。なお、鋳鉄器材、スチール機材、製作金物、その他の一部において受注による生産がありますが、金額は僅少であります。
d. 販売実績当事業年度における販売実績を製品分類別に示すと、次のとおりであります。
製品分類
販売高(千円)
前年同期比(%)
鋳鉄器材
2,233,918
126.0
スチール機材
1,186,882
107.3
製作金物
3,996,976
120.2
その他
678,546
110.9
合計
8,096,323
118.8
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前事業年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)
当事業年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
ヒルカワ金属㈱
1,621,949
23.6
1,656,988
20.5
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容売上高は80億96百万円となり、前事業年度に比べ12億78百万円増加しました。売上原価は50億21百万円となり、前事業年度に比べ3億13百万円増加しました。売上原価率は62.0%となり、前事業年度に比べ7.0%減少しました。その結果、売上総利益は30億74百万円となり、前事業年度に比べ9億65百万円増加しました。販売費及び一般管理費は20億62百万円となり、前事業年度に比べ20百万円増加しました。売上高販売費比率は25.5%となり、前事業年度に比べ4.5%減少しました。その結果、営業利益は10億12百万円となり、前事業年度に比べ9億45百万円増加しました。売上高営業利益率は12.5%となり、前事業年度に比べ11.5%増加しました。営業外損益は、営業外収益が55百万円となり、前事業年度に比べ27百万円増加し、営業外費用が17百万円となり、前事業年度に比べ1百万円増加しました。その結果、経常利益は10億50百万円となり、前事業年度に比べ9億70百万円増加しました。売上高経常利益率は13.0%となり、前事業年度に比べ11.8%増加しました。特別損益は、一部の保有不動産に関して時価の下落による減損損失を計上しました。その結果、税引前当期純利益は10億49百万円となり、前事業年度に比べ9億69百万円増加しました。法人税等合計は3億40百万円となり、前事業年度に比べ2億99百万円増加しました。その結果、当期純利益は7億9百万円となり、前事業年度に比べ6億70百万円増加しました。自己資本利益率は5.2%となり、前事業年度に比べ4.9%増加しました。1株当たり当期純利益金額は498円59銭となりました。なお、詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析資金繰りの状況につきましては、順調にすすめることができ、流動性資金を安定的に確保をしております。流動比率は1,135.3%、当座比率は999.8%であります。
設備投資及び運転資金には、自己資金を充当しており、新たな資金調達は行っておりません。現在予定している設備投資につきましても、自己資金による決済が可能と見込まれ、借入金等資金調達の予定はありません。